2026年09月08日、米国内国歳入庁(IRS)および財務省は、個人が支払う適格乗用車ローン利息(QPVLI)について年間最大1万ドルを所得から控除できる制度と、貸手に新たに課される情報報告義務を定める最終規程を連邦官報に公布しました(91 FR 57214、RIN 1545-BR75)。控除の対象となるのは、2024年12月31日より後に組成され、第一順位の担保権が設定された借入であり、車両は米国内で最終組立てされた総重量定格(GVWR)14,000ポンド未満の新車に限られます。控除が認められるのは2025年から2028年までの課税年度です。あわせて、暦年中に個人から600ドル以上の適格利息を受け取った貸手に対し、様式1098-VLIによる情報申告と借手への通知が義務付けられます。最終規程の発効日は2026年11月09日です。
控除の対象となる借入と車両
控除の対象は「特定乗用車ローン(SPVL)」に該当する借入に限られます。規程が定める主な要件は次のとおりです。
- 2024年12月31日より後に組成された借入であること
- 当該車両に第一順位の担保権(first lien)が設定されていること
- 車両が適格乗用車(APV)に該当すること。具体的には乗用車、ミニバン、ワゴン車、スポーツ用多目的車(SUV)、ピックアップトラック、オートバイ
- 車両の総重量定格が14,000ポンド未満であること
- 車両の最終組立てが米国内で行われたものであること
- 納税者が最初の使用者であること(新車であること)
- 取得時点で、納税者が個人用途に50%を超えて使用する見込みであること
控除額の上限と所得による逓減
控除額の上限は、連邦所得税申告書1件につき年間1万ドルです。ただし修正調整後総所得(MAGI)が一定額を超える場合は、超過額1,000ドル(またはその端数)ごとに200ドルずつ控除額が減額されます。基準額は単身者等で10万ドル、夫婦共同申告で20万ドルです。本控除は、標準控除を選択する納税者についても調整後総所得から差し引くことができる仕組みとされています(内国歳入法典第63条(b)(7))。
貸手に生じる報告義務
内国歳入法典第6050AA条に基づき、暦年中に個人から特定乗用車ローンに係る利息を600ドル以上受け取った者は、様式1098-VLI(Vehicle Loan Interest Statement)により情報申告を行う義務を負います。申告事項には、利息の支払者の氏名・住所、当該暦年に受け取った利息の額、当該暦年の開始時点における未返済元本残高、借入の実行日、車両の年式・メーカー・モデルおよび車両識別番号(VIN)が含まれます。あわせて、同じ内容を記載した書面を借手へ交付しなければなりません。義務に違反した場合は、情報申告に係る第6721条および支払者通知に係る第6722条の罰則の対象となります。
施行日程と経過措置
最終規程の発効日は2026年11月09日です。2025年分の報告については経過措置が設けられており、利息の受取人が当該暦年に受け取った利息の総額を示す書面を個人に利用可能とすることで、第6050AA条の義務を履行したものとして取り扱われます。2026年分以降は様式1098-VLIによる正式な申告・通知が必要となるため、自動車ローンを取り扱う貸手は、VINや最終組立地を含む車両情報を融資実行時に収集・保持する体制の整備が求められます。
参考情報
米国連邦官報(Federal Register)「Deduction for Qualified Passenger Vehicle Loan Interest」





