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解説EU-ガソリン・ディーゼル燃料品質指令(FQD)

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法令の情報時期:2023年11月 統合版 ページ作成時期:2026年08月

目的

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本指令は、EU域内における道路車両、非道路移動作業機械、および船舶等に用いられる燃料の物理的および化学的仕様に関し、大気質の保全、人の健康と環境の保護を目的として共通の技術的仕様を定めるものである。

■ 火花点火機関および圧縮着火機関を搭載した車両や移動機械に用いるガソリンおよびディーゼル燃料の環境仕様を設定すること。

■ 鉛や硫黄、有害な金属添加剤等の削減を通じて大気汚染物質を低減させ、高水準な環境・健康保護を達成すること。

■ 適合した燃料の自由な流通を保障し、単一市場の適切な機能に寄与すること。

概要

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本指令は、道路輸送および非道路分野で使用されるガソリンとディーゼル燃料の最低環境基準を策定し、EU全体の大気質の改善と温室効果ガスの低減を図るための共通仕様を定めたものである。

■ 背景:自動車や移動作業機械から排出される排出ガスは、EU域内における深刻な大気汚染とそれに伴う呼吸器系等の疾患リスクの直接的な要因となってきた。排出ガスを効果的にクリーン化するためには、自動車エンジン技術の進歩だけでなく、そこで使われる燃料そのものの化学的組成を直接規制し、触媒などの浄化システムにダメージを与える鉛や高濃度硫黄、有害金属などをあらかじめ除去することが極めて重要であった。このような背景から、共通の燃料品質基準が導入された。

■ 問題意識:燃料成分に含まれる鉛などの重金属や硫黄、多環芳香族炭化水素は、排ガスを処理するための触媒やフィルタなどの後処理装置の劣化を急速に進行させ、浄化機能を失わせる。また、燃料自体のブレンド比率や夏期の蒸気圧管理を適切に行わない場合、揮発性の有機化合物(VOC)が大量に蒸発して光化学スモッグなどの環境害を招く。これらに国を越えて一貫して対処するため、燃料サプライチェーンの品質適合監視システムの構築が必要とされた。

■ 期待される効果:有鉛ガソリンの流通禁止、燃料中の極超低硫黄化(10 mg/kg以下)、および金属添加剤の厳しい濃度制限により、都市部等の大気質を劇的にクリーン化し、公衆衛生の保護に寄与すること。また、クリーンな代替燃料(バイオ燃料など)の円滑なブレンド導入を促進し、ライフサイクル全体での温室効果ガスの削減につなげること。

■ 適用対象の事業者:EU市場へ燃料を提供する石油製油業者、輸入業者、燃料供給者(以下、サプライヤー)、およびサービスステーション等の燃料を消費者に提供する流通・販売事業者。

■ 適用製品:火花点火機関(ガソリンエンジン)および圧縮着火機関(ディーゼルエンジン)での使用を目的としたガソリン、ディーゼル燃料、ならびに非道路移動作業機械、農林業用トラクター、レジャー用艇用の軽油。

■ 主な事業者要件:販売する燃料が本指令の環境限界値(オクタン価、硫黄含有量、バイオエタノールや脂肪酸メチルエステル(以下、FAME)の最大比率等)を遵守していることの保証、金属添加剤(以下、MMT)の濃度制限、および消費者に対する適切な警告ラベルの貼付。

■ 施行時期:本指令はEU官報に掲載された日に発効した。加盟国は1999年7月1日までに国内法を採択・公表し、2000年1月1日から適用を開始した。その後、複数回にわたる修正指令・規則を通じて、ガソリンおよびディーゼル燃料における硫黄分上限10 mg/kg(10 ppm)や、MMTおよびFAME等の各種パラメータ要件が段階的に追加され適用されてきた。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

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■ 外洋を航行している、または外洋にいる船舶で使用される燃料:本指令は、外洋にいないときの内水路船舶およびレジャー用艇における軽油等の燃料仕様を定めているが、外洋にいる船舶で使用される重油などの船舶用燃料は、本指令の環境仕様の対象外である。

