解説EU – 欠陥製品責任指令(PL指令)

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法令の情報時期:1999年6月 ページ作成時期:2025年10月

目的

目的

製品の欠陥により引き起こされた損害に対する製造者の責任について、EU加盟各国間で相違があり、結果として競争を歪め、域内市場における製品の移動に影響を与える恐れがあった。また、欠陥製品によって消費者の健康や財産が損なわれた場合の消費者保護の観点からも相違が生じていたことから、加盟国間で法令の整合性をはかるために成立した指令である。

概要

概要

本指令の概要:製品に欠陥があった場合に製造者がその責任を負う。ただし、完成品の製造者だけではなく、生産過程に関与した者全て、すなわち完成品、部品、原材料の製造者が責任を負う。

さらにこの責任は、輸入業者、および生産者を特定できない製品については製品を供給した者にも課せられる。

ある製品により負傷した者は、製品の欠陥と負傷との因果関係を証明する義務がある。

製造者は一定の事実を証明できる場合に製造者責任を減免される。

その他、製造者責任の時効、加盟各国国内法と本指令との関係等について規定している。

注目定義

■ 「製品」(product)

本指令の目的において、『製品』とは全ての動産(別の動産または不動産に組み入れられている場合も含む)を指す。また『製品』には電気も含まれる。

■ 「製造者」(producer)

製造者とは、完成品、原材料または部品の製造者、ならびに商品に自らの名、商標、その他の識別標識を付して自らをその製造者と表明する者をいう。

■ 「製品に欠陥がある」(A product is defective)

製品が、あらゆる状況を考慮したうえで当然期待される安全性を提供していないとき『製品に欠陥がある』という。ただし、その製品の後により良い製品が流通するようになった、というだけの理由では、当該製品に欠陥があるとはみなされない。

■ 「損害」(damage)

a. 死亡あるいは人身傷害 b. 欠陥製品以外の財産に対する損害または破壊(500ECU以上)(ただし財産は私的利用や消費を目的とした品であり、かつ負傷した者が主に自らの私的利用や消費を目的に使用していたものであること)

適用除外(対象外・猶予・免除等)

制限、限定

本指令は、原子力事故に起因し、各加盟国に批准された国際条約の対象である負傷や損害には適用されない(第14条)。

また、本指令は第19条において言及された条項の発効日より前に上市された製品には適用されない(第17条)。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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製造者の責任(第1条、第3条1項)

製造者は、自らの製造した製品の欠陥により引き起こされた損害について責任を負う。

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輸入業者の責任(第3条2項)

ある製品を販売、雇用、リースその他流通のために域内へ輸入する者も、この指令の意味において製造者とみなされ、製造者としての責任を負う。

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製品の製造者が特定できない場合(第3条3項)

製品の製造者が特定できない場合は、その製品を供給した者すべてが製造者として扱われる。ただし、負傷した人に、合理的な期間内に製造者または製品を供給した者が誰であるかを伝えた場合はこの限りではない。

また輸入品の場合、製品に製造者名が表示されている場合でも、輸入者名が明示されていない場合は上記が適用される。

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製造者責任に該当しない場合(第7条)

以下を証明した場合、製造者はこの指令の意味における責任を負わない。

  1. 自らが当該製品を流通させていないこと、または
  2. 状況にかんがみて、損害を発生させた欠陥が、製造者による製品上市時には存在しなかった、もしくは当該欠陥が事後に発生したこと、または
  3. 当該製品がその製造者により販売目的その他経済的目的のために製造されたのではなく、かつその製造者の業務の一環として製造または販売されたのではないこと、または
  4. 当該欠陥は、公的機関が制定した必須規則に適合したために生じたものであること、または
  5. 製造者が当該製品を上市した当時の科学的・技術的知見では、当該欠陥を発見し得なかったこと、または
  6. 部品製造者の場合:欠陥が当該部品が組み入れられた製品の設計、または製品製造者により与えられた指示に起因すること
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本指令と各国法との関係

本指令に基づく製造者責任は、負傷者に関して、製造者責任を限定または免除する条項によって限定または除外されない(第12条)。

負傷者が持つ権利は、契約に基づくか否か、また本指令が公布された時点で存在する特別な責任制度に基づくものかに関わらず、本指令の影響を受けない(第13条)。

目次

第1条

第2条

第3条

第4条

第5条

第6条

第7条

第8条

第9条

第10条

第11条

第12条

第13条

第14条

第15条

第16条

第17条

第18条

第19条

第20条

第21条

第22条

基礎情報

法令(現地語)

COUNCIL DIRECTIVE of 25 July 1985 on the approximation of the laws, regulations and administrative provisions of the Member States concerning liability for defective products (85/374/EEC), Amended by Directive 1999/34/EC of the European Parliament and of the Council of 10 May 1999

法令(日本語)

欠陥製品責任に関する加盟各国の法、規則ならびに行政規定の近似化についての1985年7月25日付理事会指令(85/374/EEC)、1999年5月10日付欧州議会および理事会指令 1999/34/ECにより修正

公布日

1999年6月4日

作成者

株式会社先読

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