| 法令の情報時期:2026年09月 確認 | ページ作成時期:2026年09月 |
目的
本規則は、米国労働安全衛生法(OSH Act)に基づく一般産業向けの労働安全衛生規則(連邦規則集第29編第1910部)の一部であり、事業場における従業員の実務上の安全確保に必要な電気に関する安全要件を定めることを目的とする(§1910.301)。
規則自身は、その内容が次の4つの区分に分かれると規定している(§1910.301)。
■ 電気設備の設計に関する安全基準。従業員の事業場へ電力および照明を供給するために用いられるすべての電気機器および設備を対象とする(§1910.302〜§1910.330)
■ 安全に関連する作業方法(§1910.331〜§1910.360)
■ 安全に関連する保守要件(§1910.361〜§1910.380)
■ 特殊機器に関する安全要件(§1910.381〜§1910.398)
これらの区分に適用される定義は§1910.399に置かれている。現時点で実体的な規定が置かれているのは、設計に関する安全基準(§1910.302〜§1910.308)および作業方法(§1910.331〜§1910.335)であり、保守要件および特殊機器に関する規定は留保されている。
概要
本規則の設計に関する安全基準は、建物、構築物その他の構内(構内の庭、カーニバル、駐車場、移動住宅、レクリエーション用車両、産業用変電所、設備を電力供給に接続する導体および構内のその他の屋外導体を含む)に設置され、または使用される電気設備および電気利用機器に適用される(§1910.302(a)(1))。
適用の範囲は設置時期により異なる。すべての設備が遵守すべき中核的な要件があるほか、1972年03月15日より後に設置またはオーバーホールされた設備は§1910.302から§1910.308までの規定に、1981年04月16日より後および2007年08月13日より後に設置された設備はさらに所定の追加要件に従う(§1910.302(b))。
作業方法に関する規定は、有資格者および無資格者の双方について、構内配線、電力供給への接続配線、構内の屋外導体、並びに電気導体とともに敷設された光ファイバーケーブルに関する作業またはその近傍での作業に適用される(§1910.331(a)、(b))。ここでは、訓練(§1910.332)、作業方法の選択と使用(§1910.333)、機器の使用(§1910.334)、人身保護のための安全措置(§1910.335)が定められ、充電部の停電作業を原則とすること、停電が困難な場合の要件、最小接近距離、保護具および警告措置が中心となる。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
■ 設計に関する安全基準は、次の設備には適用されない(§1910.302(a)(2))。移動住宅およびレクリエーション用車両を除く船舶、水上構造物、鉄道車両、航空機または自動車内の設備。地下鉱山の設備。鉄道車両の運行にのみ用いる電力の発生、変成、送電もしくは配電のための鉄道設備、または信号および通信にのみ用いる設備。通信事業者が専属的に管理する通信機器の設備であって、屋外または当該設備専用の建物空間にあるもの。通信もしくは計量のため、または電力の発生、制御、変成、送電および配電のために電気事業者が専属的に管理する設備であって、電気事業者がその目的に専用する建物内、電気事業者が所有もしくは賃借する土地上の屋外、公道等の上、または私有地上の既得権に基づく屋外にあるもの。
■ 作業方法に関する規定は、有資格者が次の設備について行う作業には適用されない(§1910.331(c))。電力の発生、制御、変成、送電および配電の設備(通信および計量を含む)であって、その用途の建物内または屋外にあるもの(§1910.269による)。通信設備(§1910.268の対象となる作業の範囲)。船舶、水上構造物、鉄道車両、航空機または自動車(移動住宅およびレクリエーション用車両を除く)内の設備。鉄道車両の運行にのみ用いる電力の発生、変成、送電もしくは配電のための鉄道設備、または信号および通信にのみ用いる鉄道設備。
■ このほか、設置時期に応じた適用範囲の区分が設けられており、1972年03月15日以前に設置された設備には、すべての設備に適用される中核的な要件のみが適用される(§1910.302(b))。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
機器の承認、検査および設置(§1910.303(a)、(b))
■ 導体および機器は、§1910.399の定義に照らして「承認された(approved)」ものでなければならない(§1910.303(a))。
