解説EU – エコデザイン規則

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法令の情報時期:2024年06月 公布版 ページ作成時期:2024年10月

目的

目的

本法令の目的は、以下の通り:

持続可能な製品を標準とするために製品の環境持続可能性を向上させること

製品のライフサイクル全体におけるカーボンフットプリントと環境フットプリントを削減すること

域内市場において持続可能な製品の自由な移動を確保すること

そして上記を目的として、製品が上市または使用開始される際に適合しなければならないエコデザイン要件を設定するための枠組みを定めること

概要

概要

本規則は、持続可能な製品を標準とするために製品の環境持続可能性を向上させ、製品のライフサイクル全体におけるカーボンフットプリントと環境フットプリントを削減すること、および域内市場において持続可能な製品の自由な移動を確保することを目的として、製品が上市または使用開始される際に適合しなければならないエコデザイン要件を設定するための枠組みを定めるもの。

本規則はまた、デジタル製品パスポートを創設し、グリーン公共調達の義務的な要件を定め、売れ残った消費者製品の破壊を防ぐ枠組みを構築する。

本規則は、コンポーネントや中間製品を含め、上市または使用開始されるあらゆる物理的な物品に適用される。

本規則に違反した場合、加盟国は実効性、比例性、説得力を持つ罰則を定め、その実施に必要な措置を講じ、違反の性質や重大性、違反者の財務状況などを考慮した上で、罰金や公共調達手続からの期限付き除外を含む罰則を課し、これらの規定を欧州委員会に通知しなければならない。

注目定義

■ 「製造者」(manufacturer)

「製造者」とは、製品を製造する、または製品を設計もしくは製造させ、その製品を自己の名称または商標の下で販売する自然人または法人をいう。(第2条)

■ 「流通業者」(distributor)

「流通業者」とは、サプライチェーンの中で、製品を市場で利用可能にする、製造者または輸入者以外の自然人または法人をいう。(第2条)

■ 「経済事業者」(economic operator)

「経済事業者」とは、製造者、認定代理人、輸入者、流通業者、フルフィルメント・サービスプロバイダーをいう。(第2条)

■ 「独立事業者」(independent operator)

「独立事業者」とは、製造者から独立し、製品の改修、修理、保守又は別目的での利用に直接または間接的に関与する自然人又は法人を意味し、廃棄物管理業者、改修業者、修理業者、修理機器、工具またはスペアパーツの製造者または流通業者、ならびに技術情報の発行者、検査及び試験サービスを提供する事業者および機器の設置者、製造者および修理業者のための研修を提供する事業者を含む。(第2条)

■ 「専門修理業者」(professional repairer)

「専門修理業者」とは、製造者の流通システムの中で活動するか、独立して活動するかを問わず、製品の専門的な修理または保守サービスを提供する自然人または法人をいう。(第2条)

■ 「販売業者」(dealer)

「販売業者」とは、遠隔販売を含め、商業活動の過程でエンドユーザーに製品を販売、貸与、賃借購入のために提供する、または製品を展示する流通業者、あるいはその他の自然人または法人を意味し、商業活動の過程で製品を使用開始する自然人または法人を含む。(第2条)

■ 「エネルギー関連製品」(energy-related product)

「エネルギー関連製品」とは、使用時にエネルギー消費に影響を及ぼす製品をいう。(第2条)

■ 「製品グループ」(product group)

「製品グループ」とは、類似の目的を果たし、類似の使用方法、または類似の機能特を有し、消費者の認識が類似している製品のセットをいう。(第2条)

■ 「エコデザイン」(ecodesign)

「エコデザイン」とは、製品の特性および製品のバリューチェーン全体を通じて行われるプロセスに、環境持続可能性への配慮を統合することをいう。(第2条)

■ 「エコデザイン要件」(ecodesign requirement)

「エコデザイン要件」とは、製品のバリューチェーン全体を通じて行われるプロセスを含め、 製品をより環境的に持続可能なものにすることを目的とした性能要件または情報要件をいう。(第2条)

■ 「性能要件」(performance requirement)

「性能要件」とは、附属書1で言及される製品パラメーターに関連して、特定の性能水準を達成するための、製品に対する、又は製品に関連する定量的または非定量的な要件をいう。(第2条)

