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解説米国-労働安全衛生規則 個人用保護具

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法令の情報時期:2026年09月 確認 ページ作成時期:2026年09月

目的

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本サブパートは、米国労働安全衛生法(OSH Act)に基づく一般産業向けの労働安全衛生規則(連邦規則集第29編第1910部)の一部であり、作業工程や作業環境に起因する危険有害性から従業員の身体を保護するため、個人用保護具(PPE)を適切に提供・使用・維持させることを目的とする。

規則は、工程または環境に起因する危険有害性、化学的危険有害性、放射線による危険有害性、機械的刺激物が、吸収、吸入または物理的接触を通じて身体のいずれかの部位に傷害または機能障害を生じさせうる態様で存在する場合に、保護具を衛生的かつ信頼できる状態で提供し、使用させ、維持しなければならないと定めている(§1910.132(a))。

また、呼吸器系については、大気汚染の防止を第一に工学的対策によって行うものとし、それが実行可能でない場合等に適切な呼吸用保護具を用いるとしている(§1910.134(a)(1))。

概要

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本サブパートは、一般産業の事業場における個人用保護具の提供、選定、使用、教育訓練および費用負担に関する要件を定める。§1910.132が全体に共通する一般要件を置き、これに続いて保護具の種類ごとの要件が、眼および顔面の保護(§1910.133)、呼吸用保護具(§1910.134)、頭部の保護(§1910.135)、足部の保護(§1910.136)、電気用保護具(§1910.137)、手部の保護(§1910.138)、個人用墜落保護システム(§1910.140)として定められている。§1910.139は留保されている。

事業者に課される中核的な義務は、危険有害性の評価(ハザードアセスメント)を行って必要な保護具を選定し、その実施を書面で証明すること、選定した保護具を使用させ衛生的かつ信頼できる状態に維持すること、使用に関する教育訓練を行い従業員に理解を示させること、および本パートの遵守に用いる保護具を原則として無償で提供することである(§1910.132(d)、(f)、(h))。

眼・顔面、頭部、足部の保護具の性能は米国規格協会(ANSI)等のコンセンサス規格の引用により担保され、呼吸用保護具と電気用保護具には独立した管理プログラムおよび試験・点検の要件が置かれている。附表A〜Dは非強制的な参考資料である。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

適用除外

本サブパート全体の適用から、特定の事業者、製品、施設または行為を一律に免除する規定は置かれていない。

ただし、適用範囲を限定する規定として次の内容が定められている。

■ §1910.132のうち、危険有害性評価および保護具の選定に関する(d)ならびに教育訓練に関する(f)は、§1910.133、§1910.135、§1910.136、§1910.138および§1910.140に適用され、§1910.134(呼吸用保護具)および§1910.137(電気用保護具)には適用されない(§1910.132(g))。

■ 保護具を無償で提供する義務については、非特殊の安全つま先付き履物、非特殊の度入り安全眼鏡、事業者が中足骨保護具を提供する場合に従業員の求めにより用いる中足骨保護機能内蔵の履物、伐採用ブーツ、天候対応を含む日常的な衣類等に関する例外が定められている(§1910.132(h)(2)〜(h)(6))。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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一般要件(§1910.132)

■ 危険有害性が存在する場所では、保護具を衛生的かつ信頼できる状態で提供し、使用させ、維持しなければならない(§1910.132(a))。従業員が自ら用意した保護具を用いる場合も、その適切性と維持管理の責任は事業者が負う(同(b))。保護具は作業に対して安全な設計・構造のものとし(同(c))、欠陥のあるまたは損傷した保護具を使用してはならない(同(e))。

■ 事業場に保護具を必要とする危険有害性が存在するかを評価し、存在する場合は保護できる種類の保護具を選定して使用させ、選定結果を各従業員に伝達し、各従業員に適切に適合する保護具を選定しなければならない(§1910.132(d)(1))。評価の実施は、評価した事業場、証明する者、評価日を特定し、危険有害性評価の証明書であることが分かる書面で証明する(同(d)(2))。

■ 保護具を使用する各従業員に、保護具が必要となる場合、必要な保護具の種類、正しい着脱・調整・着用の方法、保護具の限界、手入れ・保守・耐用年数・廃棄の方法を訓練しなければならない(§1910.132(f)(1))。従業員は対象作業に従事する前に理解と使用能力を示す必要があり、事業場や保護具の種類の変更、知識・技能の不足が認められる場合は再訓練を行う(同(f)(2)、(f)(3))。

■ 本パートの遵守に用いる保護具は、従業員に費用を負担させることなく提供しなければならない(§1910.132(h)(1))。

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眼および顔面の保護(§1910.133)

