2026.10.30
国際|ITU、発信者番号偽装対策の国際規格Q.3057等の実装に向け議論
国際電気通信連合(ITU)は2026年10月1日、発信者番号の偽装(スプーフィング)やロボコールといった不正通信への対策として、ITU電気通信標準化部門(ITU-T)の第11研究委員会(SG11)が策定した一連の国際規格を紹介する記事を公表しました。これらの規格は、デジタル公開鍵証明書を用いて、着信側に表示される発信者番号(CLI:calling-line identification)を認証する仕組みを定めるもので、アーキテクチャと信頼の基点(トラストアンカー)モデルを定めるQ.3057、信号手順を定めるQ.3062、CLI認証の手順を定めるQ.3063のほか、既存の信号方式であるQ.763、Q.931およびQ.1902.3の改正で構成されます。ITUは、AIによる音声模倣の高度化に伴い不正通信への懸念が高まっていると指摘しています。さらに、証明書発行の要件や国境を越えた信頼確保の仕組みを定める規格、運用上のガバナンス枠組みを定める規格が承認手続中であり、ITUは10月9日にインド電気通信局と共催で、規格の実装や概念実証(PoC)の可能性を議論する円卓会議を開催するとしています。
公表済みの規格の概要
ITUによれば、SG11が公表した規格の構成は次のとおりです。
- Q.3057:アーキテクチャおよびトラストアンカーモデル
- Q.3062:信号手順および保護されたメッセージの構造
- Q.3063:CLI認証の手順
- Q.763およびQ.931(共通線信号方式No.7〔SS7〕関連)、Q.1902.3(ベアラ独立呼制御〔BICC〕)の改正:証明書、署名および認証結果を伝送するためのプロトコル拡張
Q.3063の規格文書は、発信者番号の偽装により、信頼できない機器が着信拒否機能をすり抜け、詐欺を可能にしていると説明しています。また、Q.3062の規格文書は、SS7がすべてのネットワーク参加者を信頼できるとの前提で設計されたため、なりすまし、位置追跡、詐欺といった攻撃が生じてきたとし、事業者が受け入れたトラストアンカーに基づいて信号メッセージの真正性を検証できるようにする要件を定めています。
承認手続中の規格
- Q.3070(SG11):証明書発行の要件と、国境を越えた信頼を確保するためのトラストアンカー情報の共有の仕組み
- E.1122(第2研究委員会〔SG2〕:運用面):ガバナンスの枠組みおよび運用上の要件
円卓会議と今後の展開
円卓会議は、インド・モバイル・コングレスに合わせて10月9日に開催され、誰でも参加でき、オンラインでも視聴可能とされています。議題には、実装に実際に必要となる事項、各国の優先事項と制約、概念実証によって解決策を検証し今後の標準化作業に反映させる方法が含まれます。ITUは、各国政府と通信事業者が実装の経験を得て共有することを想定しています。
事業者への示唆
一連の規格は、証明書・署名・認証結果を既存の信号方式で伝送する仕組みを定めるものであり、通信事業者にとっては、各国での導入動向や、証明書発行要件・ガバナンスを定めるQ.3070およびE.1122の承認状況が今後の対応を左右する要素となります。
参考情報
- ITU News「ITU advances global efforts to combat fraudulent communications」(2026年10月1日):https://www.itu.int/hub/2026/10/itu-advances-global-efforts-to-combat-fraudulent-communications/
- ITU-T Q.3057:https://www.itu.int/itu-t/recommendations/rec.aspx?rec=14242
- ITU-T Q.3062:https://www.itu.int/itu-t/recommendations/rec.aspx?rec=15042
- ITU-T Q.3063:https://www.itu.int/itu-t/recommendations/rec.aspx?rec=15043
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