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解説EU-給油時ガソリン蒸気回収指令

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法令の情報時期:2009年10月 ページ作成時期:2026年08月

目的

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本指令は、ガソリンスタンドにおいて大気中へ放出されるガソリン蒸気を削減することを目的とする。

■ 自動車への給油時に発生するガソリン蒸気の量を低減させ、人の健康および大気環境への有害な影響を最小限に抑えること。

■ 地上オゾンやベンゼンの発生を抑制することで、国境を越える大気汚染問題および温室効果ガスによる気候変動に対処すること。

■ EU域内におけるガソリン蒸気回収装置の統一的な最低基準を確立し、関連機器の取引を容易にすること。

概要

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本指令は、ガソリンスタンドでの自動車への給油段階(ステージII)で発生するガソリン蒸気の回収技術の導入を義務付けるものである。

■ 背景:従来は、石油ターミナルからガソリンスタンドへの貯蔵・配送段階(ステージI)におけるガソリン蒸気回収が行われてきた。しかし、自動車への給油時にもガソリン蒸気が大気中に放出されるため、さらなる環境・健康保護を目的とした対策として本指令が策定された。

■ 問題意識:ガソリン蒸気は揮発性有機化合物(VOC)であり、吸入時の健康被害だけでなく、地上オゾン形成の一因となる。さらに、バイオ燃料成分の比率を増やしたガソリンの流通拡大に伴い、蒸気圧規制の緩和によるVOC排出の増加が懸念されていた。

■ 適用対象:EU加盟国の領域内で運用される、一定規模以上のガソリンスタンド(新規・既存を問わない)。

■ 期待される効果:EU全体の均一な回収水準の確保、および加盟国間における大気質の改善。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

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■ 新車の製造・納車にのみ専用で使用されるガソリンスタンド:製造されたばかりの新しい自動車の燃料タンクには、ガソリン蒸気が含まれていない。そのため、新車の製造や納車にのみ関連して専用で使用されるガソリンスタンドについては、本指令の適用範囲外となる。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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■ ステージIIガソリン蒸気回収システムの設置義務(第3条) 事業者は、自社が運営するガソリンスタンドの状況(新規・既存、年間取扱量、周囲の環境)に応じて、ステージIIガソリン蒸気回収システムを設置しなければならない。

  • 新規のガソリンスタンド(2012年1月1日以降に建設、または個別計画許可・建設ライセンス・営業ライセンスが付与されたスタンド):
    • 年間の実際のガソリン取扱量(または想定される取扱量)が500 m3を超える場合(第3条第1項(a))。
    • 年間の実際のガソリン取扱量が100 m3を超え、かつ恒久的な居住スペースまたは作業エリアの階下(地下等)に位置する場合(第3条第1項(b))。
  • 既存のガソリンスタンド(2012年1月1日より前に建設、またはライセンス等が付与されたスタンド):
    • 大規模な改修を行う際、年間の取扱量が500 m3超、または100 m3超かつ恒久的な居住・作業スペースの階下に位置する場合は、その改修時にシステムを設置しなければならない(第3条第2項)。
    • 年間のガソリン取扱量が3,000 m3を超えるすべての既存スタンドは、改修の有無に関わらず、遅くとも2018年12月31日までにシステムを設置しなければならない(第3条第3項)。
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■ 回収システムの技術的・性能基準(第4条) 設置された回収システムは、以下の基準を満たす必要がある。

  • 捕集効率:システムのガソリン蒸気捕集効率が85 %以上でなければならない。これは、関連する欧州技術規格や型式承認手続きに基づき、製造業者によって証明されている必要がある(第4条第1項)。
  • 気液比(気体・ガソリン比):回収したガソリン蒸気をスタンドの貯蔵タンクに移送するシステムの場合、大気圧下でシステムを通過する蒸気体積と、給油されたガソリンの体積の比が、0.95以上1.05以下でなければならない(第4条第2項)。
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■ 定期検査および保守管理義務(第5条) 事業者は、導入したシステムの性能を維持するために、定期的な検査・監視を行う義務を負う。