■ 電気機器は、死亡または重篤な傷害を生じるおそれのある認識された危険がないものとしなければならない。その判断にあたっては、用途への適合性、機械的強度、絶縁、発熱、アークの影響および分類等を評価する。リストに掲載された機器は、その掲載条件および表示に従って設置および使用する。過電流保護装置と回路の特性は、故障時に過大な損傷が生じないよう整合させる。当該環境での使用について識別されたものを除き、湿潤な場所または劣化要因にさらされる場所に設置してはならず、設置は整然と適切に行い、損傷した部材を用いてはならない(§1910.303(b))。
接続、アークを生じる部分および表示(§1910.303(c)〜(f))
■ 接続部は導体の材質に適合したものとし、異種金属の混用は当該用途に適合することが確認された器具による場合に限る。接続は導体を損傷することなく確実に行い、はんだ付けを行う場合はその前に機械的および電気的に確実な接続としなければならない(§1910.303(c))。
■ 通常の運転においてアーク、火花または高温の金属片を生じる部分は、囲うか、可燃物から隔離しなければならない(§1910.303(d))。
■ 電気機器には、製造者を識別できる表示と、電圧、電流等の定格の表示を、使用環境に耐える耐久性をもって付さなければならない(§1910.303(e))。
■ 各サービス、幹線、分岐回路、電動機および器具の断路装置には、その用途が明らかである場合を除き、用途を示す判読可能な表示を付さなければならない(§1910.303(f))。
作業空間および充電部の防護(§1910.303(g)、(h))
■ 公称600V以下の設備については、運転および保守を安全に行うために十分な接近経路および作業空間を確保しなければならない。作業空間の奥行きは電圧および周囲の条件に応じてTable S-1により、幅は機器の幅または30インチのいずれか大きい値以上とし、扉が90度開くことを妨げてはならない。作業空間には照明を設け、少なくとも1か所の出入口を確保する(§1910.303(g)(1))。
■ 50V以上の充電部は、認可されたキャビネットもしくは囲い、有資格者以外の立入りを制限した室、隔壁、または高所への設置により防護しなければならない。露出した充電部のある区域には、有資格者以外の立入りを禁じる警告標識を掲げる(§1910.303(g)(2))。
■ 公称600Vを超える設備については、上記に加えて追加の要件が適用される。施錠された扉、隔壁または柵により有資格者以外の接近を防ぎ、所定の奥行き(Table S-2)、高さおよび幅の作業空間を確保し、危険を知らせる警告標識を目立つ位置に掲げなければならない(§1910.303(h))。
配線の設計および保護(§1910.304)
■ 接地された導体および接地用導体の使用と識別(§1910.304(a))、分岐回路(同(b))、公称600V以下の屋外導体(同(c))、屋外照明器具の設置位置(同(d))、サービス(同(e))、過電流保護(同(f))および接地(同(g))について要件が定められる。
■ 浴室および屋上に設置する125V単相15Aおよび20Aのコンセントには、地絡回路遮断装置(GFCI)による保護を設けなければならない。この要件は2007年08月13日より後に設置された設備に適用される(§1910.302(b)(4))。建設類似の活動(一定の保守、改修および修理を含む)で用いる仮設配線のうち、恒久配線の一部ではなく従業員が使用する125V単相15A、20Aおよび30Aのコンセントについても同様である(§1910.304(b)(3))。
■ 接地に関しては、接地を要する系統および機器の範囲、接地の方法、接地経路の確保等が定められる(§1910.304(g))。
配線方法および特定用途の設備(§1910.305、§1910.306、§1910.308)
■ 一般用の配線方法、部材および機器について要件が定められる(§1910.305)。
■ エレベーター、クレーン、溶接機等の特定用途の機器および設備について要件が定められる(§1910.306)。
■ 特殊系統について要件が定められる(§1910.308)。
危険場所(§1910.307)
■ 引火性の蒸気、液体もしくはガス、または可燃性の粉じんもしくは繊維の存在により区分される場所(航空機格納庫、給油所、塗料工場、石油関連施設等)における電気機器および配線に適用され、区域ごとに個別に評価する(§1910.307(a))。
■ クラス・ゾーン方式により危険場所として指定したすべての区域、および2007年08月13日より後にクラス・ディビジョン方式により指定した区域については、その指定を適切に文書化し、当該場所で電気機器の設計、設置、検査、保守または運転を行う権限を有する者が参照できるようにしなければならない(§1910.307(b))。
■ 機器は、本質安全であるか、当該場所について承認されたものであるか、または安全であることを示せるものでなければならない。機器には、クラス、グループおよび周囲温度40℃を基準とする使用温度を表示する(§1910.307(c))。
