| 法令の情報時期:2026年09月 確認 | ページ作成時期:2026年09月 |
目的
本サブパートは、米国労働安全衛生法(OSH Act)に基づく一般産業向けの労働安全衛生規則(連邦規則集第29編第1910部)の一部であり、事業場の作業環境そのものを管理することによって従業員の傷害および疾病を防止することを目的とする。
対象となる管理は多岐にわたるが、規則が明示している目的として次のものがある。
■ 事故により傷害または物的損害を生じうる危険有害性を、標識および表示札の統一的な仕様によって従業員に周知すること(§1910.145(a))
■ 許可を必要とする密閉空間への立入りに伴う危険から従業員を保護すること(§1910.146(a))
■ 機械設備の保守・整備中に、予期しない起動、通電または蓄積エネルギーの放出が生じないようエネルギーを管理するプログラムを事業者に確立させ、従業員の傷害を防止すること(§1910.147(a)(3))
概要
本サブパートは、作業環境に関する性格の異なる6つの規定から構成される。衛生(§1910.141)は、恒久的な事業場における清掃、廃棄物処理、有害小動物の駆除、飲用水の供給、トイレ・洗面・シャワー設備、更衣室、飲食の場所等を定める。仮設労働キャンプ(§1910.142)は、事業者が従業員に居住場所を提供する場合の敷地、居室、給水、トイレ、汚水処理、洗濯・入浴設備、照明、廃棄物処理、給食施設、防虫防鼠、応急手当および感染症の届出を定める。§1910.143は留保されている。
安全色彩コード(§1910.144)は赤と黄の用途を定め、事故防止標識および表示札の仕様(§1910.145)は、危険標識・注意標識・安全指示標識の区分、設計、文言および表示札の要件を定める。
許可必要密閉空間(§1910.146)は、密閉空間の評価、標識による周知、書面プログラムの策定、立入許可証の発行、立入者・監視人・立入責任者の職務、救助体制の確保を求める体系的な規定である。危険エネルギーの管理(§1910.147、ロックアウト/タグアウト)は、保守・整備作業における予期しない通電等を防止するためのプログラム、手順、定期点検、教育訓練および適用・解除の手順を定める。いずれも一般産業を対象とし、建設業、農業、海事就業等は各条の定めにより適用対象から除かれている。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
■ 衛生に関する§1910.141は、恒久的な事業場に適用される(§1910.141(a)(1))。
■ トイレ設備の設置義務については、便器1個を備え施錠できる単独使用の部屋である場合、および移動班や無人の作業場所において法令に適合する近隣の設備まで従業員を輸送できる場合の例外が定められている(§1910.141(c)(1))。
■ 表示札に関する§1910.145(f)は、建設業および農業には適用されない(§1910.145(f)(1))。標識の仕様は、道路・鉄道の標識、事業場の掲示板、安全ポスターには適用されない(§1910.145(a))。
■ 許可必要密閉空間に関する§1910.146は、農業(第1928部)、建設業(第1926部)および造船等の海事就業(第1915部)には適用されない(§1910.146(a))。
■ 危険エネルギーの管理に関する§1910.147は、建設業、農業および海事就業、電気事業者の排他的管理下にある発電・送電・配電設備、サブパートSが対象とする電気的危険、ならびに石油・ガス井の作業には適用されない(§1910.147(a)(1))。また、通常の生産作業には原則として適用されず、生産作業中の軽微かつ日常的な調整等で代替の保護措置がとられる場合、コードとプラグで接続された機器でプラグを抜くことにより通電を管理でき、かつプラグが作業を行う従業員の排他的管理下にある場合、および所定の条件を満たす加圧配管への活管作業(ホットタップ)は適用対象から除かれる(§1910.147(a)(2))。
上記のほかに、本サブパート全体の適用から特定の事業者、製品または施設を一律に免除する規定は置かれていない。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
衛生(§1910.141)
■ 事業場は作業の性質が許す限り清潔に保ち、床は実行可能な限り乾燥した状態に維持しなければならない。湿潤作業を行う場所では排水設備を設け、防水性の履物または踏み台を備える(§1910.141(a)(3))。廃棄物容器は漏れがなく清掃可能で、原則として密閉できる蓋を備え、廃棄物は健康上の危害を生じない方法で除去する(同(a)(4))。齧歯類・昆虫の侵入を防ぐ構造とし、発生が認められる場合は継続的な駆除を行う(同(a)(5))。
