| 法令の情報時期:2026年06月 公布 | ページ作成時期:2026年09月 |
目的
本規則は、特定の新しいゲノム技術(NGT)により得られた植物、当該植物を含む・当該植物からなる・当該植物から生産された食品および飼料、ならびに当該植物を含む・当該植物からなる食品および飼料以外の製品について、次の目的を達成することを掲げている(第1条)。
■ 予防原則に従い、人および動物の健康ならびに環境の高い水準の保護を確保すること
■ これらの植物および製品に関する域内市場の効果的な機能を確保すること
■ イノベーション、持続可能性および競争力を高めること
これらの目的のため、本規則は、上市以外の目的での環境への意図的放出、ならびに当該食品・飼料およびその他の製品の上市について、固有の規則を定めている(第1条第2段)。
概要
本規則は、NGT植物を「カテゴリー1 NGT植物」と「カテゴリー2 NGT植物」に区分し、それぞれ異なる規律を適用する枠組みである。適用対象は、NGT植物、NGT植物を含む・これからなる・これから生産された食品および飼料、ならびに食品・飼料以外の製品である(第2条)。
カテゴリー1 NGT植物は、附属書Iの「従来の植物との同等性の基準」を満たし、かつ附属書IIに掲げる形質(除草剤耐性、既知の殺虫性物質の生成)を意図した形質として含まない植物およびその後代である(第3条第13号)。カテゴリー1 NGT植物および同製品には、EU法上の遺伝子組換え生物(GMO)に適用される規則が適用されない(第5条第1項)。ただしその地位を得るには、加盟国の所管当局または欧州食品安全機関(EFSA)への確認請求を経て、カテゴリー1 NGT植物である旨の決定を取得する必要がある(第4条、第6条、第7条)。
それ以外のNGT植物はカテゴリー2 NGT植物であり(第3条第14号)、本規則に別段の定めがない限りGMOに適用される規則が適用される(第12条)。カテゴリー2については、指令2001/18/ECに基づく届出および規則(EC) No 1829/2003に基づく認可申請に関する特則が置かれている(第13条、第14条、第20条)。
このほか、植物繁殖材料への表示義務(第10条)や、持続可能性に資する形質へのインセンティブ(第23条)が定められている。本規則は2028年07月17日から適用されるが、第29条から第31条は2026年07月16日から適用される(第38条)。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
本規則には、本規則全体の適用から事業者・製品・施設・行為を一律に免除する規定は置かれていない。関連する規定として、次の点がある。
■ カテゴリー1 NGT植物(第4条(a)の条件を満たすもの)およびカテゴリー1 NGT製品(同(b)の条件を満たすもの)には、EU法上GMOに適用される規則が適用されない(第5条第1項)。これは本規則の適用免除ではなく、GMO関連法令の適用に関する取扱いである。
■ 有機生産との関係では、カテゴリー1 NGT植物およびこれらから生産された製品について規則(EU) 2018/848第5条(f)(iii)および第11条が適用される。他方、有機生産等におけるカテゴリー1 NGT植物およびその製品の偶発的または技術的に不可避な混入は、同規則の不適合を構成しない(第5条第2項)。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
手続を経ない放出・上市の禁止(第4条)
■ カテゴリー1 NGT植物を上市以外の目的で意図的に放出できるのは、第6条または第7条に基づきカテゴリー1 NGT植物である旨の決定を得た植物、またはその後代である場合に限られる。
■ カテゴリー1 NGT製品を上市できるのは、対象の植物が上記の条件を満たす場合に限られる。
■ カテゴリー2 NGT植物の上市以外の意図的放出には第III章第1節に基づく同意が、カテゴリー2 NGT製品の上市には同章第2節または第3節に基づく同意または認可が必要である。
カテゴリー1の地位確認請求(第6条、第7条)
■ 上市以外の意図的放出に先立つ場合、放出を行おうとする者は、放出地の加盟国の所管当局へ確認請求を提出する(第6条第1項)。複数加盟国で放出する場合はいずれか1か国の当局へ提出する(同第2項)。
■ 上市に先立つ場合で、第6条による決定を未取得のときは、上市しようとする者がEFSAへ確認請求を提出する(第7条第1項)。
■ 請求には、請求者の氏名・住所、NGT植物の名称と仕様、導入・改変された形質と特性の説明、当該植物がNGT植物であること(開発中に一時的に挿入された遺伝物質が残存しないことを含む)および附属書Iの基準を満たすことを示す研究資料の写し(関連DNA配列情報を含む)、機密扱いを求める部分の特定と検証可能な理由を記載する(第6条第3項、第7条第2項)。
■ 附属書IIの形質のいずれも意図した形質に含まれない旨の宣言と、提出時点で入手可能な科学的証拠を添付する(第6条第4項、第7条第3項)。
