| 法令の情報時期:2004年04月 統合版 | ページ作成時期:2026年07月 |
目的
本指令は、知的財産権の行使を確実にするために必要な措置、手続、および救済策を定めることを目的としている。それにより、
■ 欧州連合(EU)全体において、知的財産権の保護に関する高い水準と均一な執行枠組みを構築し、
■ 知的財産権の侵害に対して、効果的、比例的、かつ抑止力のある救済手段を提供する。
概要
本指令は、産業財産権を含むすべての知的財産権の侵害に対する民事上の執行措置を包括的に規定している。
■ 対象事項:知的財産権の行使を確実にするために必要な措置、手続、および救済策を対象とする。ここにおける「知的財産権」という用語には、産業財産権も含まれる(第1条)。
■ 適用範囲:EU法または関係加盟国の国内法で規定されている、あらゆる知的財産権の侵害に対して適用される(第2条第1項)。
■ 他の規定との関係:権利者にとってより有利な手段がEU法や国内法に存在する場合、それらの手段を妨げるものではない。また、著作権および著作隣接権の行使や例外に関する特定のEU規定にも影響を与えない(第2条第1項、第2項)。
■ 背景・問題意識:知的財産権の侵害は内部市場の正常な機能に対する重大な脅威であり、EU全域で共通の執行基準を設けることで、イノベーションと競争力を保護する必要がある。
■ 主な要件:加盟国は、公正で衡平であり、不必要に複雑または高価でなく、かつ不当な遅延を伴わない救済手続を提供しなければならない(第3条)。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
法令全体の適用から除外となる対象は以下の通り(第2条第3項)。
■ 知的財産権に関する実体法。
■ 個人データの保護に関する指令(95/46/EC等)。
■ 電子署名や電子商取引に関する特定の指令(1999/93/EC、2000/31/EC等)。
■ 加盟国が負う国際的な義務(TRIPS協定等)。
■ 加盟国の国内法における、刑事上の手続または罰則に関する規定。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
知的財産権の権利者、および侵害の疑いを受けた事業者は、以下の要件を条項別に考慮しなければならない。
申請資格(第4条、第5条)
■ 知的財産権の保持者だけでなく、ライセンシー、知的財産権管理団体、および専門の防衛団体も、適用法で認められる範囲内で救済措置を申請できる。
■ 文学・芸術作品の著作者については、特段の反証がない限り、作品に通常の方法で氏名が表示されていれば著作者と推定され、侵害訴訟を提起する資格を持つ。
証拠の提示と保全(第6条、第7条)
■ 裁判所は、一方の当事者の申請に基づき、相手方の管理下にある証拠を提示するよう命じることができる。商業的規模の侵害の場合、銀行、財務、または商業文書の提示命令も含まれる。
■ 本案訴訟の開始前であっても、権利侵害の証拠を保全するために、商品の詳細な記録、サンプルの採取、または物理的な差し押さえといった暫定措置が命じられる可能性がある。
情報の提供義務(第8条)
■ 裁判所は、侵害品の出所や流通ネットワークに関する情報の提供を、侵害者はもちろん、商業的規模で侵害品を所持・使用している第三者に対しても命じることができる。
■ 提供すべき情報には、製造者、販売者、供給者の氏名・住所、および生産量や価格が含まれる。
暫定措置および予防措置(第9条)
■ 権利侵害を防止するため、暫定的な差止命令や、侵害が疑われる商品の差し押さえ・引き渡しが命じられる。商業的規模の侵害では、損害賠償の回収を確実にするため、銀行口座の凍結を含む動産・不動産の予防的差し押さえが命じられることもある。
是正措置と差止命令(第10条、第11条)
■ 裁判所は、権利侵害と判断された商品について、流通経路からの回収、恒久的な除去、または廃棄を命じることができる。これらの措置は、原則として侵害者側の負担で行われる。
■ 侵害の継続を禁止する差止命令が出され、不服従の場合は反復的な過料(ペナルティ・ペイメント)が科される場合がある。
損害賠償と訴訟費用(第13条、第14条)
■ 故意または過失により侵害を行った者は、権利者が被った実際の損害(逸失利益や不当利得を含む)を補填する損害賠償を支払わなければならない。
■ 原則として、勝訴した当事者が負担した妥当な訴訟費用やその他の経費は、敗訴した当事者が負担する。
政府への要件を通じた将来的影響(第17条、第18条)
■ 加盟国は、知的財産権の行使に貢献するための「行動規範(Codes of conduct)」の策定を業界団体に促すこととされている。これにより、特定の業界において推奨される自主規制ルールが強化される可能性がある。
■ 欧州委員会は本指令の適用状況を定期的に評価・報告し、必要に応じて改正案を提出する。これにより、将来的に救済措置の範囲や証拠の取扱い基準が変更される可能性がある。
目次
第I章:目的と範囲
第1条:対象事項
第2条:範囲
第II章:措置、手続および救済策
第1節:一般規定
第3条:一般的義務
第4条:措置、手続および救済策の適用を申請する資格を有する者
第5条:著作者または所有者の推定
第2節:証拠
第6条:証拠
第7条:証拠保全のための措置
第3節:情報提供権
第8条:情報提供権
第4節:暫定措置および予防措置
第9条:暫定措置および予防措置
第5節:本案判決に基づく措置
第10条:是正措置
第11条:差止命令
第12条:代替措置
第6節:損害賠償および訴訟費用
第13条:損害賠償
第14条:訴訟費用
第7節:公表措置
第15条:裁判判決の公表
第III章:加盟国による制裁
第16条:加盟国による制裁
第IV章:行動規範および行政協力
第17条:行動規範
第18条:評価
第19条:情報の交換および連絡担当者
第V章:最終規定
第20条:国内法化
第21条:発効
第22条:宛先
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 知的財産権の行使に関する2004年04月29日付欧州議会および理事会指令2004/48/EC |
| 公布日 | 2004年04月30日 |
作成者