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ARTICLE 2026.09.04

米国|カリフォルニア州、機器の効率基準を賃貸・輸入・流通にも拡大

公開日
2026.09.04

2026年08月31日、米国カリフォルニア州知事は、州の機器(アプライアンス)効率基準の適用範囲を拡大する州法案AB 2458を承認し、同日付で州務長官に提出されました。同法は第171章(Chapter 171)として成立し、公共資源法(Public Resources Code)第25402条を改正するものです。これまで同条は、州エネルギー委員会(State Energy Resources Conservation and Development Commission)が定める最低効率基準等への適合をメーカーが証明していない新規機器について、州内での「販売」および「販売の申出」を禁止していました。今回の改正は、この禁止の対象に、賃貸(rental)、輸入(importation)、流通(distribution)、リース(lease)、およびこれらの申出を加えるものです。あわせて「州内で販売等された」の定義が改められ、売主だけでなく、申出者・賃貸人・輸入者・流通業者・貸主の所在地を問わず、州内での最終使用を目的とする取引が広く対象になることが明確化されました。インターネット、電話、通信販売による取引も明示的に含まれます。州外に所在する事業者であっても、カリフォルニア州内で最終使用される規制対象機器を賃貸・輸入・流通・リースする場合には、適合証明のない機器を取り扱えなくなります。

改正の要点

立法顧問要旨(LEGISLATIVE COUNSEL’S DIGEST)は、本法の内容を次のとおり整理しています。既存法は、州エネルギー委員会に対し、規則によって最低運転効率基準を定めることを求め、あわせて、エネルギーまたは水の使用量が大きい機器の効率化を促進するため、その他の費用対効果の高い措置を定める権限を与えています。また、製造時点で有効な基準への適合をメーカーが証明していない新規機器の販売および販売の申出を禁止しています。本法は、これらの規定の対象に、賃貸、輸入、流通、リース、およびこれらの申出を追加するものです。

改正後の第25402条(c)(1)(A)(i)は、基準または費用対効果の高い措置の発効日以後に製造された新規機器について、メーカーによる適合証明がない限り、州内において「販売、賃貸、輸入、流通、リースし、または販売、賃貸、輸入、流通、リースの申出をしてはならない」と定めています。従来は販売行為のみを捉えていた規制が、機器が州内の最終使用者に届くまでの流通経路全体を捉える構造へと改められた点が、実務上の最大の変更点です。

対象となる取引の範囲と定義

改正後の定義規定は、「州内において販売、賃貸、輸入、流通、リースされ、または販売、賃貸、輸入、流通、リースの申出がなされた」とは、州内での最終使用に係る機器を対象とする、販売、販売の申出その他同項に定める取引を意味するとしています。そのうえで、次の点を明示しています。

  • 売主、申出者、賃貸人、輸入者、流通業者、貸主の物理的所在地を問わない
  • インターネット、電話、通信販売(mail order)による取引を、限定なく含む
  • 本条の適用上、統一商事法典・売買編(Commercial Code 第2編)は「販売された、または販売の申出がなされた」の意義を定義せず、販売または販売の申出が行われた場所を決定するものでもない

すなわち、州内の最終使用者に向けた取引であるかどうかが判断の基軸であり、事業者の所在地や取引形態(対面か通信販売か)は免責の理由になりません。州外の輸入業者、卸売・流通事業者、機器をリースまたは賃貸で提供する事業者が、新たに規制の名宛人として明確に位置づけられることになります。

製造日表示の義務

第25402条(c)(2)は、配管継手(plumbing fitting)を除き、同条(c)(1)に基づき規制される新規機器であって1984年7月1日以後に製造されたものについて、製造日が当該機器のアクセス可能な場所に恒久的に表示されていない限り、州内での取扱いを禁止しています。今回の改正により、この表示義務違反を理由とする禁止の対象にも、販売および販売の申出に加えて、賃貸、輸入、流通、リースおよびこれらの申出が含まれることになりました。中古機器の再流通やリース事業においては、製造日表示の有無の確認が実務上の確認事項となります。

基準の設定と発効に関する枠組み

本法は第25402条の適用範囲を拡大するものであり、効率基準そのものの水準を変更するものではありません。基準の設定手続および発効に関する枠組みは、改正後も次のとおり維持されています。

