2026年9月4日、中国交通運輸部弁公庁は「低空無人機応用公路応急抢通技術指南(試行)」(交辦公路〔2026〕52号、2026年8月24日付)を各省級の交通運輸主管部門に通知したことを公表しました。供用中の道路で発生した交通突発事案について、低空域の無人機を用いた現場調査・意思決定支援・応急指揮・応急保障の一連の作業を技術的に規範化するものです。指南は全9章と3つの附属資料で構成され、無人機の用途別の性能要件、操縦者の資格、空域使用の手続、データの保存範囲、成果報告の様式までを定めています。無人機の運用を受託する事業者、機体・搭載機器のメーカー、道路の維持管理を受託する事業者にとって、中国の道路応急業務における発注仕様の基準となる文書です。
指南の構成と適用範囲
適用対象は、供用中の道路における交通突発事案の応急復旧作業です。章立ては、総則、用語、基本規定、現場調査、意思決定支援、応急指揮、応急保障、事後評価とデータ保存、安全管理と突発事象対応の9章で、附属資料として作業フロー図、被災の自動識別手法、成果報告の様式が付されています。
無人機の性能要件
無人機は現場調査用と応急指揮用の2区分に分けられ、それぞれ性能の下限が示されています。
- 小型マルチロータ機:速度20m/s以上、1,200万画素以上
- 中大型マルチロータ機:最大積載5kg以上、速度23m/s以上、レーザーレーダ搭載
- 複合翼機:航続3時間以上、速度25m/s以上
- 拡声器:出力110dB、リアルタイム音声対応
- 消火弾:1発の重量3kg未満、有効半径3m以上、風力6級に対応
- 係留式無人機:24時間連続運用、ケーブル長は通常配置で30〜50m
- 防護等級:小型マルチロータ機はIP55以上、レーザーレーダを搭載する中大型マルチロータ機はIP64以上
- 画像の重複率:進行方向60〜80%、隣接方向30〜60%。被災の自動識別精度はmAP0.75以上
作業手順と要員の資格
作業は、空域の事前届出、現場調査、意思決定支援、応急指揮、応急保障、事後評価の順で進めます。準備時間は10分以内(条件により30分以内)とされています。作業内容には、被災評価、現場への拡声による避難誘導、救急用品・飲料水・救命器材の投下輸送、小型消火弾による定点消火、二次災害の監視、探照灯による夜間照明、応急通信の中継が含まれます。
要員については、中央空管委および民用航空局の操縦ライセンスの取得が必須とされ、応急業務に習熟した技術者および平台・機器の操作技術者の配置が求められます。
安全管理・データ管理
- 機体ごとに「一機一檔」の全ライフサイクル管理を行い、実名登記と有効状態を定期的に確認する
- 空域・環境・設備・操作の各面について個別のリスク評価を実施する
- 空域管理規定を厳格に遵守し、機微区域を回避、通航河川・高速道路上では事前協議を行う
- 通信途絶時の自動帰還、設備故障時の安全着陸、気象急変への対応、管制指令への即時応答を定める
- 原データ(メタデータ・座標・機体姿勢)、感知データ(映像・写真・点群・被災データ)、作業データ、補助データを保存する
事業者への示唆
本指南は試行版であり、直接の名宛人は省級の交通運輸主管部門です。もっとも、示された性能要件・資格要件・データ保存要件は、今後の道路応急業務の調達仕様に反映される可能性が高く、中国で無人機サービスや機体・搭載機器を供給する事業者は、自社製品・体制が表3.4.3および表3.4.4の水準を満たすかを確認しておくことが有用です。
参考情報
中華人民共和国交通運輸部弁公庁「低空無人機応用公路応急抢通技術指南(試行)」の印発に関する通知(交辦公路〔2026〕52号)
https://xxgk.mot.gov.cn/jigou/glj/202609/t20260904_4223835.html


