╳

解説中国-集積回路配置設計保護条例

HOME > 法令解説 > 解説|中国-集積回路配置設計保護条例
法令の情報時期:2026年07月 改訂版 ページ作成時期:2026年09月

目的

book-1283865_640

本条例は、集積回路の配置設計に関する専有権を保護し、集積回路技術の革新を奨励し、科学技術の発展を促進することを目的とする(第一条)。

あわせて、知的財産権に関する国家の戦略に基づき、配置設計の創造、運用、保護、管理およびサービスの水準を高めることを、保護業務の基本的な方向として定めている(第二条)。

また、国務院知識産権行政部門が関係機関と連携して公共サービスを強化し、配置設計の活用を促進することも、制度運営上の目的として位置づけられている(第十条)。

概要

iocenters-2673328_640

本条例は、集積回路の配置設計(半導体基板の内部または表面において、少なくとも1つが能動素子である2つ以上の素子と、その一部または全部の相互接続回路を三次元的に配置したもの)について、登記に基づく専有権を認める制度を定める。2001年に公布された旧条例を改訂したものであり、2026年10月15日から施行される。

専有権は、登記を経て初めて発生し、登記されていない配置設計は本条例の保護を受けない。保護期間は、登記申請日または世界のいずれかの地で最初に商業利用に供された日のうち、いずれか早い日から10年である。ただし、創作の完成から15年を経過した配置設計は、登記の有無にかかわらず保護されない。

今回の改訂では、光子機能や量子機能を集積した集積回路の配置設計についても、本条例により保護を受けられることが明示された(第三条)。

対象となる事業者は、集積回路の配置設計を創作し、または配置設計を含む集積回路もしくはそれを組み込んだ物品を中国国内で製造、輸入、販売その他の方法で提供する事業者である。外国の自然人等が専有権を享有するには、中国国内で最初に商業利用に供したこと、または本国と中国との間に保護に関する協定もしくは共通して加入する国際条約が存在することを要する(第四条)。

主管当局は国務院知識産権行政部門であり、登記の受理、審査、公告、非自発的許諾の決定、侵害紛争の行政処理などを担う。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

適用除外

本条例には、法令全体の適用から特定の事業者、製品、施設または行為を一律に免除する規定は置かれていない。関連する規定として、保護の対象および保護を受けられる者の範囲について次の定めがある。

■ 思想、処理過程、操作方法または数学的概念等は、本条例の保護対象とならない(第七条)。

■ 創作者自身の知的労働の成果ではない配置設計、および創作時点において配置設計の設計者と集積回路の製造者との間で通常の設計とされていた配置設計は、独創性を欠くものとして保護されない。通常の設計を組み合わせた配置設計は、その組合せが全体として独創性の要件を満たす場合に限り保護される(第六条)。

■ 外国の自然人、法人または非法人組織が創作した配置設計は、中国国内で最初に商業利用に供された場合、または創作者の属する国と中国との間に配置設計の保護に関する協定がある場合、もしくは両国が共通して国際条約に加入している場合に限り、専有権を享有できる(第四条)。

■ 世界のいずれかの地で最初に商業利用に供された日から2年以内に登記の申請がなされなかった配置設計は、その後は登記されない(第二十六条)。

なお、配置設計に対する差別的な措置を講じる国家または地域に対しては、対等の原則に基づき相応の措置を採ることができるとされている(第五十三条)。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
sa_12

専有権の発生と保護期間

専有権は登記によって発生し、登記されていない配置設計は保護を受けない(第十二条)。登記の申請は、世界のいずれかの地で最初に商業利用に供された日から2年以内に行わなければならず、この期間を過ぎると以後は登記されない(第二十六条)。この2年の期間は権利の回復の対象外である(第三十三条)。

保護期間は、登記申請日または世界のいずれかの地で最初に商業利用に供された日のうち、いずれか早い日から10年である。ただし、創作の完成から15年を経過した配置設計は保護されない(第十七条)。

zireituika

専有権の内容

権利人は、次の行為について専有権を有する(第十一条)。

■ 保護される配置設計の全部または独創性を有する部分を複製すること。

■ 保護される配置設計、当該配置設計を含む集積回路、または当該集積回路を組み込んだ物品を商業利用すること。

複製とは配置設計または当該配置設計を含む集積回路を反復して製造することをいい、商業利用とは商業目的でこれらを輸入し、販売し、またはその他の方法で提供する行為をいう(第三条)。保護の範囲は登記された複製物または図面により定まる(第三十四条)。

1024-mtg

権利の帰属と承継

専有権は創作者に帰属し、法人または非法人組織の主導により、その意思に基づき、かつその責任において創作された場合は当該法人等が創作者となる(第十三条)。

■ 共同創作の場合、帰属は当事者の合意により、合意がないときは共同で享有する(第十四条)。

■ 委託創作の場合、帰属は委託者と受託者の合意により、合意がないときは受託者が享有する(第十五条)。

■ 法人等が創作者となる場合、科学技術成果の転化に関する法令等の規定に従い、要件を満たす者に対し合理的な奨励および報酬を与えなければならない(第十六条)。

■ 共有の場合、共有者間の約定があればそれに従い、約定がないときは各共有者が単独で実施し、または通常実施の許諾により他人に実施させることができる。それ以外の許諾には共有者全員の同意を要する(第三十六条)。

