2026年09月08日、米国連邦通信委員会(FCC)は、免許を要しない機器(連邦通信委員会規則パート15の機器)が衛星と直接通信することを認める枠組みを整備する規則案(NPRM)を公表し、意見募集を開始しました(ET Docket No. 26-169、FCC 26-51、91 FR 57110)。対象となるのは2400〜2483.5MHz帯および5725〜5850MHz帯で、Wi-FiやBluetooth、IoTセンサーなど、すでにパート15の機器認証を受けた機器が追加の認証を受けることなく衛星との送受信を行えるようにすることが提案されています。運用は、他の無線業務に有害な混信を与えず、かつ受けた混信を受忍する「無保護・非干渉」を条件とし、空中線電力の上限(最大4W/36dBm EIRP)は引き上げない方針が示されています。意見提出期限は2026年11月09日、反論意見の提出期限は2026年12月07日です。
提案の枠組み
本規則案は、衛星と端末が直接通信する「ダイレクト・ツー・デバイス(D2D)」の利用範囲を、免許不要機器にまで広げることを目的としています。既存の補足的宇宙カバレッジ(SCS)の枠組みが携帯電話事業者の免許帯域を前提としているのに対し、本案は免許不要帯域を対象とする点が異なります。衛星側の運用は、既存の免許業務およびパート15機器を保護することを前提に、保護を受けない非干渉ベースで行うものとされています。
対象周波数帯と技術条件
- 2400〜2483.5MHz帯:地球から宇宙への方向(上りリンク)についての衛星業務の分配を提案
- 5725〜5850MHz帯:地球から宇宙、および宇宙から地球への双方向についての分配を提案
- 地上機器側の技術基準は現行のパート15基準を維持し、空中線電力の上限は変更しない
- 宇宙から地球への方向については、電力束密度(PFD)の制限やビーム幅の制限など、新たな技術基準の導入を検討
- 複数の衛星コンステレーションが同一帯域を共用する場合の集合的なPFD制限のあり方も論点
機器認証の取扱い
規則案は、既存のパート15認証を受けた機器については、衛星通信を行うために新たな機器認証を取得する必要はないとの考え方を示しています。新規に市場に投入する機器についても、パート15の技術基準に適合していれば足り、パート25(衛星通信)に基づく追加試験を課さない案が提案されています。ただし、アンテナの指向性に関する制限を設けるべきか、リッスン・ビフォア・トークのような競合制御プロトコルを求めるべきかについては、意見が求められています。
主な論点
意見募集の対象として、電波天文業務をはじめとする既存業務への影響評価、PFD制限値の水準(パート25に準じるか、欧州ECC基準を参照するか)、衛星事業者に対する免許の形態(個別免許、規則による免許、完全な免許不要のいずれとするか)、国際電気通信連合(ITU)無線通信規則第4.4条との整合、国境を越える混信のリスク評価、外国免許の衛星に対する市場アクセスの取扱いなどが挙げられています。
事業者への影響
無線機器の製造者・輸入者にとっては、既存の認証機器がそのまま衛星通信に対応しうる点で、追加の認証負担を伴わずに新たな用途を開拓できる可能性があります。一方で、非干渉・無保護を前提とするため、通信の品質や可用性は保証されません。資産追跡や遠隔監視などにIoT機器を用いる事業者、および衛星事業者は、技術基準の具体的な水準が今後の意見募集を経て決まることを踏まえ、期限までの意見提出を検討する余地があります。
参考情報
米国連邦官報(Federal Register)「Unlicensed Device Communications With Satellites」





