解説EU-刑事法による環境保護に関する指令

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法令の情報時期:2024年04月 統合版  ページ作成時期:2026年07月

目的

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■ 環境をより効果的に保護すること。

■ 環境犯罪を防止し、これに対応すること並びにEU環境法を効果的に執行すること。

概要

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本指令は、環境犯罪に対する刑事法的枠組みを強化し、従来の指令(2008/99/EC及び2009/123/EC)を置き換えるものである。

■ 背景・問題意識:環境犯罪の深刻化に対応するため、特定の違法行為を犯罪として規定し、関連する犯罪の定義をより明確にし、罰則の種類と水準を調和させる必要があった。

■ 適用範囲:違法かつ故意の行為であって、本指令第3条第2項及び第3項に掲げるものは犯罪となる。また、第4項に掲げる行為については、違法かつ少なくとも重大な過失による場合も犯罪となる。本指令において「違法」とは、EUの機能に関する条約第191条第1項に定めるEUの環境政策の目的の達成に寄与するEU法又は当該EU法を実施する加盟国の法令、規則、行政規定若しくは管轄当局の決定に違反することをいう。

施行時期:加盟国は、2026年5月21日までに、本指令を遵守するために必要な法令、規則及び行政規定を施行しなければならない。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

適用除外

なし

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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事業者は、自社の活動が以下の行為に該当しないよう、管理体制を整備する必要がある。

 環境犯罪を構成する違法行為の禁止

以下の行為が違法かつ故意に行われた場合、犯罪となる。また、(a)~(d)・(f)・(g)・(i)~(q)・(r)(ii)・(s)・(t)に掲げる行為については、少なくとも重大な過失によって行われた場合も犯罪となる(第3条)。

各行為の概要は以下のとおり。

  • 物質等の放出:大気・土壌・水への物質、エネルギー又は電離放射線の放出等で、人の死亡・重傷、又は大気・土壌・水の質、生態系・動物・植物に対する著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(a))。
  • 大規模使用:環境保護を目的とする禁止事項又はその他の要件に違反して、その大規模な使用が、大気・土壌・水への物質、エネルギー又は電離放射線の放出等で、人の死亡・重傷、又は大気・土壌・水の質、生態系・動物・植物に対する著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがある製品を上市すること(第3条第2項(b))。
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物質の製造等:物質の製造、上市等で、当該行為が、人の死亡・重傷、又は大気・水・土壌の質、生態系・動物・植物に対する著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがあり、かつ、 規則(EC) No 1907/2006等に違反するもの(第3条2項(c))。

水銀の製造等:水銀、水銀化合物、水銀混合物、水銀添加製品の製造、使用、保管等であって、当該行為が規則 (EU) 2017/852の要件を遵守せず、かつ、人の死亡・重傷又は大気・土壌・水の質、生態系・動物・植物に対する著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(d))。

無許可のプロジェクトの実施:指令2011/92/EUにいうプロジェクトの実施あって、当該行為が開発許可を得ずに実施され、かつ、大気・土壌の質、水の質・状態、生態系・動物・植物に対する著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(e))。

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廃棄物の収集等:廃棄物の収集、輸送、処理等で、当該行為が指令 2008/98/EC にいう有害廃棄物に関連し、かつ、無視できない数量に関連するもの、又はその他の廃棄物に関連し、人の死亡・重傷又は大気・土壌・水の質、生態系・動物・植物に対する著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(f))。

廃棄物の出荷:規則(EU) 2024/1157にいう廃棄物の出荷で、当該行為が無視できない数量に関係するもの(第3条第2項(g))。

船舶リサイクル:規則(EU) No 1257/2013の適用範囲内の船舶のリサイクルで、当該行為が同規則の要件を遵守しないもの(第3条第2項(h))。

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船舶起因汚染物質排出:指令2005/35/ECに違反する船舶に起因する汚染物質の排出で、水質の悪化又は海洋環境の損害を引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(i))。

危険施設の運転・閉鎖:危険な活動が実施される施設又は危険物質・混合物を保管又は使用する施設の運用又は閉鎖で、当該行為、危険な活動又は危険物質・混合物が指令2012/18/EU又は指令2010/75/EUの適用対象となり、かつ、人の死亡・重傷又は大気・土壌・水の質、生態系・動物・植物に対する著しい損害引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(j))。

海洋石油・ガス施設の建設等:施設の建設、運用又は廃止で、当該行為又は施設が指令2013/30/EUの適用対象であり、かつ、当該行為が人の死亡・重傷又は大気・土壌・水の質、生態系・動物・植物に対する著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(k))。

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放射性物質の製造等:放射性物質の製造、加工、取扱い、使用、保管等で、当該行為又は物質が指令2013/59/Euratom等の適用対象であり、かつ、当該行為が人の死亡・重傷又は大気・土壌・水の質、生態系・動物・植物に対する著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(l))。

