| 法令の情報時期:2026年07月 公布 | ページ作成時期:2026年09月 |
目的
本弁法は、大気の質を継続的に改善し、揮発性有機物の排出を削減するとともに、グリーン税制を整備し、生態文明建設を推進することを目的として、環境保護税法その他の生態環境に関する法令の規定に基づき制定されたものである(第一条)。
あわせて、環境保護税法に附属する「課税汚染物および当量値表」に規定されていない揮発性有機物について、新たに環境保護税の課税対象とする枠組みを設け、「試行を先行させ、段階的に実施し、着実に推進する」という原則の下で、対象業種を限定した試行から順次適用範囲を広げる道筋を定めている(第二条、第四条)。
概要
本弁法は、中国財政部、国家税務総局および中国生態環境部が2026年07月08日付で国務院の同意を得て公布した通知(財税〔2026〕50号)により各省・自治区・直轄市人民政府へ発出されたもので、2027年01月01日から施行される(第二十四条)。
これまで環境保護税は、環境保護税法に附属する「課税汚染物および当量値表」に列挙された汚染物質を対象としてきた。本弁法は、この表に規定されていない揮発性有機物を、大気汚染物質の一類として単独で課税対象とするものである。揮発性有機物は全体として一つのまとまりとして扱われ、環境保護税法第九条第1項が定める課税の順位は適用されない(第五条)。
納税義務者は、中国の領域および中国が管轄するその他の海域において、当該表に規定されていない揮発性有機物を直接環境へ排出する企業・事業単位その他の生産経営者である(第二条)。ただし、排汚許可(排出許可)の管理対象でない者、および排汚許可の管理対象であっても排汚許可証に揮発性有機物の排出が明示されていない者に対しては、当面課税されない(第三条)。
試行の第一陣として課税対象となる業種は、印刷業、石油・石炭その他燃料加工業、化学原料・化学製品製造業、医薬品製造業、製鉄・製鋼業、汎用設備製造業、専用設備製造業、自動車製造業の8業種であり、国民経済業種分類に基づき判定される。試行の状況を踏まえ、揮発性有機物の管理・規制に関わるその他の業種も適時に試行の範囲へ全面的に組み入れられる(第四条)。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
本弁法において、法令全体の適用から外れる(当面課税されない)事業者は次のとおりである。
■ 排汚許可の管理対象でない企業・事業単位その他の生産経営者(第三条第1号)
■ 排汚許可の管理対象に組み入れられているが、排汚許可証において揮発性有機物を排出する旨が明示されていない企業・事業単位その他の生産経営者(第三条第2号)
このほか、課税の対象は試行の第一陣として指定された8業種に限定されており、これに該当しない業種は現時点では試行の範囲外である(第四条)。ただし、これは恒久的な適用除外ではなく、試行状況を踏まえて対象業種が拡大されることが明記されている点に留意が必要である。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
納税義務者となる範囲(第二条、第三条、第四条)
中国の領域および中国が管轄するその他の海域において、環境保護税法附属の「課税汚染物および当量値表」に規定されていない揮発性有機物を直接環境へ排出する企業・事業単位その他の生産経営者が納税義務者となり、本弁法に従って揮発性有機物環境保護税を納付しなければならない。ただし、排汚許可の管理対象でない者、および排汚許可証に揮発性有機物の排出が明示されていない者には当面課税されない。試行の第一陣の対象業種は前記の8業種である。
税額の水準と適用税額の決定(第六条、第七条)
揮発性有機物環境保護税の税額の幅は、汚染当量1単位当たり8元から12元までである。具体的な適用税額は、省・自治区・直轄市の人民政府が、当該地域の大気環境の受容能力、揮発性有機物の排出の現状、経済社会および生態の発展目標の要求を総合的に考慮して、この幅の範囲内で決定する。納付すべき税額は、汚染当量数に具体的な適用税額を乗じて算出する。したがって、事業者は自らの排出地が属する省級行政区の適用税額を確認する必要がある。
汚染当量数および課税排出量の算定(第八条、第九条)
汚染当量数は、揮発性有機物の課税排出量を汚染当量値で除して算出する。揮発性有機物の汚染当量値は0.95キログラムである。
