| 法令の情報時期:2024年08月 統合版 | ページ作成時期:2026年07月 |
目的
本指令は以下の規則を定めることを目的としている。
■ 産業活動に起因する汚染の統合的な防止及び管理に関する規則。
■ 人の健康及び環境全体を高い水準で保護するため、大気、水及び土地への排出を防止し、これが実行可能でない場合には継続的に削減するとともに、廃棄物の発生防止、資源効率の向上、循環型経済及び脱炭素化の促進を図るための規則。
概要
本指令は、環境への影響が大きい産業施設及び家畜飼育施設からの排出を統合的に規制するEUの主要な環境指令である。
■ 背景・問題意識:「汚染者負担」の原則及び汚染防止の原則に従い、産業活動に起因する汚染を防止、低減し、可能な限り排除するためには、主要な産業活動の規制に関する一般的な枠組みを確立する必要がある。大気、水及び土壌への排出を個別に規制するだけでは、ある環境媒体から別の環境媒体へ汚染が移転するおそれがあり、環境全体を保護することができない。そのため、大気、水及び土壌への排出の防止及び管理、廃棄物管理、エネルギー効率並びに事故防止について、統合的なアプローチを採用することが適切である。
■ 適用範囲:本指令の第II章から第VIa章に規定される汚染を発生させる産業活動に適用される。これにはエネルギー産業、金属製造・加工産業、化学産業、廃棄物管理、一定規模以上の豚・家禽の飼育施設などが含まれる。
■ 主な要件:対象施設の運用には許可の取得が必須であり、利用可能な最良の技術(BAT)の適用、環境管理システム(EMS)の導入、転換計画の策定なども求められる。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
研究活動、開発活動又は新しい製品及びプロセスの試験については、本指令は適用されない。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
許可の取得と申請(第4条、第12条参照)
■ 事業者は、許可を取得することなく施設を運用してはならない。
■ 許可申請時には、施設及び活動、使用する原材料、排出源、施設の敷地の状態、予測される排出の性質・量、排出防止・削減措置、廃棄物発生防止措置、排出モニタリング措置等に関する情報を提出しなければならない。
運用の一般原則(第11条参照)
■ 事業者は、適切な汚染防止措置を講じること、利用可能な最良の技術(BAT)を適用すること、重大な汚染を引き起こさないこと、廃棄物の発生を防止すること、発生した廃棄物については再使用準備、リサイクル、回収等の優先順位に従って処理すること、エネルギー・資源及び水を効率的に使用すること、環境マネジメントシステム(EMS)を導入すること、事故防止措置を講じること、並びに活動終了時には汚染リスクを回避し、施設の敷地を十分な状態に回復させるために必要な措置を講じることなどが求められる。
環境管理システム(EMS)の導入(第14a条参照)
■ 事業者は、各施設について環境管理システム(EMS)を導入しなければならない。
■ EMSには、環境方針・目標(廃棄物発生防止、資源・エネルギー利用及び水の再利用の最適化、有害物質の使用又は排出の防止・削減に向けた措置等)、関連有害物質のインベントリ及びリスク評価、転換計画等を含める必要がある。
■ 事業者は、特定の施設を除き、2027年7月1日までにEMSを準備・導入し、最初の監査を受けなければならない。
事故・インシデント及び不遵守時の対応(第7条、第8条参照)
■ 人の健康又は環境に重大な影響を及ぼす事故又はインシデントが発生した場合、事業者は直ちに管轄当局に通知するとともに、その影響を制限し、更なる事故又はインシデントを防止するために必要な措置を講じなければならない。
■ 許可条件に違反する場合、事業者は直ちに管轄当局に通知し、可能な限り短期間で再び遵守するために必要な措置を講じなければならない。
■ 許可条件の違反により人の健康への即時の危険又は環境への重大な悪影響のおそれがある場合は、施設又はその関連部分のは、遅滞なく、遵守が回復されるまで停止される。
ベースラインレポートの作成と活動停止時の措置(第22条参照)
■ 活動が関連有害物質の使用、生産又は放出を伴い、施設の敷地において土壌又は地下水の汚染のおそれがある場合、事業者は、運用開始前又は許可更新前に、ベースラインレポート(関連有害物質による土壌及び地下水の汚染状況に関する情報)を作成し、所轄当局に提出しなければならない。
■ 活動の終了時に施設の運用によりベースラインレポートに記録された状態と比較して関連有害物質により土壌又は地下水に重大な汚染が生じている場合、事業者は敷地をベースラインレポートに記録された状態へ回復させるために必要な措置を講じなければならない。
転換計画(Transformation Plan)の策定(第27d条参照)
■ 事業者は、2030年6月30日までに、附属書Iに規定された特定の活動を対象とする転換計画を環境管理システム(EMS)に含めなければならない。当該転換計画には、2050年までに持続可能で、クリーンかつ循環型であり、資源効率が高く、気候中立な経済の実現に寄与するため、2030年から2050年にかけて施設をどのように転換するかに関する情報を含めなければならない。