権利人の死亡または法人等の変更・終了の場合、専有権は相続人または権利義務の承継者が引き継ぎ、承継する者がない場合は保護が終了する(第十八条)。

1024x740-survey

登記の申請手続

申請は自ら行うほか特許代理機構に委託できるが、中国国内に住所または営業所を有しない外国の自然人、法人または非法人組織は委託が必須である。代理機構は未公開の内容について秘密保持義務を負う(第五条)。申請にあたっては次を提出する(第二十二条)。

■ 登記申請書

■ 配置設計の複製物または図面

■ 独創性の声明

■ 行政部門が定めるその他の書類

■ 既に商業利用に供されている場合は、当該配置設計を含む集積回路の見本

複製物または図面は必要な情報を含み、独創性を有する部分を明確に示すものでなければならない(第二十三条)。独創性の声明では、設計の分野、要点および機能を示す(第二十四条)。申請は真実の創作活動に基づき行わなければならず、虚偽の記載は禁止される(第二十条)。申請日は書類の受領日(郵送の場合は差出の消印日)とする(第二十五条)。国家の安全または重大な利益に関わる申請は秘密として取り扱われる(第二十一条)。

sa_12

審査、複審、登記の取消し

要件に適合しないことが明らかな場合、行政部門は指定期間内の意見陳述または補正を求める。応答しないときは取下げとみなされ、応答後もなお適合しない場合は拒絶される(第二十七条)。拒絶の理由がない場合は登記証明書を交付し公告する(第二十八条)。拒絶の決定に不服がある場合、受領日から3か月以内に複審を請求でき、なお不服があれば人民法院に提訴できる(第二十九条)。

何人も登記の取消しを請求でき、行政部門は審査して決定し、通知および公告を行う。取消しの事由は、第三条、第四条、第六条、第七条、第十七条、第二十条、第二十三条、第二十四条および第二十六条に適合しない場合に限られる(第三十条)。取り消された場合、専有権は初めから存在しなかったものとみなされる(第三十一条)。不可抗力により期限を徒過した場合は障害の消滅後2か月以内かつ期限満了後2年以内に、その他の正当な理由による場合は通知の受領後2か月以内に権利の回復を請求できる(複審請求の期限は当該期限の満了後2か月以内)。ただし第十七条および第二十六条の期間は対象外である(第三十三条)。

zireituika

譲渡、実施許諾、質権設定(第三十五条)

■ 譲渡する場合、書面による契約を締結し、行政部門に登記しなければならない。譲渡は登記の日から効力を生じる。

■ 他人に実施を許諾する場合、書面による契約を締結し、契約の効力発生日から3か月以内に届け出なければならない。

■ 質権を設定する場合、質権設定者と質権者は共同で登記を申請しなければならない。

1024-mtg

権利者の許諾を要しない行為

次の行為は、権利人の許諾および報酬を要しない(第三十七条)。

■ 個人の目的、または評価、分析、研究もしくは教学の目的で複製すること。

■ 前号の評価、分析等に基づき独創性を有する配置設計を創作すること。

■ 自ら独立して創作した同一の配置設計について、複製し、または商業利用すること。

また、権利人またはその許諾を受けた者が市場に投入した配置設計、集積回路または物品については、その後の利用に許諾および報酬を要しない(第三十八条)。

1024x740-survey

非自発的許諾

国家の緊急事態もしくは非常事態、公共の利益のために必要な場合、または独占禁止法上の独占行為と認定された場合、行政部門は権利人の許諾によらない実施の許諾を与えることができる。当該実施は主として公益的・非商業的な目的の範囲に限られ、実施者は合理的な使用料を支払わなければならず、協議が調わない場合は行政部門が裁決する(第三十九条から第四十二条まで)。この決定または裁決に不服がある場合、権利人および許諾を受けた者は人民法院に提訴できる(第四十三条)。

sa_12

侵害と法的責任

権利人の許諾を得ずに保護される配置設計を複製し、または商業利用した場合、侵害の停止義務および損害賠償責任を負う(第四十四条)。権利人は人民法院に提訴し、または行政部門に処理を請求でき、行政部門は侵害を認定したときは停止を命じ、侵害に係る製品等の没収・廃棄を行うことができる(第四十五条)。

損害賠償額は、権利人の損失または侵害者が得た利益に基づき算定し、困難な場合は実施許諾料の倍数を参考に定める。故意による侵害で情状が重い場合はその額の1倍以上5倍以下の範囲で定めることができ、賠償額には侵害を制止するための合理的な費用が含まれる(第四十六条)。法定賠償額の上限・下限の定めは置かれていない。

