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ポリメタリック・ノジュール

国際海底機関(ISA)の関連文書や規則で用いられるPolymetallic Nodules(ポリメタリック・ノジュール)とは、マンガン団塊(manganese nodules)とも呼ばれます。ISAでは次のような説明を設けています。

ポリメタリック・ノジュールは、マンガン団塊とも呼ばれ、鉄とマンガンの水酸化物が同心円状に層をなしてコアを囲んでいる岩石コンクリーションである。コアは顕微鏡レベルで小さい場合もあり、結晶化によって完全にマンガン鉱物に変化していることもある。肉眼で見ることができる場合は、微小化石(放散虫や有孔虫)の小さなテスト(殻)、リン酸塩化したサメの歯、玄武岩の破片、あるいは以前の団塊の断片などである。同心円状の層の厚さと規則性は、成長の連続した段階によって決まる。

同心円状の層の厚さや規則性は、成長の段階に応じて決まるが、一部の団塊では層が不連続で、両面に顕著な違いが見られる。団塊の大きさは、顕微鏡でしか見えないような小さなものから、20cm以上の大きなものまで様々である。しかし、ほとんどの団塊は直径5~10cmで、ジャガイモと同じくらいの大きさである。表面は一般的に滑らかであるが、時には粗く、乳頭状になっていたり、その他の不規則な形状をしている。堆積物に埋もれた底面は、一般的に上面よりも粗い。

団塊は海底の堆積物の上にあり、通常は半分埋まっている。中には完全に堆積物に覆われているものもあり、写真では見えなくても採集されている地域もあるという。その量は非常に豊富である。場所によっては底面の70%以上を覆っているところもあり、団塊同士が接触していることもある。

しかし、経済的な関心を持つためには、1平方メートルあたり10キログラムを超えなければならないと考えられており、10分の1平方キロメートルのエリアで平均15キログラム/平方メートルとなっている。深さは問わないが、4,000~6,000mの間で最も高い濃度で発見されている。

ISA

他方、日本政府の「海洋エネルギー・鉱物資源基本計画」では、次の説明がなされています。

マンガン団塊は、直径 2cm~15cm の球形ないし楕円形を呈し、銅、ニッケル、コバルト等の有用金属が含まれており、水深 4,000m~6,000m の大洋底の堆積物上に分布している。特に、ハワイ沖やインド洋の深海底に広く分布している。

資源エネルギー庁「海洋エネルギー・鉱物資源基本計画」

日本では、このマンガン団塊と「レアアース泥」を一括りにして政策を策定しています。

近年、新たに資源としての可能性を指摘されているレアアース泥は、水深 5,000m~6,000m の大洋底の一部において、総レアアースを数千 ppm 以上含む堆積物であり、我が国の南鳥島周辺の大陸棚でもその存在が確認されている。

レアアースは、再生可能エネルギー等の我が国の先端産業に不可欠な元素であるが、その供給が特定国の政策に影響を受けやすいため、安定的な調達のための新たな供給源の確保が求められているところである。

資源エネルギー庁「海洋エネルギー・鉱物資源基本計画」

日本

マンガン団塊については、ISA の探査規則に定められたルールに従った資源量調査や環境調査が行われていました。その後の検討については、戦略的イノベーション創造プログラム「革新的深海資源調査技術」において、広く海洋鉱物資源に活用可能な水深 2,000m 以深の海洋資源調査技術、生産技術等の開発・実証に向けた取組を進めるとされています。

他方、レアアース泥については、現状、詳細な濃集帯の分布状況が不明であること、高粘度特性や5,000m を超える深海底からの採泥・揚泥技術が未確立であること、環境影響の及ぶ範囲等が不明であることなど、多くの課題があると指摘されています。

■ 海洋エネルギー・鉱物資源開発計画/資源エネルギー庁

米国

米国では、国家海洋大気庁(NOAA)が関連情報を公表しています。2021年の探査で大規模なフェロマンガン団塊を発見したことをウェブサイト上で明らかにしています。フェロマンガン団塊は、マンガンだけでなく鉄分も多く含むことからそう呼ばれているもので、数百万年かけて沈殿するため、形成された場所の地質・海洋条件によっては、コバルト、ニッケル、銅などの微量金属やレアメタルが蓄積されることもあるとされます。NOAAでは、マンガン団塊の資源について、次のように説明しています。

マンガン団塊の最大の埋蔵量は、世界の海の深い深海平原(the deep abyssal plains)で発生し、海底の何マイルにもわたって非常に均一に分布していることがある。マンガン団塊の特徴は、多くの地域で、堆積物がゆっくりと、しかし絶え間なく海底に運ばれているにもかかわらず、マンガン団塊が成長した堆積物の表面に留まっていることにある。これらのユニークな特徴(広大で均一な分布、金属含有量、堆積物表面での持続性)から、深海平原のマンガン団塊は鉱物資源としての可能性があると考えられている。

NOAA

団塊には、深海平原の団塊と、海山(Seamount)の団塊があるとし、海山の団塊は一般的に、海山の団塊は、深海平原の団塊のように非常に大きな面積を占めることはないとされていました。しかし、NOAAが2021年に報告している新たなに発行したという大規模な団塊は、「ゴスノルド海山の海底を覆う、予想外に密集したフェロマンガン団塊」を含むものでした。このような発見は大西洋における海山団塊の発生を理解するために重要なものであると指摘されています。

■ What’s In a Nodule?/NOAA

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