| 法令の情報時期:2026年07月 統合版 | ページ作成時期:2026年09月 |
目的
本規則の目的は、人の健康及び環境の高い水準の保護と、物質、混合物及び第4条8項に規定する成形品の自由な移動を確保することである(第1条1項)。その手段として、本規則は次の事項を定める。
■ 物質及び混合物の分類基準と、危険な物質及び混合物の表示及び包装に関する規程を調和させること
■ 上市する物質・混合物を分類する義務を製造者、輸入者及び川下ユーザーに、上市する物質・混合物を表示し包装する義務を供給者に、上市しない物質のうちREACH規則に基づく登録又は届出の対象となるものを分類する義務を製造者、成形品の生産者及び輸入者に課すこと
■ 物質の製造者及び輸入者に対し、REACH規則の登録として提出していない分類及びラベル要素をECHAへ届出する義務を課すこと
■ 附属書VI第3部において、EUレベルで調和された分類及びラベル要素を伴う物質の一覧を作成し、あわせて物質の分類・表示目録を整備すること
概要
本規則は、物質及び混合物の危険性の分類基準、ラベルの記載事項及び包装の要件をEU全域で統一的に定める規則である。第53条では、化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)の進展を考慮した技術的・科学的進歩への適応が規定されている。
適用対象となる事業者は、EU域内に設立された製造者、輸入者、川下ユーザー及び流通業者であり、これらを総称して供給者という(第2条26号)。対象となる物品は物質及び混合物であり、附属書I第2.1節に規定する成形品(爆発物)も物質及び混合物の規程に従って分類、表示及び包装される(第4条8項)。
事業者の主な義務は、上市前の分類(第4条1項)、危険と分類された場合の表示及び包装(第4条4項)、新たな科学的・技術的情報を踏まえた分類の見直し(第15条)、ECHAへの分類・表示の届出(第40条)、分類・表示に用いた情報の保持(第49条)である。物質又は混合物は、本規則に適合しない限り上市してはならず、また、EU域内に設立された供給者が本規則上の要件を満たし、かつその供給者がラベル上で特定されない限り上市してはならない(第4条10項、11項)。
本統合版は2026年07月01日時点の内容を反映したものであり、物理的ラベルに加えてデジタルラベルを用いることを認める規程(第34a条、第34b条)が含まれている。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
本規則の適用範囲から除外される対象は次のとおりである。
■ 指令96/29/Euratomの適用範囲に含まれる放射性物質及び放射性混合物(第1条2項(a))
■ 税関の監督下にある物質及び混合物であって、処理又は加工を受けず、一時保管中、自由地域若しくは保税倉庫にあり再輸出を予定するもの、又は通過中のもの(第1条2項(b))
■ 単離されない中間体(第1条2項(c))
■ 上市されない科学研究開発用の物質及び混合物であって、職場及び環境に関するEU法令に従い管理された条件下で使用されるもの(第1条2項(d))
■ 廃棄物は、本規則第2条の意味における物質、混合物又は成形品には該当しない(第1条3項)
■ 最終使用者向けの完成状態にある医薬品、動物用医薬品、化粧品、人体に侵襲的又は人体と直接接触して用いられる医療機器及び体外診断用医療機器、並びに食品又は飼料(食品添加物、食品香料、飼料添加物、動物栄養としての使用を含む)(第1条5項)
■ 航空、海上、道路、鉄道及び内陸水路による危険物の輸送。ただし第33条が適用される場合を除く(第1条6項)
また、加盟国は、防衛上の利益のために必要な場合、特定の物質又は混合物について個別に本規則の適用除外を認めることができる(第1条4項)。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
分類、表示及び包装の一般義務(第4条)
製造者、輸入者及び川下ユーザーは上市前に物質又は混合物を分類しなければならず、上市しない物質でもREACH規則の登録又は届出の対象となる場合は分類が必要である(第4条1項、2項)。附属書VI第3部に調和分類の記載がある物質は当該記載に従う(第4条3項)。危険と分類された場合、供給者は上市前に表示及び包装を行う(第4条4項)。供給者はサプライチェーンで協力する義務を負う(第4条9項)。本規則に適合しない物質・混合物は上市できず、またEU域内に設立された供給者が要件を満たし、かつラベル上で特定されない限り上市できない(第4条10項、11項)。
