╳

解説EU-食品中アクリルアミド規則

HOME > 法令解説 > 解説|EU-食品中アクリルアミド規則
法令の情報時期:2017年11月 公布 ページ作成時期:2026年09月

目的

book-1283865_640

本規則は、食品中のアクリルアミドの存在を低減するための低減措置および基準レベルを定めるものである。その目的は次のとおり整理できる。

■ 原材料にアクリルアミドの前駆物質が含まれる食品について、適切な低減措置を定めることにより食品安全を確保し、アクリルアミドの存在を低減すること(前文(6))。

■ 低減措置の効果を検証するための性能指標として基準レベルを定め、事業者が合理的に達成可能な限り低い水準を目指すようにすること(第1条1項、第3条(2)、前文(7)、(10))。

■ アクリルアミドの発がん性に関する欧州食品安全機関(EFSA)の結論を踏まえ、食品事業者が適用すべき一貫した義務的な措置を設けること(前文(5)、(6))。

■ アクリルアミドの生成が起こりやすい食品加工工程を特定し、当該食品中のアクリルアミド濃度を低減するための活動を定めること(前文(8))。

概要

iocenters-2673328_640

アクリルアミドは低分子量で水溶性の高い有機化合物であり、一定の食品において、通常120°Cを超える温度かつ低水分の条件で調製される際に、天然に存在する成分であるアスパラギンと糖から生成される。主に、穀物、ばれいしょ、コーヒー豆など前駆物質を含む原材料を用いた、焼成または油ちょうされた炭水化物に富む食品において生成される(前文(3))。アクリルアミドは規則(EEC) No 315/93に定義される汚染物質であり、フードチェーンにおける化学的ハザードに当たる(前文(2))。EFSAの食品連鎖汚染物質パネル(CONTAM)は2015年の意見書において、動物試験に基づき、食品中のアクリルアミドが全年齢層の消費者においてがん発生リスクを高める可能性があることを確認し、体重あたりでは小児が最も暴露の大きい年齢層であるとした(前文(5))。

本規則は、規則(EC) No 852/2004第4条4項に基づき採択されたものであり、第1条2項に列挙された食品を製造し市場投入する食品事業者に対し、附属書IおよびIIに定める低減措置を適用し、附属書IVに定める基準レベルを下回る合理的に達成可能な限り低いアクリルアミド濃度の達成を目指すことを求めている(第1条1項)。

基準レベルは最大限度値ではなく、低減措置の効果を検証するために用いられる性能指標であり、広範な食品分類についての経験および発生状況に基づいて設定される(第3条(2)、前文(10))。適用される措置は事業者の形態に応じて異なり、小売活動を行う事業者等には附属書IIパートAが、そのうちより大規模で相互に結合した事業の一部またはフランチャイズとして中央供給を受けるものには附属書IIパートBの追加措置が適用される(第2条2項、3項、前文(12))。低減措置の効果は抽出検査および分析により検証される(第4条、前文(13))。基準レベルは欧州委員会により3年ごとに見直される(第5条)。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

適用除外

法令全体の適用に関する除外および免除は次のとおりである。

■ 本規則の義務は、第1条2項に列挙された食品を製造し市場投入する食品事業者に課される。したがって、当該列挙に該当しない食品のみを取り扱う事業者は本規則の対象とならない(第1条1項、2項)。

■ 小売活動を行い、かつ/または地域の小売施設のみに直接供給する食品事業者は、第2条1項(附属書Iの低減措置)の適用から除外され、代わりに附属書IIパートAの低減措置を適用する(第2条2項)。

■ 上記の事業者は、第4条に定める抽出検査および分析等の義務の適用を免除される。ただし、附属書IIパートAの低減措置を適用していることの証拠を提示できなければならない(第4条6項)。

