2026年09月09日、米国環境保護庁(EPA)と陸軍工兵隊は、水質浄化法(CWA)上の「合衆国の水域」の定義に関する補足規則案(SNPRM)を公表し、意見募集を開始しました(91 FR 57284、Docket No. EPA-HQ-OW-2025-0322)。2025年11月20日に公表した規則案に対して約22万件の意見が寄せられたことを受け、「相対的に恒久的な水域」と隣接湿地の「連続する地表面の接続」の二つの論点について、追加の規制選択肢を示すものです。相対的に恒久的な水域を、通常の条件下で年間を通じて日々流水または滞水がある多年性の水域に限定し、干ばつ等の異常事象による中断は最長5年、低潮や定期的な乾期による中断は年1回・連続30日以内を例外とする案が示されました。意見提出期限は2026年10月09日です。
見直しの背景
今回の見直しは、2023年05月の連邦最高裁判所によるサケット対環境保護庁判決(598 U.S. 651)を踏まえたものです。同判決は、水質浄化法にいう「水」とは「相対的に恒久的で、滞水し、または継続的に流動する水域」を指すとしたうえで、低潮や乾期といった現象によって地表面の接続が一時的に中断することはありうると述べていました。両機関は、この判示を規則の文言に落とし込むにあたり、判断の明確性と予見可能性を高めることを目的として、今回の補足案を示しています。
相対的に恒久的な水域の定義案
補足案の中心は、対象を多年性(perennial)の水域に限定する考え方です。
- 通常の条件下で、年間を通じて日々流水または滞水がある水域を「相対的に恒久的な水域」とする
- 干ばつなどの異常事象による中断は、期間の制限を設けない。ただし干ばつの継続期間は最長5年とし、承認済みの管轄権判定(approved JD)の有効期間と一致させる
- 低潮や定期的な乾期など異常とはいえない事象による中断は、年1回、連続30日以内に限る
判定にあたっては、米国干ばつモニター(極端・例外的干ばつのD3・D4区分)、パーマー干ばつ深刻度指数、先行降水量ツール、海洋大気庁の潮位情報などの利用が想定されています。
隣接湿地の連続する地表面の接続
当初の規則案は、湿地が合衆国の水域と接し、かつ少なくとも雨季の間は地表面の水を有する場合に隣接湿地に当たるとしていました。これに対し、判例に明示されていない要件であるとの反対意見が寄せられたことから、補足案では次の選択肢が併記されています。
- 雨季の間の地表面の水を要件とする案(当初案)
- 年間を通じた地表面の水を要件とする案
- 接していること(abutting)のみを要件とする案
- 植物の生育期間中の地表面の水を要件とする案
事業者への影響
「合衆国の水域」の範囲は、水質浄化法第404条(浚渫土砂等の投棄の許可)および第402条(排出許可)の適用範囲を直接左右します。定義が変われば、これまで許可が必要とされてきた事業地で許可が不要となり、逆に判断が覆る可能性もあります。影響が及びうるのは、湿地に近接する用地で事業を行う開発・建設事業者、先行転作地や排水路を有する農業事業者、排水処理施設の除外規定の適用を受ける製造事業者などです。事業計画上の判断に影響する場合は、期限までの意見提出を検討する余地があります。
参考情報
米国連邦官報(Federal Register)「Definition of “Waters of the United States”; Supplemental Notice of Proposed Rulemaking」




