| 法令の情報時期:2026年09月 確認 | ページ作成時期:2026年09月 |
目的
本サブパートは、米国労働安全衛生法(OSH Act)に基づく一般産業向けの労働安全衛生規則(連邦規則集第29編第1910部)の一部であり、同部の防火に関する要件を満たすために設置される消防隊、消火設備、火災検知システムおよび警報システムについて、事業者が備え、維持すべき水準を定めるものである。
規則が定める内容から、具体的には次の点が目的となる。
■ 事業者が消防隊を設置する場合に、隊員の訓練、身体的適格性、防護服および呼吸用保護具の水準を確保すること(§1910.156)
■ 携帯用消火器、屋内消火栓、スプリンクラーおよび固定式消火システムについて、選定、配置、点検、試験および保守の要件を定め、必要なときに有効に機能する状態を保つこと(§1910.157~§1910.163)
■ 火災検知システムおよび従業員警報システムにより、従業員が火災を認識し安全に退避できるようにすること(§1910.164、§1910.165)
概要
本サブパートは、連邦規則集第29編第1910部の防火に関する要件を満たすために設置される、消防隊、すべての携帯用および固定式の消火設備、火災検知システムならびに火災・従業員警報システムに関する要件を定める(§1910.155(a))。海事、建設および農業を除くすべての雇用に適用される(§1910.155(b))。
構成は、範囲・適用・定義(§1910.155)、消防隊(§1910.156)、携帯用消火器(§1910.157)、屋内消火栓およびホースシステム(§1910.158)、自動スプリンクラーシステム(§1910.159)、固定式消火システムの総則と消火剤の種類別要件(§1910.160~§1910.163)、火災検知システム(§1910.164)、従業員警報システム(§1910.165)からなる。
本サブパートは、事業者に消防隊の設置を義務付けるものではない。消防隊を設置する場合に限り§1910.156の要件が適用される。また、携帯用消火器についても、全員退避を定めた書面の防火方針および所定の計画を備え、消火器を置かない事業場は§1910.157の要件を免除される。他方、設備を設置する場合には、点検・試験・保守の頻度、記録の保存および教育・訓練の実施が、具体的な間隔とともに定められている。
要件の多くは設備の設置時期により適用が分かれており、1981年01月01日以降に設置するシステムについて受入試験や監視機能等の追加要件が定められている。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
■ 海事、建設および農業の雇用は、本サブパート全体の適用対象外である(§1910.155(b))。
■ 消防隊に関する§1910.156は、空港の墜落救難活動および森林火災の消火活動には適用されない(§1910.156(a)(1))。
■ 火災報知時の全員退避を求める書面の防火方針を定め、これに適合する緊急時行動計画および防火計画を備え、かつ事業場に消火器を置かない事業者は、携帯用消火器に関する§1910.157の要件を免除される(ただし、第1910部の特定の基準が携帯用消火器の設置を求める場合を除く)(§1910.157(b)(1))。
■ 消火器の使用を特定の従業員に限定し、その他の従業員に直ちに退避することを求める緊急時行動計画を備える事業者は、消火器の配置に関する§1910.157(d)の要件を免除される(§1910.157(b)(2))。
■ OSHAの基準により設置を義務付けられていないスプリンクラーシステムは、§1910.159の要件の対象外である(§1910.159(b))。
■ 固定式消火システムのうち、OSHAの基準により義務付けられておらず、かつ従業員が消火剤等により傷害を受けるおそれがないものは、§1910.160の対象とならない(§1910.160(a))。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
消防隊(§1910.156)
■ 消防隊を組織する場合、その存在、組織構成、訓練の種類・量・頻度、想定隊員数および隊員の機能を定めた組織方針を書面で作成・維持する(§1910.156(b)(1))。
■ 屋内構造物消火活動に従事する隊員の身体的適格性を確保し、心疾患、てんかんまたは肺気腫を有する者は医師が適格と認めない限り従事させてはならない(§1910.156(b)(2))。
