2026年09月04日、米国環境保護庁(EPA)は、有害物質規制法(TSCA)に基づく1,2-ジクロロプロパンのリスク評価案を公表し、意見募集を開始しました。EPAは、評価の対象とした特定の使用条件の下で、同物質が人の健康に不合理なリスクをもたらすとの予備的な判断を示しています。1,2-ジクロロプロパンは、クロロホルムに似た甘い臭気を持つ揮発性の無色液体で、主として他の化学品の製造工程における副産物として生成されます。2024年の報告に基づく国内の生産量は1億から2億5000万ポンドとされています。評価では、労働者および現場の非利用者、消費者、施設周辺の地域住民、水生・陸生の生物への影響が検討されました。意見提出期限は2026年11月03日です。
評価の対象とされた主な使用条件
リスク評価案は、次のような使用条件(conditions of use)を対象としています。
- 輸入、再包装を含む加工
- 反応剤としての加工
- 加工助剤としての使用
- 商業用試験所における試薬としての使用
- 焼却処分および埋立処分
- 下水処理施設および事業場排水処理施設における処理
- 汚染地の浄化
評価された暴露と影響
労働者および現場の非利用者については、吸入および経皮の経路による急性、亜急性、慢性(非がん・がん)のリスクが評価されました。消費者については意図的な使用に伴う吸入および経皮の暴露、一般人口については施設の周辺地域を含む急性および慢性のリスクと、より高い暴露を受けうる集団(PESS)の存在が検討されています。環境については、水生および陸生の生物への急性・慢性の影響が対象とされました。
今後の手続と事業者への影響
EPAは、意見募集の後、科学諮問委員会(SACC)による査読の結果を踏まえて最終的なリスク評価を確定します。最終評価において不合理なリスクがあると判断された場合、EPAはTSCA第6条(a)に基づくリスク管理規則の策定に進み、使用の制限や禁止、暴露低減措置が課される可能性があります。
1,2-ジクロロプロパンの製造(輸入を含む)、加工、流通、使用または廃棄に関与する事業者は、次の点を確認することが有用です。
- 自社の取扱いが評価案の使用条件に含まれているか、また記載内容が実態と一致しているか
- 作業環境の測定データ、換気などの工学的対策、保護具の使用状況といった、EPAが特に情報提供を求めている事項に該当するデータを保有していないか
- 2026年11月03日までに意見を提出するかどうか
EPAは、石材の研磨や清掃用のポリッシュ・ワックスにおける使用、商業用試験所での使用量、廃液中の濃度、保護具に関する情報などについて、具体的な情報提供を求めています。評価案の段階で実態に即した情報を提出することは、その後のリスク管理措置の内容に影響しうる点で意義があります。
参考情報
Federal Register(米国連邦官報)「1,2-Dichloropropane; Draft Risk Evaluation Under the Toxic Substances Control Act (TSCA); Notice of Availability and Request for Comment」(91 FR 56882)