分類のための情報の特定、生成及び評価(第5条〜第14条)
危険性判定に関係する利用可能な情報を特定し、妥当性・信頼性・科学的有効性を検討しなければならない(第5条、第6条)。物理的危険性は、適切かつ信頼できる情報がない限り附属書I第2部の試験を要する(第8条2項)。非ヒト霊長類及びヒトに対する試験は禁止される(第7条)。情報は附属書I第2部〜第5部の基準で評価し、直接適用できない場合は専門家判断による証拠の重み付けを行う(第9条)。特定濃度限界・M係数・急性毒性推定値の設定、カットオフ値、試験結果と実際の危険性の相違等の考慮を経て(第10条〜第12条)、危険クラス・区分及び危険有害性情報を割り当てる(第13条、第14条)。
分類の見直しと目録との関係(第15条、第16条)
分類に影響し得る新たな科学的・技術的情報を把握する合理的措置をとり、当該情報を知った場合は不当な遅滞なく再評価しなければならない。混合物の組成を附属書I第1部表1.2の限界以上の濃度で変更する場合や、カットオフ値以上の濃度で構成成分を置換・追加する場合も再評価が必要である(第15条1項、2項)。目録と異なる分類を行う場合は、第40条の届出とあわせ理由をECHAへ提出する(第16条1項)。
ラベルの記載事項(第17条〜第28条)
危険と分類され包装された物質・混合物には、供給者の名称・住所・電話番号、一般消費者向け包装の公称量、製品識別子、該当する危険絵表示、注意喚起語、危険有害性情報、注意書き、追加情報の区画を記載し、上市する加盟国の公用語で表記する(第17条)。製品識別子は、物質では附属書VI第3部又は目録の名称・識別番号等、混合物では商品名等と、急性毒性、腐食性・眼損傷性、変異原性、発がん性、生殖毒性、感作性、特定標的臓器毒性又は誤えん有害性の分類に寄与する全物質名で構成する(第18条)。各要素は附属書I、III及びIVに従い選択・表記し(第19条〜第22条)、追加情報の区画には附属書IIに定める記載等を含める(第25条1項)。分類と矛盾する「無毒性」等の表示は禁止される(第25条4項)。複数要素がある場合は第26条〜第28条の優先順位に従う。
表示に関する特例及び免除(第23条、第29条)
運搬可能なガスシリンダー、LPG等のガス容器、誤えん有害性のエアゾール等、金属塊・合金・ポリマー含有混合物等、爆発効果を得るために上市される爆発物、金属腐食性のみに分類されるもの、弾薬には附属書I第1.3節の特別規程が適用される(第23条)。包装の形状・寸法により言語要件を満たせない場合は附属書I第1.5.1節、なお全情報を提供できない場合は第1.5.2節により情報を削減できる(第29条1項、2項)。防衛部隊向け弾薬の例外では安全データシート又はラベル要素の写しの提供が必要である(第29条4b項)。
ラベル情報の更新期限(第30条)
新たな危険クラスの追加、より厳しい分類となる変更、第25条による新たな追加情報が必要となる変更の場合、供給者は不当な遅滞なく、かつ第15条4項の再評価結果の取得・伝達から6か月以内にラベルを更新しなければならない。その他の変更は同様に18か月以内である(第30条1項、2項)。
ラベルの貼付及び記載位置(第31条〜第33条)
ラベルは物質・混合物を直接収める包装に堅固に貼付し、通常置いた状態で水平に読めるようにする。デジタルラベルを用いる場合は、自動処理できるデータキャリアを物理的ラベル上又はその隣の包装上に貼付・印刷し、附属書I第1.6節の要素をデジタルラベルのみで提供する場合は「More hazard information available online」等を併記する。ラベル要素は明瞭かつ消えない方法で容易に読める大きさで記載する(第31条)。危険絵表示等はまとめて配置し、危険有害性情報及び注意書きは言語ごとにまとめる(第32条)。外装が危険物輸送規程の表示要件を満たす場合も、内装及び中間包装は本規則に従って表示する(第33条1項)。
物理的ラベル及びデジタルラベル(第34a条、第34b条)
ラベル要素は物理的ラベルで提供しなければならず、デジタルラベルは追加的に用いる。附属書I第1.6節の要素をデジタルラベルのみで提供する場合、口頭若しくは書面による請求があったとき又は購入時にデジタルラベルが一時的に利用できないときは、購入の有無を問わず無償で代替手段により提供しなければならない(第34a条)。デジタルラベルには、要素の一箇所へのまとめ、検索可能性、EU内の全利用者による10年以上のアクセス可能性、登録・アプリ導入・パスワード不要かつ無償、2クリック以内での到達、主要なOS及びブラウザへの対応等の技術要件が課され、必要な範囲を超えた利用情報の追跡・分析・利用は禁止される(第34b条)。