■ 「情報要件」(information requirement)

「情報要件」とは、第7条(2)に規定される情報を製品に付随させることに関する義務をいう。(第2条)

■ 「エンド・オブ・ライフ」(end-of-life)

「エンド・オブ・ライフ」とは、製品が廃棄された時点から始まり、製品の廃棄物が自然に戻されるか、他の製品のライフサイクルに入る時点で終了するライフサイクル段階をいう。(第2条)

■ 「性能クラス」(class of performance)

「性能クラス」とは、附属書1で言及される1つ以上の製品パラメーターに関する性能水準の範囲を意味し、製品又は製品グループに関する共通の方法論に基づいて設定され、製品の差別化を可能にするような方法で並べられるものをいう。(第2条)

■ 「再製造」(remanufacturing)

「再製造」とは、廃棄物、製品またはコンポーネントである対象物から新たな製品を生産する活動であって、製品の安全性、性能、目的または種類に実質的に影響を与える変更が少なくとも1回行われるものをいう。(第2条)

■ 「改良」(upgrading)

「改良」とは、製品の機能、性能、容量、安全性または美観を向上させるために行われる活動をいう。(第2条)

■ 「改修」(refurbishment)

「改修」とは、製品または廃棄された製品を、その製品が上市された時点の設計段階で当初考えられ、意図された用途および性能の範囲内で性能または機能を回復させるために、準備、洗浄、試験、整備、必要な場合には修理を行う活動をいう。(第2条)

■ 「保守」(maintenance)

「保守」とは、製品をその意図された目的を果たすことができる状態に維持するために実施される一つ以上の活動をいう。(第2条)

■ 「修理」(repair)

「修理」とは、欠陥のある製品または廃棄物を、それが意図された目的を果たす状態に戻すために実施される1つ以上の活動をいう。(第2条)

■ 「早期陳腐化」(premature obsolescence)

「早期陳腐化」とは、製品の設計上の特徴またはその後の作為もしくは不作為の結果、機能または性能の変化が通常の損耗の結果でない限り、製品が機能しなくなる、または性能が低下することをいう。(第2条)

■ 「耐久性」(durability)

「耐久性」とは、特定の使用、保守、修理の条件下で、製品がその機能および性能を長期にわたって維持する能力をいう。(第2条)

■ 「信頼性」(reliability)

「信頼性」とは、製品の主要機能または副次的機能が果たされなくなるような事態が発生することなく、所定の期間、与えられた条件下で製品が要求通りに機能する確率をいう。(第2条)

■ 「環境フットプリント」(environmental footprint)

「環境フットプリント」とは、勧告(EU) 2021/2279に基づき策定された「製品環境フットプリント(PEF)」法、あるいは、国際機関が開発し、異なる産業セクターとの協力の下で広く検証され、欧州委員会が他のEU法令において採用または実施しているその他の科学的手法に基づき、単一の環境影響カテゴリーに関連するか、影響カテゴリーを集約したセットであるかを問わず、製品のライフサイクル全体を通じて製品から生じる環境影響を定量化したものをいう。(第2条)

■ 「カーボンフットプリント」(carbon footprint)

「カーボンフットプリント」とは、製品システムにおける温室効果ガス排出量と温室効果ガス除去量の合計をCO2換算値で表したもので、気候変動という単一の影響カテゴリーを用いたライフサイクルアセスメントに基づくものをいう。(第2条)

■ 「マテリアルフットプリント」(material footprint)

「マテリアルフットプリント」とは、最終消費需要を満たすために抽出される原材料の総量をいう。(第2条)

■ 「懸念物質」(substance of concern)