■ 請求と併せて、当該NGT植物の生物学的材料に関する特許または公開済み特許出願の情報を知り得る限り提出するか、それらが存在しない旨を宣言する(第6条第5項、第7条第4項)。請求者が特許権者である場合は、公正かつ合理的な条件でのライセンス供与の意思およびライセンスプラットフォームへの参加の有無を明らかにする書面宣言を提出する(第6条第6項、第7条第5項)。
■ 必要情報や特許情報等を欠く請求は、受領から30営業日以内に受理不可とされる(第6条第9項、第7条第8項)。
■ 特許情報およびライセンス宣言に変更が生じた場合、請求者は知り得る限りにおいて遅滞なく欧州委員会へ通知しなければならない(第9条第2項)。
カテゴリー1の表示・情報提供(第10条)
■ カテゴリー1 NGT植物を含むまたはこれからなる植物繁殖材料を、有償・無償を問わず第三者に提供する場合、「NGT-1」の表示および由来するNGT植物の識別番号を付したラベルを表示しなければならない。育種目的・科学目的の材料も対象である(第10条第1項)。
■ 植物繁殖材料が提供されるデータベースおよび販売関連文書にも、カテゴリー1 NGT植物を含む旨および識別番号を記載しなければならない(第10条第4項)。
カテゴリー2の届出・申請(第13条、第14条、第20条)
■ 上市以外の意図的放出の届出(指令2001/18/EC第6条)には、届出者の氏名・住所、NGT植物であることを示す研究資料、附属書IIIに基づく技術資料(要員・訓練に関する一般情報、各植物の情報、放出条件と受入環境、環境との相互作用、モニタリング計画、必要な場合の管理・修復・廃棄物処理・緊急対応計画、機密扱い要請部分、要約)、および環境リスク評価を含める(第13条)。
■ 食品・飼料以外の用途でのカテゴリー2製品の上市届出(同指令第13条)には、届出者(EU域外の場合はEU域内代理人)の情報、植物の名称・仕様、届出範囲(栽培かその他の用途か)、NGT植物であることを示す資料、環境リスク評価、上市条件、10年を超えない同意期間の提案、モニタリング計画(不要と正当に説明できる場合を除く)、ラベル案、商品名および固有識別子の案、使用方法の説明、サンプリング・検出・同定・定量の方法、サンプルおよび参照材料の所在、カルタヘナ議定書関連情報、機密扱い要請部分、要約を含める(第14条第1項)。
■ 届出者は、EU域内外を問わず自ら届け出たまたは実施した同一のカテゴリー2 NGT植物の放出に関するデータまたは結果を届出に含めなければならない(第14条第2項)。
■ 食品・飼料用の認可申請(規則(EC) No 1829/2003第5条・第17条)には、NGT植物であることおよび食品・飼料が同規則の基準に適合することを示す研究資料(入手可能な場合は独立した査読済み研究を含む)、サンプリング・検出・同定・定量の方法、食品・飼料用のカテゴリー2 NGT植物またはカテゴリー2 NGT植物を含むもしくはこれからなる食品・飼料の場合は環境リスク評価とモニタリング計画(不要と正当に説明できる場合を除く)、ならびに第24条に従うラベル案を添付する(第20条)。
■ 同定・定量の分析方法の提出が実行不可能である場合、申請者・届出者が十分な理由を示せば、分析方法の性能要件への適合方法が調整される(第14条第1項(l)、第20条第2項)。
カテゴリー2に関する手続期間・表示(第21条、第22条、第24条)
■ EFSAは有効な申請の受領から6か月以内に意見を出す。追加情報を求める場合は当該期間分延長され、延長は原則6か月を超えない(第21条第1項)。
■ 同意および認可は、最初の更新時に無期限で有効となる。ただしリスク評価の結果や使用経験に基づく正当な理由がある場合は期間が限定される(第18条第1項、第22条)。
■ 認可されたカテゴリー2 NGT製品のラベルには、同意または認可で特定された遺伝子改変により付与された形質を記載することができる。記載する場合は、当該植物の遺伝子改変により付与された全ての形質を記載しなければならない(第24条)。
持続可能性に資する形質のインセンティブ(第23条)
■ 附属書IV第1部の形質を少なくとも1つ有し、かつ同第2部の形質(除草剤耐性)を有しないカテゴリー2 NGT植物・製品が対象である(第23条第1項)。
■ 対象となる認可申請では、EFSAの意見が原則4か月以内に示される。また申請者が中小企業(SME)である場合、EU参照試験所(EURL)および欧州GMO試験所ネットワーク(ENGL)への財政拠出が免除される(第23条第2項)。
■ 提出前助言が利用できる。SMEである場合は、実施予定の試験設計を含めて通知し、これに対する助言を受けることができ、複数の時点で助言を求めることができる(第23条第3項、第4項(d))。
■ インセンティブの請求は、提出前助言の要請時または認可申請時にEFSAへ行い、条件充足を示す情報、SMEであることを示す情報等を添付する(第23条第5項)。
機密情報の取扱い(第11条)
■ 請求者は、情報の開示が自らの利益を著しく害し得ることを示す検証可能な理由を付して、機密扱いを請求できる。機密扱いが認められ得るのは、規則(EC) No 178/2002第39条第2項(a)〜(c)の情報、DNA配列情報、育種のパターンおよび戦略に限られる(第11条第1項、第3項)。