■ 職務に見合った訓練・教育を活動前に行い、指揮者・教育担当者にはより充実した訓練を行う。訓練は全隊員について年1回以上、屋内構造物消火活動に従事する隊員は四半期に1回以上とする(§1910.156(c)(1)~(c)(3))。
■ 可燃性液体・ガス、有毒化学物質、放射線源、水反応性物質等の特別な危険とその変更を周知し、緊急時の対応手順を書面化して訓練に組み込む(§1910.156(c)(4))。
■ 消火用機材は年1回以上、携帯用消火器および呼吸用保護具は月1回以上点検し、損傷したものは使用から外して交換する(§1910.156(d))。
■ 屋内構造物消火活動に従事する隊員には、足・脚部、手部、身体、眼・顔・頭部を保護する防護服を無償で支給し着用させる(§1910.156(e))。
■ 呼吸用保護具は§1910.134に適合するものとする。有毒な燃焼生成物または酸素欠乏のおそれがある場所では、定格使用時間30分以上で残時間20~25%に警報が鳴る自給式呼吸器を用いさせ、屋内構造物消火活動には圧力需要形または陽圧形に限る(§1910.156(f))。
携帯用消火器(§1910.157)
■ 承認された消火器を、従業員が負傷するおそれなく容易に取り出せる位置に固定して設置する。四塩化炭素およびクロロブロモメタンを消火剤とするものは使用できない(§1910.157(c)(1)~(c)(3))。
■ 使用中を除き満充填かつ作動可能な状態で所定の位置に維持し、はんだ付け等の自己発生式ソーダ酸、泡およびガスカートリッジ水式の消火器は使用から外す(§1910.157(c)(4)、(c)(5))。
■ 歩行距離はA級火災で22.9メートル(75フィート)以内、B級火災で15.2メートル(50フィート)以内、D級の危険がある場合は消火剤まで22.9メートル以内とする。C級はA級またはB級の配置方法による(§1910.157(d))。
■ 目視点検を月1回、保守点検を年1回行い、年次保守の記録を1年間保存する。12年ごとの水圧試験の対象となる蓄圧式粉末消火器は6年ごとに内容物を排出して整備する(§1910.157(e))。
■ 消火器の種類に応じ5年または12年の間隔で、訓練を受けた者が水圧試験を行い記録を次回試験まで保存する。空気またはガス圧による試験は認められない(§1910.157(f))。
■ 消火器使用の一般原則と初期段階の消火活動の危険に関する教育を雇入れ時および年1回以上、使用を指定した従業員への具体的な訓練を配置時および年1回以上行う(§1910.157(g))。
屋内消火栓およびホースシステム(§1910.158)
■ 消火栓は機械的損傷を避ける位置に設けるか保護措置を講じ、損傷時は速やかに修理する(§1910.158(b))。
■ ホースリールおよび格納箱は緊急時に直ちに操作できる構造とし消防用専用であることを明示する。放水口は障害とならない高さに設け、ねじ規格を統一するか継手を備える(§1910.158(c)(1)、(c)(2))。
■ 呼び径1.5インチ以下の放水口にはホースを接続して常備し、1981年01月01日以降に設置するシステムには内張りホースを用いる。ノズル圧力が30psi以上125psi以下となる長さとし、開閉式ノズルを備える(§1910.158(c)(3)、(c)(4))。
■ 給水能力は毎分100ガロン以上を30分以上維持できるものとする(§1910.158(d))。
■ 1981年01月01日以降に設置するシステムは、配管について200psi以上で2時間以上、ホースについて200psi以上で15秒以上1分以内の水圧試験を行ってから使用に供する(§1910.158(e)(1))。
■ 水源タンクの水位と圧力タンクの圧力を維持し給水弁を全開に保つ。ホースシステムは年1回以上および使用のつど訓練を受けた者が点検し、使用に適さないものは直ちに同等の防護に置き換える。麻・亜麻製ホースは年1回展張して点検し折り方を変えて格納し直す(§1910.158(e)(2))。
自動スプリンクラーシステム(§1910.159)
■ 必要な放水パターン、密度および水量により防護対象を完全に覆う設計とし、承認された機器のみを用いる(§1910.159(c)(1))。
■ 主排水試験を年1回、検査用試験弁の開放を2年に1回以上行う。1981年01月01日以降に設置するシステムでは、地下配管の洗浄、配管の水圧試験、乾式配管の気密試験、乾式弁の作動確認および排水設備の試験を含む受入試験を行う(§1910.159(c)(2)、(c)(3))。