「懸念物質」とは、以下の物質をいう:
(a) 規則(EC)No 1907/2006第57条に定める基準を満たし、第59条(1)に従って特定されるもの;
(b) 規則(EC) No 1272/2008の附属書6第3部において、次の危険有害性クラスまたは危険有害性カテゴリーの 1 つに分類されているもの:
(i) 発がん性カテゴリー1および2;
(ii) 生殖細胞変異原性カテゴリー1および2;
(iii) 生殖毒性カテゴリー1および2;
(iv) ヒト健康に関する内分泌かく乱作用カテゴリーの1および2;
(v) 環境に関する内分泌かく乱作用カテゴリーの1および2;
(vi) 難分解性、移動性および毒性、または極難分解性、極移動性;
(vii) 難分解性、生物蓄積性および毒性、または極難分解性、極生物蓄積性;
(viii) 呼吸器感作性カテゴリー 1;
(ix) 皮膚感作性カテゴリー 1;
(x) 水生環境へ有害 ー カテゴリー(慢性)1~4;
(xi) オゾン層への有害性;
(xii) 特定標的臓器毒性 ー 反復ばく露カテゴリー1および2;
(xiii) 特定標的臓器毒性 ー 単回暴露カテゴリー1および2;
(c) 規則(EU) 2019/1021に基づき規制されているもの;または、
(d) 当該物質が含まれる製品中の材料の再使用やリサイクルに悪影響を及ぼすもの;
(第2条)

■ 「デジタル製品パスポート」(digital product passport)

「デジタル製品パスポート」とは、第4条に従って採択される関連委任法に規定される情報を含み、第3章に準拠したデータキャリアを通じて電子的手段でアクセス可能な、製品に固有の一連のデータをいう。(第2条)

■ 「データキャリア」(data carrier)

「データキャリア」とは、線形バーコード・シンボル、二次元シンボルまたは装置によって読み取ることができるその他の自動識別データ・キャプチャー媒体をいう。(第2条)

■ 「固有製品識別子」(unique product identifier)

「固有製品識別子」とは、製品を識別するための固有の文字列であって、デジタル製品パスポートへのウェブリンクも可能にするものをいう。(第2条)

■ 「固有事業者識別子」(unique operator identifier)

「固有事業者識別子」とは、製品のバリューチェーンに関与する事業者を識別するための固有の文字列をいう。(第2条)

■ 「デジタル製品パスポート・サービスプロバイダー」(digital product passport service provider)

「ジタル製品パスポート・サービスプロバイダー」とは、製品を上市または使用開始する経済事業者に認可された独立した第三者であって、本規則又はその他のEU法に基づき当該データにアクセスする権利を有する経済事業者およびその他の関係者が当該データを利用可能にすることを目的として、当該製品のデジタル製品パスポート・データを処理する自然人または法人をいう。(第2条)

■ 「固有施設識別子」(unique facility identifier)

「固有施設識別子」とは、製品のバリューチェーンに関与する場所や建物、または製品のバリューチェーンに関与する関係者が使用する場所または建物を識別するための固有の文字列をいう。(第2条)

■ 「破壊」(destruction)

「破壊」とは、廃棄された製品を再使用の準備のために引き渡すことのみを目的とした廃棄を除き、廃棄物として製品を意図的に損傷または廃棄することをいい、改修や再製造業務を含む。(第2条)

■ 「顧客」(customer)

「顧客」とは、自己の商取引、事業、技術または職業以外の目的のために行動するか否かを問わず、自己使用のために製品を購入、賃借または受領する自然人または法人をいう。(第2条)

■ 「売れ残った消費者製品」(unsold consumer product)

「売れ残った消費者製品」とは、余剰在庫、過剰在庫、不良在庫、および指令 2011/83/EUの第9条に従い、または該当する場合、取引業者が提供するより長期の撤回期間中に、撤回権(right of withdrawal)に基づいて消費者によって返品された製品を含む、販売されていない消費者製品をいう。(第2条)

■ 「自主規制措置」(self-regulation measure)

「自主規制措置」とは、経済事業者が自らの意思で締結する自主的な合意または行動規範であって、当該経済事業者が実施する責任を負うものをいう。(第2条)

■ 「市場で利用可能にすること」(making available on the market)

「市場で利用可能にすること」とは、商業活動の過程でEU市場での流通、消費または使用のために製品を供給することをいい、それが支払の見返りであるか無償であるかを問わない。(第2条)

■ 「上市」(placing on the market)

「上市」とは、U市場で製品を最初に利用可能にすることをいう。(第2条)

■ 「使用開始」(putting into servic)

「使用開始」とは、製品がその意図する目的のために、EU内で初めて使用されることをいう。(第2条)

■ 「技術仕様」(technical specification)