■ 飲用、手洗い、調理、食器洗浄および個人サービス室には飲用水を供給しなければならない。可搬式の給水器は蛇口付きで閉鎖できる構造とし、開放容器および共用の飲用コップの使用は禁止される。非飲用水の出口には飲用等に適さない旨を明示し、飲用系統への逆流を防止しなければならない(§1910.141(b))。
■ トイレ設備は男女別の部屋に設け、従業員数に応じて表J-1の個数(1〜15人で1個、16〜35人で2個、36〜55人で3個、56〜80人で4個、81〜110人で5個、111〜150人で6個、150人超は40人ごとに1個追加)を備え、各便器は扉のある個室に設置しなければならない(§1910.141(c))。洗面設備には温水と冷水または温湯、石けん等の洗浄剤、個別のタオル等を備え、個別の規則によりシャワーが必要な場合はシフトごとに男女それぞれ10人あたり1個設ける(同(d))。
■ 有害物質で汚染される保護衣を着用させる場合は私服と分けて保管できる更衣設備を設け(§1910.141(e))、支給する作業衣が濡れる場合等は再使用前に乾燥させる(同(f))。事業場内での飲食を認める場合、トイレ内および有害物質にさらされる区域で飲食させてはならず、同区域に食品・飲料を保管してはならない(同(g))。給食施設および給食業務は健全な衛生原則に従って運営し、食品は汚染から保護しなければならない(同(h))。
仮設労働キャンプ(§1910.142)
■ 事業者が従業員に居住場所を提供する場合、敷地は十分に排水され、主要区域は家畜の飼養区域から500フィート以上離さなければならない(§1910.142(a))。居室は1人あたり50平方フィート以上、天井高7フィート以上とし、ベッドの間隔、床の高さ、窓面積、開口部の防虫網等の要件が定められている(同(b))。給水は1人1日あたり35ガロンを供給できる能力を備える(同(c))。
■ トイレは寝室を通らずに到達でき、寝室から200フィート以内に、15人あたり1個(最低2個)を男女別に設ける(§1910.142(d))。公共下水道が利用できる場合は接続する(同(e))。洗面器は家族または6人あたり1個、シャワーは10人あたり1個、洗濯用流し台は30人あたり1個を設け、温水と冷水を供給する(同(f))。照明、防虫防鼠および廃棄物容器(週2回以上の収集)についても要件が定められている(同(g)、(h)、(j))。
■ 調理・食堂施設は寝室と分離し、感染症に罹患している者を食品取扱いから除外しなければならない(§1910.142(i))。応急手当の設備と訓練された要員を常時利用できるようにし(同(k))、感染症が疑われる場合はキャンプ管理者が直ちに地域の保健当局へ届け出なければならない(同(l))。
安全色彩コードならびに標識および表示札(§1910.144、§1910.145)
■ 赤は、消火設備、引火点80°F以下の引火性液体の携行容器、危険標識、バリケードの標示灯、危険な機械の非常停止バー・非常停止ボタンの識別色としなければならない。黄は注意を示す色とし、衝突、つまずき、転落、はさまれ等の物理的危険の表示に用いる(§1910.144(a))。
■ 標識は、危険標識(即時の危険)、注意標識(潜在的な危険または不安全な行動への警告)、安全指示標識(一般的な指示・提案)に区分され、それぞれ定められた配色(危険標識は赤・黒・白、注意標識は黄地に黒パネル・黄文字、安全指示標識は白地に緑パネル・白文字)とし、ANSI Z53.1-1967またはANSI Z535.1-2006(R2011)に従う。角は丸めるか鈍角とし、文言は簡潔で読みやすく十分な情報を含むものとする。従業員には、危険標識が即時の危険を、注意標識が潜在的な危険を示すことを周知しなければならない(§1910.145(c)〜(e))。
■ 表示札は、危険が通常と異なる、予期されない、または容易に認識できない場合に、当該危険が除去されるまで使用しなければならない。表示札には注意喚起語(Danger、Caution、Warning、Biological Hazard)と主要メッセージを表示し、注意喚起語は5フィート以上離れた位置から判読できるものとする。すべての従業員に各表示札の意味を周知し、危険箇所にできる限り近い位置に、ひも、針金、接着等の確実な方法で取り付けなければならない(§1910.145(f))。
許可必要密閉空間(§1910.146)
■ 事業者は、事業場に許可を必要とする密閉空間が存在するかを評価しなければならない。存在する場合は標識等によりその存在、場所および危険性を従業員に周知し、立ち入らせない場合は立入りを防止する措置を講じる(§1910.146(c)(1)〜(c)(3))。
