| 法令の情報時期:2016年01月 公布 | ページ作成時期:2026年09月 |
目的
本規則は、原子力事故またはその他の放射線緊急事態の後に市場投入される可能性のある食品、副次的食品および飼料について、放射性物質汚染の最大許容レベルを定めるものである。その目的は次のとおり整理できる。
■ 食品および飼料の重大な放射性物質汚染をもたらすおそれがある、またはもたらした原子力事故その他の放射線緊急事態に際し、市場投入される製品に適用される最大許容レベルを定めて住民を保護すること(第1条、前文(5))。
■ 適用される最大許容レベルを定める実施規則を採択し、その後改正するための手続を定めること(第1条)。
■ 適用される最大許容レベルを超える食品および飼料が域内市場に投入されないようにすること(前文(11))。
■ 従前の規則(規則(Euratom) No 3954/87、同No 944/89および同No 770/90)を廃止し、これに置き換わる枠組みを設けること(第7条)。
概要
本規則は、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故および2011年の福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえ、放射線緊急事態が生じた際に食品・飼料の放射性物質汚染に対応するための共通の枠組みを定めている(前文(2)、(4))。附属書I(食品)、附属書II(副次的食品)および附属書III(飼料)に定める最大許容レベルは、摂取による個人実効線量の増分について年間1mSvを参照レベルとし、年間消費食品の10%が汚染されているとの想定に基づく。ただし1歳未満の乳児には異なる想定が適用される(前文(3)、(9))。
本規則の最大許容レベルは、平常時に直ちに製品要件として適用されるものではない。欧州委員会が放射線緊急事態に関する公式情報を受け取った場合に、汚染のおそれがある食品・飼料について最大許容レベルを適用する実施規則を採択し、その実施規則が定める日から適用が始まる(第3条1項、第4条1項)。実施規則で定められる値は附属書I、IIおよびIIIの値を超えることができず、最初の実施規則の有効期間は3か月を超えない(第3条1項、2項)。
対象は食品、副次的食品および飼料であり、人の消費を目的とする水は指令2013/51/Euratomが適用されるため本規則の対象から除かれる(第1条、第2条(1)、前文(6))。最大許容レベルは、EU域内を原産とするものと第三国から輸入されるものの双方に適用される(前文(7))。不適合の事案は食品・飼料早期警戒システム(RASFF)を通じて通知される(第4条2項)。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
法令全体の適用から除外される対象は次のとおりである。
■ 「食品」の定義から除外されるもの、すなわち飼料、人の消費のために市場投入する準備がされていない生きた動物、収穫前の植物、指令2001/83/EC上の医薬品、規則(EC) No 1223/2009上の化粧品、指令2014/40/EU上のたばこおよびたばこ製品、国連の麻薬単一条約(1961年)および向精神薬条約(1971年)上の麻薬または向精神薬、残留物および汚染物質、指令2013/51/Euratom上の人の消費を目的とする水(第2条(1))。
■ 第三国からの輸入食品・飼料のうち、EU関税領域において通過(transit)手続に置かれているものは、市場投入されたものとみなされない(第4条1項)。
猶予に関する定めとして、次のものがある。
■ 欧州委員会は、加盟国の要請に基づき、当該加盟国に存在する例外的状況を踏まえ、その領域内で消費される特定の食品・飼料について最大許容レベルからの一時的な逸脱を実施規則により認めることができる。この逸脱は科学的証拠に基づき、当該加盟国に存在する社会的要因等の状況により正当化されるものでなければならない(第3条4項)。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
市場投入の禁止(第4条1項)
■ 欧州委員会が最大許容レベルを適用する実施規則を採択した場合、当該実施規則が指定する日から、その最大許容レベルに適合しない食品および飼料を市場投入してはならない(第4条1項)。
■ 「市場投入」には、販売を目的とする食品・飼料の保有(販売の申出および有償無償を問わないその他の形態の移転を含む)、ならびに販売、流通その他の形態の移転そのものが含まれる(第2条(4))。したがって、販売目的での在庫保有も規制の対象となる。
■ 第三国から輸入された食品・飼料は、EU関税領域において通過手続以外の税関手続に置かれた時点で市場投入されたものとみなされる(第4条1項)。輸入者は通関の段階で適合を確保しておく必要がある。
適用される最大許容レベルの確認(第3条)
