2026年08月28日、シンガポール人力省(MOM)は、屋外作業者を対象とする「熱ストレス管理枠組み(Heat Stress Management Framework)」を強化し、これまで推奨事項とされていた4項目を義務要件へ格上げすると公表しました。適用開始は2026年12月1日で、使用者には公表から3か月の準備期間が与えられています。あわせて、日陰の休憩場所の整備に関する新たな推奨事項も追加されました。今回の措置は、シンガポール政府が全省庁で進める気候レジリエンス(climate resilience)施策の一環と位置付けられており、労使団体および業界関係者との協議を経て決定されたものです。屋外作業を伴う事業者は、2026年12月1日までに4項目すべてを実施できる体制を整える必要があります。屋外での据付・保守・建設・物流などの業務をシンガポールで行う日本企業や、現地の請負業者を使用する事業者にも関係する内容です。
義務化される4項目
今回、推奨事項から義務要件へ格上げされたのは次の4項目です。
- 熱にさらされる作業者に対する熱ストレス教育プログラムの整備(原文「establish heat stress training programme for workers exposed to heat」)
- 作業場所の近くにおける冷たい飲料水の供給(原文「provide cool drinking water supply near work areas」)
- 緊急対応用の冷水・アイスパック・水スプレーの常備(原文「ensure cold water, ice packs or water spray on standby for emergency response」)
- 過度の熱ストレスを緩和・防護できる適切な衣服の提供(原文「provide suitable clothing that can mitigate or protect workers from excessive heat stress」)
新たに追加された推奨事項
義務要件とは別に、「換気が良く、断熱または冷却された日陰の休憩場所を設けること」(原文「provide shaded rest areas that are well ventilated and well insulated or cooled」)が推奨事項として追加されました。こちらは義務ではありません。
既存の要件との関係
今回の4項目は、既存の要件に上乗せされるものであり、既存の要件が置き換えられるわけではありません。人力省は、引き続き次の措置が求められるとしています。
- 湿球黒球温度(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)の測定
- 水分補給の確保
- 日陰での十分な休憩時間の付与
- 暑熱順化(heat acclimatisation)
- 緊急対応計画の策定
なお、今回の公表資料には、WBGTの具体的な基準値、休憩時間の長さ、対象となる業種の限定、根拠法令の条文および違反時の措置についての記載はありません。実務上の判断にあたっては、人力省が今後行う周知の内容を確認する必要があります。
事業者に求められる対応
- 誰が:屋外作業者を使用する事業者(使用者)
- いつまでに:2026年12月1日
- 何を:上記4項目の実施。具体的には、熱ストレスに関する教育プログラムの整備と実施記録、飲料水の設置場所の見直し、緊急対応用の冷却手段の常備、作業服の仕様の見直し
教育プログラムの整備と作業服の仕様変更は、調達や社内規程の改定を伴うため準備に時間を要します。人力省は3か月の実施期間中、周知活動を通じて使用者を支援するとしています。
参考情報
シンガポール人力省(Ministry of Manpower)「MOM Enhances Heat Stress Protection for Workers Amid Rising Heat Risks」
https://www.mom.gov.sg/newsroom/press-releases/2026/0828-enhancements-to-heat-stress-framework
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