■ 設計水量を30分以上供給できる自動給水源を1系統以上確保し、主給水が使用できない場合は補助給水源または同等の防護措置を設ける(ヘッド数20個以下のシステムを除く)(§1910.159(c)(4))。
■ 配管は凍結および外面腐食から保護し、乾式配管は完全に排水できるよう設置する(§1910.159(c)(6)、(c)(7))。
■ 承認されたヘッドのみを用いて機械的損傷から保護する。ヘッド数が20個を超えるシステムにはヘッド1個分の放水で作動する局所水流警報を設け、ヘッドと下方の物品との間に45.7センチメートル(18インチ)以上の間隔を確保する(§1910.159(c)(8)~(c)(10))。
■ 水力計算により設計したシステムは、その範囲、位置、ヘッド数および設計の根拠を表示する(§1910.159(c)(11))。
固定式消火システムの共通要件(§1910.160)
■ 構成部品および消火剤は対象とする火災の危険について設計・承認されたものとする。使用できない状態になった場合は従業員に周知し、暫定的な安全措置を講じ、訓練を受けた者により是正する(§1910.160(b)(1)、(b)(2))。
■ §1910.165に適合し周囲の騒音・照度を超えて認識できる放出警報を設け、危険な雰囲気となる区域への立入りを警告する措置を講じ、出入口および区域内に警告表示を掲示する(§1910.160(b)(3)~(b)(5))。
■ 知識を有する者が年1回点検する。再充填可能な容器は半年に1回以上重量・圧力を確認し内容量の5%または圧力の10%を超える減少があれば整備する。非再充填容器も半年に1回計量し重量が5%を超えて減少した場合は交換する。点検・保守の日付を記録し直近の確認記録を次回まで保存する(§1910.160(b)(6)~(b)(9))。
■ 点検、保守、操作および修理を担当する従業員を指定して訓練し、年1回の再教育を行う(§1910.160(b)(10))。
■ 従業員がばく露するおそれがある場所でクロロブロモメタンおよび四塩化炭素を使用してはならない(§1910.160(b)(11))。
■ 腐食性雰囲気では防食措置を講じ、自動検知設備は§1910.164に従って設置・維持し、極端な気象条件下でも有効に作動するようにする(§1910.160(b)(12)~(b)(14))。
■ システムごとに手動放出装置を1か所以上設けて防護対象の危険に関する情報を表示し、危険な雰囲気からの救助に用いる個人用保護具を備えて使用させる(§1910.160(b)(15)~(b)(17))。
■ 安全な消火剤濃度を超える全域放出方式システムの区域には、§1910.38に適合する緊急時行動計画、退避の時間を確保できる事前放出警報および自動作動装置を設ける(§1910.160(c))。
消火剤の種類別の追加要件(§1910.161~§1910.163)
■ 粉末:泡・湿潤剤との適合性を確保し種類の異なる粉末を混合しない。補充は銘板指定の薬剤または同等品による。視界が妨げられるおそれがある場合は事前放出警報を設ける。蓄圧式を除き年1回以上薬剤を採取して吸湿・固化のないことを確認し、放出開始から30秒以内に設計濃度へ達する放出速度とする(§1910.161(b))。
■ ガス系:承認された消火剤を用い、消火または制御が達成されるまで設計濃度を維持し、消火剤およびその分解生成物の有毒な濃度に従業員をばく露させない。放出開始から30秒以内(ハロンは10秒以内)に設計濃度へ達する設計とする(§1910.162(b)(1)~(b)(4))。
■ ガス系:ハロン1211および二酸化炭素を4%以上、ハロン1301を10%以上の濃度で用いるシステムには事前放出警報を設ける。ハロン1301の濃度は、退避に1分を超える区域で7%以下、30秒から1分を要する区域で10%以下とし、10%超は無人区域で30秒以内に退避できる場合に限る(§1910.162(b)(5)、(b)(6))。
■ 水噴霧・泡:防護区域または防護対象設備における火災の消火または制御を達成できる設計とし、排水が従業員の作業区域から離れる方向へ流れ非常口を妨げないようにする(§1910.163(b))。
火災検知システム(§1910.164)
■ 承認された検知装置を用い、試験または警報の後は速やかに復旧させる。復旧用の予備装置を構内に備えるか速やかに入手できるようにする(§1910.164(b))。
