| 法令の情報時期:2026年09月 確認 | ページ作成時期:2026年09月 |
目的
本規則は、引火性液体および燃焼性液体を用いる吹付け塗装(スプレー塗装)、ならびに燃焼性粉体の吹付け塗布について、火災および爆発を防止するための設備上および作業上の要件を定めるものである。
具体的には、次の内容を事業者に求めている。
■ 吹付け作業を、換気されたスプレーブース等のあらかじめ定めた区域内に限定し、蒸気、ミスト、粉体および可燃性残さを安全に排出・管理すること
■ 作業区域およびその周辺から着火源を排除し、電気設備を区域の危険性に応じた構造とすること
■ 引火性液体等の貯蔵、移送および供給を、数量制限と密閉容器・配管により管理すること
■ スプリンクラーおよび消火器を備えること
■ 可燃性残さの清掃と廃棄を日常的に行うこと
静電塗装装置、乾燥・硬化・溶融装置、粉体塗装、有機過酸化物および二液型塗料を用いる作業については、これらに加えて個別の要件が定められている((h)〜(m))。
概要
本規則は、連邦規則集(CFR)第29編第1910部サブパートH(危険有害物質)に置かれた労働安全衛生規則の一つである。圧縮空気式、エアレス式、油圧霧化式、蒸気式、静電式その他の連続的または断続的な方法により、引火性・燃焼性の仕上げ材料を吹き付ける作業に適用される。また、粉体スプレーガン、静電粉体スプレーガン、流動層および静電流動層による燃焼性粉体の塗布にも適用される((n))。
適用を受けるのは、これらの作業を行う事業場の事業者である。主な要件は、スプレーブースの構造・内装・床・バッフル板・乾式オーバースプレー捕集装置(開口面の平均風速の下限を含む)、着火源の管理(開放炎・火花発生機器を作業区域内および20フィート以内に置かないこと、区域の区分に応じた電気設備の構造)、機械換気および原則としてブースごとの独立排気ダクト、引火性液体等の数量制限・容器・移送・配管、スプリンクラーおよび消火器の設置、日常の清掃と残さの廃棄、静電装置における安全距離の確保とフェイルセーフ制御、乾燥装置と換気・吹付けとのインターロック、粉体塗装における粉じん堆積の防止である。
本規則は法典(連邦規則集)形式で継続的に効力を有している。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
本規則全体の適用から外れるものとして、次が定められている。
■ 屋外において建物、タンクその他これらに類する構造物に対して行う吹付け塗布((n))
■ 同一の場所で反復して使用されることのない小型の可搬式吹付け装置による作業((n))
■ 十分に換気されたガレージ内で行う自動車のアンダーコーティング吹付け作業のうち、灯油と同程度以下の危険性の材料(Underwriters’ Laboratoriesの火災危険性評価30〜40)または引火点100°Fを超えるものとして収載された溶剤のみを用いるもの。これらの条件に適合しない自動車アンダーコーティング作業には、本規則の吹付け塗装に関する全要件が適用される((k))
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
スプレーブースの構造と付帯設備((b))
ブースは鋼製で堅固に支持した構造またはコンクリート・石造とする(断続的・少量の吹付けにはアルミニウム等の不燃材も可)。内面は平滑・連続とし残さのたまる隅を設けず、可燃性の床面は不燃材で覆う。バッフル板・分配板は不燃性とし、両面を清掃できるよう取り外せるものとする((b)(1)〜(b)(4))。
乾式オーバースプレー捕集装置(排気フィルタ)を用いる従来型乾式ブースでは、吹付け中の開口面平均風速を毎分100リニアフィート以上(静電塗装では毎分60リニアフィート以上)とし、風速の維持を示しまたは確保する可視の計器、可聴の警報または圧力作動装置を備える。使用済みフィルタは直ちに安全な離れた場所へ移すか水を張った金属容器に入れ、完全に水中に保つ場合を除き当日中に廃棄する。フィルタの上流側・下流側は自動スプリンクラーで防護する。自然発熱・自然発火を生じやすい材料にはフィルタを用いない((b)(5))。
