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解説米国-高度に有害な化学物質のプロセス安全管理規則(PSM)

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法令の情報時期:2026年09月 確認 ページ作成時期:2026年09月

目的

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本規則は、毒性、反応性、引火性または爆発性を有する化学物質(高度に有害な化学物質)を扱うプロセスにおいて、重大な制御不能の放出、火災または爆発(カタストロフィックリリース)を防止し、またはその影響を最小限に抑えるため、事業者が実施すべき管理の仕組みを定めるものである。

そのために、次の一連の管理要素を文書化された仕組みとして構築・維持することを求めている。

■ プロセスに関する安全情報の整備と、プロセスハザード分析による危険性の体系的な特定

■ 運転手順、訓練、請負業者管理、起動前安全レビュー、機械的完全性、火気作業許可、変更管理といった日常的な管理の標準化

■ インシデント調査、緊急時計画および対応、遵守監査による是正と検証

■ これらの各過程への労働者の参加の確保

設備の仕様を個別に定めるのではなく、事業者が自らのプロセスの危険性を評価し、管理体系として運用することを求める点に特徴がある((c)〜(p))。

概要

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本規則は、連邦規則集(CFR)第29編第1910部サブパートH(危険有害物質)に置かれた労働安全衛生規則の一つであり、一般に「PSM(プロセス安全管理)」と呼ばれる。

適用対象となるのは、次のいずれかに該当するプロセスを有する事業者である。第一に、本条の附表Aに掲げる化学物質を、そこに定める閾値量以上で取り扱うプロセスである。第二に、カテゴリー1の引火性ガス(第1910.1200条(c)の定義による)または引火点100°F(37.8°C)未満の引火性液体を、構内の一箇所に10,000ポンド(4,535.9kg)以上有するプロセスである((a)(1))。

ここでいう「プロセス」は、高度に有害な化学物質の使用、貯蔵、製造、取扱いまたは構内移動を含むあらゆる活動、およびこれらの組合せをいう((b))。したがって、化学プラントに限らず、該当する量の化学物質を扱う製造業の事業場一般が適用対象となりうる。

事業者に求められる内容は、労働者の参加、プロセス安全情報、プロセスハザード分析、運転手順、訓練、請負業者、起動前安全レビュー、機械的完全性、火気作業許可、変更管理、インシデント調査、緊急時計画および対応、遵守監査、営業秘密の取扱いという各要素であり、それぞれについて文書の作成と保存、定期的な見直しが義務付けられている。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

適用除外

本規則全体の適用から除かれるものとして、次が定められている。

■ 小売施設((a)(2)(i))

■ 石油または天然ガスの坑井の掘削作業および保守作業((a)(2)(ii))

■ 通常無人の遠隔施設。労働者が運転状況の確認や必要な運転・保守作業のために定期的に訪れるのみで運転・保守・整備される施設であって、労働者が常駐せず、他のすべての建物、プロセスまたは人と隣接せず地理的に離れているものをいう((a)(2)(iii)、(b))

また、引火性の物質に関する適用((a)(1)(ii))については、次の2つが除かれる。

■ 事業場で消費する燃料としてのみ用いられる炭化水素燃料(暖房用プロパン等)。ただし、本規則の対象となる他の化学物質を含むプロセスの一部である場合を除く

■ 引火点100°F未満の引火性液体であって、大気圧タンクに貯蔵され、冷却または冷凍によらずに常圧沸点未満に保たれているもの

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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労働者の参加((c))

労働者の参加に関する行動計画を文書で作成する。プロセスハザード分析の実施およびその他の本規則の要素の策定・実施について労働者およびその代表者と協議し、プロセスハザード分析および本規則により作成が求められるすべての情報を利用できるようにする((c)(1)〜(c)(3))。

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プロセス安全情報((d))

プロセスハザード分析に着手する前に、書面によるプロセス安全情報を取りまとめる。内容は、①化学物質の危険有害性(毒性、許容ばく露限界、物理的データ、反応性、腐食性、熱的・化学的安定性、意図しない混合による影響)、②プロセスの技術情報(ブロックフロー図または簡易プロセスフロー図、プロセス化学、意図する最大在庫量、温度・圧力・流量・組成の安全な上下限、逸脱時の影響の評価)、③設備の情報(材質、配管計装図(P&ID)、電気的区分、逃がし系統の設計と設計根拠、換気系統の設計、適用した設計規格、1992年05月26日より後に建設されたプロセスの物質収支・熱収支、インターロック等の安全システム)である((d)(1)〜(d)(3))。

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プロセスハザード分析((e))