■ 立ち入らせる場合は、書面による許可必要密閉空間プログラムを策定・実施し、従業員が閲覧できるようにしなければならない(§1910.146(c)(4))。プログラムには、無許可の立入りの防止、危険の特定と評価、許容される立入条件の設定、空間の隔離、換気等による大気の危険の管理、立入中の条件の確認、試験・換気・通信・保護具・照明・昇降・救助の各設備の無償提供、酸素・可燃性ガス・有毒ガスの順による大気測定、監視人の配置、立入者の指名と訓練、救助手順、許可証制度、複数事業者間の調整、立入終了手順、不備が疑われる場合の見直しを含める。プログラムは立入りの日から1年以内に、保存している取消済み許可証を用いて見直す(同(d))。
■ 立入りの前に、対象空間、目的、日付と有効期間、立入者・監視人・立入責任者、特定された危険、隔離および危険の管理措置、許容される立入条件、測定結果、救助体制と連絡手段、通信手順、使用する設備、熱間作業許可証等の追加の許可証を記載した立入許可証を作成し、立入責任者が署名しなければならない。有効期間は作業の完了に要する時間を超えてはならず、作業完了時または禁止された状態が生じた場合に立入りを終了させて許可証を取り消し、取消済みの許可証は1年以上保存する(§1910.146(e)、(f))。
■ 大気の危険のみが存在し、連続的な強制換気のみで安全を確保できる場合には、所定の条件および手順(開口部の養生、立入前および定期の大気測定、換気の継続、危険の検知時の直ちの退避、書面による証明)を満たすことを条件に、許可証によらない代替手順を用いることができる(§1910.146(c)(5))。すべての危険を除去した場合等には、書面による証明を行ったうえで許可不要の密閉空間として再分類できる(同(c)(7))。
■ 構内事業者(ホスト)は、請負人に対し、許可必要密閉空間の存在と遵守すべき要件、当該空間を許可必要とする要素、自らが講じている措置を伝え、双方の従業員が作業する場合は立入作業を調整し、作業後に実施状況と遭遇した危険について報告を受けなければならない。請負人は、これらの情報を入手し、調整を行い、自らのプログラムと遭遇した危険を構内事業者に通知する(§1910.146(c)(8)、(c)(9))。
■ 業務に従事する従業員に対し、初回の職務付与前、職務の変更時、新たな危険を伴う変更時、および逸脱や知識不足が認められる場合に訓練を行い、氏名、訓練実施者の署名、訓練日を含む証明書を作成しなければならない(§1910.146(g))。立入者、監視人および立入責任者の職務は個別に定められ、監視人は立入作業の間は空間の外にとどまり、立入者数を把握し、必要な場合に直ちに退避を指示し救助を要請する(同(h)〜(j))。
■ 救助については、対応の迅速性と技能を評価したうえで救助機関を指定し、危険を通知し、救助計画の策定と訓練のために空間へのアクセスを与えなければならない。自社の従業員に救助を行わせる場合は、保護具の無償提供、救助業務および立入者としての訓練、応急手当と心肺蘇生の訓練(1名以上が有効な資格を保有)、12か月に1回以上の模擬救助訓練が必要である。非立入救助のための引き上げ設備を原則として使用させる(§1910.146(k))。プログラムの策定および実施のすべての側面について、影響を受ける従業員およびその代表者と協議しなければならない(同(l))。
危険エネルギーの管理(ロックアウト/タグアウト)(§1910.147)
■ 予期しない通電、起動または蓄積エネルギーの放出により傷害が生じうる保守・整備作業について、手順、教育訓練および定期点検からなるエネルギー管理プログラムを確立しなければならない。エネルギー遮断装置がロックできる構造である場合はロックアウトを用い、タグアウトを用いるのはそれが同等の保護を与えることを事業者が示す場合に限られる。1990年01月02日以降に新設・改造等を行う機械設備のエネルギー遮断装置は、ロックアウト装置を受け入れられる設計としなければならない(§1910.147(c)(1)〜(c)(3))。
■ エネルギー管理手順を文書化し、適用範囲、目的、権限、規則および実施方法を定めなければならない。手順には、機械の停止・隔離・遮断・確保の各段階、装置の取付け・取外し・移管と責任の所在、および有効性の確認方法を記載する。所定の要件をすべて満たす単純な場合には文書化が免除される(§1910.147(c)(4))。