配置設計が違法に複製されたものであることを知らず、知るべき合理的な理由もなく当該集積回路または物品を商業利用した場合は侵害とならない。ただし、その旨の通知を受けた後は、在庫または注文済みの製品について合理的な使用料を支払うことで継続して商業利用できる(第四十七条)。

特許代理機構が秘密保持義務に違反して未公開の内容を漏洩した場合は、特許代理に関する条例により処罰される(第四十八条)。

zireituika

その他の手続事項

■ 登記の公告後、公衆は登記簿の閲覧および謄本の請求ができ、紙媒体の複製物・図面を閲覧できる。電子媒体の閲覧は訴訟や行政手続等の公務上の目的に限られる(第五十条)。

■ 登記の申請および関連する手続には、所定の費用の納付を要する(第五十一条)。

■ 期間は初日を算入せず翌日から起算し、月で計算する期間は末月の応当日に満了する。満了日が休日の場合は翌営業日に満了する(第五十二条)。

■ 権利の行使は誠実信用の原則に従わなければならず、権利の濫用は禁止される。濫用が独占行為に該当する場合は独占禁止法が適用される(第九条)。

■ 本条例は2026年10月15日から施行される(第五十四条)。

なお、施行日をまたぐ既存の登記や係属中の申請の取扱いに関する経過措置の規定は置かれておらず、この点は曖昧な部分が残っていると考えられる。

注目定義

<対象>

■ 「集積回路」

半導体材料を基板とし、少なくとも1つが能動素子である2つ以上の素子と、その一部または全部の相互接続回路を、基板の内部または表面に集積した中間製品または最終製品をいう(第三条第一号)。光子機能や量子機能を集積した集積回路の配置設計についても、本条例により保護を受けることができる(第三条)。

<対象>

■ 「配置設計」

集積回路において、少なくとも1つが能動素子である2つ以上の素子と、その一部または全部の相互接続回路の三次元的な配置、または集積回路の製造のために準備された当該三次元的な配置をいう(第三条第二号)。

<対象>

■ (商業利用)

商業目的で、保護される配置設計、当該配置設計を含む集積回路、または当該集積回路を組み込んだ物品を、輸入し、販売し、またはその他の方法で提供する行為をいう(第三条第五号)。

目次

※各条項のタイトルは内容に基づき当社で仮設定

第一章 総則

第一条 立法目的

第二条 保護業務の基本方針

第三条 用語の定義

第四条 保護を受ける者の要件

第五条 申請の代理および代理機構の秘密保持義務

第六条 独創性の要件

第七条 保護の対象とならない事項

第八条 主管する行政部門

第九条 誠実信用の原則および権利濫用の禁止

第十条 公共サービスの提供

第二章 配置設計専有権

第十一条 専有権の内容

第十二条 登記による専有権の発生

第十三条 専有権の帰属

第十四条 共同創作の場合の帰属

第十五条 委託創作の場合の帰属

第十六条 創作者に対する報酬

第十七条 保護期間

第十八条 専有権の承継

第三章 配置設計の登記

第十九条 登記を受理する行政部門

第二十条 申請の真実性および虚偽記載の禁止

第二十一条 秘密として取り扱う申請

第二十二条 申請に必要な書類

第二十三条 複製物および図面の要件

第二十四条 独創性の声明の要件

第二十五条 申請日

第二十六条 登記申請の期限

第二十七条 審査、意見陳述および補正

第二十八条 登記証明書の交付および公告

第二十九条 複審の請求および提訴

第三十条 登記の取消し

第三十一条 取消しの効果

第三十二条 行政部門職員の秘密保持義務

第三十三条 期限を徒過した場合の権利の回復

第四章 配置設計専有権の行使

第三十四条 保護範囲の解釈

第三十五条 譲渡、実施許諾および質権設定の手続

第三十六条 共有の場合の権利行使

第三十七条 許諾および報酬を要しない行為

第三十八条 市場に投入された製品の利用

第三十九条から第四十二条まで 非自発的許諾の要件、手続および使用料

第四十三条 非自発的許諾に関する提訴

第五章 法律責任

第四十四条 侵害行為および責任

第四十五条 紛争の解決および行政による処理

第四十六条 損害賠償額の算定

第四十七条 善意の商業利用者の取扱い

第四十八条 代理機構の秘密保持義務違反に対する処罰

第四十九条 国家機関職員の責任

第六章 附則

第五十条 登記簿および複製物・図面の閲覧

第五十一条 費用の納付

第五十二条 期間の計算

第五十三条 差別的措置に対する対抗措置

第五十四条 施行期日

基礎情報

法令(現地語)

集成电路布图设计保护条例

法令(日本語)

集積回路配置設計保護条例

公布日

2026年07月23日

所管当局

国務院知識産権行政部門

作成者

株式会社先読

この続きは先読会員になるとお読みいただけます。

ログインして続きを読む
Page Top