取水:指令2000/60/ECにいう表流水又は地下水の取水で、当該行為が表流水体の生態学的状態若しくは生態学的ポテンシャル又は地下水体の量的状態に著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(m))。

保護対象野生生物の捕獲等: 指令92/43/EECの附属書Ⅳ掲載種等及び指令2009/147/EC規定種の殺傷、破壊、捕獲、販売等(無視できる数量を除く)(第3条第2項(n))。

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保護対象野生生物の取引等:規則(EC) No 338/97の附属書A又はB掲載種等の取引、又は附属書C掲載種等の輸入(無視できる数量を除く)(第3条第2項(o))。

森林減少関連商品の上市等: 規則(EU) 2023/1115に違反した、関連商品のEU市場への上市、EU市場からの輸出等(無視できる数量を除く)(第3条第2項(p))。

保護地域の生息地等への重大な損害:指令92/43/EECにいう保護地域内において、生息地を悪化させ、又は同指令附属書Ⅱ(a)掲載動物種を攪乱する行為で、その悪化又は攪乱が著しいもの(第3条第2項(q))。

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侵略的外来種の持ち込み等:侵略的外来種のEU域内へ持ち込み、上市、繁殖、輸送等で、当該行為が、規則(EU) No 1143/2014第7条第1項に定める制限に違反し、又は同指令第8条に基づく許可条件等に違反し、かつ、いずれも人の死亡・重傷又は大気・土壌・水の質、生態系、動物・植物に対する著しい損害を引き起こし、又はそのおそれがあるもの(第3条第2項(r)(i)・(ii))。

オゾン層破壊物質の製造等:規則(EU) 2024/590に規定されたオゾン層破壊物質又はこれを含む製品・機器等の製造、上市、輸入等(第3条第2項(s))。

フッ素化温室効果ガスの製造等:規則(EU) 2024/590に規定されたフッ素化温室効果ガス又はこれを含む製品・機器等の製造、上市、輸入等又は当該製品・機器の稼働(第3条第2項(t))。

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■ 法人の責任と罰則

  • 法人の責任:第3条及び第4条に規定する犯罪が、法人内で指導的地位にある者によって、法人の代表権、意思決定権限、管理権限に基づき当該法人の利益のために行われた場合、当該法人は責任を問われ得る。また、これらの者による監督又は管理の欠如により、その権限下にある者が当該法人の利益のために第3条及び第4条に規定する犯罪を実行することが可能となった場合も、当該法人は責任を問われ得る(第6条第1項・第2項)。
  • 罰金の水準:法人に対する最大罰金額は、特定の重大犯罪(第3条第2項(a)~(l)・(p)・(s)・(t))については、少なくとも全世界売上高の5%又は4,000万ユーロ、その他の犯罪(第3条第2項(m)~(o)・(q)・(r))については、少なくとも全世界売上高の3%又は2,400万ユーロとするよう定められている(第7条第3項)。
  • その他の措置:法人に対しては、事業活動の資格剥奪、許認可の取消し、施設の閉鎖、環境回復義務、デューディリジェンス・スキームの策定義務等の措置も科される可能性がある(第7条第2項)。
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 将来的な影響

  • 国家戦略:加盟国は、2027年5月21日までに環境犯罪対策に関する国家戦略を策定・公表しなければならない(第21条)。

注目定義

<対象>

■ 「法人」(legal person)

「法人」とは、適用される国内法に基づき法人としての地位を有する法的主体をいう。ただし、国家、国家権限を行使する公的機関及び公的国際機関を除く。

目次

第1条:対象事項

第2条:定義

第3条:犯罪

第4条:教唆、幇助及び未遂

第5条:自然人に対する罰則

第6条:法人の責任

第7条:法人に対する罰則

第8条:加重事由

第9条:軽減事由

第10条:凍結及び没収

第11条:時効期間

第12条:管轄権

第13条:捜査手段

第14条:環境犯罪の通報者及びその捜査を支援する者の保護

第15条:公益に係る情報の公表及び関係公衆の司法へのアクセス

第16条:防止措置

第17条:資源

第18条:研修

第19条:加盟国内の管轄当局間の調整及び協力

第20条:加盟国、欧州委員会及びEU機関間の協力

第21条:国家戦略

第22条:統計データ

第23条:実施権限

第24条:委員会手続

第25条:評価、報告及び見直し

第26条:指令2008/99/ECの置き換え

第27条:指令2009/123/ECの置き換え

第28条:国内法化

第29条:発効

第30条:宛先

基礎情報

法令(現地語)

Directive (EU) 2024/1203 of the European Parliament and of the Council of 11 April 2024 on the protection of the environment through criminal law and replacing Directives 2008/99/EC and 2009/123/EC

法令(日本語)

刑事法を通じた環境の保護に関する、指令2008/99/EC及び2009/123/ECを置き換える2024年4月11日の欧州議会及び理事会指令(EU)2024/1203

公布日

2024年04月30日

所管当局

作成者

株式会社先読

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