■ 指定された車両や移動機械以外の使途を目的とする燃料:本指令の範囲は、道路車両、非道路移動作業機械、農林業用トラクター、およびレジャー用艇に限定されている。したがって、これらに該当しない定置式のボイラー、産業用の大型定置プラント、家庭用暖房用の燃料、および航空機用の燃料等は、本指令の適用範囲外である。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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■ ガソリンの環境仕様の適合(第3条第2項)

  • サプライヤー等の事業者:EU市場にガソリンを投入し流通させる事業者は、そのガソリンが附属書Iに定めるすべての技術的・環境仕様(オクタン価、蒸気圧、ベンゼン、芳香族、オレフィン、酸素、およびエタノール等の各限界値)に適合していることを保証しなければならない。

■ 有鉛ガソリンの販売および流通禁止(第3条第1項、第6項)

  • サプライヤー等の事業者:加盟国内において、有鉛ガソリンを市場に流通させてはならない。
  • ただし、貴重なクラシックカー等の保護を目的とする場合に限り、加盟国が承認した極めて限定的な量(総販売量の0.03%を上限とする、鉛含有量0.15 g/l以下の有鉛ガソリン)について、特定の利益団体等を通じて流通・販売することが例外的に認められる場合がある。

■ バイオエタノールおよび酸素含有量の供給確保(第3条第3項)

  • サプライヤー:加盟国の要請に基づき、ガソリン市場に最大酸素含有量2.7%、および最大エタノール含有量5%を保証したガソリンを市場に流通させなければならない。
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■ 夏期ガソリンの蒸気圧限界の遵守(第3条第4項、第5項、第10条第1項)

  • サプライヤー等の事業者:夏期(5月1日から9月30日、低夏温加盟国は6月1日から8月31日)に市場に投入するガソリンの蒸気圧は、原則として最大60.0 kPa(エタノールを配合する場合は、附属書IIIに定められるバイオエタノールの混合割合に基づく許容増加分を加算した最大値)を超えてはならない。
  • ただし、低夏温加盟国においては最大70 kPaまでの引き上げが例外的に許可される場合がある。

■ ディーゼル燃料の環境仕様およびFAME比率の適合(第4条第1項)

  • サプライヤー等の事業者:EU市場に提供するディーゼル燃料について、附属書IIに定める技術的および環境仕様(セタン価、密度、蒸留特性、多環芳香族炭化水素、および硫黄含有量等)に完全に適合していることを保証しなければならない。
  • ディーゼル燃料サプライヤーは、最大で7%のFAME(脂肪酸メチルエステル)を含むディーゼル燃料を市場に流通させ、その適合を確保しなければならない。

■ 非道路移動作業機械等用軽油の硫黄限界値の厳守(第4条第2項)

  • サプライヤー等の事業者:非道路移動作業機械(内水路船舶を含む)、農林業用トラクター、およびレジャー用艇用の軽油を製造・供給する事業者は、その硫黄含有量を最大10 mg/kg(10 ppm)以下としなければならない。
  • 内水路船舶およびレジャー用艇を運用する事業者等は、この軽油以外の液体燃料を使用する場合、その硫黄含有量も軽油の制限値(10 mg/kg)を決して超えてはならない。
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■ 金属添加剤MMTの厳しい含有量制限(第8条a第2項)

  • サプライヤー等の事業者:燃料に配合される金属添加剤メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(MMT)の濃度について、1リットルあたりマンガン換算で2 mg(2011年1月1日から2013年12月31日までは1リットルあたり6 mg)を超えて燃料に含有・販売してはならない。

■ 金属添加剤含有表示ラベルの貼付と視認性の保証(第8条a第4項、第5項、第6項)