包装(第35条)
包装は、内容物が漏出しない設計・構造、内容物により損傷せず危険な化合物を形成しない材料、通常の取扱いに耐える強度、交換可能な留具の場合は繰り返し再封できる設計を満たす必要がある。一般消費者向け包装は、子供の好奇心を引く形状・意匠や食品・医薬品等と誤認させる外観であってはならず、附属書II第3.1.1節に該当する場合は子供の開封を困難にする留具、第3.2.1節に該当する場合は触覚による危険警告が必要である。詰め替えステーションを介した供給は附属書II第3.4節の条件を満たす場合に限られる(第35条1項、2項、2a項)。
調和分類の提案及び代替化学名の申請(第37条、第24条)
製造者、輸入者及び川下ユーザーは、附属書VI第3部に記載がない物質について調和分類・表示の提案をECHAへ提出でき、提出前にその意図をECHAへ通知しなければならない(第37条2項、2a項)。混合物中の物質について、化学的同一性の開示が営業上の秘密を害することを示せる場合は、代替化学名の使用申請を手数料とともに提出できる。ECHAが請求又は追加情報の受領から6週間以内に異議を述べない場合、使用が認められたものとみなされる(第24条1項〜3項)。
ECHAへの届出(第39条、第40条)
REACH規則の登録対象の物質、及び危険と分類される基準を満たし単独又は混合物中で濃度限界を超えて上市される物質について、上市する製造者又は輸入者は、届出者及び物質の同一性、第13条に基づく分類、一部の危険クラスのみ分類した場合の理由、該当する場合の特定濃度限界・M係数・急性毒性推定値とその根拠、ラベル要素等をECHAへ届出する。REACH登録として提出済み又は既に届出済みの情報は不要である(第39条、第40条1項)。第15条1項の見直しで分類・表示の変更を決定した場合は6か月以内に届出する(第40条2項)。2010年12月01日以降に上市された物質は、上市後1か月以内に届出しなければならない(第40条3項)。
緊急医療対応に関する情報及びUFI(第45条、第25条7項・8項)
加盟国は附属書VIIIに従い緊急医療対応等の情報を受領する機関を指定し、当該機関は上市に責任を有する輸入者及び川下ユーザーから求められる情報を保有する(第45条1項、3項)。附属書VIIIに基づく提出により固有調合識別子(UFI)が作成される場合は、ラベルの追加情報に記載しなければならない(第25条7項)。提出が行われずUFIがない特注塗料については、0.1%を超えて含まれ第45条の届出対象となる混合物のUFIを濃度の高い順に記載し、その濃度が5%を超える場合は濃度も併記する(第25条8項)。
広告及び通信販売(第48条、第48a条)
危険と分類された物質・混合物の広告には、該当する危険絵表示、注意喚起語、危険有害性情報及び附属書IIに定める追加のEUH情報を表示し、一般消費者向け販売の広告ではさらに「Always follow the information on the product label.」と記載しなければならない。第25条4項によりラベル等に記載できない文言を広告に含めてはならない(第48条)。通信販売では、申出において第17条のラベル要素を明確かつ見やすく表示する(第48a条)。
情報の保持(第49条)
供給者は、分類及び表示のために用いたすべての情報を、当該物質・混合物を最後に供給した後少なくとも10年間、利用可能な状態で保持しなければならない。事業の停止又は移転の場合は、清算の責任者又は上市の責任を引き受ける者がこの義務を負う。所管当局、執行当局又はECHAは当該情報の提出を要求できる(第49条)。
政府に対する要件を通じた影響(第43条、第46条、第47条)
加盟国は所管当局及び執行当局を指定し(第43条)、遵守を確保する執行体制を整えて欧州委員会へ報告し(第46条)、違反に対する罰則を定めなければならない(第47条)。これらは加盟国に対する要件であるが、国内の執行活動及び罰則を通じて事業者に影響を及ぼす。
注目定義
<対象>
■ 「供給者」
| 物質(単独又は混合物中のもの)又は混合物を上市する製造者、輸入者、川下ユーザー又は流通業者をいう(第2条26号)。表示及び包装の義務は供給者に課されるため、自社がいずれの立場に該当するかの確認が適用可否の判断の起点となる。 |
<対象>
■ 「上市」
| 有償か無償かを問わず、第三者へ供給し又は利用可能にすることをいう。輸入は上市とみなされる(第2条18号)。 |
<対象>
■ 「川下ユーザー」