対象となる各プロセスについて、What-If、チェックリスト、What-If/チェックリスト、HAZOP、FMEA、フォールトツリー解析またはこれらと同等の手法で分析を行う。分析では、プロセスの危険性、過去にカタストロフィックな結果を招きえたインシデント、工学的・管理的対策とその相互関係、対策が機能しなかった場合の影響、施設の立地、人的要因、対策の不具合が安全衛生に及ぼす影響の定性的評価を扱う。チームには工学およびプロセス運転の知見を有する者を含め、少なくとも1名は当該プロセスの経験を有する労働者、1名は用いる手法に精通した者とする。指摘事項には速やかに対応する仕組みを設け、対応内容と時期を文書化し関係する労働者へ伝達する。分析は初回実施後、少なくとも5年ごとに更新・再評価し、記録はプロセスの存続期間中保存する((e)(2)〜(e)(7))。なお初回分析には1994年05月26日までに25%以上、1997年05月26日までに全件という段階的な期限が定められていた((e)(1))。

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運転手順((f))

各運転段階(初期起動、通常運転、一時的運転、緊急停止(停止を要する条件と実施責任者の指定を含む)、緊急時運転、通常停止、定期修理後または緊急停止後の起動)の手順、運転限界(逸脱時の影響と是正・回避の手順)、安全衛生上の考慮事項(化学物質の性状と危険有害性、ばく露防止のための工学的・管理的対策および保護具、ばく露時の措置、原材料の品質管理と在庫量の管理、特有の危険性)、安全システムとその機能を含む運転手順を文書で作成し実施する。手順は労働者が容易に参照できる状態に置き、必要な頻度で見直したうえで、現行かつ正確であることを毎年証明する。また、ロックアウト・タグアウト、密閉空間への立入り、プロセス設備・配管の開放、保守・請負・試験・支援要員の立入り管理について安全作業基準を定めて実施する((f)(1)〜(f)(4))。

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訓練((g))

対象プロセスの運転に従事する労働者に対し、従事前にプロセスの概要と運転手順の訓練を行い、安全衛生上の危険性、緊急時の操作、安全作業基準を重点的に扱う。1992年05月26日時点で既にプロセスの運転に従事していた労働者については、運転手順に定める職務を安全に遂行するために必要な知識・技能・能力を有する旨を書面で証明することで初回訓練に代えることができる。再訓練は少なくとも3年ごとに、必要に応じてより頻繁に実施し、頻度は労働者と協議する。訓練は対象者、実施日および理解度の確認方法を記録する((g)(1)〜(g)(3))。

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請負業者((h))

対象プロセスまたはその近傍で保守・修理、定期修理、大規模改修または専門作業を行う請負業者について、発注者たる事業者は、安全成績および安全プログラムを取得して評価し、火災・爆発・有害物質の放出に関する既知の危険性を伝達し、緊急時行動計画を説明し、請負労働者の立入り・滞在・退出に関する安全作業基準を定めて実施し、実施状況を定期的に評価し、請負労働者の負傷・疾病の記録を備える。請負業者側は、その労働者に対し安全な作業に必要な作業基準の訓練と既知の危険性・緊急時行動計画の教育を行って記録し、事業場の安全規則の遵守を確保し、自らの作業に伴う特有の危険性または自らの作業により発見した危険性を発注者へ伝える。清掃、給食、洗濯、配送、物品供給といったプロセス安全に影響しない付随的な役務を提供する請負業者は対象外である((h)(1)〜(h)(3))。

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起動前安全レビュー((i))

新設の施設、およびプロセス安全情報の変更を要するほど重要な改造を行った施設について、起動前に安全レビューを実施し、建設および設備が設計仕様に適合していること、安全・運転・保守・緊急時の各手順が整備され適切であること、新設の場合はプロセスハザード分析を実施しその勧告を解決または実施済みであること、改造の場合は変更管理の要件を満たしていること、運転要員の訓練が完了していることを確認する((i)(1)、(i)(2))。

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機械的完全性((j))

圧力容器・貯槽、配管系統(弁を含む)、逃がし・通気系統および装置、緊急停止系統、監視装置・センサ・警報・インターロック等の制御系、ポンプについて、完全性を維持するための手順を文書で定めて実施する。保守作業に従事する労働者には、プロセスの概要、危険性および適用される手順の訓練を行う。点検および試験は、広く認められた適正な工学的慣行に従い、製造者の推奨および当該慣行に整合する頻度(過去の運転経験から必要と判断される場合はそれ以上の頻度)で実施し、実施日、実施者、対象設備の識別、内容および結果を記録する。許容範囲を外れた不具合は、継続使用の前に、または安全な運転を確保するために必要な手段を講じたうえで安全かつ適時な方法で是正する。新規に製作した設備がプロセスに適合すること、正しく据え付けられていること、保守用資材・予備品が適合することを確認する((j)(1)〜(j)(6))。