  • サプライヤーおよび販売事業者:金属添加剤を含む燃料を消費者に提供するすべての場所(サービスステーションの給油ノズル等)において、金属添加剤の存在を示すラベルを必ず目立つように表示しなければならない。
  • ラベルには「Contains metallic additives(金属添加剤含有)」という定型文を必ず記載しなければならない。
  • このラベルは、提供する燃料の種類(ガソリンや軽油など)を示す情報の近くの、消費者が明確に視認できる位置に貼付されなければならず、十分な大きさと視認しやすいフォントで、容易に判読できるものでなければならない。
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■ 政府への要件を通じて将来的に事業者へ影響を及ぼすと思われる内容

  • 委任行為による測定分析方法の改訂と更新(第10条第1項、第2項):欧州委員会は、附属書IまたはIIに参照されている欧州標準(CENが定めるEN 228やEN 590など)の改訂に連動して、適合を判定するための「許可された分析方法(試験プロトコル)」をアップデートするための委任行為の策定・修正権限を付与されている。これにより、標準規格が見直された際、事業者は新たな測定手法、分析の試験機器、および品質管理ソフトウェアの適合アップデートのための追加投資を求められる可能性が極めて高い。
  • 加盟国独自のより厳しい環境仕様の地域的義務付け(第6条第1項、第2項):加盟国は、特定の環境保全地域や大気質汚染が重篤な過密都市エリアを保護するため、欧州委員会による検証と事前の承認を受けることで、本指令が定める一般的な仕様よりもさらに厳密な燃料のみを該当地域で流通させる特別義務措置(ローカル規格)を導入することが認められている。この地域限定の厳格規格が実際に国内法等で導入された場合、対象エリアをカバーする製油事業者や配給事業者は、物流、貯蔵、および燃料ブレンドプロセスのさらなる複雑化と分別管理コストを直接負うことになる。
  • 例外的イベント発生時における一時的な品質制限緩和(第7条):戦争や中東などの情勢変化、その他例外的イベントにより、加盟国内の製油所が第3条および第4条の燃料基準要件を完全に遵守した原油や石油製品を調達・調製することが急に困難になった場合、加盟国からの通報と申請に基づき、欧州委員会は一時的に最大6ヶ月間、1つ以上の仕様限界値を引き上げるための例外措置を承認する可能性がある。
  • 加盟国の国内法化における罰則規定(第9条a):加盟国は、本指令の国内措置に違反した場合に適用される罰則を決定するが、本指令はこれに対して「有効で、比例的で、かつ抑止的な」処分とすることを義務付けている。このため、不適合燃料の流通、虚偽の品質管理データ提示、あるいは表示ラベルの設置義務違反などについて、事業者は巨額の罰則金や販売・生産許可の取り消しを含む厳しいビジネスリスクに直面することになる。

注目定義

目次

第1条:範囲

第2条:定義

第3条:ガソリン

第4条:ディーゼル燃料

第5条:自由な流通

第6条:より厳しい環境仕様の燃料の販売

第7条:原油供給の変動

第8条:適合監視および報告

第8a条:金属添加剤

第9条:報告

第9a条:罰則

第10条:公認分析方法および蒸気圧制限緩和の適応手続き

第10a条:委任の行使

第11条:委員会手続き

第12条:ガソリンおよびディーゼル燃料の品質に関連する各指令の廃止および改正

第13条:国内法への移転

第15条:指令の発効

第16条:宛先

附属書I:火花点火機関を搭載した車両に使用される市場燃料の環境仕様(タイプ:ガソリン)

附属書II:圧縮着火機関を搭載した車両に使用される市場燃料の環境仕様(タイプ:ディーゼル)

附属書III:バイオエタノールを含むガソリンに認められる蒸気圧制限の緩和

基礎情報

法令(現地語)

DIRECTIVE 98/70/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 13 October 1998 relating to the quality of petrol and diesel fuels and amending Council Directive 93/12/EEC

法令(日本語)

ガソリンおよびディーゼル燃料の品質に関する1998年10月13日付欧州議会および理事会指令98/70/EC(理事会指令93/12/EECを改正)

公布日

1998年12月28日

作成者

株式会社先読

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