| 法令の情報時期:2019年06月 統合版 | ページ作成時期:2026年06月 |
目的
本指令の目的は以下の通りである。
■ 「汚染者負担(polluter-pays)」原則に基づく環境責任の枠組みを確立し、環境損害の防止及び修復を図ること(第1条)。
概要
本指令は、EU域内における環境保護を強化するため、環境損害の防止及び修復に関する事業者の責任を定めるものである。
■ 背景と問題意識:環境損害の発生を未然に防ぎ、発生した場合には汚染者の負担で修復するという汚染者負担原則をEU域内で共通の制度として確立することを意図している(第1条参照)。
■ 適用範囲:次の二類型の損害に適用される(第3条参照)。
- 附属書IIIに列挙された職業活動(廃棄物管理、危険物製造、取水等)に起因する環境損害及び当該活動を理由として生じるその差し迫ったおそれ。
- 附属書IIIに列挙された職業活動以外の職業活動に起因する保護種及び自然生息地に対する損害又は当該活動を理由として生じるその差し迫ったおそれ(事業者に非行又は過失[fault or negligent]がある場合)。
■ 対象となる環境損害:環境損害には、一定の保護種及び自然生息地の損害、水の損害並びに土地の損害が含まれる(第2条第1項参照)。
■ 施行時期:加盟国は、2007年4月30日までに、本指令を遵守するために必要な国内法を施行する必要があった(第19条)。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
本指令の適用から除外される主な対象は以下の通りである(第4条、第17条参照)。
■ 武装紛争、敵対行為、内戦、反乱、又は例外的かつ不可避で抗し難い自然現象に起因する環境損害又はその差し迫ったおそれ。
■ その責任及び補償が附属書IVに記載された国際条約(油汚染損害の民事責任条約等)の適用範囲に属する事故に起因する環境損害又はその差し迫ったおそれ。
■ ユーラトム条約(欧州原子力共同体設立条約)の対象となる活動、又はその責任及び補償が附属書Vに記載された国際文書(核損害に対する民事責任に関する条約等)の適用範囲に属する事故又は活動に起因する核リスク、環境損害、又はその差し迫ったおそれ。
■ 拡散的性質を有する汚染に起因する環境損害又はその差し迫ったおそれ(ただし、個々の事業者の活動と損害との因果関係を立証できる場合は、適用される)。
■ 国防又は国際安全保障を主目的とする活動及び自然災害からの保護を唯一の目的とする活動。
■ 2007年4月30日より前に生じた排出、事象又は事故に起因する損害。
■ 2007年4月30日以降に生じた排出、事象又は事故に起因する損害で、その日より前に実施され、かつ終了した特定の活動に由来するもの。
■ 損害の原因となった排出、事象又は事故の発生から30年を経過した損害。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
事業者は以下の要件を遵守する必要がある。
(1)防止措置の義務(第5条参照)
■ 環境損害が発生していないものの、その発生の差し迫ったおそれがある場合、事業者は遅滞なく必要な防止措置を講じなければならない。
■ 防止措置を講じてもおそれを解消できない場合は、事業者はできる限り速やかに、当該状況に関するすべての事項を管轄当局に通知しなければならない。
(2)修復措置の義務(第6条、第7条参照)
■ 環境損害が発生した場合、事業者は、遅滞なく管轄当局に通知し、環境損害の拡大や人の健康への悪影響等を防止するために、汚染物質その他の損害要因の制御、封じ込め、除去等の実行可能なすべての手段を講じなければならない。
■ 事業者は附属書IIに従って、可能性のある修復措置を特定し、承認を得るために管轄当局に提出しなければならない。
■ 修復措置は、損害を受けた資源をベースライン状態(損害が発生しなかったならば存在したであろう状態)に回復させることを基本とする。修復には、「一次修復」「補完修復」及び「補償修復」が含まれる場合がある。
(3)費用の負担(第8条、第10条参照)
■ 事業者は、本指令に基づく防止措置及び修復措置の費用を負担しなければならない。これには、環境損害の評価費用、行政費用、法務費用、執行費用、データ収集費用、監視・監督費用等も含まれる。
