| 法令の情報時期:2019年07月 統合版 | ページ作成時期:2026年07月 |
目的
本指令は、以下の事項を目的としている。
■ 騒音へのばく露から生じる、または生じる可能性のある労働者の健康および安全に対するリスク(特に聴覚へのリスク)から労働者を保護するための最小要件を定めること。
■ 職場における物理的要因(騒音)へのばく露に関する保護水準の向上を図ること。
概要
本指令は、労働者の安全と健康の改善促進に関する枠組み指令(89/391/EEC)に基づき、騒音に特化した具体的な要件を定めた第17番目の個別指令である。
■ 背景・問題意識: 職場における騒音は労働者の聴覚障害の主要な原因であり、EU全体で一貫した最小限の保護基準を設ける必要があった。
■ 適用範囲: 仕事の結果として労働者が騒音によるリスクにばく露される、またはばく露される可能性があるすべての活動に適用される。
■ 主な要件: リスク評価の実施、発生源におけるリスクの除去・低減、ばく露限界値の遵守、聴覚保護具の提供、労働者への情報提供と訓練、および健康診断(健康監視)の実施。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
法令全体の適用から免除される対象は以下の通りである。
■ 例外的な状況における適用除外: 仕事の性質上、個人用聴覚保護具を完全かつ適切に使用することが、使用しない場合よりも健康や安全に対して大きなリスクを引き起こす可能性がある場合、加盟国は一定の条件下で聴覚保護具の使用義務やばく露制限の規定からの逸脱を許容してもよい。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
雇用主は、国内法に基づき以下の要件を遵守しなければならない。
リスクの決定および評価(第4条)
■ 労働者がばく露される騒音レベルを評価し、必要に応じて測定しなければならない。
■ 測定方法は騒音の特性、ばく露時間、周囲の要因に適したものでなければならず、測定データは後日参照できるよう適切な形式で保存する。
■ 評価に際しては、ばく露のレベル・種類・期間、ばく露限界値と動作値、敏感なリスクグループへの影響、騒音と耳毒性物質や振動との相互作用、警告信号との干渉による事故リスク、製造者が提供する機器の騒音情報などに特に注意を払わなければならない。
■ リスク評価の結果を記録し、重大な変更があった場合や、健康監視の結果必要とみなされる場合には定期的に更新しなければならない。
ばく露の回避または低減(第5条)
■ 技術の進歩を考慮し、騒音によるリスクを発生源で除去するか、最小限に抑えなければならない。
■ 「上側ばく露アクション値(85 dB(A)等)」を超える場合は、作業方法の変更、適切な作業機器の選択、職場の設計、技術的手段(遮蔽、吸音材等)、保守プログラム、作業時間の制限などを盛り込んだ技術的・組織的措置のプログラムを策定・実施しなければならない。
■ 上側ばく露アクション値を超える職場には適切な標識を掲示し、技術的に可能でリスクが正当化される場合には区域を画定してアクセスを制限しなければならない。
個人用保護具の使用(第6条)
■ 他の手段でリスクを防止できない場合、適切にフィットする個人用聴覚保護具を労働者が利用できるようにし、使用させなければならない。
■ 「下側ばく露アクション値(80 dB(A)等)」を超える場合は保護具を労働者に提供し、「上側ばく露アクション値」に達するか超える場合は保護具を使用させなければならない。
■ 保護具は、聴覚へのリスクを除去または最小限にするよう選択されなければならない。
ばく露の制限(第7条)
■ いかなる場合も、労働者の実効的なばく露(保護具による減衰を考慮したもの)が「ばく露限界値(87 dB(A)等)」を超えてはならない。
■ 限界値を超えた場合は、直ちにばく露を限界値未満に抑える措置を講じ、原因を特定し、再発防止のために保護・予防措置を修正しなければならない。
情報提供、訓練および協議(第8条、第9条)
■ 下側ばく露アクション値以上の騒音にばく露される労働者に対し、リスクの性質、実施されている措置、限界値の意味、測定結果、保護具の正しい使用方法、聴覚障害の兆候の報告方法、健康診断の目的などについて情報提供と訓練を行わなければならない。
■ リスク評価、リスク除去・低減措置、聴覚保護具の選択について労働者と協議し、参加させなければならない。
健康診断(健康監視)(第10条)
■ 評価の結果リスクがあることが示された場合、適切な健康監視を確保しなければならない。
■ 上側ばく露アクション値を超える労働者は聴覚検査を受ける権利があり、下側ばく露アクション値を超える場合も、リスクがある場合には予防的な聴力検査が提供されなければならない。
■ 個別の健康記録を作成・更新し、当局の要求に応じてコピーを提出しなければならない。
■ 聴覚障害が発見された場合、医師は職業的な騒音ばく露によるものか評価し、雇用主はリスク評価と対策を再検討し、医師のアドバイスに従ってリスクのない代替業務への配置換えなどを検討しなければならない。
政府への要件を通じた将来的影響
■ 加盟国は、音楽およびエンターテインメント部門の雇用主と労働者が法的義務を遵守できるよう、実務的なガイドラインを含む「行動規範」を作成しなければならない。この規範の内容が、将来的に当該セクターの具体的な実務に影響を及ぼす。
■ 欧州委員会は、技術的進歩や標準化の進展に合わせて本指令の技術面を修正するための委任権限を有しており、将来的に設計・製造・建設に関する要件が更新される可能性がある。
注目定義
■ 「ばく露限界値」(exposure limit values)
| 労働者がいかなる状況下でも超えてはならない、実効的なばく露の最大許容値。この値を適用する際は、労働者が着用している個人用聴覚保護具による「減衰効果(音を小さくする効果)」を考慮に入れて算出する。 |
■ 「ばく露アクション値(上側・下側) 」(exposure action values (upper / lower))
| 雇用主に対し、特定の保護措置や予防措置(保護具の提供、使用、作業環境改善など)を講じる義務が発生するしきい値。限界値とは異なり、このアクション値を適用する際には、聴覚保護具による減衰効果を考慮してはならない(つまり、耳栓などをしていない状態での騒音レベルで判断する)。 |
■ 「耳毒性物質」(ototoxic substances)
| 聴覚に対して毒性を持つ化学物質。リスク評価にあたっては、技術的に可能な範囲で、騒音とこれらの作業関連物質との相互作用が労働者の健康と安全に及ぼす影響を考慮しなければならない。 |
■ 「健康監視」(health surveillance)
| 騒音による健康へのリスクを早期に診断し、聴覚機能を保護することを目的とした医学的なチェックを指す。具体的には、医師の責任の下で行われる聴力検査(オージオメトリ検査)などが含まれる。 |
目次
第I節:一般規定
第1条:目的および範囲
第2条:定義
第3条:ばく露限界値およびばく露アクション値
第II節:雇用主の義務
第4条:リスクの決定および評価
第5条:ばく露の回避または低減を目的とする規定
第6条:個人保護
第7条:ばく露の制限
第8条:労働者の情報提供および訓練
第9条:労働者の協議および参加
第III節:雑則
第10条:健康監視
第11条:例外
第12条:本指令の修正
第12条a:委任の行使
第12条b:緊急手続き
第14条:行動規範
第15条:廃止
第IV節:最終規定
第17条:国内法化
第18条:発効
第19条:宛先
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 労働者の物理的要因(騒音)に起因するリスクへのばく露についての最低安全衛生要件に関する2003年2月6日付欧州議会および理事会指令2003/10/EC(指令89/391/EEC第16条第1項の意味における第17次個別指令) |
| 公布日 | 2003年02月15日 |
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