| 法令の情報時期:2018年12月 統合版 | ページ作成時期:2026年08月 |
目的
■ 本指令は、気候変動対策への貢献を目的として、CO2の環境上安全な地中貯留に関する法的枠組みを定めるものである。
■ CO2の環境上安全な地中貯留は、環境及び人の健康への負の影響及びリスクを防止し、これが不可能な場合には可能な限り低減する形で、CO2を恒久的に封じ込めることを目的とする。
概要
本指令は、加盟国の領域、加盟国の排他的経済水域及び国連海洋法条約(UNCLOS)にいう加盟国の大陸棚におけるCO2の地中貯留に適用される。貯留複合体(貯留サイト及び貯留の完全性・安全性に影響を及ぼし得る周辺の地質領域)がこれらの範囲を超えて広がる貯留サイトへのCO2の貯留は認められない。また、水柱へのCO2の貯留は認められない。
主な要件として、事業者は、探査許可・貯蔵許可の取得、モニタリングの実施、漏出・重大な異常発生時の通知及び是正措置、財務拠出、第三者へのアクセス提供等が求められる。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
予定される総貯留量が100キロトン未満であり、新しい製品及びプロセスの研究、開発又は試験を目的として実施されるCO2の地中貯留には、本指令は適用されない。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
■ 探査許可の取得
貯留サイトの選定に必要な情報を取得するために探査を実施する必要があると加盟国が判断した場合、探査許可を取得しなければならない(第5条第1項)。探査許可の保有者は、候補となるCO2貯留複合体を探査する独占的権利を有する。当該許可の有効期間中、当該貯留複合体の競合的利用は認められない(第5条第4項)。
■ 貯留許可の取得
いかなる貯留サイトも、貯留許可を取得することなく運営してはならない。また、各貯留サイトにつき事業者は1者に限られ、サイト内で競合的利用は認められない(第6条第1項)。探査許可の保有者には、一定の条件の下で、優先的に貯留許可が付与される(第6条第3項)。
■ 貯留許可申請に必要な情報提出
貯留許可を申請する際、事業者は管轄当局に対して少なくとも以下の情報を提出しなければならない(第7条):
- 事業者の名称及び住所
- 事業者の技術的能力の証明
- 貯留サイト及び貯留複合体の特性並びに貯留の安全性に関する評価
- 注入・貯留するCO2の総量、予定される供給源及び輸送方法、CO2ストリームの組成、注入率及び圧力、並びに注入設備の場所
- 重大な異常を防止するための措置の説明
- モニタリング計画案
- 是正措置計画案
- 暫定閉鎖後計画案
- 環境影響評価に関する情報
- 注入開始前に財務担保又はこれと同等の措置が有効かつ効果的であることの証明
■ 運営内容の変更と重大な変更の届出
事業者は、貯留サイトの運営に関して計画された変更(事業者の変更を含む)を管轄当局に通知しなければならない。管轄当局は必要に応じて貯留許可又は許可条件を更新する(第11条第1項)。また、重大な変更は、新たな又は更新された貯留許可なしに実施してはならない(第11条第2項)。
■ CO2ストリームの受入基準及び手続
注入するCO2ストリームは、その大半が二酸化炭素で構成されていなければならず、廃棄物その他のものを、その処分を目的として添加してはならない。ただし、一定の条件下で、発生源、回収又は注入プロセスに由来する付随的な物質及びCO2の移動状況の監視・検証を目的として添加される物質を含めることができる(第12条第1項)。事業者は、CO2ストリームの組成分析及びリスク評価を実施し、当該評価により汚染レベルが所定の条件に適合していることが確認された場合に限り、CO2ストリームを受け入れ、注入することができる。事業者は、引渡され、注入されたCO2ストリームの量及び特性(組成を含む)の記録簿を備えなければならない(第12条第3項)。
■ モニタリングの実施
