2026年09月11日、中国国務院のウェブサイトに「市場監督管理所条例」(国務院令第846号)が掲載されました。同令は2026年08月21日の国務院第94回常務会議で可決され、李強総理の署名日は2026年09月06日です。施行日は2026年11月01日で、同日をもって従来の「工商行政管理所条例」は廃止されます。全19条からなり、県級の市場監督管理部門の派出機構である「市場監督管理所」の設置、職責および執法のあり方を定めています。市場監督管理所は、登記事務から食品・薬品の日常監督、不正競争・広告・価格・計量の監督、苦情処理までを担う末端の執法機関であり、中国で事業を行う企業が現場で直接向き合う相手となります。
条例の位置づけ
市場監督管理所は、県級人民政府の市場監督管理部門の派出機構と位置づけられ、経済区域に基づいて設置されます。今回の条例は、その建設と管理を強化することを目的とするものです。
市場監督管理所の職責
第5条は、市場監督管理所の職責として次の事項を挙げています。
- 個体工商戸、農民専業合作社(聯合社)およびその分支機構の登記
- 食品の生産経営、薬品・医療機器・化粧品の経営、特種設備の使用および製品品質に対する日常的な監督管理
- 反不正当競争、広告、価格、計量の各分野における監督管理
- 苦情・通報の処理
- 違法行為の査処(摘発・処分)
- 法令の宣伝その他の執法職責
執法のあり方に関する規定
条例は「厳格規範公正文明執法」を求め、執法にあたって経営活動への悪影響を避け、または極力減らすべき旨を定めています。あわせて、県級政府の関係部門による支援と、郷鎮・街道と連携した監督管理の協調の仕組みが規定されています。
人員面では、職責の履行に見合った人員配置、定期的な研修、および崗位責任制による考課が定められています。さらに「標準化・規範化・専業化」の建設が強調され、統一的で規範的な標識の着用が求められています。職員が職権を濫用し、職務を怠り、または私利を図った場合の処分、犯罪を構成する場合の刑事責任も規定されています。
事業者が押さえるべき点
本条例は行政機関の組織と運営に関する規定であり、事業者に新たな義務を直接課すものではありません。もっとも、日常の検査・登記・苦情対応の窓口となる末端機関の職責と執法の規範が行政法規として明確化されるため、現場対応の予測可能性に影響します。
特に、食品の生産経営、薬品・医療機器・化粧品の経営、特種設備の使用を伴う事業、および製品品質・広告・価格表示・計量に関わる事業については、日常的な監督管理の対象として条例に明記されています。2026年11月01日の施行に向けて、自社の事業所を所管する市場監督管理所の所掌範囲を確認しておくことが有用です。
なお、条例の条文には各職責の具体的な実施手続や、事業者側の対応義務を新たに定める規定は見当たりません。実務上の運用がどのように変わるかは、施行後の運用を確認する必要があります。
参考情報
中華人民共和国国務院「市場監督管理所条例」(国務院令第846号)
https://www.gov.cn/zhengce/content/202609/content_7080735.htm
中華人民共和国生態環境部(同令の掲載ページ)
https://www.mee.gov.cn/zcwj/gwywj/202609/t20260911_1165970.shtml