■ 飛散粒子、溶融金属、液体化学物質、酸またはアルカリ性液体、化学的なガスもしくは蒸気、傷害を生じうる光放射にさらされる従業員に、適切な眼または顔面の保護具を使用させる。飛来物の危険がある場合は側面の保護を備え、度入りレンズ使用者には度数を組み込んだ保護具等を使用させる。保護具には製造者を識別できる表示を付し、溶接・切断等では作業に応じた遮光度番号のフィルターレンズを使用させる(§1910.133(a))。

■ 保護具はANSI/ISEA Z87.1-2010、ANSI Z87.1-2003またはANSI Z87.1-1989(R-1998)に適合するものとする(§1910.133(b))。

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呼吸用保護具(§1910.134)

■ 呼吸用保護具の使用が必要な従業員がいる場合、事業場の実情に即した手順を定めた書面によるプログラムを策定・維持し、訓練を受けたプログラム管理者を置かなければならない。プログラムには、選定手順、医学的評価、密着性試験、通常時および緊急時の使用手順、洗浄・消毒・保管・点検・修理・保守、呼吸用空気の品質と流量、教育訓練、有効性評価を含める。保護具、訓練および医学的評価は従業員に費用を負担させずに提供する。任意使用を認める場合も、危険を生じないことの確認、附表Dの情報提供、医学的適格性と維持管理の確保が必要である(§1910.134(c))。

■ 保護具はNIOSH認証品から、危険有害性および作業場・使用者の条件を評価して選定する。IDLH環境では30分以上の全面形圧力需要形自給式呼吸器(SCBA)等を使用させ、酸素欠乏環境は規定の条件に該当する場合を除きIDLHとして扱う。IDLH以外の環境では指定防護係数(APF)に基づき選定する(§1910.134(d))。

■ 密着性試験および使用の前に、医師その他の免許を有する医療専門職(PLHCP)による医学的評価を行わなければならない(§1910.134(e))。密着形フェイスピースの使用者には、初回使用前、型式・サイズ等の変更時、およびその後少なくとも年1回、密着性試験を実施する(同(f))。

■ 密着面にひげがあるなど密着や弁の機能を妨げる状態にある従業員には密着形の保護具を使用させてはならず、使用の都度、使用者による密着確認を行わせる。IDLH環境の作業では区域外に1名以上を配置して連絡を保ち、救助の訓練と装備を備えさせる。屋内での構造物火災の消火活動では進入2名以上・外部待機2名以上を確保する(§1910.134(g))。

■ 保護具は使用形態に応じて洗浄・消毒し、損傷・汚染・日光・温度・湿気等から保護して保管し、通常使用品は使用の都度、緊急用は少なくとも月1回点検する。修理は訓練を受けた者が製造者のNIOSH承認部品で行う(§1910.134(h))。圧縮空気はANSI/CGA G-7.1-1989のグレードDを満たすものとし(同(i))、ろ過材・吸収缶・カートリッジにはNIOSHの承認ラベルを判読可能な状態で貼付したままとする(同(j))。

■ 使用者には使用前および少なくとも年1回、必要性、限界と能力、緊急時の対応、点検・着脱・密着確認、保守・保管、使用を妨げる医学的兆候等を訓練する(§1910.134(k))。プログラムの実施状況を評価し、使用者の意見を聴取して問題を是正する(同(l))。医学的評価の記録は§1910.1020に従い、密着性試験の記録は次回試験まで保存し、現行の書面プログラムとあわせ、従業員およびOSHAの求めに応じ閲覧できるようにする(同(m))。

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頭部および足部の保護(§1910.135、§1910.136)

■ 落下物により頭部に傷害を受けるおそれがある区域では保護帽を、頭部が接触しうる露出した電気導体の近くでは感電の危険を低減する設計の保護帽を着用させる。保護帽はANSI Z89.1-2009、同2003または同1997に適合するものとする(§1910.135)。

■ 落下物・転動物や靴底を貫通する物体による足部の傷害のおそれがある区域、または他の保護措置を講じてもなお残存する静電気放電・感電等の電気的危険がある場合は、保護履物を使用させる。保護履物はASTM F-2412-2005およびF-2413-2005、ANSI Z41-1999またはANSI Z41-1991に適合するものとする(§1910.136)。いずれも、事業者が同等以上に有効であることを示した製品は適合とみなされる。

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電気用保護具(§1910.137)

■ 絶縁用ブランケット、手袋およびスリーブは継ぎ目のない製法で製造し、クラス(00〜4)および種別(Ⅰ=非耐オゾン性、Ⅱ=耐オゾン性)を非導電性の表示で明示する。製品は規定の耐電圧試験に3分間(マットは1分間)耐えるものとし、絶縁破壊試験を受けた製品は使用できない。絶縁性能に悪影響を及ぼす物理的な不整があってはならない(§1910.137(a))。ASTM D120-09等の該当規格に適合する製品は設計要件を満たすものとされる。