事業者は、附属書IIの要件に従って事業者が策定し、管轄当局に提出して承認されたモニタリング計画に基づき、モニタリングを実施しなければならない。当該計画は、附属書IIの要件に従い、いかなる場合も5年ごとに、評価された漏洩リスク及び環境・人の健康へのリスクの変化、新たな科学的知見並びに利用可能な最良技術の改善を考慮して更新し、更新された計画を管轄当局に再提出して承認を受けなければならない(第13条)。
■ 管轄当局への定期報告
事業者は、管轄当局が定める頻度で、いかなる場合も少なくとも年1回、管轄当局に対し、モニタリング結果、引渡され、注入されたCO2ストリームの量及び特性、財務担保の設定及び維持に関する証明、管轄当局が貯留条件の遵守の評価等の目的に関連すると認めるその他の情報を提出しなければならない(第14条)。
■ 漏出・重大な異常発生時の通知及び是正措置
漏出又は重大な異常が発生した場合、事業者は直ちに管轄当局へ通知するとともに、必要な是正措置(人の健康の保護に関する措置を含む)を講じなければならない。また、漏出又は漏出のリスクを伴う重大な異常が発生した場合、事業者は指令2003/87/ECに従って管轄当局にも通知しなければならない(第16条第1項)。
是正措置は、少なくとも、管轄当局に提出し、その承認を受けた是正措置計画に基づいて講じなければならない(第16条第2項)。管轄当局は、いつでも、必要な是正措置及び人の健康の保護に関する措置を講じるよう事業者に要求することができる(第16条第3項)。
事業者が必要な是正措置を講じない場合、管轄当局は自ら必要な是正措置を講じる(第16条第4項)。管轄当局が措置を講じた場合、措置を講じるのに要した費用は、財務担保を実行することを含め、事業者から回収される(第16条第5項)。
■ 閉鎖及び閉鎖後の義務
貯留サイトの閉鎖後も、当該サイトに関する責任が管轄当局へ移転するまでの間、事業者は、引き続き、モニタリング、報告、是正措置、漏洩時の排出枠の返還に関する義務(指令2003/87/EC)、並びに環境損害に関する防止・修復措置に関する責任(指令2004/35/EC)を負う。
また、貯留サイトの封鎖及び注入設備の撤去についても責任を負う(第17条第2項)。これらの義務は、附属書IIの要件に従い、最良実務に基づいて事業者が策定した閉鎖後計画に基づき履行される(第17条第3項)。
■ 責任の移転
貯蔵サイトの閉鎖後、事業者が負うモニタリング、是正措置等の法的義務は、以下の要件を満たした場合に管轄当局へ移転する(第18条第1項):
- CO2が完全かつ恒久的に封じ込められたことを示す十分な証拠があること
- 管轄当局が定める最低期間(原則20年以上)が経過していること
- 財務拠出義務が履行されていること
- 貯留サイトの封鎖及び注入設備の撤去が完了していること
不十分なデータ、関連情報の隠蔽、過失、故意の欺罔等があった場合は、責任移転後であっても、管轄当局は元事業者から費用を回収する(第18条第7項)。
■ 財務担保
事業者は、貯留許可に伴う義務及び指令2003/87/ECに基づく義務を履行できることを確保するため、貯留許可の申請時に、財務担保又はこれと同等の手段を設定できることの証明を提出しなければならない。当該財務担保は注入開始前に有効かつ実効的でなければならず、漏洩リスクや義務履行に要する費用の変化に応じて定期的に調整しなければならない(第19条)。
■ 財務拠出
責任の移転前に、事業者は管轄当局に対して財務拠出を行わなければならない。当該拠出額は、附属書Iの基準等を考慮して算定され、少なくとも30年間のモニタリングの見込費用をカバーするものでなければならない。
また、この財務拠出は、責任移転後にCO2の完全かつ恒久的な封じ込めを確保するために管轄当局が負担する費用に充てることができる(第20条第1項)。
■ 第三者へのアクセス提供義務
加盟国は、利用者となり得る者が、透明かつ非差別的な方法で、生産・回収されたCO2の地中貯留を目的として輸送ネットワーク及び貯留サイトへアクセスできるようにしなければならない(第21条第1項)。
事業者等は、容量不足を理由にアクセスを拒否することができる。拒否する場合は、正当な理由を示す必要がある(第21条第3項)。