  • 毎年の定期検査:模擬給油条件下での気液比が適合していることの確認、またはその他の適切な方法により、少なくとも毎年1回、システムの稼働中捕集効率を検査しなければならない(第5条第1項)。
  • 自動監視システム設置による検査頻度の緩和:システムに不具合を自動的に検知する自動監視システムが設置されている場合、稼働中効率の検査頻度は少なくとも3年に1回へと緩和される(第5条第2項)。
  • 自動監視システムの不具合発生時の給油自動停止:自動監視システムを導入する場合、回収システムや監視システム自体の不具合を検知して事業者に通知する機能が必要である。通知から7日以内に不具合が是正されない場合は、その計量機からのガソリン供給が自動的に停止されるシステムでなければならない(第5条第2項)。

■ 消費者への情報提示義務(第5条第3項)

システムを設置したガソリンスタンドでは、ガソリン計量機の上、またはその付近に、ガソリン蒸気回収システムが設置されていることを消費者に知らせる看板、ステッカー、またはその他の通知を分かりやすく表示しなければならない(第5条第3項)。

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■ 政府への要件を通じて将来的に事業者へ影響を及ぼすと思われる内容(第7条、第8条、第10条)

  • 基準の見直し(第7条):欧州委員会は、本指令の実施状況を定期的に評価・見直す。この見直し結果に基づき、将来的に義務化される取扱量の閾値がさらに引き下げられたり、すべてのガソリンスタンドで自動監視システムの設置が全面義務化されたりする法改正が行われ、事業者に追加の設備投資義務が生じる可能性がある。
  • 技術適合の更新(第8条):技術の進歩や欧州標準化委員会(CEN)の最新の規格に基づき、回収効率や気液比の基本数値を除く技術要件(検査方法や機器仕様など)が更新される可能性がある。事業者は最新の適合基準を満たすよう、既存の設備をアップデートしなければならなくなる可能性がある。
  • 国内法化における上乗せ要件(第10条):本指令は環境保護における「最小限の基準」を定めるものであるため、加盟国はこれより厳しい保護措置を維持または導入することができる。そのため、事業展開を行う国や地域の国内法化の状況を注視し、各国独自の厳格な規制に個別に対応する必要がある。

注目定義

■ 「ステージIIガソリン蒸気回収システム」(Stage II petrol vapour recovery system)

給油中に自動車の燃料タンクから排出されるガソリン蒸気を回収し、ガソリンスタンドの貯蔵タンクに移送するか、または再販のためにガソリン計量機に戻すための装置をいう。

■ 「ガソリン蒸気捕集効率」(petrol vapour capture efficiency)

ガソリン蒸気回収システムがない場合に大気中に放出されるはずのガソリン蒸気の量に対する、ステージIIガソリン蒸気回収システムによって回収されたガソリン蒸気の量の比率をパーセンテージで表したものをいう。

■ 「気液比」(vapour/petrol ratio)

ステージIIガソリン蒸気回収システムを通過するガソリン蒸気の大気圧下での体積と、給油されたガソリンの体積との比率をいう。

■ 「年間取扱量」(throughput)

移動式コンテナからガソリンスタンドに荷下ろしされるガソリンの年間の総量をいう。

目次

第1条:対象事項

第2条:定義

第3条:ガソリンスタンド

第4条:ガソリン蒸気回収の最低レベル

第5条:定期検査および消費者への情報提供

第6条:罰則

第7条:見直し

第8条:技術的適合

第9条:委員会手続

第10条:国内法化

第11条:発効

第12条:宛先

基礎情報

法令(現地語)

Directive 2009/126/EC of the European Parliament and of the Council of 21 October 2009 on Stage II petrol vapour recovery during refuelling of motor vehicles at service stations

法令(日本語)

ガソリンスタンドにおける自動車給油時のステージⅡガソリン蒸気回収に関する2009年10月21日付欧州議会および理事会指令2009/126/EC

公布日

2009年10月31日

作成者

株式会社先読

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