米国|ニュージャージー州、知事がEV充電設備の安全基準法案等に署名
2026年09月28日、米国ニュージャージー州のシェリル知事は5件の法案に署名し、あわせて1件に条件付き拒否権、2件に絶対的拒否権を行使しました。署名された法案のうち事業者に関係が深いのは、電気自動車用充電設備(Electric Vehicle Supply Equipment、以下EVSE)の設置申請の手続と公衆衛生・安全に関する基準を定めるS-3739/A-4530です。同法案は2026年法律第94号(P.L.2026, c.94)として成立しました。同法は、既存のガソリンスタンド、既存の小売施設その他の既存建築物にEVSEまたは「メイクレディ」駐車区画を設置する申請について、敷地計画の審査や土地利用委員会の審査を要せず、裁量を伴わない許可によって行政的に承認することを定めています。あわせて、申請が完備とみなされる20日の期限、自治体による審査の範囲の限定、セットバック(後退距離)内への設置の許容を定める一方、建築基準と検査の要件は維持しています。同法は即日施行され、成立日において係属中の申請および成立日以後に提出される申請に適用されます。充電事業者、ガソリンスタンドや小売施設の運営者、充電設備の製造者・施工者にとって、設置までの手続の見通しが立てやすくなる改正です。同日には、「コーンマサ強化法(Fortifying Corn Masa Act)」を定めるS-4193/A-5119にも署名されています。
改正の背景と趣旨
同法は、2021年法律第171号第2条(C.40:55D-66.19)を改正するものです。州議会委員会の声明によれば、改正の趣旨は、既存のガソリンスタンド、小売施設その他の既存建築物におけるEVSEおよびメイクレディ駐車区画の設置について、公衆衛生と安全を守るための適切な保護と、適用される検査の要件を維持しつつ、承認手続を簡素化し、明確にすることにあります。
適用範囲
- 対象となる申請:EVSEまたはメイクレディ駐車区画の設置の申請
- 対象となる場所:既存のガソリンスタンド、既存の小売施設、その他の既存建築物
- 申請を受ける側:自治体の行政担当官(州の自治体土地利用法に定義される「administrative officer」)。審査の主体として、市町村および郡が想定されています。
主な内容
裁量を伴わない許可による行政的な承認
対象となる申請は、敷地計画の審査その他の土地利用委員会による審査の対象とならず、州の自治体土地利用法その他の法令に基づく特例許可(variance)を要しません。行政担当官が「裁量を伴わない許可(non-discretionary permit)」を交付することによって、行政的に承認されます。従前の条文では「ゾーニング許可」とされていた部分が改められました。
「裁量を伴わない許可」とは、適用される基準への適合を確認したうえで羈束的な行為として承認される許可をいい、裁量的な判断、特例許可または土地利用委員会の審査を要しないものと定義されています。
承認の要件
承認を受けるには、申請が次の要件を満たす必要があります。
- セットバックに関する特則(後述)を除き、設置計画が、当該土地に適用される規模・配置の要件、または既存のガソリンスタンド、小売施設その他の既存建築物についての当初の敷地計画の最終承認もしくはその後の承認の条件に違反しないこと。
- 当該施設についての従前の承認に付されたその他の条件が、引き続き満たされること。
- 設置計画が、州統一建築基準法に基づく建築基準、設置に関する安全基準、およびEV充電ステーションに関する州の規則に適合すること。
- EVSEに一体として組み込まれた企業ロゴ、ブランド表示その他の標章は、自治体の屋外広告物(看板)条例の執行上、看板として扱われないこと。
申請が完備とみなされる場合
申請は、次のいずれかに該当する場合に完備とみなされます。
- 許可手数料と必要な書類を含め、申請が完備していると判断された場合
- 申請の提出後20日以内に、不備の通知がされなかった場合
- 申請の提出後20日以内に、申請のすべての不備を詳細に示し、審査の完了に明示的に必要な追加情報を特定した、1回限りの書面による補正通知が発出されなかった場合
提出書類
申請は行政的に審査され、敷地計画その他の土地利用委員会による審査および承認の対象となりません。ただし、行政担当官が承認または不承認の判断の基礎とする十分な情報を得られるよう、当該土地上および設置予定のEVSEから50フィート以内にある、既存および計画中のすべての設備等を示す敷地計画または縮尺図面を、申請の一部として提出しなければなりません。
自治体による審査の範囲の限定
市町村または郡によるEVSE設置申請の審査は、上記の承認の要件に関する場合を除き、EVSEが公衆衛生または安全に対して具体的で特定可能な悪影響を及ぼさないことを確保するために必要な基準と規制に限られます。この悪影響は、記録上の実質的な証拠によって裏づけられるものでなければなりません。
セットバック内への設置
- EVSEの設備は、地方政府が定めるセットバック内に設置することが認められます。
- ただし、セットバック内に設置する場合、日常の造園、草刈りおよび敷地の維持管理に必要なときは、EVSEと自然または人工の障害物との間に、最低6フィートの維持管理用の空間を確保しなければなりません。
- 州の法令に定める安全基準に従って判断される、必要な見通し三角地帯、消防用通路または緊急時の進入路をEVSEが妨げることは認められません。
検査の要件の維持
既存のガソリンスタンド、小売施設その他の既存建築物に設置されるEVSEおよびメイクレディ駐車区画は、適用される地方の検査要件および州コミュニティ局の検査要件に引き続き服します。
施行日と経過措置
- 施行日:即日(知事の署名日は2026年9月28日)
- 適用:成立日において係属中の申請、および成立日以後に提出される申請
すでに自治体に申請を提出し、審査中である事業者にも新たな手続が適用されます。
事業者に求められる対応
- 充電事業者、ガソリンスタンド・小売施設の運営者:既存施設へのEVSEの設置を計画する場合、申請に50フィート以内の設備等を示す敷地計画または縮尺図面を添付します。申請の提出から20日以内に不備の通知または補正通知がなければ、申請は完備とみなされます。
- 設計者・施工者:州統一建築基準法に基づく建築基準、設置に関する安全基準およびEV充電ステーションに関する州の規則への適合を確保します。セットバック内に設置する場合は、6フィートの維持管理用の空間と、見通し三角地帯・消防用通路・緊急時の進入路の確保を設計に反映します。
- 充電設備の製造者:設備に一体として組み込まれたロゴやブランド表示は、看板条例の執行上、看板として扱われません。
- 設置後は、地方および州コミュニティ局の検査を受ける必要があります。
立法の経緯
- 2026年3月5日:上院に提出
- 2026年5月28日:上院で可決
- 2026年6月28日:下院予算委員会が修正のうえ報告
- 2026年6月30日:下院で可決、上院が下院の修正に同意し、両院を通過
- 2026年9月28日:知事が署名(2026年法律第94号)
同日に署名されたその他の法案
- S-4193/A-5119:「コーンマサ強化法(Fortifying Corn Masa Act)」を定めるもの
- S-2962/A-2746:教育支援職員の兵役期間について、勤続年数の算入を認めるもの
- S-4420/A-5232:地域の更生・社会復帰施設に関する機関の予算の分担額の決定を認めるもの
- S-4515/A-5350:ラトガース大学の一部の職員の兼職を認めるもの
参考情報
ニュージャージー州知事室「Governor Sherrill Takes Action on Legislation」(2026年9月28日)
https://www.nj.gov/governor/news/2026/approved/20260928b.shtml
ニュージャージー州議会「Bill S3739(2026–2027年会期)」
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