■ 保護具は安全で信頼できる状態に維持し、最大使用電圧は規定の表に従う。毎日の使用前および損傷を生じうる事象の直後に点検し、絶縁手袋は目視点検に加えて空気試験を行う。穴、裂け、切れ、オゾン割れ、異物の埋没、質的変化等がある製品は使用してはならない。光、温度、湿気等から保護して保管し、絶縁手袋の上には原則として保護手袋を着用させる(§1910.137(c))。

■ 定期的な電気試験を実施しなければならない。ブランケットおよびスリーブは初回支給前と以後12か月ごと、手袋は初回支給前と以後6か月ごと、ラインホースおよびカバーは絶縁性能の低下が疑われる場合および修理後に試験し、修理品は使用させる前に再試験する。事業者は、合格した保護具の特定と試験日を含む方法で試験に合格したことを証明し、OSHAおよび従業員またはその代表者が利用できるようにしなければならない(§1910.137(c)(2))。

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手部の保護(§1910.138)

■ 有害物質の皮膚吸収、重度の切創・裂傷、重度の擦過傷、突き刺し、化学熱傷、熱傷、有害な温度の極値といった危険有害性に手部がさらされる場合、適切な手部保護具を選定し使用させる。選定は、実施する作業、存在する条件、使用時間、特定された危険有害性に照らした保護具の性能特性の評価に基づいて行う(§1910.138)。

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個人用墜落保護システム(§1910.140)

■ コネクタは鍛造、プレスまたは成形された鋼製またはこれと同等の材料製とし、耐食性の仕上げと滑らかな表面を有するものとする。垂直ライフラインは従業員ごとに別個とし最小破断強度5,000ポンド(22.2 kN)以上とする。天然繊維ロープは使用できない。Dリング、スナップフックおよびカラビナは最小引張荷重5,000ポンド以上の自動ロック式のものでなければならない(§1910.140(c))。

■ アンカレッジは身体を支持するアンカレッジと独立させ、従業員1人あたり5,000ポンド以上を支持できるものとするか、有資格者が設計・設置し安全率2以上を維持する方式とする。システムは墜落保護以外に使用してはならず、衝撃荷重を受けたものは直ちに使用から外し、有能な者が点検するまで再使用してはならない。初回使用前および各作業シフトごとに摩耗・損傷・劣化を点検し、墜落時に各従業員を速やかに救助する手段を確保しなければならない(§1910.140(c))。

■ 個人用墜落制止システムは、制止時の最大荷重を1,800ポンド(8 kN)以下に制限し、減速距離3.5フィート(1.1 m)以内で停止させ、自由落下距離は6フィート(1.8 m)を超えず下層に接触しないものとする。胴ベルトを構成要素として用いることは禁止される(§1910.140(d))。作業位置保持システムは、窓清掃用を除き250ポンド(113 kg)の重錘を4フィート(1.2 m)落下させても破損しないものとし、窓清掃用には別途の強度要件が定められている(§1910.140(e))。

注目定義

<対象>

■ 「個人用墜落制止システム」(personal fall arrest system)

ボディハーネス、アンカレッジおよびコネクタで構成される、より高い位置からの墜落を制止するためのシステム(§1910.140(b))。胴ベルトを構成要素とすることは認められない(§1910.140(d))。

<対象>

■ 「アンカレッジ」(anchorage)

ライフライン、ランヤードまたは減速器具等の器具を取り付けるための堅固な取付点(§1910.140(b))。強度要件の適用単位となる。

<対象>

■ 「有能な者」(competent person)

既存または予見しうる危険有害性を特定することができ、かつその是正措置をとる権限を与えられた者(§1910.140(b))。衝撃荷重を受けた器具の点検等を行う主体となる。

目次

  • 1910.132 一般要件
  • 1910.133 眼および顔面の保護
  • 1910.134 呼吸用保護具
  • 1910.135 頭部の保護
  • 1910.136 足部の保護
  • 1910.137 電気用保護具
  • 1910.138 手部の保護
  • 1910.139 [留保]
  • 1910.140 個人用墜落保護システム

サブパートI附表A 参考情報(非強制)

サブパートI附表B 危険有害性評価および保護具選定に関する非強制的遵守指針

サブパートI附表C 個人用墜落保護システムに関する非強制的指針

サブパートI附表D 個人用墜落保護システムの試験方法および手順に関する非強制的指針

基礎情報

法令(現地語)

29 CFR Part 1910 Subpart I—Personal Protective Equipment

法令(日本語)

連邦規則集第29編第1910部 サブパートI 個人用保護具

公布日

1974年06月27日(39 FR 23502)。その後1975年05月28日(40 FR 23072)に再指定された。

所管当局

米国労働省 労働安全衛生局(OSHA)

作成者

株式会社先読

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