開口部面積が9平方フィート超のブースは上縁に深さ2.5インチ以上の金属製デフレクタ等を設ける。コンベヤ用開口部は可能な限り小さくする。各ブースは他の作業から3フィート以上離すか隔壁で仕切り、清掃のため全周に3フィートの空間を確保する。照明は固定式とする((b)(6)〜(b)(10))。
電気設備その他の着火源((c))
吹付け作業区域内およびその20フィート以内には、隔壁で仕切る場合を除き開放炎・火花発生機器を設けない。可燃性残さが堆積する区域に暖房機器、蒸気配管、高温面を置かない。配線・電気設備は本規則およびサブパートSに適合させ、残さが堆積する区域では原則として剛性電線管等による配線のみとする。残さの堆積がない作業区域の電気設備はクラスI・グループDの防爆構造とし、区域外20フィート以内で隔壁のない場所の配線・電動機等はクラスI・ディビジョン2の要件に適合させ、電灯は全閉形とする。吹付け作業中の可搬型電灯の使用は禁止される。ブース、排気ダクト、引火性液体等または気流輸送粉体を通す配管の金属部分は恒久的かつ有効に接地する((c)(2)〜(c)(9))。
換気((d))
すべての吹付け作業区域に機械換気を設け、蒸気・ミスト・粉体を安全な場所へ排出する。換気は吹付け中に加え、塗装物および残さから蒸気が出なくなるまで継続する。各ブースは原則として独立の排気ダクトで屋外へ排出する(同一材料を用い合計開口面積18平方フィート以下の複数キャビネット型ブースは共通排気が可能)。ファン回転部は非鉄または非発火性とし(ケーシングをこれらの材料で構成または内張りする場合を除く)、電動機はブース内・ダクト内に置かない。排気ダクトは鋼製とし可燃性の構造物から18インチ以上離す(所定の保護により短縮可)。排出口は、水洗式ブースからの排気の場合を除き、可燃性の外壁・屋根から6フィート以上離し、25フィート以内の可燃性の構造物または不燃性外壁の保護されていない開口部へ向けない。排気は再循環させない((d)(2)〜(d)(12))。
引火性液体および引火点199.4°F(93°C)超の液体((e))
貯蔵は第1910.106条に適合させる。作業の近くに置く量は必要最小限とし、通常は1日分または1シフト分を超えない。供給は元の密閉容器、承認された可搬タンク・安全缶または配管により行い、開放容器・ガラス容器は用いない。(e)(5)に定める場合を除き、60ガロン超の容器からの取出しは承認されたポンプによる。ノズルへ供給する容器は密閉型または金属蓋付き(蓋は閉じた状態に保つ)とし、重力式は容量10ガロン以下とする。加圧容器は、容量を1日分の必要量以下に限り、当該用途向けに設計され承認されたものとし、可視の圧力計と、ASMEボイラ・圧力容器規格第VIII編(1968年版)の要件に従って作動するよう設定した逃がし弁を備える。ホース接続部には遮断弁を設け吹付けを行わないときは閉じる。容積式ポンプによりノズルへ供給する場合は、ポンプ吐出側に、ポンプ吸込側または安全な離れた場所へ放出する承認された逃がし弁、または吐出圧力が系統の安全運転圧力を超えたときに原動機を停止する装置を設ける。加圧ホースおよび継手は定期的に点検し、劣化・漏れ等があるものは撤去・修理・廃棄する。配管は鋼製等とし、ボンディングおよび接地を行い、容器間で移し替えるときは双方を接地する((e)(1)〜(e)(9))。
防護((f))
スプリンクラー設備のある建物では、吹付け作業を行う室の自動スプリンクラー設備を第1910.159条に適合させ、ブース全体に散水が行き渡るようヘッドを配置する。各ブース(接続する排気系統を含む)にはアクセスしやすい位置に設けた専用のOS&Y(外ねじ式ヨーク)副制御弁を設ける。ヘッドは必要に応じ日々清掃する。すべての作業区域の近くに適切な可搬型消火器を備える((f)(1)〜(f)(4))。