「技術仕様」とは、製品、プロセスまたはサービスが満たすべき技術的要件を記載する文書をいう。(第2条)

適用除外(対象外・猶予・免除等)

人の安全

本規則は、次のものには適用されない:
(a) 規則(EC) No 178/2002の第2条に定義される食品
(b) 規則(EC) No 178/2002の第3条(4)に定義される飼料
(c) 指令 2001/83/ECの第1条(2)に定義される医薬品
(d) 規則(EU) 2019/6の第4条(1)に定義される動物用医薬品
(e) 生きている植物、動物及び微生物
(f) ヒト由来の製品
(g) 将来の繁殖に直接関係する植物及び動物の製品
(h) 規則(EU) No 167/2013 の第2条(1)、規則(EU) No 168/2013の第2条(1)及び規則(EU) 2018/858の第2条(1)で言及される車両。それらの車両は、適用されるセクター別EU法に基づいて要件が設定されている製品側面に関して適用外となる。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
文書登録、文書管理、文書作成

エコデザイン要件は、製品の環境影響を軽減するため、耐久性や信頼性、再利用や修理のしやすさ、エネルギー・水効率、リサイクル可能性、環境フットプリントなど多岐にわたる側面を改善することを求めている。

製品が早期に陳腐化しないよう、設計上の選択やソフトウェア更新の提供が保証されるべきであり、これらの要件は製品の機能性や人の健康に悪影響を及ぼさないことが前提とされる。

中古製品の入手しやすさや消費者への影響にも配慮し、また、バリューチェーンにおける経済事業者、とりわけ中小企業や零細企業に対し不釣り合いな負担を強いることなく、独占的技術の使用を課さないことも求められている。さらに、これらの要件は検証可能である必要がある。(第5条)

資格、認定

製品は、第4条に基づく委任法で規定される性能要件を満たす必要があり、これらの要件は、製品の特定パラメーターに対する最小・最大水準や、性能改善を目指す非定量的な基準を含む場合がある。

ただし、性能要件は化学的安全性の観点から製品中の物質の制限を求めるものではなく、必要に応じて人の健康や環境へのリスクを低減することを目指して設定されるべきである。(第6条)

機械安全、設備安全

製品は委任法に基づく情報要件を満たさなければならず、これにはデジタル製品パスポートや懸念物質に関する要件が含まれる。

性能情報として修理性や耐久性、カーボンフットプリントなどのパラメーターに加え、環境負荷を最小限に抑えるための設置、使用、保守に関する情報も必要である。

また、分解やリサイクル、処理施設向けのエンド・オブ・ライフ段階の情報も含まれ、情報は明確かつ理解しやすく提供されるべきである。

附属書1の製品パラメーターをもとに設定される情報要件は、有害物質に関するラベル表示を目的としないが、性能クラスは製品の特性を考慮して決定され、改善を促すように設定される必要がある。製品に含まれる懸念物質は追跡可能であるべきで、名称や位置、濃度範囲などを含め、解体やリサイクルを容易にする情報が提供される。情報提供はデジタル製品パスポートを通じて行われることが求められ、製品、包装、ラベル、取扱説明書、ウェブサイトなどで補完されるべきで、顧客が理解しやすい言語で提供される必要がある。(第7条)

人の安全

情報要件は、デジタル製品パスポートが利用可能である場合のみ製品の上市や使用開始を可能とし、そのデータは正確かつ最新でなければならない。

デジタル製品パスポートに関する要件は、製品グループに応じて、附属書3に規定されたデータ、データキャリアの種類、表示レイアウトと位置、設定レベル(モデル、バッチ、品目)などを定める。

また、顧客が遠隔販売を含めて製品購入前にパスポートにアクセスできる方法、データへのアクセス権限を持つ関係者や更新権限を持つ関係者、更新方法、製品の予想耐用年数に対応する利用期間なども規定する。

これらの要件は、バリューチェーンの関係者が製品情報にアクセスしやすく、国家所管当局の準拠検証や製品トレーサビリティの向上を可能にすることを目的としている。(第9条)