また、容量不足又は接続不足を理由にアクセスを拒否する事業者等は、経済的に可能な場合、又は顧客となり得る者が費用を負担する場合には、必要な増強を行わなければならない(第21条第4項)。
■ 罰則
各加盟国は、本指令に従って採択された国内法違反に適用される、「効果的、比例的、かつ抑止力のある」罰則を定めなければならない(第28条)。
■ 将来的影響
改正された指令2001/80/ECに基づき、原則として電気出力300MW以上の新規燃焼プラントの運営者は、適切な貯留サイトの利用可能性、輸送設備の技術的・経済的実現可能性、及びCO2回収設備への改修の技術的・経済的実現可能性を事前に評価しなければならない(第33条第1項)。
これらの条件が満たされる場合、管轄当局は、将来的なCO2回収・圧縮設備の設置に必要なスペースが敷地内に確保されるようにしなければならない(第33条第2項)。これに伴い、事業者には、将来的なCO2回収・圧縮設備の設置を見据えた対応が求められる可能性がある。
注目定義
<対象>
■ 「事業者」(operator)
| 「事業者」とは、貯蔵サイトを運営し又は管理する、又は国内法に基づき、貯蔵サイトの技術的機能に関する決定的な経済的権限を委任された民間又は公的な自然人又は法人をいう。 |
<対象>
■ 「貯留サイト」(storage site)
| 「貯留サイト」とは、CO2の地中貯留に使用される地質層内の特定の容積範囲並びにこれに関連する地表設備及び注入設備をいう。 |
<対象>
■ 「貯留複合体」(storage complex)
| 「貯留複合体」とは、貯留サイト並びに貯留の全体的な完全性及び安全性に影響を及ぼし得る周辺の地質領域、すなわち二次的封じ込め地層をいう。 |
目次
第1章:対象事項、範囲及び定義
第1条:対象事項及び目的
第2条:範囲及び禁止
第3条:定義
第2章:貯留サイトの選定及び探査許可
第4条:貯留サイトの選定
第5条:探査許可
第3章:貯留許可
第6条:貯留許可
第7条:貯留許可の申請
第8条:貯留許可の条件
第9条:貯留許可の内容
第10条:欧州委員会による貯留許可草案のレビュー
第11条:貯留許可の変更、見直し、更新及び撤回
第4章:運営、閉鎖及び閉鎖後の義務
第12条:CO2ストリームの受入基準及び手続
第13条:モニタリング
第14条:事業者による報告
第15条:検査
第16条:漏出又は重大な異常が発生した場合の措置
第17条:閉鎖及び閉鎖後の義務
第18条:責任の移転
第19条:財務担保
第20条:財務メカニズム
第5章:第三者アクセス
第21条:輸送ネットワーク及び貯留サイトへのアクセス
第22条:紛争解決
第6章:一般規定
第23条:管轄当局
第24条:国境を越えた協力
第25条:記録簿
第26条:公衆への情報提供
第27条:加盟国による報告
第28条:罰則
第29条:附属書の改正
第29条a:委任権限の行使
第30条:委員会手続
第7章:改正規定
第32条:指令2000/60/ECの改正
第33条:指令2001/80/ECの改正
第34条:指令2004/35/ECの改正
第35条:指令2006/12/ECの改正
第36条:規則(EC)No 1013/2006の改正
第37条:指令2008/1/ECの改正
第8章:最終規定
第38条:見直し
第39条:国内法化及び経過措置
第40条:発効
第41条:宛先
附属書I:第4条第3項に規定された候補となる貯留複合体及び周辺エリアの特性評価・評価基準
附属書II:第13条第2項に規定されたモニタリング計画の策定・更新及び閉鎖後モニタリングに関する基準
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 二酸化炭素の地中貯留に関する2009年4月23日の欧州議会及び理事会指令2009/31/EC(理事会指令85/337/EEC、欧州議会及び理事会指令2000/60/EC、2001/80/EC、2004/35/EC、2006/12/EC、2008/1/EC及び規則(EC) No 1013/2006の改正) |
| 公布日 | 2009年06月05日 |
| 所管当局 | ― |
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