揮発性有機物の排出量は、本弁法に附属する「揮発性有機物排出源項リスト」に規定された各排出源項の排出量の合計として確定する。課税排出量は、この排出量から同一期間におけるベンゼン、トルエン、キシレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、メタノール、フェノール類、アニリン類、クロロベンゼン類、ニトロベンゼン、アクリロニトリル、塩化ビニル、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、スチレンの18種の揮発性有機物の単項物質の排出量を控除した残額である。この18種の単項物質の排出量は、環境保護税法第十条の規定により計算して確定する。
排出量の計算方法(第十条)
排出量は、排出源項の区分に応じて次の方法で計算する。
■ 揮発性有機物を含む原材料・補助材料の使用に係る排出源項 物質収支法により計算する
■ 設備の動的・静的シール点に係る排出源項 モニタリング法または産出・排出汚染係数法により計算する
■ その他の排出源項 産出・排出汚染係数法により計算する
各排出源項の排出量の具体的な計算方法は、中国生態環境部が中国財政部および国家税務総局と共同で定めることとされており、本弁法の本文には細目が示されていない。
減税措置(第十一条)
生態環境主管部門が評定する国家重点業種の大気環境パフォーマンスの等級に応じ、次の減税が適用される。
■ A級と評定された納税者 納付すべき税額の50パーセントに減じて徴収する
■ B級と評定された納税者 納付すべき税額の75パーセントに減じて徴収する
ただし、第十七条に定める事由(排出源項の少なめの申告、データの改ざん・偽造等)がある納税者は、当期においてこの減税を享受できない。また、本弁法により計算・納付する揮発性有機物環境保護税については、排出濃度値に基づく税の優遇は適用されない。
納税義務の発生時期、申告先および申告・納付の期限(第十三条、第十四条、第十五条)
納税義務の発生時期は、納税者が揮発性有機物を排出した当日である。納税者は、揮発性有機物の排出地の税務機関に対して申告・納付を行わなければならない。
申告・納付は四半期ごとに計算して行う。ただし、設備の動的・静的シール点に係る排出源項については年ごとの申告・納付とすることができる。四半期ごとに申告・納付する場合は当該四半期の終了日から15日以内に、年ごとに申告・納付する場合は翌年の第1四半期の終了日から15日以内に、税務機関において納税申告を行い、税額を納付しなければならない。
申告内容の真実性(第十六条)
納税者は、揮発性有機物の排出源項、排出量および税務機関が納税者に提出を求めるその他の納税資料について、事実に即して税務機関に申告しなければならない。
少なめの申告・改ざん等があった場合の排出量の算定(第十七条)
納税者に次のいずれかの事由がある場合、当期の排出量は通常の方法によらず、本条の定めにより計算される。
■ 排出源項を少なく申告した場合
■ 単一の排出源項について少なく申告した揮発性有機物排出量の割合が40パーセントを超える場合
■ 課税排出量の計算に関わるモニタリングデータ、原材料・補助材料の揮発性有機物含有量等の検査データ、漏えい検知・修復のデータを改ざんし、または偽造した場合
この場合、揮発性有機物を含む原材料・補助材料の使用、生産工程、廃水の集約・処理過程での逸散、揮発性有機液体の貯蔵、揮発性有機液体の積込みの各排出源項については、当期の当該排出源項における揮発性有機物の発生量を排出量とする。また、設備の動的・静的シール点、開放式循環水、フレアの各排出源項については、産出・排出汚染係数法による計算結果の1.5倍を当期の排出量とする。
さらに、納税者がモニタリングデータの改ざん・偽造等の方法により、第九条に定める18種の単項物質の排出量について虚偽の控除を行った場合は、当該違法行為が認定された日から最初に得られた真実かつ有効なモニタリングデータの0.5倍により虚偽控除期間の排出量を計算し、その額を控除する。
行政側の情報連携と是正(第十八条、第十九条、第二十条、第二十一条)
税務機関と生態環境主管部門は、揮発性有機物に関する税務関連情報を適時に共有し、合同での監督・法執行を行い、脱税や虚偽申告等の違法行為を取り締まることとされ、典型的な事例は適時に公表される。両部門は納税者に対し、無償で指導、研修および相談のサービスを提供する。