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火気作業許可((k))

対象プロセスまたはその近傍で行う火気作業について許可証を発行する。許可証には、第1910.252条(a)に定める防火上の要件を実施した旨を記載し、作業を認める日付を示し、対象物を特定する。許可証は作業完了まで保管する((k)(1)、(k)(2))。

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変更管理((l))

対象プロセスに影響する化学物質、技術、設備、手順および施設の変更(同等品への取替えを除く)を管理する手順を文書で定めて実施する。手順では変更前に、技術的根拠、安全衛生への影響、運転手順の修正、必要な期間、承認の要件を扱う。影響を受ける労働者、保守要員および請負労働者には、プロセスまたは当該部分の起動前に周知し訓練する。変更によりプロセス安全情報または運転手順・作業基準に変更が生じる場合はこれらを更新する((l)(1)〜(l)(5))。

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インシデント調査((m))

カタストロフィックリリースを生じさせた、または生じさせる可能性が合理的に認められるインシデントについて調査を行う。調査は発生後可能な限り速やかに、遅くとも48時間以内に開始する。チームには当該プロセスに精通した者を少なくとも1名(請負労働者が関係する場合はその者を含む)と、その他適切な者を含める。報告書には少なくとも発生日、調査開始日、インシデントの内容、寄与要因、勧告を記載する。指摘事項に速やかに対応し解決する仕組みを設け、解決内容と是正措置を文書化する。報告書は、調査結果に職務が関係する影響を受けるすべての要員(該当する場合は請負労働者を含む)と共に検討し、5年間保存する((m)(1)〜(m)(7))。

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緊急時計画および対応((n))

第1910.38条に従い、事業場全体の緊急時行動計画を策定して実施する。この計画には、少量の放出に対処する手順を含める。事業者は、状況により第1910.120条(a)、(p)および(q)の適用も受けうる((n))。

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遵守監査((o))

本規則の手順および実施状況が適切であり遵守されていることを検証するため、少なくとも3年ごとに遵守状況を評価したことを証明する。監査は当該プロセスに精通した者を少なくとも1名含めて実施し、結果を報告書にまとめる。指摘事項は適切な対応を速やかに決定して文書化し、不備を是正したことを記録する。直近2回の監査報告書を保存する((o)(1)〜(o)(5))。

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営業秘密((p))

プロセス安全情報の取りまとめ、プロセスハザード分析、運転手順の作成、インシデント調査、緊急時計画・対応、遵守監査に従事する者に対しては、営業秘密であることを理由に情報の提供を拒んではならない。ただし第1910.1200条に従って秘密保持契約を求めることはできる。労働者およびその代表者は、同条(i)(1)〜(i)(12)の定めるところにより、これらの文書に含まれる営業秘密情報を入手できる((p)(1)〜(p)(3))。

注目定義

<対象>

■ 「高度に有害な化学物質」(highly hazardous chemical)

毒性、反応性、引火性または爆発性の性質を有し、(a)(1)により特定される物質((b))

<対象>

■ 「プロセス」(process)

高度に有害な化学物質に関わるあらゆる活動をいい、当該化学物質の使用、貯蔵、製造、取扱いまたは構内移動、およびこれらの活動の組合せを含む。相互に接続された容器群、および高度に有害な化学物質が潜在的な放出に関与しうる位置にある別個の容器は、単一のプロセスとみなす((b))

<対象>

■ 「同等品への取替え」(replacement in kind)

設計仕様を満たす取替えをいう((b))。これに該当する場合は変更管理((l))の対象外となる

目次

(a) 適用

(b) 定義

(c) 労働者の参加

(d) プロセス安全情報

(e) プロセスハザード分析

(f) 運転手順

(g) 訓練

(h) 請負業者

(i) 起動前安全レビュー

(j) 機械的完全性

(k) 火気作業許可

(l) 変更管理

(m) インシデント調査

(n) 緊急時計画および対応

(o) 遵守監査

(p) 営業秘密

附表A 高度に有害な化学物質、毒性物質および反応性物質の一覧(強制)

附表B ブロックフロー図および簡易プロセスフロー図(任意)

附表C プロセス安全管理に関する遵守の手引および推奨事項(任意)

附表D 参考情報源(任意)

基礎情報

法令(現地語)

29 CFR § 1910.119 Process safety management of highly hazardous chemicals

法令(日本語)

連邦規則集第29編第1910.119条「高度に有害な化学物質のプロセス安全管理」

所管当局

米国労働省 労働安全衛生局(OSHA)

作成者

株式会社先読

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