2026.10.27
米国|財務省、COINS法にもとづく対外投資規制の改正案を公表
2026年10月22日、米国財務省は、2026会計年度国防授権法の一部として成立した包括的対外投資安全保障(COINS)法を実施するため、対外投資安全保障プログラム(OISP)の規程改正に関する規程案策定通知(NPRM)を公表しました。COINS法は、米国人による一定の対外投資を規制する政府の方針を法律として明文化したもので、米国の投資が、軍の近代化や監視、人権侵害を支える軍民両用技術の開発に利用されることを防ぐことを目的としています。本規程案は、現行の連邦規則集第31編第850部(31 CFR Part 850)を土台に、対象技術分野と懸念国を拡大するものです。米国人とその被支配外国事業体は、懸念国に関係する対象外国人との一定の取引について、財務省への届出や取引の禁止の対象となります。意見募集の期限は2026年12月7日で、施行日は今後公表される最終規程で定められます。
主な改正点
- 対象技術分野:現行の半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、人工知能(AI)に、高性能計算・スーパーコンピューター、極超音速システム、バイオテクノロジーを追加します。
- AI分野:2026年9月29日の大統領令第14434号にもとづき「超知能(SI)システム」の用語を用い、SIシステムを開発する対象外国人への投資を届出対象から禁止対象へ一本化します。
- 懸念国:中国(香港・マカオを含む)に加え、キューバ、イラン、北朝鮮、ロシア、マドゥロ政権下のベネズエラを追加します。なお、財務省のFAQは、現時点ではベネズエラは定義に該当しないとしています。
- 適用除外:5万ドル以下(12か月合算)の少額取引(届出義務のみ対象)、引受業務、銀行融資などを追加します。
- 取引が禁止対象に当たるかについて、拘束力のない見解を財務省に求める手続を新設します。
バイオテクノロジー分野の禁止対象
- 一定の生物由来化合物・材料、ブレイン・コンピューター・インターフェース
- バイオ製造装置・施設、生物学的設計やシーケンシング等に用いる技術・装置
- バイオインフォマティクスツール、自動化された科学的発見・実験のためのハードウェア・ソフトウェア
事業者の義務
- 届出対象技術に関わる対象取引は、取引完了後30日以内に財務省へ届け出る必要があります。完了後に対象取引であったと知った場合は、認識から30日以内に届け出ます。
- 禁止対象技術に関わる対象取引は、行うことが禁止されます。
- 対象取引には、持分の取得、持分への転換権等を伴う一定の債務融資、合弁事業、グリーンフィールド投資、非米国の投資ファンドへの一定のLP投資などが含まれます。
- 取引に先立ち、合理的かつ慎重な調査を行うことが求められます。財務省は対象外国人のリストを公表しない予定です。
違反時の措置
- 財務省は、国際緊急経済権限法(IEEPA)で認められる上限までの民事制裁金を科すことができ、禁止技術に関わる対象取引については投資の解消を命じることができます。
- 自主開示を行った場合、財務省は対応を判断する際にこれを考慮します。
施行までの扱い
- 最終規程が施行されるまでは、2025年1月2日に施行された現行の第850部が引き続き適用されます。
参考情報
米国財務省プレスリリース:https://home.treasury.gov/news/press-releases/sb0667/
米国財務省 対外投資安全保障プログラム:https://home.treasury.gov/policy-issues/international/outbound-investment-program
米国財務省 COINS法規程案策定通知に関するファクトシート・FAQ:https://home.treasury.gov/system/files/206/Fact-Sheet-FAQs-COINS-Act-NPRM.pdf
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