■ なお、本規則は食品分野におけるEU法の適用される規定を妨げるものではない(第1条1項)。

猶予に関する定めとして、次のものがある。

■ 低減措置の実施は事業者の現行の生産工程の変更を伴いうることから、移行期間が設けられている。本規則はEU官報に掲載された日の翌日から20日目に発効し、2018年04月11日から適用される(第6条、前文(16))。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
sa_12

適用範囲と対象食品(第1条)

■ 第1条2項に列挙された食品を製造し市場投入する食品事業者は、第2条に従って附属書IおよびIIの低減措置を適用し、附属書IVの基準レベルを下回る合理的に達成可能な限り低いアクリルアミド濃度の達成を目指さなければならない(第1条1項)。

■ 対象食品は次の8分類である(第1条2項)。生鮮ばれいしょから製造されるフライドポテト、その他のカットされた(油ちょうされた)製品およびスライスされたポテトチップス/ばれいしょ生地から製造されるポテトチップス、スナック、クラッカーおよびその他のばれいしょ製品/パン/朝食用シリアル(ポリッジを除く)/精製ベーカリー製品(クッキー、ビスケット、ラスク、シリアルバー、スコーン、コルネ、ウエハース、クランペットおよびジンジャーブレッド、ならびにクラッカー、クリスプブレッドおよびパン代替品。本分類においてクラッカーとは穀粉を主原料とする焼成製品であるドライビスケットを指す)/コーヒー(焙煎コーヒーおよびインスタント(可溶性)コーヒー)/コーヒー代替品/規則(EU) No 609/2013に定義されるベビーフードおよび乳幼児向け加工穀物ベース食品。

zireituika

低減措置の適用(第2条)

■ 対象食品を製造し市場投入する食品事業者は、附属書Iに定める低減措置を適用する(第2条1項)。

■ 対象食品を製造する事業者のうち、小売活動を行い、かつ/または地域の小売施設のみに直接供給するものは、第2条1項の例外として、附属書IIパートAに定める低減措置を適用する(第2条2項)。

■ 第2条2項の事業者のうち、直接の管理下にある施設で操業し、単一の商標または営業許可のもとで、より大規模で相互に結合した事業の一部またはフランチャイズとして、対象食品を中央供給する食品事業者の指示のもとで操業するものは、附属書IIパートBに定める追加的な低減措置も適用しなければならない(第2条3項)。

■ 基準レベルを超えた場合、食品事業者は適用している低減措置を見直し、附属書IVの基準レベルを下回る合理的に達成可能な限り低いアクリルアミド濃度の達成を目的として、工程および管理を調整しなければならない。その際、食品の安全性、固有の生産条件・地理的条件または製品特性を考慮する(第2条4項)。

1024-mtg

抽出検査、分析および記録(第4条)

■ 第2条1項の事業者は、対象食品中のアクリルアミド濃度に関する自主的な抽出検査および分析のプログラムを策定しなければならない(第4条1項)。

■ 第2条1項の事業者は、適用した附属書Iの低減措置の記録を保持しなければならない(第4条2項)。

■ 第2条3項の事業者は、適用した附属書IIパートAおよびパートBの低減措置の記録を保持しなければならない(第4条3項)。

■ 第2条1項および3項の事業者は、附属書IIIに定める要件に従って抽出検査および分析を実施し、食品中のアクリルアミド濃度を測定し、その結果を記録しなければならない(第4条4項)。

■ 抽出検査および分析の結果が、附属書IVに定める基準レベルを下回っていないことを示す場合、第2条1項および3項の事業者は遅滞なく第2条4項に従って低減措置を見直さなければならない(第4条5項)。

■ 第2条2項の事業者には第4条は適用されないが、附属書IIパートAの低減措置を適用していることの証拠を提示できなければならない(第4条6項)。

1024x740-survey

附属書IVの基準レベル(単位:μg/kg)

■ フライドポテト(そのまま食べられる状態のもの)500。

■ ポテトチップスおよびばれいしょ生地由来のクラッカー等のばれいしょ製品750。

■ ソフトブレッド:小麦ベースのもの50、小麦ベース以外のもの100。

■ 朝食用シリアル:ふすま製品、全粒穀物製品およびパフ化穀物(gun puffed grain)300、小麦およびライ麦ベースの製品300、とうもろこし、オート麦、スペルト小麦、大麦および米ベースの製品150。