■ 電線管はねじ込み式としてレンチで締め付けなければならない。ねじ込みが実行困難な場合はボンディングジャンパーを用いる(§1910.307(d))。
■ 防爆構造、粉じん防爆構造、防じん構造、パージ・加圧、非着火性の回路・機器・部品、油入、密封等の保護方式が認められる(§1910.307(f))。クラスIの場所については、区分(division)方式に代えてゾーン方式を用いることができる(§1910.307(g))。
訓練(§1910.332)
■ 電気設備の設計基準によっては除去されない感電の危険にさらされる従業員に訓練を行わなければならない。Table S-4に掲げる電気工、溶接工、整備員、監督者等の職種が対象となるが、当該職種であっても業務上、対地50V以上の充電された回路にばく露しない場合は訓練を要しない(§1910.332(a))。
■ 訓練の内容として、対象となる従業員は§1910.331から§1910.335までの安全作業方法のうち自らの業務に関係するものを理解していなければならない。無資格者に対しては、これらの規定に明示されていないが自らの保護に必要な電気関連の安全作業方法についても訓練する(§1910.332(b)(1)、(b)(2))。
■ 露出した充電部の近傍での作業を認められる有資格者に対しては、充電部と他の部分との識別、露出した充電部の公称電圧の判定、および§1910.333(c)に定める離隔距離とこれに対応する電圧の理解について、最低限の訓練を行わなければならない(§1910.332(b)(3))。
■ 訓練は集合教育または実地教育の形式で行い、従業員がさらされる危険の程度に応じた密度とする(§1910.332(c))。
作業方法の選択および使用(§1910.333)
■ 従業員が作業する充電部は、作業前に停電し、電源から切り離さなければならない。停電することがかえって追加の危険を生じる場合、または設備の設計・運転上の制約により実行困難である場合はこの限りでない。対地50V未満で運転される部分については、アークによる火傷や爆発の危険が増大しない限り停電を要しない(§1910.333(a)(1))。
■ 充電状態で作業を行う場合は、当該電圧および条件に適した安全な作業方法により、従業員が充電部に接触しないよう保護しなければならない(§1910.333(a)(2))。
■ 停電した部分の作業では、従業員がばく露している間、当該部分へ電力を供給しうる回路をロックアウトまたはタグアウトしなければならない。手順は書面により作成し、閲覧に供する(§1910.333(b)(2))。停電に先立ち安全な手順を定め、すべてのエネルギー源を切り離し、制御装置のみによる遮断では足りないものとし、コンデンサ等に蓄積された電気エネルギーを放電・接地する(同(b)(2)(ii))。断路装置ごとに錠および表示を取り付ける(同(b)(2)(iii))。有資格者が再起動しないことを確認し、回路要素を試験して停電を確認する(同(b)(2)(iv))。送電の再開前に工具および接地の残置がないかを点検し、従業員を退避させたうえで、錠および表示を取り付けた者または指名された有資格者が取り外す(同(b)(2)(v))。
■ 停電されていない回路部分または機器での作業は有資格者に限る(§1910.333(c)(2))。架空電力線については、作業開始前に停電および接地を行うか、防護、隔離または絶縁の措置を講じる。無資格者は、50kV以下で10フィート(305cm)、50kVを超える場合はこれに10kVごとに4インチを加えた距離を確保する。有資格者はTable S-5の接近距離による(§1910.333(c)(3))。
■ このほか、充電部のある場所での照明の確保、狭あいな場所での遮へい、導電性材料および工具の取扱い、はしごの側木を非導電性とすること、導電性の装身具の制限、整理整頓、並びにインターロックの解除を有資格者に限ることが定められる(§1910.333(c)(4)以下)。
機器の使用(§1910.334)
■ 可搬形電気機器は損傷を生じないよう取り扱い、可撓コードを機器の吊上げ・吊下げに用いてはならず、絶縁を損なう方法で固定してはならない(§1910.334(a)(1))。コード接続機器および延長コードは、各シフトの使用前に外観上の欠陥および内部の損傷の徴候について点検し、欠陥があるものは修理が完了するまで使用から外す(同(a)(2))。
■ 接地形の機器では可撓コードに接地用導体を含め、プラグおよびコンセントの改造や、接地の連続性を損なうアダプターの使用を禁止する(§1910.334(a)(3))。導電性の高い場所(水にぬれた場所等)では、当該条件について承認された機器を用いる(同(a)(4))。ぬれた手でプラグの抜き差しを行わせてはならない(同(a)(5))。