目的

デジタル製品パスポートは、製品ごとに一意の識別子で接続され、製品やその包装、付属文書に表示される物理的なデータキャリアを通じて提示される必要がある。

また、EU官報で規格が引用されるまで、特定の規格に準拠し、すべてのデータは相互運用可能な形式で、オープンスタンダードに基づいて提供され、機械で読み取れるように構造化されていることが求められる。

顧客の個人データは明示的な同意なしに保存してはならず、アクセス権は製品グループの特定のレベルに従って制限される。

さらに、デジタル製品パスポートに関する技術基準は、欧州委員会が技術的進展に応じて改正可能である。他のEU法がパスポートに特定データの包含を認めている場合、そのデータも含めることが可能である。

経済事業者は、顧客がデータキャリアや識別子にアクセスできるようデジタルコピーを提供し、要請後5営業日以内に無料で提供する義務を負う。

また、製品上市時には、パスポートのバックアップを利用可能にしておく必要がある。(第10条)

資格、認定

デジタル製品パスポートは、データ転送および通信の全体にわたって他のパスポートと完全に相互運用可能であり、顧客や関連関係者がそれぞれのアクセス権に基づいて無償でアクセスできるようにする必要がある。

また、パスポートの保管は作成責任者かサービスプロバイダーが行い、既存のパスポートとリンクされる場合もある。

パスポートは、責任者の倒産やEU内での活動停止後も利用可能でなければならず、データの導入や更新はアクセス権に従って制限されるべきである。

さらに、データの信頼性と完全性を確保し、高いセキュリティとプライバシーで不正を防ぐよう設計されなければならない。

サービスプロバイダーは、特別な合意がない限り、保管されたデータを販売、再利用、または加工することは認められない。(第11条)

機械安全、設備安全

情報要件がラベルに情報を含める必要がある場合、委任法ではラベルの内容やレイアウト、顧客への表示方法、電子的な作成手段などが規定される。

性能クラスを含む場合、ラベルは視認性と理解しやすさが求められ、顧客が製品性能を比較しやすくし、高性能な製品を選択できるようなデザインが必要である。

エネルギー関連製品について、規則(EU) 2017/1369に基づくエネルギーラベルが使用できない場合で、より関連性が高い情報がある場合には、顧客の混乱や事業者の負担を考慮して、本規則に従ったラベルの使用を求めることが欧州委員会に許可される。(第16条)

文書登録、文書管理、文書作成

経済事業者は、売れ残った消費者製品の破壊の必要性を防止することが合理的に期待できる必要な措置を講じなければならない。(第23条)

人の安全

売れ残った消費者製品を廃棄する経済事業者は、年間の廃棄数や重量、廃棄理由、廃棄物ヒエラルキーに基づく廃棄物の処理割合、そして破壊防止措置に関する情報を開示する必要がある。

また、これらの情報はウェブサイトのアクセスしやすいページに明示的かつ視覚的に掲載し、持続可能性報告書に含めることも可能である。

開示は毎年行い、前会計年度に廃棄された製品の情報も含めなければならず、最初の開示は本規則の効力が発生した最初の会計年度に行われる。この規定は零細企業や小規模企業には適用されない。(第24条)

資格、認定

製造者は、第4条に従って採択される委任法の対象となる製品を上市または使用開始する際、いくつかの要件を満たさなければならない。

具体的には、製品が性能要件に従って設計・製造され、必要な情報が付随し、デジタル製品パスポートが入手可能であることが求められる。

上市前には適合性評価手続きを行い、技術文書を作成し、適合が証明されるとEU適合宣言とCEマーキングを貼付する必要がある。

製造者は、製品の上市から10年間、関連文書を保管し、適合性が維持されるよう手順を確保する。製品には識別が可能な情報が付され、連絡先情報も明示されなければならない。

また、デジタル説明書を提供し、必要に応じて紙媒体でも安全情報を配布する義務がある。不適合が疑われる場合は是正措置を講じ、適切に市場監視当局に報告しなければならない。

顧客の苦情に対してはアクセス可能な連絡手段を設け、登録簿を保持する必要があり、国家当局からの要請に対しては速やかに情報を提供する義務がある。(第27条)