  • 最低運転効率基準は、合理的な使用パターンに基づき、実現可能かつ達成可能な効率、または実現可能な効率改善に基づいて設定される
  • 最低運転効率基準は、採択または改訂の日から1年を経過するまでは発効しない。ただし、委員会が正当な理由(good cause)を認定した場合は、1年より早く発効しうる
  • 正当な理由の認定にあたっては、基準に適合する製品の市場における入手可能性、早期発効がメーカーに与える影響、早期発効による健康・安全上の便益、1年の猶予が技術革新に与える影響、意見において示された懸念が考慮される
  • 規則案の公告に先立ち、規制の対象となる当事者を関与させる公開会合を開催し、設計上の提言、コストに関する考慮その他の事項について意見を受け、これを考慮しなければならない
  • 基準または措置は、対象機器の設計上の耐用期間を通じて、消費者に総費用の増加をもたらすものであってはならない
  • ある機器について基準を採択した後5年間は、その機器に係るその他の費用対効果の高い措置を採択しない限り、最低運転効率の水準の引上げまたは引下げは発効しない

また、委員会は、基準の採択または改正の少なくとも1年前に、その意図と根拠を州議会に通知することとされています。

第25402条の全体像

今回改正された(c)項は、第25402条の一部です。同条は、エネルギーの浪費的・非経済的・非効率的または不必要な消費を削減し、電力系統の信頼性維持に資するよう電力負荷を管理するため、州エネルギー委員会に対して次の措置を求めています。

  • (a) 新築の住宅用および非住宅用建築物に係る照明、断熱、空調システムその他の建築設計・施工基準の規則による制定
  • (b) 新築建築物に係るエネルギーおよび水の保全設計基準(性能基準として、床面積あたりのエネルギー消費量により定める)の規則による制定
  • (c) 機器の最低運転効率基準およびその他の費用対効果の高い措置(インセンティブ制度、フリート平均、連邦の表示法により専占されない範囲でのエネルギー・水消費量の表示、消費者教育プログラム)の制定
  • (d) 特定の立地における新規施設の運転に係る最低効率基準の勧告
  • (e) 柔軟需要(flexible demand)技術の普及を促進するための機器基準の規則による制定および定期的な更新

(e)項の柔軟需要機器基準は、機器の運転を計画的に調整、移行または抑制できるようにすることで、系統の信頼性向上または温室効果ガス排出の削減を図るものであり、表示に関する規定を含めることができるとされています。同基準は、採択または更新の日から1年を経過するまで発効しません。基準の策定にあたっては、米国国立標準技術研究所(NIST)の信頼性・サイバーセキュリティ規約またはこれと同等以上に保護的な規約を考慮し、少なくとも北米電力信頼度協議会(NERC)の重要インフラ保護基準を採択することとされています。優先される機器としては、負荷管理技術や第三者による負荷管理プログラムにより電力需要を制御しやすい機器、負荷管理技術の選択肢が容易に入手できる機器、設定・接続手順が平易で利用しやすいインターフェースを備える機器、第三者による直接操作の標準に対応する機器、相互運用可能またはオープンソースの機器が挙げられています。

事業者に求められる対応

「誰が、何を、どうすればよいのか」を整理すると、次のとおりです。

  • 対象となる事業者:カリフォルニア州内での最終使用を目的とする規制対象機器を、販売、賃貸、輸入、流通またはリースする事業者、およびこれらの申出を行う事業者。州外・国外に所在する事業者も含まれます。
  • 確認すべき事項:取り扱う機器が州エネルギー委員会の規制対象機器に該当するか、該当する場合に、製造時点で有効な基準への適合がメーカーにより証明されているか。あわせて、1984年7月1日以後に製造された機器について、製造日がアクセス可能な場所に恒久的に表示されているか(配管継手を除く)。
  • 見直しが必要となりうる業務:輸入・通関実務、卸売および流通契約、レンタル・リース契約における適合保証条項、越境のオンライン販売・電話・通信販売のチャネル管理、中古機器や返却機器の再流通手続。
  • いつまでに:原典である法令本文には、施行日に関する明示的な定めは記載されていません。州知事による承認および州務長官への提出はいずれも2026年8月31日付です。適用開始時期については、州の官報等による確定情報を別途確認する必要があります。

審議情報

本法の要旨欄(Digest Key)には、議決要件は過半数(MAJORITY)、歳出(Appropriation)は「なし」、財政委員会(Fiscal Committee)の付託は「あり」、地方プログラム(Local Program)は「なし」と記載されています。提案者はBennett議員です。法令本文の公表日は2026年09月01日と記載されています。

参考情報

California Legislative Information(leginfo)「AB-2458 Energy: appliance standards and cost-effective measures.(2025-2026)」

https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billNavClient.xhtml?bill_id=202520260AB2458

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