作業および保守((g))
吹付けはあらかじめ定めた作業区域の外で行ってはならない。作業区域は実行可能な限り可燃性残さの堆積がない状態に保ち、必要に応じ日々清掃する。清掃用具は非発火性材料とする。残さのかき取りくずおよび残さが付着したごみは直ちに構内から搬出し処分する。仕上げ材料が染み込んだウエス等は承認された金属製廃棄物容器に直ちに入れ、その内容物は少なくとも毎日またはシフト終了時に処分する。作業者の衣類は金属製ロッカーに収納する場合を除き夜間に残置しない。清掃作業は引火点100°F以上の溶剤に限る(ノズル等の清掃は吹付けに用いる溶剤も可)。自然発火のおそれがある組合せとなる異なる塗装材料を同一ブースで交互に用いる場合は、先の材料の付着物を除去してから行う。作業区域および塗料保管室には「禁煙」の表示を掲出する((g)(1)〜(g)(7))。
静電塗装装置((h)、(i))
固定式静電装置は承認された型式とし、変圧器・電源装置・制御装置は原則として作業区域外に置く。電極・静電霧化ヘッドは恒久的に支持し絶縁する。被塗物と電極等との間には火花距離の2倍以上の安全距離を確保し、その旨の表示を掲出する。被塗物はコンベヤで支持し、手作業で操作する工程には用いてはならない。換気ファンの停止または換気設備の故障、コンベヤの停止、地絡またはその切迫、安全距離の不足のいずれかが生じた場合に遅滞なく高電圧を遮断し作業者に知らせる自動制御を備える。作業区域は柵・手すり等で隔離し、これらは接地する。ブース内部を含む作業区域は自動スプリンクラー等で防護する((h)(2)〜(h)(12))。
静電式手持ちスプレー装置も承認された型式とし、高電圧回路は、混合気を着火させる火花を生じず、かつ通常の運転条件下で接地物に接触しても著しい感電の危険を生じない設計とする。ガンの握り部は金属により接地し、作業者が通常の姿勢で接地部と接触する構造とする。塗料容器、洗浄缶その他作業区域内の導電性物体はすべて接地し、接地の必要性を示す恒久的な警告表示を装置に付す。被塗物はコンベヤまたは接地された支持具と金属接触を保ち、フックは定期的に清掃する。電気設備は換気ファンが運転していなければ作動しないようインターロックする((i)(3)〜(i)(9))。
乾燥、硬化または溶融装置((j))
これらの装置は該当する限りNFPA 86A-1969に適合させる。吹付けに用いるブース・室・囲いは、その表面温度を著しく上昇させる乾燥用途に転用してはならない。開放炎または火花を生じる乾燥・硬化・溶融装置は作業区域内に設置せず、隣接して設ける場合は、加熱開始前の換気、着火源における安全な雰囲気の維持、換気停止時の加熱自動停止を行うインターロックを設ける。自動車補修塗装用ブースを可搬型の電気式赤外線乾燥装置による乾燥に転用する場合は、内部にオーバースプレーの堆積がないこと、吹付け中は乾燥装置を囲い内に置かないこと、乾燥装置が囲い内にある間は吹付け装置を作動できないこと、乾燥開始前に3分以上蒸気を排出すること、乾燥中は換気系統により囲い内を安全な雰囲気に保ち換気系統の故障時に乾燥装置が自動停止すること、乾燥装置の配線・電気設備がサブパートSに適合すること、床上18インチ以内はクラスI・ディビジョン2の機器のみとし金属部を接地すること、警告表示を付すことが条件となる((j)(2)〜(j)(4))。
粉体塗装((l))および有機過酸化物・二液型塗料((m))