文書登録、文書管理、文書作成

輸入者は、第4条に基づく委任法の対象となる製品について、適用される要件に従った製品のみを上市する責任がある。

上市前に、製造者による適合性評価が行われていること、必要な情報が付随していること、デジタル製品パスポートが入手可能であることを確認しなければならない。

また、該当するCEマーキングを貼付し、製造者が要件に準拠していることを保証する必要がある。製品が適合しないと考えた場合、上市や使用を開始してはならず、適合するまで待たなければならない。

輸入者は製品に関する連絡先情報を適切に表示し、デジタル説明書を提供する義務がある。

保管や輸送条件が適合を妨げないようにし、適合していない場合は速やかに是正措置を講じ、不遵守の疑いを市場監視当局に報告する必要がある。

上市から10年間、EU適合宣言の写しを保管し、当局からの合理的な要請に対して必要な文書を迅速に提供することが求められる。(第29条)

資格、認定

流通業者は、第4条に基づく委任法の対象となる製品を市場で利用可能にする際、適用される要件に十分な注意を払う必要がある。

製品を市場に出す前に、CEマーキングや適合性を示すマーキングが適切に施されているか、デジタル説明書が必要な文書とともに提供されているか、製造者や輸入者が規定に準拠しているかを確認しなければならない。

流通業者は、製品が適合していないと考える場合、または製造者が遵守していない理由がある場合、当該製品を市場で利用可能にしてはならない。

また、流通業者は製品の保管や輸送が要件に適合することを保証し、不適合な製品が市場に出た場合は是正措置を講じる責任がある。不遵守の疑いがある場合には、市場監視当局に直ちに報告する義務がある。

国家所管当局からの合理的な要請があった際には、製品の適合性を証明するために必要な情報や文書を速やかに提供しなければならない。(第30条)

情報伝達、連絡

販売業者は、第4条に基づく委任法の要件に従い、顧客や潜在的な顧客が商品に関連する情報にアクセスできるように保証する必要がある。

特に遠隔販売の場合、デジタル商品パスポートを顧客が容易に利用できるようにしなければならない。

また、販売業者は、提供されるラベルを見やすい方法で表示し、その情報を特定のモデルの広告や販促資料に明記する義務がある。

加えて、エコデザイン要件に関する情報が誤認や混乱を招く可能性のある他のラベルやマークを表示しないことも求められている。(第31条)

機械安全、設備安全

規則(EU) 2022/2065の第11条および第30条に基づく一般的義務は、本規則の目的に適用される。

オンライン・マーケットプレイスのプロバイダーは、市場監視当局の要請に応じて、サービスを通じて販売されている不遵守製品の排除や軽減に協力しなければならない。

また、規則(EU) 2019/1020の第14条に基づき、加盟国は市場監視当局に対して非準拠製品に関するコンテンツの削除を命じる権限を付与する。

このようなコンテンツは、規則(EU) 2022/2065の第3条(h)に記載される違法コンテンツと見なされる。

さらに、オンライン・マーケットプレイスのプロバイダーは、加盟国の市場監視当局との連絡のために単一の連絡窓口を設置する必要がある。(第35条)

人の安全

CEマーキングは、製品に目に見え、判読可能な形で確実に貼り付ける必要があるが、製品の性質上不可能な場合は、包装や付随する文書に貼付しなければならない。

また、CEマーキングは製品が上市される前、または使用開始前に行う必要がある。

届出機関が関与する生産管理段階の製品には、CEマーキングの後にその届出機関の識別番号を付すことが求められ、この番号は届出機関自身またはその指示に基づいて製造者またはその認定代理人が付す。

さらに、CEマーキングと届出機関の識別番号の後には、特別なリスクや用途を示す絵表示やその他のマーキングを付けることが可能である。

加盟国はCEマーキングの適切な適用を確保するため、既存の管理メカニズムを強化し、不適切な使用に対して適切な措置を講じなければならない。(第46条)

目次

欧州議会および理事会規則(EU) 2024/1781

第1章 一般規定
第1条 主題と適用範囲
第2条 定義
第3条 自由な移動

第2章 エコデザイン要件
第4条 委任法を採択する権限の付与
第5条 エコデザイン要件
第6条 性能要件
第7条 情報要件
第8条 委任法の内容

第3章 デジタル製品パスポート
第9条 デジタル製品パスポート
第10条 デジタル製品パスポートの要件
第11条 デジタル製品パスポートの技術的設計および運用
第12条 固有識別子
第13条 デジタル製品パスポート登録簿
第14条 デジタル製品パスポートのデータ用ウェブポータル
第15条 デジタル製品パスポートに関する税関管理