■ 管轄当局が防止措置又は修復措置を代行した場合、措置が完了した日又は責任のある事業者が特定された日のうちいずれか遅い日から5年以内であれば、事業者に対して費用回収手続を開始することができる。
(4)費用負担の免除(第8条第3項・第4項参照)
■ 環境損害又はその差し迫ったおそれが、第三者によって引き起こされたこと(かつ適切な安全対策が講じられていたこと)、又は公的機関の強制的な命令に従った結果であることを証明できる場合は、事業者は費用負担を免れることができる。
■ 加盟国は、事業者に非行又は過失がなく、かつ、排出又は活動が行われた時点における科学的・技術的知見に照らして当該排出又は活動等が環境損害を引き起こすおそれがあるとみなされていなかったことを事業者が立証した場合(いわゆる「開発危険の抗弁」)、又は特定の許可された条件を完全に遵守していた場合には、事業者に費用を負担させないことを認めることができる。ただし、その適用の有無は各加盟国の国内法に委ねられる。
(5)将来的影響(第16条、第18条参照)
■ より厳格な国内法:本指令は最低限の基準であり、加盟国はより厳しい規定(対象活動の追加、責任を負うべき者の追加等)を維持又は採用できるため、進出先国の独自規制に注意が必要である。
■ 環境損害の定義に関するガイドライン:欧州委員会は「環境損害」の用語の共通理解を促進するためのガイドラインを開発することとなっており、これにより解釈の明確化が進む可能性がある。
注目定義
<対象>
■ 「環境損害」(environmental damage)
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「環境損害」とは、次のものをいう。 (a) 保護種及び自然生息地に対する損害。これは、当該生息地又は種の良好な保全状態の達成又は維持に重大な悪影響を及ぼすあらゆる損害をいう。当該影響の重大さは、附属書Iに定める基準を考慮しつつ、ベースライン状態を参照して評価されるものとする。 保護種及び自然生息地に対する損害には、指令92/43/EEC第6条第3項及び第4項若しくは第16条、若しくは指令79/409/EEC第9条を実施する規定に従って、又は、共同体法の適用対象外である生息地及び種の場合は、自然保全に関する国内法の同等の規定に従って、関係当局によって明示的に許可された事業者の行為に起因する、事前に特定された悪影響は含まれない。 (b) 「水の損害」これは、以下のものに重大な悪影響を及ぼすあらゆる損害をいう。 (i) 指令2000/60/ECに定義される当該水の生態学的、化学的若しくは量的状態又は生態学的ポテンシャル(ただし、同指令第4条第7項が適用される悪影響を除く。) (ii) 指令2008/56/ECに定義される当該海水の環境状態(ただし、海洋環境の環境状態の特定の側面が既に指令2000/60/ECによって既に対処されていない場合に限る。) (c) 土地の損害 これは、物質、調剤、生物又は微生物が土地の中、上又は下に直接又は間接に導入される結果として、人の健康が悪影響を受ける重大なリスクを生じさせるあらゆる土地の汚染をいう。 |
目次
第1条:目的
第2条:定義
第3条:適用範囲
第4条:適用除外
第5条:防止措置
第6条:修復措置
第7条:修復措置の決定
第8条:防止及び修復費用
第9条:複数原因者が存在する場合の費用配分
第10条:費用回収の期限
第11条:管轄当局
第12条:措置の要請
第13条:審査手続
第14条:金融保証
第15条:加盟国間の協力
第16条:国内法との関係
第17条:時間的適用範囲
第18条:実施状況に関する情報収集及びガイドライン
第19条:実施
第20条:発効
第21条:名宛人
附属書I:第2条第1項(A)に規定される基準
附属書II:環境損害の修復
附属書III:第3条第1項に規定される活動
附属書IV:第4条第2項に規定される国際条約
附属書V:第4条第4項に規定される国際文書
附属書VI:第18条第1項に規定される情報及びデータ
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 環境損害の防止及び修復に関する環境責任についての2004年4月21日付欧州議会及び理事会指令2004/35/EC |
| 公布日 | 2004年4月30日 |
| 所管当局 | ― |
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