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台湾|台湾地区、優先既存化学物質の標準登録を促す

2023年11月16日に上海で開かれた第15回世界化学品規制サミット(CRAC2023)の講演の中、台湾環資国際有限公司(ERI)の倪雅恵氏は、物質の登録状況を共有するとともに、遅延によるトラブルを回避するために登録書類の作成を迅速に行うよう企業に促しました。

 

 台湾地区では、年間1トン以上の106種の優先既存化学物質(PEC)の標準登録は2020年1月1日から実施されています。その後、コロナの影響により様々な業界への打撃を考慮し、台湾環境保護署(EPA)は「新規化学物質及び既有化学物質資料登録弁法(改正)」を公布し、これらの優先既存化学物質(PEC)の登録締切を2024年12月31日まで延長する方針を固めました。これにより、標準登録を完了する時間が足りないという問題は大きく緩和される可能ですが、登録締切は来年末に迫っていることに留意する必要があります。

 倪氏の話によると、登録者の約3分の1は登録書類を提出し、約4割はその提出に向けての準備を積極的に進めているということです。一方、当局はこれ以上の延長は認めないと繰り返し述べたにもかかわらず、約2割の登録者は再延長の機会を求めています。

 一つ注意すべき点は、EU REACHと大きく異なり、台湾地区において各申請書を審査し、許可時に登録コードを取得するよう求められていることです。つまり、実際には登録締切までに登録コードを取得することも必要となります。倪氏が強調した通り、登録には1年あれば十分であると思われますが、現実的に困難と想定されます。

 現在の推定申請数は、約1,500社の企業から提出される4,000件前後に達すると見られます。遅延や罰則を避けるため、遅くとも2024年前半までに登録書類を提出し、当局による審査と修正プロセスには少なくとも6か月を要することが推奨されます。

 企業による登録の義務履行を確保するため、当局は次のように多大な努力を払ってきました。

  • 「新規化学物質及び既有化学物質資料登録弁法(改正)」に基づき、登録者は一部の情報(項目1~7)のみを提出すれば、登録コードを取得することができます。その後、有害性評価情報及びばく露評価情報(バンド2~4に必要)は、割り当てられた時間内に提出することが可能です。

  • 標準登録には、試験報告書、文献レビュー、QSAR、試験計画書、国際的な公開データベースなど多種多様なデータを使用できます。そのため、当局はQSAR ToolBoxユーザーマニュアル、QSARモデルの検証方法の概要、化学物質のグループ化に関する原則、Read-across 評価フレームワークを含む毒性発見予測データの利用に関する4つのガイダンス文書を作成しました。また、QSARとRead-Acrossに関する補足解説ビデオは、今年末までに公開される予定です。

 最後に、倪氏は既存の行政院環境保護署(EPA)を環境部に昇格したことに関する情報も共有しました。この格上げの一環として、既存のEPAの下部組織である「毒物および化学物質局」(TCSB)は「化学物質管理署」へ移行しました。今回の昇格により、人員と予算は大幅に増加するとともに、当局は化学物質管理のためのさまざまな部署業務の実施を強化することができるようなりました。

転載元

REACH24Hコンサルティンググループ

本記事の著作権は、REACH24H コンサルティンググループに帰属します。なお、記事の相互掲載について、当社とREACH24H コンサルティンググループとの間で合意がなされています。

■ 転載元:REACH24Hコンサルティンググループ (URL: https://reach24h.com/jp/)

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