■ 負荷のある回路の開閉は、定格を有する開閉器または遮断器により行い、ケーブルコネクタやヒューズにより行ってはならない。保護装置が動作した回路は、機器の安全が確認されるまで手動で再投入してはならない。過電流保護を所定の要件を超えて変更してはならない(§1910.334(b))。
■ 電気回路の試験は有資格者に限り、試験器具は使用前に外観点検を行い、用途に応じた定格のものを用いる(§1910.334(c))。引火性の材料が一時的に存在する場所では、着火のおそれのある電気機器は、危険な状態が生じないようにされている場合を除き使用してはならない(同(d))。
人身保護のための安全措置(§1910.335)
■ 電気的危険のある区域で作業する従業員には、当該作業に適した電気用保護具を使用させなければならない。保護具は安全で信頼できる状態に維持し、§1910.137に従って定期的に点検または試験する。絶縁材料は損傷のおそれがある場合に保護する。感電または火傷による頭部傷害のおそれがある場合は非導電性の保護帽を、アークまたは電気的爆発による飛散物のおそれがある場合は眼および顔面の保護具を使用させる(§1910.335(a)(1))。
■ 充電された導体の近傍で接触のおそれがある場合は絶縁工具を用いる。ヒューズの着脱器具は回路電圧に応じた定格のものとし、充電部の近傍で用いるロープおよび手綱は非導電性とする。露出した充電部の近傍では、防護シート、隔壁または絶縁材料により感電および火傷から従業員を保護する(§1910.335(a)(2))。
■ 電気的危険について従業員に警告するため、必要な場合は§1910.145に従い安全標識、安全記号または災害防止タグを用いる(§1910.335(b)(1))。標識とあわせてバリケードを設け、感電の危険を生じる導電性のバリケードは用いない(同(b)(2))。標識およびバリケードによっても危険から従業員を保護できない場合は、警告および保護のために監視者を配置する(同(b)(3))。
注目定義
<対象>
■ 「承認された」(approved)
| 本サブパートを執行する当局にとって受入れ可能であること。本サブパートを執行する当局は、労働安全衛生担当の労働次官補である(§1910.399)。機器および導体が要件を満たすかどうかの判断基準となる。 |
<対象>
■ 「有資格者」(qualified person)
| 電気機器および設備の構造および運転、並びにこれらに伴う危険について訓練を受け、かつ技能および知識を有することを実証した者(§1910.399)。充電部での作業を行わせることができる者の範囲を画する。 |
<対象>
■ 「露出している」(exposed(充電部について))
| 不用意に触れられ、または安全な距離より近く接近されうる状態にあること。適切に防護、隔離または絶縁されていない部分について用いる(§1910.399)。防護措置および作業方法の要否の判断に用いられる。 |
目次
§1910.301 総則
[電気設備の設計に関する安全基準]
§1910.302 電気利用設備
§1910.303 一般
§1910.304 配線の設計および保護
§1910.305 一般用の配線方法、部材および機器
§1910.306 特定用途の機器および設備
§1910.307 危険場所(区分された場所)
§1910.308 特殊系統
§1910.309〜§1910.330 留保
[安全に関連する作業方法]
§1910.331 適用範囲
§1910.332 訓練
§1910.333 作業方法の選択および使用
§1910.334 機器の使用
§1910.335 人身保護のための安全措置
§1910.336〜§1910.360 留保
[安全に関連する保守要件]
§1910.361〜§1910.380 留保
[特殊機器に関する安全要件]
§1910.381〜§1910.398 留保
[定義]
§1910.399 本サブパートに適用される定義
サブパートS附表A 参考情報の出典
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 連邦規則集第29編第1910部 サブパートS 電気 |
| 公布日 | 電気設備の設計に関する安全基準は1981年01月16日(46 FR 4056)に公布され、同年08月07日(46 FR 40185)に改正された。§1910.302から§1910.308までの現行の規定は、2007年02月14日(72 FR 7190)に公布されたものである。安全に関連する作業方法は1990年08月06日(55 FR 32016)に公布され、その後1994年01月31日(59 FR 4476)、2014年04月11日(79 FR 20692)および2015年10月05日(80 FR 60039)に改正されている。 |
| 所管当局 | 米国労働省 労働安全衛生局(OSHA) |
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