粉体塗装では電気設備および着火源を(c)の一部およびサブパートSに適合させる。排気換気により雰囲気を爆発下限界未満に保ち、付着しなかった浮遊粉体を排気ダクトにより回収装置へ導く。粉体を屋外の大気へ放出してはならない。棚、梁、配管、フード、ブース、床などの水平面に粉じんを堆積させないよう清掃し、清掃時に粉じんを飛散させない。当該区域および保管区域には「禁煙」の表示を掲出する。静電流動層は承認された型式とし、塗装区域の最高表面温度を150°F以下とし、導電性物体を接地し、換気ファンとインターロックする((l)(1)〜(l)(7))。有機過酸化物および二液型塗料の吹付けは、本規則に適合しスプリンクラーを備えた承認されたブース内で行う。喫煙を禁止して表示を掲出し、有機過酸化物を保管・混合・塗布する区域では非発火性の工具のみを用いる((m)(1)、(m)(2))。
注目定義
<対象>
■ 「スプレー作業区域」(spraying area)
| 吹付け工程により、引火性の蒸気、ミスト、可燃性の残さ、粉じんまたは堆積物が危険な量で存在するあらゆる場所((a)(2)) |
<対象>
■ 「スプレーブース」(spray booth)
| 吹付け作業を囲い、飛散した塗料、蒸気および残さを閉じ込めて排気装置へ安全に導くための動力換気式の構造物((a)(3)) |
<対象>
■ 「承認済み」(approved)
| 第1910.7条にいう全国的に認められた試験機関により承認され、かつ収載されていること((a)(8)、(a)(9)) |
目次
(a) 本条に適用される定義
(b) スプレーブース ― (1)構造、(2)内面、(3)床、(4)分配板・バッフル板、(5)乾式オーバースプレー捕集装置(排気フィルタ)、(6)開口部の面積、(7)コンベヤ、(8)作業の隔離、(9)清掃、(10)照明
(c) 電気設備その他の着火源 ― (1)適合、(2)最小離隔距離、(3)高温面、(4)配線の適合、(5)可燃性残さのある区域、(6)承認された配線の種類、(7)電灯、(8)可搬型電灯、(9)接地
(d) 換気 ― (1)適合、(2)一般、(3)独立排気、(4)ファン回転部、(5)電動機、(6)ベルト、(7)排気ダクト、(8)排出口の離隔、(9)排気、(10)点検口、(11)室の給気口、(12)乾燥場所
(e) 引火性液体および引火点199.4°F(93°C)超の液体 ― (1)適合、(2)数量、(3)容器、(4)液体の移送、(5)吹付け用容器、(6)配管およびホース、(7)塗料加熱器、(8)ポンプの逃がし、(9)接地
(f) 防護 ― (1)適合、(2)制御弁へのアクセス、(3)ヘッドの清掃、(4)可搬型消火器
(g) 作業および保守 ― (1)吹付け、(2)清掃、(3)残さの処分、(4)衣類の保管、(5)清掃用溶剤、(6)危険な材料の組合せ、(7)「禁煙」表示
(h) 固定式静電装置 ― (1)適合、(2)型式承認、(3)設置場所、(4)支持、(5)絶縁体および接地、(6)安全距離、(7)コンベヤの必要性、(8)禁止、(9)フェイルセーフ制御、(10)防護、(11)換気、(12)防火
(i) 静電式手持ちスプレー装置 ― (1)適用、(2)適合、(3)装置の承認および仕様、(4)電気関連機器、(5)スプレーガンの接地、(6)接地(一般)、(7)接地の維持、(8)インターロック、(9)換気
(j) 乾燥、硬化または溶融装置 ― (1)適合、(2)転用の禁止、(3)隣接系統のインターロック、(4)転用が認められる場合
(k) ガレージにおける自動車のアンダーコーティング
(l) 粉体塗装 ― (1)電気設備その他の着火源、(2)換気、(3)乾燥・硬化・溶融設備、(4)作業および保守、(5)固定式静電塗装装置、(6)静電式手持ちスプレー装置、(7)静電流動層
(m) 有機過酸化物および二液型塗料 ― (1)適合、(2)喫煙
(n) 適用範囲
基礎情報
| 法令(現地語) |
29 CFR § 1910.107 Spray finishing using flammable and combustible materials |
| 法令(日本語) | 連邦規則集第29編第1910.107条「引火性・燃焼性物質を用いたスプレー塗装」 |
| 所管当局 | 米国労働省 労働安全衛生局(OSHA) |
作成者