■ 実際に適用される値は、事故等の後に採択される実施規則によって定まる。事業者は、自らが取り扱う食品・飼料について、どの実施規則がいつからどの値を適用しているかを確認する必要がある(第3条1項)。
■ 実施規則の有効期間は可能な限り短いものとされ、原子力事故その他の放射線緊急事態の後に採択される最初の実施規則の期間は3か月を超えない。実施規則は欧州委員会により定期的に見直され、事故の性質・場所および実測された汚染レベルの推移に基づいて改正されうる(第3条2項)。適用値および適用期間が変動しうる点に留意が必要である。
■ 加盟国に対する一時的な逸脱が認められる場合があるため、同一の製品でも加盟国によって適用される値が異なりうる(第3条4項)。
附属書に定める最大許容レベルの上限値
実施規則で定められる値の上限となる附属書の値は次のとおりである。
■ 附属書I(食品):ストロンチウム同位体の合計(特にSr-90)は、乳児用食品75Bq/kg、乳製品125Bq/kg、副次的食品を除くその他の食品750Bq/kg、液状食品125Bq/kg。ヨウ素同位体の合計(特にI-131)は、順に150、500、2,000、500Bq/kg。プルトニウムおよび超プルトニウム元素のアルファ線放出同位体の合計(特にPu-239およびAm-241)は、順に1、20、80、20Bq/kg。半減期10日を超えるその他すべての核種の合計(特にCs-134およびCs-137)は、順に400、1,000、1,250、1,000Bq/kg。
■ 附属書II(副次的食品):ストロンチウム同位体の合計7,500Bq/kg、ヨウ素同位体の合計20,000Bq/kg、プルトニウムおよび超プルトニウム元素のアルファ線放出同位体の合計800Bq/kg、半減期10日を超えるその他すべての核種の合計12,500Bq/kg。
■ 附属書III(飼料):Cs-134およびCs-137について、豚用1,250Bq/kg、家禽・仔羊・仔牛用2,500Bq/kg、その他5,000Bq/kg。
検査および不適合の通知(第4条2項)
■ 最大許容レベルへの適合は適切な検査の対象となる(前文(11)、(17))。各加盟国は本規則の適用に関するすべての情報を欧州委員会に提供し、適用される最大許容レベルへの不適合の事案はすべて食品・飼料早期警戒システム(RASFF)を通じて通知される(第4条2項)。自社製品が不適合と判断された場合、その情報がEU全域の当局間で共有されることを前提とした対応が必要となる。
注目定義
<対象>
■ 「食品」(food)
| 加工、部分的加工または未加工を問わず、人が摂取することを意図する、または摂取することが合理的に想定されるあらゆる物質または製品をいう。飲料、チューインガム、および製造、調製または処理の過程で食品に意図的に配合されたあらゆる物質を含む。他方、飼料、人の消費のために市場投入する準備がされていない生きた動物、収穫前の植物、医薬品、化粧品、たばこおよびたばこ製品、麻薬または向精神薬、残留物および汚染物質、人の消費を目的とする水は含まない(第2条(1))。 |
<対象>
■ 「副次的食品」(minor food)
| 食事上の重要性が小さく、住民の食品消費に対してわずかな寄与しかしない食品をいう(第2条(2))。附属書IIにより、附属書Iのその他の食品より高い最大許容レベルが設定される。 |
<対象>
■ 「市場投入」(placing on the market)
| 販売を目的とする食品または飼料の保有(販売の申出および有償無償を問わないその他の形態の移転を含む)、ならびに販売、流通その他の形態の移転そのものをいう(第2条(4))。 |
目次
第1条 規律事項
第2条 定義
第3条 適用される最大許容レベル
第4条 制限措置
第5条 委員会手続
第6条 報告
第7条 廃止
第8条 発効
附属書I 食品の放射性物質汚染の最大許容レベル
附属書II 副次的食品の放射性物質汚染の最大許容レベル
附属書III 飼料の放射性物質汚染の最大許容レベル
附属書IV 対応表
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 原子力事故またはその他の放射線緊急事態に伴う食品および飼料の放射性物質汚染の最大許容レベルを定め、規則(Euratom) No 3954/87ならびに欧州委員会規則(Euratom) No 944/89および同(Euratom) No 770/90を廃止する2016年01月15日の理事会規則(Euratom) 2016/52 |
| 公布日 | 2016年01月20日(EU官報 OJ L 13, 2016年01月20日, p.2 に掲載。採択日は2016年01月15日) |
| 所管当局 | 欧州委員会。規則(EC) No 178/2002第58条1項により設置された植物・動物・食品・飼料常設委員会が欧州委員会を補佐する(第5条1項)。本規則の適用に関する情報提供および不適合の通知は各加盟国が担う(第4条2項)。 |
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