| 法令の情報時期:2019年07月 統合版 | ページ作成時期:2026年07月 |
目的
本指令は、以下の事項を目的としている。
■ 機械的振動へのばく露から生じる、または生じる可能性のある労働者の健康および安全に対するリスク(特に血管、骨、関節、神経、筋肉への障害)から労働者を保護するための最小要件を定めること。
■ 職場における物理的要因(振動)へのばく露に関する保護水準の向上を図ること。
概要
本指令は、労働者の安全と健康の改善促進に関する枠組み指令(89/391/EEC)に基づき、振動に特化した具体的な要件を定めた第16番目の個別指令である。
■ 背景・問題意識:機械的振動(手腕振動および全身振動)は労働者の健康に対する重大なリスクであり、特に腰痛や脊椎の損傷、血管障害などの原因となる。
■ 適用範囲::仕事の過程で労働者が機械的振動によるリスクにばく露される、あるいはばく露される可能性があるすべての活動に適用される。
■ 主な要件:リスク評価および測定、振動の発生源での除去・低減措置、ばく露限界値の遵守、労働者への情報提供・訓練、および健康監視の実施。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
リスクの決定および評価(第4条)
■ 労働者がばく露される機械的振動のレベルを評価し、必要に応じて測定しなければならない。
■ 評価にあたっては、ばく露のレベル、種類、期間(断続的な振動や繰り返しの衝撃を含む)、ばく露限界値とばく露アクション値、敏感なリスクグループへの影響、機器製造者が提供する情報、低温などの特定の作業条件に特に注意を払わなければならない。
■ リスク評価の結果を適切な媒体に記録し、定期的に、または状況に大きな変化があった場合、あるいは健康監視の結果で必要性が示された場合には、内容を最新の状態に更新しなければならない。
ばく露の回避または低減(第5条)
■ 技術の進歩を考慮し、振動によるリスクを発生源で除去するか、最小限に抑えなければならない。
■ 「ばく露アクション値」(手腕振動、全身振動または振動線量のそれぞれについて規定)を超える場合は、低減を目的とした技術的・組織的措置のプログラムを策定・実施しなければならない。
■ 具体的な措置には、代替作業方法の採用、適切な人間工学的設計の機器の選択、振動を軽減する補助機器(シート、ハンドル等)の提供、保守プログラム、作業時間の制限、適切な休息時間の設定、防寒・防湿のための衣服の提供が含まれる。
■ いかなる場合も、労働者を「ばく露限界値」(手腕振動、全身振動、振動線量 のそれぞれについて規定)を超える環境に置いてはならない。
■ 万が一限界値を超えた場合は、直ちにばく露を低減する措置を講じ、原因を特定して再発防止策を修正しなければならない。
情報提供、訓練および協議(第6条、第7条)
■ リスクがある労働者に対し、リスク評価の結果、実施されている措置、限界値と対応値の意味、身体的変調の兆候の報告方法、健康監視を受ける権利、安全な作業方法について情報提供と訓練を行わなければならない。
■ 本指令の適用に関する事項について、労働者と協議し、参加させなければならない。
健康監視(第8条)
■ リスク評価で健康リスクが示された場合、適切な健康監視を実施しなければならない。特に「ばく露アクション値」を超える労働者は、健康監視を受ける権利を有する。
■ 各労働者の個別の健康記録を作成・更新し、当局の要求に応じて提出しなければならない。労働者は自身の記録にアクセスする権利を持つ。
■ 健康被害が発見された場合、雇用主はリスク評価と対策を再検討し、医師のアドバイスに従ってリスクのない代替業務への配置換えなどを検討しなければならない。
政府への要件を通じた将来的影響(第11条)
■ 欧州委員会は、技術的進歩や標準化(機器のデザインや製造に関する欧州規格の変更など)に合わせて、附属書の測定・評価方法の技術面を修正する権限を有している。これにより、将来的に事業者が実施すべき測定・評価の手法が更新される可能性がある。
例外が許容されるケース(第10条)
■ 海運および航空輸送: 全身振動に関して、技術水準や職場の特殊性により、あらゆる措置を講じても「ばく露限界値」の遵守が不可能な正当な状況がある場合、加盟国は一定の条件下で例外を認めることができる。
■ ばく露が著しく変動する場合: 通常は「ばく露アクション値」を下回るが、時折「ばく露限界値」を超えるような活動において、40時間の平均ばく露量が限界値を下回り、かつリスクが最小限であると証明される場合、例外が認められることがある。
注目定義
■ 「手腕振動」(hand-arm vibration)
| 手腕系に伝達される機械的振動を指す。この振動へのばく露は、血管障害、骨または関節の障害、神経障害、あるいは筋肉障害などの健康・安全上のリスクを労働者に及ぼす可能性がある。 |
■ 「全身振動」(whole-body vibration)
| 身体全体に伝達される機械的振動を指す。労働者に対し、特に腰痛症や脊椎の損傷などの健康・安全上のリスクを伴う。 |
目次
第I節:一般規定
第1条:目的および範囲
第2条:定義
第3条:ばく露限界値およびばく露アクション値
第II節:雇用主の義務
第4条:リスクの決定および評価
第5条:ばく露の回避または低減を目的とする規定
第6条:労働者の情報提供および訓練
第7条:労働者の協議および参加
第III節:雑則
第8条:健康監視
第9条:移行期間
第10条:例外
第11条:附属書の修正
第11条a:委任の行使
第11条b:緊急手続き
第IV節:最終規定
第14条:国内法化
第15条:発効
第16条:宛先
附属書
A. 手腕振動(ばく露の評価、測定、干渉、間接的リスク、個人保護具)
B. 全身振動(ばく露の評価、測定、干渉、間接的リスク、ばく露の延長)
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 労働者の物理的要因(振動)に起因するリスクへのばく露についての最低健康安全要件に関する2002年6月25日付欧州議会および理事会指令2002/44/EC(指令89/391/EEC第16条第1項の意味における第16次個別指令) |
| 公布日 | 2002年07月06日 |
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