第4章 ラベル
第16条 ラベル
第17条 ラベルの模倣

第5章 優先順位付け、計画作成および協議
第18条 優先順位付けと計画作成
第19条 エコデザイン・フォーラム
第20条 加盟国専門家グループ
第21条 自主規制措置
第22条 小規模および中規模企業

第6章 売れ残った消費者製品の破壊
第23条 破壊防止の一般原則
第24条 売れ残った消費者製品に関する情報の開示
第25条 売れ残った消費者製品の破壊
第26条 売れ残った消費者製品の破壊に関する統合情報

第7章 経済事業者の義務
第27条 製造者の義務
第28条 認定代理人
第29条 輸入者の義務
第30条 流通業者の義務
第31条 販売業者の義務
第32条 ラベルに関する義務
第33条 フルフィルメント・サービスプロバイダーの義務
第34条 製造者の義務が輸入者および流通業者に適用される場合
第35条 オンライン・マーケットプレイスおよびオンライン検索エンジンのプロバイダーの義務
第36条 経済事業者の情報義務
第37条 経済事業者の監視と報告義務
第38条 サプライチェーン関係者に対する要件

第8章 製品の適合性
第39条 試験、測定及び計算方法
第40条 迂回および性能悪化の防止
第41条 適合性の推定
第42条 共通仕様
第43条 適合性評価
第44条 EU適合宣言
第45条 CEマーキングの一般原則
第46条 CEマーキングの貼り付けに関する規程および条件
第47条 マーキングに関する特別規程

第9章 適合性評価機関の届出
第48条 届出
第49条 届出当局
第50条 届出当局に関連する要件
第51条 届出当局に関する情報義務
第52条 届出機関に関連する要件
第53条 適合性評価機関の適合性の前提条件
第54条 届出機関の子会社および届出機関による請負事業
第55条 届出の申請
第56条 届出手続き
第57条 届出機関の識別番号およびリスト
第58条 届出の変更
第59条 届出機関の能力の確認
第60条 届出機関の業務上の義務
第61条 届出機関に関する情報義務
第62条 知見の交換
第63条 届出機関の調整

第10章 インセンティブ
第64条 加盟国のインセンティブ
第65条 グリーン公共調達

第11章 市場監視
第66条 計画的な市場監視活動
第67条 報告とベンチマーキング
第68条 市場監視の調整および支援

第12章 セーフガード手続き
第69条 国家レベルでリスクを呈する製品に対処するための手順
第70条 EUセーフガード手続き
第71条 形式的な不遵守事項

第13章 委任権限および専門委員会手続き
第72条 委任の行使
第73条 専門委員会手続き

第14章 最終規定
第74条 罰則
第75条 モニタリングと評価
第76条 消費者の救済
第77条 指令(EU) 2020/1828の改正
第78条 規則(EU) 2023/1542の改正
第79条 廃止および移行規定
第80条 発効

(注釈)

附属書1 製品パラメーター
附属書2 性能要件を規定するための手順
附属書3 デジタル製品パスポート
附属書4 内部生産管理(モジュールA)
附属書5 EU適合宣言
附属書6 自主規制措置に関する基準
附属書7 経済事業者による破壊が禁止されている消費者製品
附属書8 相関表

基礎情報

法令(現地語)

Regulation (EU) 2024/1781 of the European Parliament and of the Council of 13 June 2024 establishing a framework for the setting of ecodesign requirements for sustainable products, amending Directive (EU) 2020/1828 and Regulation (EU) 2023/1542 and repealing Directive 2009/125/EC (Text with EEA relevance)

法令(日本語)

指令(EU) 2020/1828および規則(EU) 2023/1542を改正し、指令2009/125/ECを廃止して、持続可能な製品に対するエコデザイン要件を設定するための枠組みを確立する2024年06月13日付欧州議会および理事会規則(EU) 2024/1781(エコデザイン規則)

公布日

2024年06月28日

所管当局

欧州委員会 環境総局

作成者

株式会社先読

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