危険物関連の2021年動向まとめ
■ 2021年01月01日|ADR2021、ADN2021 発効
■ 2021年01月04日|ADR2021、ADN2021 発行
■ 2021年11月05日|IMDGコード 2021年版 発行
■ 2021年09月14日| GHS 第9改訂版 発行 【主な内容】 -第2.1章「爆発物」の改訂により、輸送時以外での爆発の危険性を明確化。 -意思決定論理の改訂 -附属書1の分類および表示の概要表の改訂 -注意書き(precautionary statement)の改訂と合理化 -附属書9および10における化学物質の試験に関するOECD試験ガイドラインの参照の更新
■ 2021年09月17日| 国連モデル規則 第22改訂版 発行 【主な内容】 -蓄電システム(リチウム電池マークの修正および過充電保護機能を備えていない組電池の輸送に関する規定を含む) -繊維強化プラスチック(FRP)素材のシェルを持つポータブルタンクの設計、建設、検査、試験に関する要件 -危険物のリスト更新 -放射性物質の安全な輸送に関するIAEA規則との整合性
■ 2021年09月17日| 国連試験基準マニュアル 第7改訂版改正1 発行 【主な内容】 -GHS第2.1章の改訂への対応を含む、爆発物の輸送。 -自己反応性物質と重合性物質の分類 -自己反応性物質と有機過酸化物の輸送におけるサンプルの熱安定性評価と温度管理評価
2022年の予定
(2021年01月確認時点)
■ 2022年01月01日|2022DGR 発効
■ 2022年06月01日|IMDGコード 2020年版 発効
2023年の予定
■ 2023年●月▲日| GHS 第10改訂版 発行見込
■ 2023年●月▲日| ADR2023 発行見込
■ 2023年●月▲日| ADN2023 発行見込
■ 2023年●月▲日| 国連モデル規則 第23改訂版 発行見込
化学物質の有害性分類
化学物質が有害であるかどうかを判断するための基準に関する国際的な枠組みが、国連欧州経済委員会(UNECE)から公表され、定期的に改訂されています。「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」と呼ばれ、化学物質の分類と表示に関する調和のとれたアプローチを設けることが目的とされています。
2002年09月04日のヨハネスブルグで採択された実施計画では、「持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)」において、各国がGHSを可能な限り早期に実施することが奨励されました。GHSの具体的な内容を定めた文書(「パープルブック」とも呼ばれる)の初版は2003年に発行され、その後は通常2年毎に更新・改訂されています。
2022年01月時点では第9改訂版が最新のものとなっています。
【日本語資料参考】
■ GHS/環境省
■ GHSとは/厚生労働省
■ GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)/経済産業省
■ GHS総合情報提供サイト/独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)
危険物輸送
国連モデル規則
危険物の輸送に関する国際規制枠組みとして、代表的なものに「国連モデル規則」(別称「オレンジブック」)として知られる「危険物の輸送に関する国連勧告」が挙げられます。これはその名の通り、危険物の輸送に関する規制のモデルとなることを目的としていますが、国際的または国内的な特別規制の対象となる外航または内航のばら積み船舶やタンク船による危険物のバルク輸送には適用されません。各国政府や関連機関が、モデル規則の内容に準拠して関連規制を整備し、世界的に調和のとれた危険物輸送のルールとなることが期待されています。即ち、基本的にはこのモデル規則を参考に整備されている各国・地域の法令を確認する必要がありますが、公海や公空などが関係する海上輸送や航空輸送については、それぞれIMOやIATA等が別途規定を設けております(後述)。
モデル規則は、特に、危険物の分類原則とクラスの定義、主要な危険物のリスト、一般的な梱包要件、試験手順、マーキング、ラベル表示またはプラカード表示、および必要な輸送文書等の要件をカバーしています。さらに、特定のクラスの商品に関する特別な要件も設けられています。モデル規則は通常2年毎に更新されます。
第1部 総則、定義、訓練およびセキュリティ 第2部 分類 第3部 危険物リスト、特別規定および除外事項 第4部 包装及びタンク関連条項 第5部 委託手続き 第6部 包装物、中間バルクコンテナ(IBC)、大型包装物、ポータブルタンク、群状ガス容器(MEGS)及びバルクコンテナの構造及び試験に関する要件 第7部 輸送業務関連条項
2022年01月時点では第22改訂版が最新のものとなっています。
国連試験基準マニュアル
上述のGHSおよび国連モデル規則と関連して、「国連試験基準マニュアル」という文書が発行され、2年毎に定期的に更新・修正されています。これは、GHSや国連モデル規則に基づく物理的有害性(physical hazard)を有する化学物質の分類に使用される基準、試験方法および手順について記載している文書です。したがって、GHSや国連モデル規則を補完する文書という位置づけでもあります。以下、各パートの主な内容です。
第 I 部|爆発物関連 第 II 部|自己反応性物質、有機過酸化物、重合性物質関連 第 III 部|エアロゾル、減感爆薬(輸送関連のみ)、引火性液体、 引火性固体、発火性液体・固体、水接触引火性ガス発生物質、酸化性液体・固体、化学的に不安定なガスおよびガス混合物、金属腐食物質、輸送クラス9(硝酸アンモニウム肥料、金属リチウムおよびリチウムイオン電池)および硝酸アンモニウムベースの固体肥料の物質および物品関連 第 IV 部|輸送機器に関する試験方法 第 V 部|輸送以外のセクターに関連する分類手順、試験方法および基準 付録1~11|試験詳細に関する国家所管機関連絡先やスクリーニング手順など
2022年01月時点では第07改訂版が最新のものとなっています。
日本の場合、「試験詳細に関する国家所管機関連絡先」は、日本海事検定協会(NKKK)となっています。