| EU域内に設立された自然人又は法人であって、製造者及び輸入者以外の者で、産業上又は職業上の活動において物質を単独で又は混合物中で使用する者をいう。流通業者及び消費者は川下ユーザーではなく、REACH規則第2条7項(c)により免除される再輸入者は川下ユーザーとみなされる(第2条19号)。 |
目次
タイトルI 総則
■ 第1条 目的及び適用範囲
■ 第2条 定義
■ 第3条 危険な物質及び混合物並びに危険クラスの特定
■ 第4条 分類、表示及び包装に関する一般義務
タイトルII 危険性の分類
第1章 情報の特定及び検討
■ 第5条 物質に関する利用可能な情報の特定及び検討
■ 第6条 混合物に関する利用可能な情報の特定及び検討
■ 第7条 動物試験及びヒトに対する試験
■ 第8条 物質及び混合物に関する新たな情報の生成
第2章 危険性情報の評価及び分類の決定
■ 第9条 物質及び混合物の危険性情報の評価
■ 第10条 物質及び混合物の分類のための濃度限界、M係数及び急性毒性推定値
■ 第11条 カットオフ値
■ 第12条 更なる評価を要する特定の場合
■ 第13条 物質及び混合物を分類する決定
■ 第14条 混合物の分類に関する特別規程
■ 第15条 物質及び混合物の分類の見直し
■ 第16条 分類・表示目録に収載された物質の分類
タイトルIII 表示による危険性情報の伝達
第1章 ラベルの内容
■ 第17条 一般規程
■ 第18条 製品識別子
■ 第19条 危険絵表示
■ 第20条 注意喚起語
■ 第21条 危険有害性情報
■ 第22条 注意書き
■ 第23条 特別な場合における表示要件の免除
■ 第24条 代替化学名の使用申請
■ 第25条 ラベル上の追加情報
■ 第26条 危険絵表示の優先順位の原則
■ 第27条 危険有害性情報の優先順位の原則
■ 第28条 注意書きの優先順位の原則
■ 第29条 表示及び包装の要件の免除
■ 第30条 ラベル情報の更新
第2章 ラベルの貼付
■ 第31条 ラベルの貼付に関する一般規程
■ 第32条 ラベル上の情報の記載位置
■ 第33条 外装、内装及び単一包装の表示に関する特別規程
■ 第34条 化学品の安全な使用に関する情報伝達についての報告
第3章 表示の形式
■ 第34a条 物理的表示及びデジタル表示
■ 第34b条 デジタル表示の要件
タイトルIV 包装
■ 第35条 包装
タイトルV 物質の分類及び表示の調和並びに分類・表示目録
第1章 物質の調和された分類及び表示の確立
■ 第36条 物質の分類及び表示の調和
■ 第37条 物質の分類及び表示の調和のための手続
■ 第38条 附属書VI第3部における調和された分類及び表示に係る意見及び決定の内容並びに情報へのアクセス可能性
第2章 分類・表示目録
■ 第39条 適用範囲
■ 第40条 ECHAへの届出義務
■ 第41条 合意された記載事項
■ 第42条 分類・表示目録
タイトルVI 所管当局及び執行
■ 第43条 所管当局及び執行当局の指定並びに当局間の協力
■ 第44条 ヘルプデスク
■ 第45条 緊急医療対応に関する情報を受領する責任を有する機関の指定
■ 第46条 執行及び報告
■ 第47条 違反に対する罰則
タイトルVII 共通規定及び最終規定
■ 第48条 広告
■ 第48a条 通信販売の申出
■ 第49条 情報の保持義務及び情報提供の要求
■ 第50条 ECHAの任務
■ 第51条 自由移動条項
■ 第52条 セーフガード条項
■ 第53条 技術的及び科学的進歩への適応
附属書I〜附属書VIIIが置かれている(第53条1項)。本文中で参照される主な内容は、附属書I(危険性の分類基準及び表示要素)、附属書II(表示及び包装に関する特別規程)、附属書III(危険有害性情報の表記)、附属書IV(注意書きの選択基準及び表記)、附属書V(危険絵表示)、附属書VI(調和された分類及び表示の一覧及び提案の様式)、附属書VIII(緊急医療対応に関する調和された情報の提出)である。
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 指令67/548/EEC及び1999/45/ECを改正し廃止し、並びに規則(EC) No 1907/2006を改正する、物質及び混合物の分類、表示及び包装に関する2008年12月16日の欧州議会及び理事会規則(EC) No 1272/2008 |
| 公布日 | 2008年12月16日 |
| 所管当局 | 欧州委員会、欧州化学品庁(ECHA。本規則上の「ECHA」は規則(EC) No 1907/2006により設立された欧州化学品庁を指す(第2条23号))、及び加盟国が指定する所管当局及び執行当局(第43条) |
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