2026年09月02日、米国税関国境警備局(CBP)は、輸入貨物の供給網の可視性を高めるための規則制定前通知(ANPRM)を連邦官報に公示し、意見募集を開始しました。輸入者に対して外国の税関当局へ提出した輸出関連書類の提出を求めること、製造者などの特定手段として現行の製造者識別コード(MID)に代えて国際的な事業者識別子を用いること、供給網の追跡に民間の技術的手法を導入することが、検討課題として挙げられています。テロ対策税関産業界パートナーシップ(CTPAT)の最小セキュリティ基準の拡大も論点とされました。意見提出期限は2026年12月01日です。現時点で具体的な規則案は示されていませんが、実現すれば輸入者や運送業者などに新たな情報提出と記録保持の負担が生じます。
検討されている三つの措置
- 外国の輸出書類の提出:輸出申告書、商業インボイス、梱包リスト、原産地証明書、輸出許可・認可書、船荷証券や航空運送状などの運送書類について、輸入時の提出または記録保持の対象とすることを検討しています。全品目を対象とするか、提出の時期をいつとするか、誰が提出の責任を負うかなどが論点です。
- 事業者識別子の見直し:現行のMIDは名称と住所から生成されるため一意性に欠け、複数の企業が同一のコードを持ちうると指摘されています。これを踏まえ、D-U-N-S番号、GLN(Global Location Number)、LEI(Legal Entity Identifier)などの国際的な事業者識別子への置換が検討されています。
- 供給網追跡技術の活用:民間で用いられているトレーサビリティ技術(AIを用いたものを含む)を通関情報システム(ACE)と統合する構想や、改ざん防止のための認証技術の導入が示されています。
CTPATに関する論点
CTPATについては、参加企業に対する供給網追跡技術の導入の義務化、最小セキュリティ基準へのサイバーセキュリティおよびデータ完全性に関する要件の追加、指定された物流プラットフォームの利用禁止が論点として挙げられています。これらが規則化された場合、CTPAT参加企業には新たな設備投資と運用体制の整備が求められることになります。
対象となる事業者と今後の見通し
想定される対象は、輸入者、認可を受けた通関業者、製造者・輸出者、航空・陸上・海上・鉄道の運送業者、混載業者、第三者物流事業者、オンラインマーケットプレイスです。CBPは段階的な導入の可否についても意見を求めており、輸入申告(エントリー)の種別、品目、相手国、輸送手段、事業規模、CTPATへの参加状況に応じた区分が検討されています。
本通知は規則案の前段階であり、直ちに義務が生じるものではありません。もっとも、対象範囲が広く、書類の保持や取引先の識別情報の整備に相応の準備期間を要する内容であるため、米国向けの輸出入に関与する事業者は、自社および取引先の対応可能性を早期に点検しておくことが有用です。
参考情報
Federal Register(米国連邦官報)「Heightened Import Disclosures for Supply Chain Visibility」(91 FR 56408)