執行および不服(第34条、第36条)
■ 加盟国の所管当局は、本規則の遵守を確保するため検査その他の管理措置を実施する。第4条の要件を満たさない放出または上市があった場合、加盟国は当該行為の終了、必要に応じた是正措置、および公衆等への通知のために必要な措置がとられることを確保する(第34条)。
■ EFSAの決定または権限の不行使については、直接かつ個別に関係する者は、それを知った日から2か月以内に欧州委員会へ審査を請求できる(第36条)。
注目定義
<対象>
■ 「NGT植物(第3条第9号)」
| 標的変異導入もしくはシスジェネシス、またはその組合せにより得られた遺伝子組換え植物であって、開発中に一時的に挿入された可能性のある、従来育種目的の遺伝子プール外に由来する遺伝物質を含まないもの。 |
<対象>
■ 「カテゴリー1 NGT植物(第3条第13号)」
| 附属書Iの従来の植物との同等性の基準を満たし、かつ遺伝子改変により付与が意図された形質に附属書IIの形質を含まない植物、またはその後代であって、さらなる改変を含まないもの。 |
<対象>
■ 「NGT製品(第3条第18号)」
| NGT植物を含む、これからなる、またはこれから生産された食品および飼料、ならびにNGT植物を含むまたはこれからなる食品・飼料以外の製品。 |
目次
第I章 総則
■ 第1条 対象事項および目的
■ 第2条 適用範囲
■ 第3条 定義
■ 第4条 上市以外の目的でのNGT植物の意図的放出およびNGT製品の上市
第II章 カテゴリー1 NGT植物およびカテゴリー1 NGT製品
■ 第5条 カテゴリー1 NGT植物およびカテゴリー1 NGT製品の地位
■ 第6条 上市以外の目的での意図的放出に先立って提出される請求に係るカテゴリー1 NGT植物の地位の確認手続
■ 第7条 NGT製品の上市に先立って提出される請求に係るカテゴリー1 NGT植物の地位の確認手続
■ 第8条 欧州委員会、EFSAおよび加盟国の間の情報交換システム
■ 第9条 カテゴリー1 NGT植物の地位を宣言する決定のデータベース
■ 第10条 カテゴリー1 NGT植物の植物繁殖材料(育種材料を含む)の表示および情報の透明性
■ 第11条 機密性
第III章 カテゴリー2 NGT植物およびカテゴリー2 NGT製品
■ 第12条 カテゴリー2 NGT植物およびカテゴリー2 NGT製品の地位
第1節 上市以外の目的でのカテゴリー2 NGT植物の意図的放出
■ 第13条 指令2001/18/EC第6条にいう届出
第2節 食品または飼料以外の用途でのカテゴリー2 NGT製品の上市
■ 第14条 指令2001/18/EC第13条にいう届出
■ 第15条 モニタリングに関する特則
■ 第16条 分析方法の性能要件に関する特則
■ 第17条 第24条に従う表示
■ 第18条 更新後の同意の有効期間
第3節 食品・飼料用のカテゴリー2 NGT植物ならびにカテゴリー2 NGT食品および飼料の上市
■ 第19条 適用範囲
■ 第20条 規則(EC) No 1829/2003第5条および第17条にいう認可申請に関する特則
■ 第21条 EFSAの意見に関する特則
■ 第22条 更新後の認可の有効期間
第4節 カテゴリー2 NGT植物およびカテゴリー2 NGT製品に共通の規定
■ 第23条 持続可能性に関連する形質を有するカテゴリー2 NGT植物およびカテゴリー2 NGT製品に対するインセンティブ
■ 第24条 認可されたカテゴリー2 NGT製品の表示
第IV章 最終規定
■ 第25条 情報要件
■ 第26条 委任の行使
■ 第27条 実施法
■ 第28条 委員会手続
■ 第29条 ガイダンス
■ 第30条 行動規範
■ 第31条 NGT植物特許専門家グループおよびNGT植物の特許付与の影響に関する詵価
■ 第32条 モニタリング、報告および評価
■ 第33条 持続可能性
■ 第34条 加盟国による管理
■ 第35条 他のEU法令における参照
■ 第36条 行政審査
■ 第37条 規則(EU) 2017/625の改正
■ 第38条 発効および適用
附属書I NGT植物の従来の植物との同等性の基準
附属書II 第3条第13号(a)にいう、NGT植物をカテゴリー1の地位から除外する形質
附属書III カテゴリー2 NGT植物ならびにカテゴリー2 NGT食品および飼料のリスク詵価
附属書IV 第23条にいう形質
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 特定の新しいゲノム技術により得られた植物およびその製品に関する、および規則(EU) 2017/625を改正する、2026年06月17日の欧州議会および理事会の規則(EU) 2026/1388 |
| 公布日 | 2026年06月26日(官報 OJ L, 2026/1388) |
| 所管当局 | 欧州委員会、欧州食品安全機関(EFSA)および加盟国の所管当局(指令2001/18/EC第4条第4項に基づき指定された当局) |
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