道路輸送
国際危険物道路運送条約(ADR)に基づいた「道路による危険物の国際輸送に関する協定」という枠組みもあります。ADRは1957年に締結、1968年に発効しており、協定は1975年議定書により改正され、1985年04月に発効しています。
協定は危険物の道路国際輸送の要件を規定するものです。協定自体は全17条6ページ程の文書ですが、重要な点として次の内容が挙げられます。
■ 一部の超危険物を除き、その他の危険物は、以下の条件を満たすことを条件に、道路運送車両で国際的に輸送することができる(第2条)
-附属書Aの要件、特に包装や表示要件に準拠すること -附属書Bの要件、特に対象を運搬する車両の構造、設備、操作に関する条件に準拠すること
即ち、附属書AやBが実際に準拠しなければならない詳細な要件を規定しており、また、主な更新の対象となる内容でもあります。
附属書A|総則および危険物・物質に関する規定
第1部 総則 第2部 分類 第3部 危険物リスト、限定量および除外量に関する特別規定および除外事項 第4部 包装及びタンク条項 第5部 委託手続き 第6部 包装物、中間バルクコンテナ(IBC)、大型包装物、タンク及びバルクコンテナの構造及び試験に関する要件 第7部 運送、荷積み、荷降ろし及び取扱いの条件に関する条項
附属書B|輸送機器及び輸送業務に関する規定
第8部 車両の乗員、設備、操作及び文書に関する 条項 第9部 車両の構造及び承認に関する 条項
2022年01月時点ではADR2021が最新のものとなっています。
内陸水路輸送
危険物の内陸輸送については、「内陸水路による危険物の国際輸送に関する欧州協定(ADN)」と呼ばれる枠組みがあります。2005年に締結され、2008年02月に発効しています。
ADNは協定と附属の規則(Regulation)で構成されています。
第1部 総則 第2部 分類 第3部 危険物リスト、限定量および除外量に関する特別規定および除外事項 第4部 包装及びタンクカーゴ輸送ユニットの使用関連条項 第5部 委託手続き 第6部 包装物、中間バルクコンテナ(IBC)、大型包装物、タンク及びバルクコンテナの構造及び試験に関する要件 第7部 運送、荷積み、荷降ろし及び取扱いの条件に関する条項 第8部 船舶の乗員、設備、操作及び文書に関する条項 第9部 構造に関する規定
2022年01月時点ではADN2021が最新のものとなっています。
海上輸送
IMDG Code
危険物の海上輸送については、国際海事機関(IMO)が「IMDGコード(IMDG code)」という規定を管理・運用しています。これは「海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)」における包装危険物の輸送関する規定を定めている第VII章や国連モデル規則を背景に整備されているもので、はじめは1965年に勧告的な文書として採択されいましたが、2004年にSOLAS条約の枠組みの中で強制力を有する位置づけになっています(但し、中には推奨事項のままとなっている内容もあります)。IMDGコードは2年毎に定期的に更新・改訂がなされており、国連モデル規則の変更があった場合にはそれを考慮することの検討も含まれます。
2022年01月時点では2021年版が最新のものとなっています。 2020年版は2022年06月01日より発効します。
IMDGコードは有償の文書となっており、別途購入が必要です。
IBC Code
同様にIMOが所管する国際規定には、「国際バルクケミカルコード(IBC code)」として知られるものがあります。IBCコードは、危険で有害な液体化学物質をバルクで安全に海上輸送するための国際基準を定めたもので、危険化学品をバルクで海上輸送するタンカーを対象に、「SOLAS条約」第7章「危険物の輸送」および「船舶による汚染防止のための国際条約(MARPOL)条約」附属書II「バルク中の有害液体物質による汚染の防止のための規則」では、IBCコードへの準拠を要求しています。
IBCコードでは、関係する製品の性質を考慮した上で、船舶の設計・建造基準と搭載すべき機器を規定し、有害液体物質の4つのカテゴリー分類システムなども規定されています。
2022年01月時点では2020年版まで確認しています。
IBCコードは有償の文書となっており、別途購入が必要です。
INF Code
同様にIMOが所管する国際規定として、「照射済核燃料、プルトニウム、高レベル放射性廃棄物の安全輸送コード(INF code)」として知られるものがあります。INFコードは、 「放射性物質の輸送に関する基本的な国際規定である国際原子力機関(IAEA)の規則「放射性物質の安全な輸送に関するIAEA規則」を補完する位置づけのものとして策定されました。
INFコードは1993年にIMOにより導入され、放射性物質を輸送する船舶の設計に関する勧告として、通常の輸送条件と潜在的な事故条件の両方をカバーし、損傷後の安定性、防火性、構造抵抗などのについて規定しており、2年毎に更新・改訂されています。2001年01月01日からは「SOLAS条約」第7章「危険物の輸送」 の改正により、法的拘束力を持った位置づけとなっています。
最新版の取得についてはIMOに問い合わせる必要があります。
航空輸送
危険物の航空輸送については、国際民間航空機関(IATA)が「危険物規則(DGR)」を定めており、国際民間航空機関(ICAO)や各地域の政府関係機関と協力して策定しています。DGRは「IATAマニュアル」や「DGRマニュアル」とも呼ばれ、毎年更新されるものとなっています。
2022年01月時点では2022年版が最新のものとなっています。
DGRは有償の文書となっており、別途購入が必要です(IATAウェブサイト上で購入可能)。
危険物輸送中の損害
「道路、鉄道および内航船による危険物の運送中に生じた損害に関する民事責任条約(CRTD)」では、その名の通り、危険物輸送中に生じた損害についての国際的な規定を設けています。1989年10月に採択され、1990年に署名が開始されましたが、署名または加入しているのは、ドイツ、リビア、モロッコの3か国のみとなっています(2022年01月時点)。
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