生態環境主管部門は、納税者の排汚許可、排出源項、大気環境パフォーマンスの等級、生態環境に係る行政処罰等の情報を定期的に税務機関へ提供する。税務機関は、納税者の納税申告、減免税額およびリスクの疑いのある点等の情報を定期的に生態環境主管部門へ提供する。
生態環境主管部門は、納税者の排出源項の基本状況、処理設備の稼働状況、原材料・補助材料の使用状況、産出・排出汚染係数または物質収支の計算式の適用等に問題があり、納付税額の計算誤りを招くおそれがあると認めた場合、発見した日から30日以内に税務機関へ通知する。税務機関は、納税申告のデータ・資料に異常があるとき、または排出量の計算に関わる情報を正確に認定できないときは、生態環境主管部門に再確認を求めることができ、同部門は資料を受領した日から30日以内に意見を出す。税務機関はその結果に基づき納付税額を調整する。事業者にとっては、申告後であっても排出量の算定が事後的に是正されうることを意味する。
法的責任(第二十二条)
納税者が本弁法の規定に違反した場合は、税金徴収管理法および生態環境に関する法令の規定により法的責任が追及される。
試行期間中の政策(第二十三条)
試行期間に関わる政策は、中国財政部が国家税務総局、中国生態環境部等の部門と共同で検討して定めるとされている。事業者の対応に必要な細目のうち、排出量の具体的計算方法(第十条)を含め、なお確定していない部分が残っていると考えられる。
注目定義
<対象>
■ 「揮発性有機物」
| 大気中の光化学反応に関与する有機化合物、または国の関係規定により確定される有機化合物をいう。揮発性有機物は全体として大気汚染物質の一類として単独で環境保護税が課される(第五条)。 |
<対象>
■ 「揮発性有機物を含む原材料・補助材料」
| 揮発性有機物の質量割合が10パーセント以上の物料をいい、主に塗料、インキ、接着剤、洗浄剤、希釈剤、湿し水、光沢油、仕上げ剤、コーティング剤等が含まれる(添付の一)。 |
<対象>
■ 「揮発性有機液体」
| 揮発性有機物の質量割合が10パーセント以上の有機液体をいう(添付の四)。 |
目次
※各条項のタイトルは内容に基づき当社で仮設定
第一条 目的および根拠
第二条 納税義務者
第三条 当面課税しない事業者
第四条 試行の推進原則と第一陣の対象業種
第五条 揮発性有機物の定義および課税順位の不適用
第六条 税額の幅と具体的適用税額の決定
第七条 納付すべき税額の計算
第八条 汚染当量数および汚染当量値
第九条 排出量および課税排出量の確定
第十条 排出量の計算方法
第十一条 大気環境パフォーマンスの等級に応じた減税
第十二条 徴収管理および排出管理の所管
第十三条 納税義務の発生時期
第十四条 申告先の税務機関
第十五条 申告・納付の周期および期限
第十六条 事実に即した申告の義務
第十七条 少なめの申告・改ざん等があった場合の排出量の算定
第十八条 部門間の協同および納税者への支援
第十九条 生態環境主管部門から税務機関への情報提供
第二十条 税務機関から生態環境主管部門への情報提供
第二十一条 問題の通知および再確認の手続
第二十二条 法的責任
第二十三条 試行期間に関わる政策の決定
第二十四条 施行期日
添付 揮発性有機物排出源項リスト
■ 一 揮発性有機物を含む原材料・補助材料の使用に係る排出源項
■ 二 生産工程に係る排出源項
■ 三 廃水の集約・輸送・貯留・処理における逸散に係る排出源項
■ 四 揮発性有機液体の貯蔵に係る排出源項
■ 五 揮発性有機液体の積込みに係る排出源項
■ 六 設備の動的・静的シール点に係る排出源項
■ 七 開放式循環水に係る排出源項
■ 八 フレアに係る排出源項
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 揮発性有機物環境保護税徴収試行実施弁法 |
| 公布日 | 2026年07月08日(財税〔2026〕50号として、中国財政部、国家税務総局および中国生態環境部が公布) |
| 所管当局 | 中国財政部、国家税務総局、中国生態環境部(徴収管理は税務機関、排出管理は生態環境主管部門が担当する) |
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