2026年09月11日、米国国土安全保障省(DHS)は、雇用の終了後に非移民に認められている最大60日の猶予期間を廃止する規則案を連邦官報に掲載しました(DHS Docket No. USCIS-2026-0364、RIN 1615-AD22、91 FR 57807)。意見の提出期限は2026年11月10日です。現行の8 CFR 214.1(l)(2)は、対象となる就労系の在留資格について、雇用または活動の中止のみを理由として直ちに在留資格を失うことのないよう、最大60日の猶予を認めています。規則案はこの規定を削除し、雇用の終了の翌日から在留資格を喪失した扱いとするものです。
対象となる在留資格
E-1(条約商人)、E-2(条約投資家)、E-3(オーストラリア国民の専門職)、H-1B(特殊技能職)、H-1B1(シンガポール・チリ国民の専門職)、L-1(企業内転勤者)、O-1(卓越した能力を有する者)、TN(北米自由貿易協定に基づく専門職)の各分類の主たる受益者およびその被扶養者が対象です。
現行制度と変更される内容
- 現行:2016年11月のいわゆるAC21最終規則により創設された制度です。雇用の終了後60日、または認可の有効期間の満了のいずれか早い時点までは、雇用・活動の中止のみを理由として在留資格を失ったものとは扱われません。ただしDHSは、在留資格違反、猶予期間中の無許可就労、詐欺または国家安全保障上の懸念、犯罪による有罪判決を理由として、猶予期間を短縮または廃止する裁量を有しています。
- 変更後:雇用の終了の翌日から在留資格を喪失した扱いとなり、別途の在留が認められない限り、直ちに米国を出国する必要が生じます。
事業者に生じる影響
- 雇用の終了後に新たな請願を提出して在留資格を維持する運用を採ることができなくなり、対象者はいったん米国を離れたうえで、新たな非移民分類による再入国の許可を取得することが必要になります。
- H-1BまたはO-1の受益者を認可の有効期間の満了前に雇用主が解雇した場合、当該雇用主は受益者の合理的な帰国のための交通費を負担する責任を負います。
DHSが示す根拠
- 各分類は法律上、特定の雇用または活動の継続を在留資格の維持の条件としており、猶予期間の存在はこの法定の構造と整合しないこと。
- 2017年10月01日から2026年05月20日までの間に、190万件を超える請願書・申請書について猶予期間の適用の可否を判断してきたこと(行政上の負担)。
- 検討された代替案(一部の分類に限定する案、猶予期間を短縮する案、証拠要件を強化する案)は、いずれも法定の構造との不整合を解消しないため採用しないとしています。
本規則案で確定していない事項
規則案には経過措置が明示されておらず、DHSは意見募集を通じて経過措置に関する意見を求めています。最終規則の内容および施行の時期は、現時点では確定していません。
参考情報
連邦官報(Federal Register)




