解説EU-特定大気汚染物質の国別排出削減指令(NEC指令)

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法令の情報時期:2024年02月 統合版 ページ作成時期:2026年07月

目的

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■ 本指令は、人の健康及び環境に重大な負の影響又はリスクを生じさせない大気質水準の達成に向けて前進することを目的とする。

■ 本指令は、以下の事項の達成にも寄与する。

(a) EU法に定める大気質目標の達成及び、世界保健機関(WHO)が公表する大気質ガイドラインに沿った大気質水準を達成するというEUの長期目標に向けた進展

(b) 第7次環境行動計画に沿ったEUの生物多様性及び生態系に関する目標

(c) EUの大気質政策と、その他の関連するEU政策(特に気候・エネルギー政策)との相乗効果の強化

概要

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本指令は、加盟国に対し、大気中への二酸化硫黄(SO₂)、窒素酸化物(NOx)、非メタン揮発性有機化合物(NMVOC)、アンモニア(NH₃)及び微小粒子状物質(PM2.5)の排出削減義務を定めるとともに、国家大気汚染管理プログラムの策定・実施並びにこれらの汚染物質及び附属書Iに規定されたその他の汚染物質の排出及びその影響の監視・報告を義務付けるものである。

背景:本指令は、従来の指令(2001/81/EC)を廃止して置き換えるものであり、より厳格な排出削減義務を定めている。

適用範囲:本指令は、加盟国の領域、排他的経済水域(EEZ)及び汚染管理水域内のあらゆる発生源から排出される附属書Iに記載された汚染物質に適用される。

主な義務:加盟国は、附属書IIに定める2020~2029年及び2030年以降に適用される国別排出削減義務に従い、少なくともSO₂、NOx、NMVOC、NH₃及びPM2.5の年間人為起源排出を制限しなければならない。

施行時期:本指令は2016年12月31日に発効した。加盟国は2018年7月1日までに本指令を国内法化し、施行する必要があった。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

適用除外

以下の地域からの排出は、本指令の対象とならない。

特定地域:カナリア諸島、フランス海外県、マデイラ諸島及びアゾレス諸島における排出。

以下の排出は、排出削減義務の達成状況を評価する際の算定対象から除外される。

航空:離着陸サイクル(LTOサイクル)を超える航空機からの排出。

海運:上記の特定地域との間の国内海上交通からの排出及び国際海上交通(ある国の領土を出発し、別の国の領土に到着する船舶による航行。漁船を除く。)からの排出。

特定の農業カテゴリー由来排出:LRTAP条約に基づき定められた2014年版報告分類(NFR)のカテゴリー3B(家畜排せつ物管理)及び3D(農業土壌)に該当する活動からのNOx及びNMVOCの排出。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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【排出削減措置】

加盟国は、第4条(国別排出削減義務)に従って年間人為起源排出を制限し、本指令の目的達成に寄与するため、附属書III第1部に従って国家大気汚染管理プログラム(NAPCP)を策定・実施しなければならない(第6条第1項)。

国家大気汚染管理プログラムには、附属書III第2部に義務的措置として定められた排出削減措置を含めなければならない。また、同第2部に任意措置として定められた排出削減措置又は同等の軽減効果を有する措置を含めることができる(第6条第2項)。

したがって、事業者は、各加盟国がNAPCP及び国内実施法令に基づき導入する具体的な排出削減措置を確認する必要がある。

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附属書III第2部に規定された排出制限措置の概要は、以下のとおりである。

加盟国は、炭酸アンモニウム肥料の使用を禁止しなければならない。また、無機肥料由来のアンモニア排出を削減するため、尿素系肥料から硝酸アンモニウム系肥料への転換等の手法を採用することができる(附属書III第2部A.3)

加盟国は、家畜排せつ物由来のアンモニア排出削減措置として、以下の手法を採用することができる(附属書III第2部A.4)。

  • 排せつ物及びスラリー散布管理:栄養要求量に応じた散布、散布対象地が水で飽和、冠水、凍結又は積雪している場合の散布禁止、草地へのスラリー散布におけるトレーリングホース、トレーリングシュー又は注入法の使用、並びに耕作地への散布後4時間以内の土壌混和。
  • 排せつ物貯蔵管理:スラリー貯蔵施設における低排出型畜舎システム又は技術の使用等。
  • 家畜舎管理:家畜舎における排出削減システムの使用。
  • 飼料管理:低タンパク飼料戦略の採用。

加盟国は、微小粒子状物質及びブラックカーボンの排出削減措置として、農業収穫残渣、廃棄物及び森林残渣の野焼きを禁止することができる。例外は、森林火災の防止、害虫駆除等の目的で必要な場合に限られる(附属書III第2部B.1)。

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【モニタリングと情報開示】

モニタリング: 加盟国は、大気汚染が生態系に及ぼす負の影響をモニタリングしなければならない(第9条第1項)。

情報公開:加盟国は、NAPCPや国別排出インベントリ等の情報を、ウェブサイトを通じて一般に公開しなければならない(第14条第1項)。

【罰則】

■ 加盟国は、本指令に基づき採択された国内規定の違反に適用される、効果的で、比例的で、抑止力のある罰則を定めなければならない(第18条)。

注目定義

<対象>

■ 「国別排出削減義務」(national emission reduction commitment)

「国別排出削減義務」とは、加盟国が特定の物質の排出を削減する義務をいい、基準年(2005年)の総排出量に対する割合として、対象暦年において最低限達成しなければならない排出削減率を定めるものである。

目次

第1条 目的及び対象事項

第2条 適用範囲

第3条 定義

第4条 国別排出削減義務

第5条 柔軟性

第6条 国家大気汚染管理プログラム

第7条 財政的支援

第8条 国別排出インベントリ、排出予測及びインベントリ情報報告書

第9条 大気汚染による影響のモニタリング

第10条 加盟国による報告

第11条 欧州委員会による報告

第12条 欧州クリーン・エア・フォーラム

第13条 見直し

第14条 情報へのアクセス

第15条 第三国との協力及び国際機関内での調整

第16条 委任権限の行使

第17条 委員会手続

第18条 罰則

第19条 指令2003/35/ECの改正

第20条 国内法化

第21条 廃止及び経過規定

第22条 発効

第23条 宛先

附属書I 大気排出のモニタリング及び報告

附属書II 国別排出削減義務

附属書III 第6条及び第10条に規定する国家大気汚染管理プログラムの内容

附属書IV 国別排出インベントリ、排出予測及びインベントリ情報報告書の作成・更新方法

附属書V 第9条に規定する大気汚染影響モニタリングのための任意指標

附属書VI 相関表

基礎情報

法令(現地語)

Directive (EU) 2016/2284 of the European Parliament and of the Council of 14 December 2016 on the reduction of national emissions of certain atmospheric pollutants, amending Directive 2003/35/EC and repealing Directive 2001/81/EC

法令(日本語)

特定の大気汚染物質の国別排出削減に関する2016年12月14日の欧州議会及び理事会指令(EU)2016/2284(指令2003/35/ECを改正、指令2001/81/ECを廃止)

公布日

2016年12月17日

所管当局

作成者

株式会社先読

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