2026.09.10
米国|マサチューセッツ州、データセンター規制の行政命令に署名
2026年09月08日、米国マサチューセッツ州のモーラ・ヒーリー知事は、州内におけるデータセンターの開発及び運用に関する要件を定める行政命令第658号(料金負担者、地域社会及び環境を保護し支援するための責任あるデータセンターの開発及び運用に関する要件の確立)に署名しました。行政命令は、立地する自治体の承認がないデータセンター事業について、州の許認可手続を進めないことを州の許認可機関に求める内容です。知事は「地域社会がデータセンターにイエスと言わない限り、州はノーと言う」と述べています。対象となるのは、ピーク電力需要が25メガワットを超えるデータセンターであり、本命令の発効後に建設又は増設されるものです。開発事業者には、地域便益協定の締結、追加的なクリーン電力の調達、水質・排水規制の遵守、年次報告などが求められます。行政命令は署名により直ちに発効し、改正又は撤回されるまで効力を有します。
適用対象
- 高性能サーバーを収容する建物又は建物群であって、ピーク電力需要が25メガワットを超えるデータセンター
- 本命令の発効日以後に建設又は増設されるものが対象
- 認定を受けた大学等の高等教育機関、又は州が支援する医療・研究プログラムに関連する施設については適用除外が設けられる場合があります
開発事業者に課される要件
- 大気質、水利用及び地域社会との対話に関する2026年6月の知事の枠組み(Framework)への適合を示すこと
- 州の基準に沿った地域便益協定(community benefits agreement)の締結。締結がなければ州の許認可手続に進めません
- 地域便益協定の提出前に、州の環境正義・公平局(Office of Environmental Justice and Equity)と協議すること
- クリーンエネルギー基準(Clean Energy Standard)の要件を満たす追加的なクリーン電力の調達
- 水質、排水及び雨水排水に関する規制の遵守
- 運用に関する指標の年次報告及び情報開示
- 州の許認可機関との間で秘密保持契約を締結することは禁止されます
費用負担とクリーンエネルギー
- 開発事業者は、エネルギーインフラ及びクリーン電力供給に要する費用を全額負担することが求められます
- 公益事業局(DPU)は、データセンターの需要に対応するための配電網の増強費用を他の料金負担者が負担しないようにする料金体系を定めるものとされています
- クリーン電力を十分に調達できない事業者に向けて、代替的な履行支払(alternative compliance payment)の仕組みを設け、料金負担者保護基金(Ratepayer Protection Fund)の原資とします。同基金の資金は全ての料金負担者の電力供給費用の軽減に充てられます
今後のスケジュール
- 2026年12月31日まで:経済開発部門及びエネルギー・環境部門が自治体向けの指針文書(Municipal Guidance Document)を公表
- 2026年12月31日まで:州環境保護局(MassDEP)がクリーンエネルギーに関する手続及び代替的履行支払の仕組みを整備
- 2027年9月から:関係機関が政策の変更点や連携改善について年次報告を実施
事業者への影響
マサチューセッツ州でデータセンターの新設又は増設を計画する事業者は、州の許認可申請の前提として、立地自治体の承認と地域便益協定の締結という新たな関門に対応する必要があります。電力調達については、クリーン電力の追加調達か料金負担者保護基金への拠出かの選択を迫られることになります。データセンターを利用する事業者にとっても、州内の供給計画や立地コストに影響が及ぶ可能性があります。具体的な運用は今後公表される指針文書及びMassDEPの手続によって定まるため、年内の動きを注視することが必要です。
参考情報
Commonwealth of Massachusetts(マサチューセッツ州)「Governor Healey: No Data Centers Without Local Approval」
https://www.mass.gov/news/governor-healey-no-data-centers-without-local-approval
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