罰則と補償(第79条、第79a条参照)
■ 最も重大な違反を犯した法人には、前年度のEU内売上高の少なくとも3%に相当する行政上の制裁金が科される可能性がある。
■ 本指令に従って採択された国内法令の違反により健康被害を受けた個人は、事業者等に対して損害賠償を請求する権利を有する。
将来的な影響(第5条、第14条参照)
■ 加盟国は、2035年12月31日までに電子的な許可システム開発しなければならず、事業者による許可申請・手続のデジタル化が進められる。
■ 加盟国は、本指令に定める要件よりも厳格な許可条件を設定することができる。そのため、事業者は各国の制度を確認する必要がある。
注目定義
<対象>
■ 「利用可能な最良の技術(BAT)」(best available techniques)
|
「利用可能な最良の技術」とは、活動及びその運用方法の開発において最も効果的かつ先進的な段階をいい、排出限界値、及び排出を防止し、それが実行不可能な場合には排出を削減し、環境全体への影響を軽減することを目的としたその他の許可条件の根拠を提供する上で特定の技術が実用的に適していることを示すものである。 (a) 「技術」には、使用される技術及び施設の設計、建設、維持管理、運用及び廃止方法の両方が含まれる。 (b) 「利用可能な技術」とは、費用と利益を考慮した上で、経済的及び技術的に実行可能な条件下で、当該産業分野において実施が可能な規模で開発された技術をいう。当該技術は、事業者が合理的に入手できる限り、EU域内で使用又は生産されているか否かは問わない。 (c) 「最良」とは、環境全体(人の健康及び気候保護を含む)について、全般的に高い保護水準を実現する上で最も効果的であることをいう。 |
目次
第I章:共通規定
第1条:対象事項
第2条:適用範囲
第3条:定義
第4条:許可取得義務
第5条:許可の付与
第6条:一般的拘束規則
第7条:インシデント及び事故
第8条:不遵守
第9条:温室効果ガスの排出
第II章:附属書Iに掲げる活動に関する規定
第10条:適用範囲
第11条:事業者の基本的義務に係る基本原則
第12条:許可の申請
第13条:BAT参照文書と情報交換
第14条:許可の条件
第14a条:環境管理システム(EMS)
第15条:排出限界値、環境パフォーマンス限界値、同等のパラメータ及び技術的措置
第15a条:遵守評価
第16条:モニタリング要件
第17条:附属書Iに掲げられた活動の一般的拘束規則
第18条:環境品質基準
第19条:利用可能な最良の技術(BAT)の進展
第20条:事業者による施設の変更
第21条:管轄当局による許可条件の再検討及び更新
第22条:敷地の閉鎖
第23条:環境検査
第24条:許可手続における情報へのアクセスと公衆参加
第25条:司法へのアクセス
第26条:国境を越える影響
第IIA章:イノベーションの実現と促進
第27条:新興技術
第27a条:産業転換及び排出に関するイノベーションセンター
第27b条:新興技術の試験
第27c条:新興技術に関連する排出レベル及び環境パフォーマンス指針値
第27d条:クリーンで循環型で気候中立的な産業に向けた転換
第27e条:産業の抜本的転換
第III章:燃焼プラントに関する特別規定
第28条~第41条:適用範囲等
第IV章:廃棄物焼却プラントに関する特別規定
第42条~第55条:適用範囲等
第V章:有機溶剤を使用する施設及び活動に関する特別規定
第56条~第65条:適用範囲等
第VI章:二酸化チタンを製造する施設に関する特別規定
第66条~第70条:適用範囲等
第VIa章:家禽及び豚の飼育に関する特別規定
第70a条~第70i条:適用範囲等
第VII章:委員会、経過規定及び最終規定
第71条:管轄当局
第72条:加盟国による報告
第73条:見直し
第74条:附属書の改正
第75条:委員会手続
第76条:委任権限の行使
(第77条:削除)
(第78条:削除)
第79条:罰則
第79a条:補償
第80条:国内法化
第81条:廃止
第82条:経過規定
第83条:発効
第84条:宛先
附属書I 第10条に規定する活動のカテゴリー
附属書Ia 第70a条に規定する活動
附属書II 第15条第5項に規定する免除を与える際に遵守すべき原則
附属書III 利用可能な最良の技術(BAT)を決定するための基準
附属書IV 意思決定における公衆参加
附属書V 燃焼プラントに関する技術的規定
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 産業及び家畜飼育排出(統合的汚染防止及び管理)に関する2010年11月24日の欧州議会及び理事会指令2010/75/EU(再制定)(IED) |
| 公布日 | 2010年12月17日 |
| 所管当局 | ― |
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