■ 錠、タグ、鎖等の器具は事業者が提供し、他の用途に用いない専用のものとして、耐久性、施設内での標準化、堅牢性(タグは50ポンド以上の力で外れないこと)および使用者を識別できることを満たさなければならない。タグには「Do Not Start」「Do Not Operate」等の警告文言を表示する(§1910.147(c)(5))。手順の遵守状況については少なくとも年1回、当該手順を使用しない別の有資格従業員による定期点検を実施し、機械設備の特定、点検日、対象従業員、点検実施者を記載した証明を作成する(同(c)(6))。
■ 教育訓練では、有資格従業員にエネルギー源の認識、種類と大きさ、隔離・管理の方法を、影響を受ける従業員に手順の目的と使用方法を、その他の従業員に施錠された機器を再起動しない旨を周知しなければならない。タグアウトを用いる場合はタグの限界も教育する。職務や設備・手順の変更時、定期点検で逸脱が判明した場合等には再訓練を行い、氏名と訓練日を含む証明を最新の状態で保管する(§1910.147(c)(7))。エネルギーの遮断は当該作業を行う有資格従業員のみが行い、装置の取付け前および取外し後に、影響を受ける従業員へ通知しなければならない(同(c)(8)、(c)(9))。
■ 管理の適用は、停止の準備、機械の停止、エネルギー源からの隔離、装置の取付け、蓄積エネルギーの放出・拘束、隔離と無通電の確認、という順序で行わなければならない(§1910.147(d))。解除に当たっては、工具等の撤去と機器の復元、全従業員の安全な位置への退避、取外し後の通知を行い、装置は原則として取り付けた本人が取り外す。本人が不在の場合の取外しは、不在の確認、連絡の努力、復帰前の通知を含む文書化された手順による(同(e))。
■ 試験または位置調整のために一時的に装置を取り外す場合は、工具の撤去、従業員の退避、装置の取外し、通電と試験、再度の無通電化と管理の再適用という手順によらなければならない(§1910.147(f)(1))。構内事業者と請負人は互いの手順を通知し合い、構内事業者は自らの従業員に外部の手順を理解・遵守させる(同(f)(2))。集団作業では、各有資格従業員が個人の錠等をグループ装置やロックボックスに取り付けるなど個人でのロックアウトと同等の保護を確保し、責任者を指名する(同(f)(3))。シフトや要員の交代に際しては、保護の継続を確保する手順を定めなければならない(同(f)(4))。
注目定義
<対象>
■ 「密閉空間」(confined space)
| 従業員が身体を入れて作業を行うことができる大きさと形状を有し、出入りの手段が限られており、かつ継続的な在室を予定して設計されていない空間(§1910.146(b))。 |
<対象>
■ 「許可必要密閉空間」(permit-required confined space)
| 密閉空間のうち、有害な大気を含むかそのおそれがある、立入者を埋没させうる物質を含む、内部の形状により閉じ込めや窒息を生じさせうる、またはその他の重大な安全衛生上の危険を含むもの(§1910.146(b))。この該当性により、許可証制度を含むプログラム全体の適用の有無が決まる。 |
<対象>
■ 「エネルギー遮断装置」(energy isolating device)
| 遮断器、断路器、ラインバルブ等、エネルギーの伝達または放出を物理的に阻止する機械的装置(§1910.147(b))。制御回路の装置は含まれない。ロックアウト装置を取り付けられる構造か否かにより、ロックアウトとタグアウトのいずれを用いるかが決まる。 |
目次
1910.141 衛生
1910.142 仮設労働キャンプ
1910.143 非水搬送式汚物処理システム[留保]
1910.144 物理的危険の表示のための安全色彩コード
1910.145 事故防止標識および表示札の仕様
1910.146 許可必要密閉空間
1910.147 危険エネルギーの管理(ロックアウト/タグアウト)
1910.145(f)附表A 推奨される色彩コード
1910.145(f)附表B 参考情報
1910.146附表A〜F 判定フローチャート、大気測定手順、プログラムの例、許可証の例、下水道系への立入りの補足手順、救助機関の評価基準(いずれも非強制)
1910.147附表A 一般的な最小限のロックアウト手順(非強制)
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 連邦規則集第29編第1910部 サブパートJ 一般的な環境制御 |
| 公布日 | 1974年06月27日(39 FR 23502)。その後1975年05月28日(40 FR 23072)に再指定された。 |
| 所管当局 | 米国労働省 労働安全衛生局(OSHA) |
作成者