■ 精製ベーカリー製品:ビスケットおよびウエハース350、ばれいしょベース以外のクラッカー400、クリスプブレッド350、ジンジャーブレッド800、同分類のその他の製品に類似する製品300。

■ コーヒー:焙煎コーヒー400、インスタント(可溶性)コーヒー850。

■ コーヒー代替品:穀物のみから製造されるもの500、チコリのみから製造されるもの4,000。穀物とチコリの混合物から製造されるものは、最終製品中のこれらの原材料の相対的な割合を考慮して設定される。

■ ベビーフードおよび乳幼児向け加工穀物ベース食品(ビスケットおよびラスクを除く)40、乳幼児向けビスケットおよびラスク150。

sa_12

基準レベルの見直しとデータ提供(第5条)

■ 附属書IVの基準レベルは、欧州委員会により3年ごとに見直される。見直しは、見直し期間に係るアクリルアミドの発生データに基づいて行われ、当該データは所轄当局および食品事業者がEFSAのデータベースに提供する(第5条)。事業者は、基準レベルが継続的に引き下げられる方向で見直されることを前提とした対応が求められる(前文(11))。

zireituika

公的管理および基準レベルを達成できない場合の対応

■ 事業者による抽出検査および分析に加え、加盟国は飼料・食品法への適合を確保するための公的管理を定期的に実施する(前文(14))。

■ 指定された食品分類は広範であり、当該分類内の特定の食品については、すべての低減措置を適用してもなお、固有の生産条件、地理的条件、季節的条件または製品特性により基準レベルを達成できない場合があると認められている。その場合、食品事業者は関連する低減措置を適用したことの証拠を示せるようにしておく必要がある(前文(10))。

■ 低減措置に食品添加物その他の物質の使用が含まれる場合、それらはその使用に係る認可に従って使用しなければならない(前文(9))。

注目定義

<対象>

■ 「基準レベル」(benchmark levels)

低減措置の効果を検証するために用いられる性能指標であり、広範な食品分類についての経験および発生状況に基づくものをいう(第3条(2))。最大限度値ではなく、これを超えた場合には低減措置の見直しと工程・管理の調整が求められる(第2条4項、第4条5項)。
本規則における「食品」「食品事業者」「小売」「市場投入」および「最終消費者」の定義は、規則(EC) No 178/2002第2条および第3条に定める定義によるものとされている(第3条(1))。

目次

第1条 適用範囲

第2条 低減措置

第3条 定義

第4条 抽出検査および分析

第5条 アクリルアミド濃度の見直し

第6条 発効および適用

附属書I 第2条1項に規定する低減措置

附属書II パートA:第2条2項に規定する食品事業者が適用すべき低減措置/パートB:第2条3項に規定する食品事業者が適用すべき低減措置

附属書III 第4条に規定するモニタリングのための抽出検査および分析の要件

附属書IV 第1条1項に規定する基準レベル

基礎情報

法令(現地語)

Commission Regulation (EU) 2017/2158 of 20 November 2017 establishing mitigation measures and benchmark levels for the reduction of the presence of acrylamide in food

法令(日本語)

食品中のアクリルアミドの存在の低減のための低減措置および基準レベルを定める2017年11月20日の欧州委員会規則(EU) 2017/2158

公布日

2017年11月21日(EU官報 OJ L 304, 2017年11月21日, p.24 に掲載。採択日は2017年11月20日)

所管当局

欧州委員会。本規則は植物・動物・食品・飼料常設委員会の意見に従って採択された(前文(17))。適合を確保するための公的管理は各加盟国が実施する(前文(14))。

作成者

株式会社先読

この続きは先読会員になるとお読みいただけます。

ログインして続きを読む
Page Top