解説EU-欧州単一効特許規則

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法令の情報時期:2012年 12月 ページ作成時期:2026年7月

目的

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本規則は、以下の事項を目的としている。

■ 欧州連合内において一律の特許保護(単一効)を創設するための法的条件を整備すること。

■ 特許システムへのアクセスを、より容易かつ低コストで法的に安定したものにすること。

■ EU全域における事業者のコストと複雑さを排除し、科学技術の進歩と内部市場の機能を促進すること。

概要

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本規則は、欧州特許庁(EPO)が授与する「欧州特許」に対し、特許権者の請求に基づいて参加国全体で同一の効力を持たせる「単一効」を付与する制度を規定している。

■ 背景:欧州特許条約(EPC)に基づき各参加国の国内特許の集合体であった従来の欧州特許に対し、参加国全体を一つの領土として扱う制度である。

■ 問題意識:複数の国で個別に特許を有効化(バリデーション)し維持するための高額な翻訳費用や複雑な事務手続き、各国で分断された法的保護の解消を目指している。

■ 適用範囲:本制度に参加するEU加盟国(参加加盟国)における「単一効が付与された欧州特許」に適用する。

■ 主な要件:同一の請求範囲(クレーム)で全参加国に対し授与された特許であること、および特許付与の公告後1か月以内の単一効申請が必要である。

■ 施行時期:2014年1月1日、または「統一特許裁判所(UPC)協定」の発効日のいずれか遅い方から適用。実務上は2023年06月01日より開始された。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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特許権者および事業者は、本制度の適用範囲、および登録・維持に関する以下の要件を条項別に考慮しなければならない。

地理的保護範囲と他制度との併存(第1条、第2条、第18条) 欧州単一効特許を取得する場合でも、以下の対象は本制度による「単一的効果」の範囲外となるため、事業者は自社の市場戦略に応じた適切な権利取得手段を選択する必要がある。

■ 国内特許:各参加加盟国の国内法に基づき付与される特許。

■ 従来の欧州特許:単一効を選択せず、従来の方式で各国別に有効化(バリデーション)された欧州特許。

■ 非参加加盟国での保護:スペイン、クロアチアなど、本規則の「強化された協力」に参加していないEU加盟国。これらの国では単一効は発生せず、別途権利取得が必要となる(第2条(a)、前文3)。

■ UPC未批准国での保護:「強化された協力」に参加していても、特許登録時点で統一特許裁判所(UPC)協定を批准していない国(ポーランド等)。欧州単一効特許は、登録日においてUPCが専属管轄権を有する参加加盟国においてのみ効力を持つ(第18条(2))。

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単一効申請の要件と期限(第3条、第9条)

■ 欧州特許が「単一効」を享受するためには、すべての参加加盟国に対して同一の請求範囲(クレーム)で授与されていなければならない。

■ 特許権者は、欧州特許公報に特許付与の公告が掲載された日から1か月以内に、EPOに対し単一効申請を行わなければならない。

■ 移行期間中は、単一効申請と同時に欧州特許の全文翻訳を提出する必要がある。

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単一的性質と法的効果(第3条、第5条)

■ 欧州単一効特許は、すべての参加加盟国において一律の保護を提供し、同一の効果を持つ。

■ この特許は、全参加加盟国一括でのみ、限定、譲渡、取消、または失効させることができる(セントラルアタックの対象となる)。

■ 特定の加盟国の領土に限定した実施権(ライセンス)の許諾は可能である。

財産権としての取り扱い(第7条)

■ 財産権としての欧州単一効特許は、原則として、特許出願時に出願人が住所または主たる営業所を有していた参加加盟国の国内特許として扱われる。

■ 参加加盟国内に住所等がない場合は、欧州特許組織(EPO)の本部がある国(ドイツ)の国内特許として扱われる。

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権利の消尽(第6条)

■ 特許権者によって、あるいはその同意を得て、EU市場に製品が投入された後は、その製品に関する行為に対して特許権を行使することはできない。ただし、さらなる商用化に反対する正当な理由がある場合はこの限りではない。

ライセンス・オブ・ライト(第8条、第11条)

■ 特許権者は、適切な対価を条件として何人にもライセンスを許諾する用意がある旨の声明(ライセンス・オブ・ライト)をEPOに行うことができる。

■ この声明が受理された後に納付期限が到来する維持年金(更新料)は減額される。

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維持管理と維持年金(第11条、第12条)

■ 特許権者は、単一効を維持するためにEPOに対し、単一の年間維持年金を支払わなければならない。

■ 維持年金および延滞金が所定の期限内に支払われない場合、特許は失効する。

政府への要件を通じた将来的影響(第12条、第16条)

■ 維持年金の具体的な水準は、中小企業の状況を考慮しつつ、イノベーションの促進や競争力向上を目的として調整される。

■ 欧州委員会は、本規則の適用制限の機能について定期的に報告し、必要に応じて改正案を提出する。これにより、将来的に権利の制限範囲や手数料体系が変更される可能性がある。

注目定義

■ 「参加加盟国」(Participating Member State)

第9条に規定される単一効の登録請求がなされた時点で、本規則に基づく強化された協力に参加している加盟国をいう。

■ 「欧州特許」(European patent)

欧州特許条約(EPC)に定められた規則および手続きに基づき、欧州特許庁(EPO)によって授与された特許をいう。

■ 「欧州単一効特許」(European patent with unitary effect)

本規則に基づき、参加加盟国内において単一的効果(単一効)を享受する欧州特許をいう。

■ 「欧州特許登録簿」(European Patent Register)

欧州特許条約(EPC)第127条に基づき、欧州特許庁(EPO)が管理・維持する登録簿をいう。

■ 「単一効特許保護登録簿」(Register for unitary patent protection)

欧州特許登録簿の一部を構成する登録簿であり、欧州単一効特許の単一効の発生、ならびにその制限、ライセンス、譲渡、取消、または失効が登録されるものをいう。

目次

第I章:一般規定

第1条:対象事項

第2条:定義

第3条:欧州単一効特許

第II章:欧州単一効特許の効果

第4条:効力発生日

第5条:一律の保護

第6条:欧州単一効特許によって付与される権利の消尽

第III章:財産権としての欧州単一効特許

第7条:欧州単一効特許の国内特許扱い

第8条:ライセンス・オブ・ライト

第IV章:制度規定

第9条:欧州特許組織の枠組みにおける行政事務

第V章:財務規定

第10条:費用の原則

第11条:維持年金(更新料)

第12条:維持年金の水準

第13条:分配

第VI章:最終規定

第14条:欧州委員会と欧州特許庁の協力体制

第15条:競争法および不正競争防止法の適用

第16条:本規則の運用状況に関する報告

第17条:参加加盟国による通知義務

第18条:効力発生および適用

基礎情報

法令(現地語)

REGULATION (EU) No 1257/2012 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 17 December 2012 implementing enhanced cooperation in the area of the creation of unitary patent protection

法令(日本語)

単一効特許保護の創設における強化された協力の実施に関する2012年12月17日付欧州議会および理事会規則No 1257/2012

公布日

2012年12月31日

作成者

株式会社先読

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