■ 修理・保守の期間を除き作動可能な状態に維持し、信頼性を保つために必要な頻度で試験・調整する。1981年01月01日以降に設置する空気式・液圧式システムには監視機能を設ける。整備、保守および試験は訓練を受けた者が行い、粉じん等の影響を受ける検知器は定期的に清掃する(§1910.164(c))。
■ 屋外または腐食性雰囲気の機器には防護覆いを設け、機械的損傷から保護し、検知器は配線・配管と独立して支持する(§1910.164(d))。
■ 警報の発報を30秒を超えて遅延させてはならず、従業員の安全確保のため遅延が必要な場合は§1910.38の緊急時行動計画に定める(§1910.164(e))。
■ 検知器の数、位置および間隔は、実地の経験、試験、技術的調査、製造者の推奨または認定試験機関の指定に基づいて定める(§1910.164(f))。
従業員警報システム(§1910.165)
■ 警報は緊急時行動計画に定める対応または安全な退避のための警告を与えるものとし、影響を受けるすべての従業員が周囲の騒音・照度を超えて認識できるものとする。認識できない従業員には触覚による装置を用いる。信号は退避の合図として識別できる独自のものとする(§1910.165(b)(1)~(b)(3))。
■ 緊急事態の通報方法を従業員に説明して緊急通報先の電話番号を掲示し、通信系統を警報に用いる場合は緊急時の連絡を最優先とする(§1910.165(b)(4))。
■ 従業員が10人以下の事業場では、すべての従業員が聞き取れる場合に限り直接の音声伝達による警報が認められる(§1910.165(b)(5))。
■ 承認された警報装置を用い、試験または警報のつど速やかに復旧させ、復旧用の予備部品を備える(§1910.165(c))。
■ 監視機能のないシステムは2か月に1回、作動装置を順に変えて信頼性および妥当性の試験を行う。1981年01月01日以降に設置する監視機能付きシステムは不具合を通知する機能を備え年1回試験する。電源が使用できない期間は代替の警報手段を設け、整備、保守および試験は訓練を受けた者が行う(§1910.165(d))。
■ 手動操作の警報発信装置は、障害物がなく目立ち、容易に接近できる位置に設ける(§1910.165(e))。
注目定義
<対象>
■ 「消防隊」(fire brigade)
| 基本的な消火活動について知識、訓練および技能を有する従業員で組織された集団をいう(§1910.155(c))。この定義に該当する集団を設けた場合に§1910.156の要件が適用される。 |
<対象>
■ 「初期段階火災」(incipient stage fire)
| 初期の段階にあり、防護服または呼吸用保護具を用いることなく、携帯用消火器、II級消火栓または小型ホースシステムにより制御または消火できる火災をいう(§1910.155(c))。 |
<対象>
■ 「屋内構造物消火活動」(interior structural fire fighting)
| 初期段階を超えて火災が発生している建物または閉鎖された構造物の内部で行う、消火、救助またはその双方の活動をいう(§1910.155(c))。防護服および呼吸用保護具に関する要件の適用範囲を画する用語である。 |
目次
- 1910.155 本サブパートに適用される範囲、適用および定義
- 1910.156 消防隊
- 1910.157 携帯用消火器
- 1910.158 屋内消火栓およびホースシステム
- 1910.159 自動スプリンクラーシステム
- 1910.160 固定式消火システム(総則)
- 1910.161 固定式消火システム(粉末)
- 1910.162 固定式消火システム(ガス系消火剤)
- 1910.163 固定式消火システム(水噴霧および泡)
- 1910.164 火災検知システム
- 1910.165 従業員警報システム
附表A 防火
附表B 国家合意規格
附表C 防火に関する参考情報
附表D §1910.156消防隊において参照により組み込まれた出版物の入手方法
附表E 防護服の試験方法
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 連邦規則集第29編第1910部 サブパートL 防火 |
| 公布日 | 1980年09月12日(45 FR 60704)。その後、1988年04月12日(53 FR 12122)等の改正が行われている。 |
| 所管当局 | 米国労働省 労働安全衛生局(OSHA) |
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