2026.10.30
- セクター
- エネルギー・ガス・水道 、 航空機・船舶・鉄道 、 不動産・金融・その他 、 産業全般
EU|欧州委員会、新たな「北極圏戦略」を発表
欧州委員会と外務・安全保障政策上級代表は2026年10月20日、新たな「北極圏戦略」を発表しました。同戦略は、志を同じくするパートナーとの政治協力の新たな枠組みとして、人々、安全保障、気候、繁栄を中核に据え、「安全保障とレジリエンスの強化」「北極圏における気候変動への対応」「繁栄」「北極圏の人々とコミュニティの機会」の4つを優先事項としています。2021年の北極政策で特定された課題を基に、その後の地政学・安全保障・環境面の大きな変化に対応するもので、各国政府、先住民を含む地域社会、若者、企業、研究者との協議を経て策定されました。フォン・デア・ライエン欧州委員長は、新たな航路と資源が戦略的競争を促しているとし、安全保障、強靭なインフラ、経済機会に投資すると述べています。事業者にとっては、再生可能エネルギー、重要原材料、輸送、デジタル接続等の分野における経済協力の機会や、海底ケーブルを含む重要インフラの保護、海上活動の監視強化が関係します。
経済協力の機会(繁栄)
戦略は、北極圏で再生可能エネルギー、重要原材料、軍民両用の輸送、デジタル接続、持続可能な海洋産業の分野で経済協力の機会が生まれているとし、北極圏の地域社会と欧州企業に利益をもたらす持続可能な経済発展を支援するとしています。
- 港湾、鉄道、エネルギーターミナル、衛星・デジタルインフラ等の欧州のインフラを、北極圏で形成されつつある貿易・輸送網に統合し、欧州市場等との接続と新たなサプライチェーンを強化
- 欧州輸送回廊を軍民両用の基準に改良し、鉄道計画「Rail Nordica」の実施を加速
- グリーンランドと欧州を直接結ぶ海底ケーブル「Pan-Arctic Cable」を通じた、安全で強靭な接続を支援
- 「IRIS²北極接続」により、政府通信向けの安全な衛星接続を提供
- 北極圏の再生可能エネルギーと持続可能な鉱物資源の潜在力の開発を引き続き支援
- 一方、石油・石炭・ガスは北極圏を含めて地中にとどめるとのEUの立場は維持(2021年の北極に関する共同コミュニケーションに沿ったもの)
安全保障・海事分野
- 加盟国、北極圏のパートナーと、北大西洋条約機構(NATO)と補完的に協力し、備えの向上と重要インフラの保護を進め、欧州の砕氷船能力を拡大
- サプライチェーンのレジリエンス確保、北方の海上国境の保護、重要な海底インフラの防護に取り組む
- 新設する「海洋安全保障ハブ」により、加盟国・パートナー間の情報共有と北極圏の海上活動の監視を改善
- 第一段階として「北極ケーブルハブ」の設立を支援し、北大西洋と北極圏の海底ケーブルを監視・保護し、修理を支援。脅威を検知するスマート技術にも投資
- 同ハブは今後、「影の船団」の船舶追跡、違法漁業・汚染の検知、捜索救助の調整にも拡充
上級代表は、ロシアと中国が北極圏での存在感と野心を高めていると指摘しています。
気候変動対応と研究
- 北極圏は世界平均の約4倍の速さで温暖化しているとし、気候の研究・観測・モニタリングを強化
- EUの新たな海洋モニタリング・観測イニシアティブ「OceanEye」を通じたデータ共有を推進
- 新設の「EU極地研究ハブ」により科学と政策の連携を強化
参考情報
欧州委員会 プレスリリース「EU sets out a new Strategy for the Arctic」(IP/26/2203)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_26_2203
同 プレスリリース(PDF版)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/api/files/document/print/en/ip_26_2203/IP_26_2203_EN.pdf
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