| 法令の情報時期:2018年9月(統合版) | ページ作成時期:2025年10月 |
目的
この指令は機器の電磁両立性を規制するものである。機器が適切なレベルの電磁両立性に適合することを義務付け、それによって域内市場の機能を確保することを目的としている。
概要
趣旨:この指令は機器の電磁両立性を規制するものである。機器が適切なレベルの電磁両立性に適合することを義務付け、それによって域内市場の機能を確保することを目的としている。
適用範囲:あらゆる装置または固定設備(以下に適用除外の解説あり)。
一般的要件:機器は、最新技術を考慮して、次の事項が確保されるよう設計および製造されなければならない。
機器の意図された用途において予想される電磁妨害に対する耐性レベルを備えており、意図された用途において許容できないほどの劣化を生じることなく動作できること。
以上を基本として、各事業者の義務、固定設備に関する要求事項や適合性評価の方法等を定める。本指令の初版は2014年3月に公布され、本解説は2018年9月公布の改正版のもの。
注目定義
■ 「機器」(equipment)
| あらゆる装置または固定設備。 |
■ 「装置」(apparatus)
| 単一の機能ユニットとして市場に提供される完成した器具またはその組み合わせで、エンドユーザーを対象とし、電磁妨害を発生する恐れがある、またはその性能がそのような妨害によって影響を受ける恐れがあるもの。 |
■ 「固定設備」(fixed installation)
| 複数の種類の装置、および場合によってはその他のデバイスの特定の組み合わせであり、組み立てられ、あらかじめ定められた場所に設置され、恒久的に使用されることを意図しているもの。 |
■ 「電磁両立性」(electromagnetic compatibility)
| 機器がその電磁環境において、環境内の他の機器に許容できない電磁妨害を与えることなく、満足に機能する能力。 |
■ 「電磁妨害」(electromagnetic disturbance)
| 機器の性能を低下させる可能性のあるあらゆる電磁現象。電磁ノイズ、不要な信号、または伝播媒体自体の変化など。 |
■ 「耐性」(immunity)
| 電磁妨害の存在下でも機器が劣化することなく意図したとおりに動作する能力。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
【この指令は、以下のものには適用されない】(詳細は第2条を参照)
- 指令1999/5/ECの対象である機器。
- 欧州議会及び理事会規則(EU)2018/1139の対象であり、かつ、航空機での使用のみを意図している航空機器。
- 国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約の枠組みにおいて採択された無線通信規則の意味におけるアマチュア無線家が使用する無線機器(当該機器が市場で入手可能なものを除く。)
- 無線・通信機器に干渉するようなレベルの電磁波を生成・放出できない等、特定の物理的特性を有する機器。
- 専門家向けにカスタム構築された評価キットで、研究開発施設でのみ研究開発目的に使用されるもの。
また、附属書Ⅰに定める必須要件の全部または一部が他のEU法令によってより詳細に定められている場合、当該EU法令の施行日から、当該機器に関する当該要件について本指令は適用されない。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
【製造業者の義務(第7条)】
- 装置を市場に投入する際には、当該装置が必ず附属書Ⅰに定める基本要求事項に従って設計及び製造されているようにすること。
- 附属書Ⅱ又は附属書Ⅲに規定する技術文書を作成し、第14条に規定する適合性評価手続きを実施し、適合性が実証されれば実証された場合、 EU 適合宣言書を作成し、製品にCE マークを貼付すること。
- 装置を市場に投入してから 10 年間、技術文書および EU 適合宣言を保管する。
- 量産に際しても製品が本指令に適合し続けるための手順を確実に整備し、設計または特性の変更や、整合規格またはその他の技術仕様の変更を適切に考慮する。
- 上市する装置または包装に、識別を可能にする型式番号、バッチ番号、シリアル番号等を付記する。また、製造業者の名称、登録商号または登録商標、および連絡先となる郵便住所を、エンドユーザーならびに市場監視当局が容易に理解できる言語で記載する。
- 装置には取扱説明書と安全関連情報を、エンドユーザーならびに市場監視当局が容易に理解できる言語で必ず添付する。
- 自ら市場に供給した装置がこの指令に適合していないと考えられる場合、直ちに適合のための措置を講じると同時に、必要に応じて製品を回収する。同時に、当該装置がリスクを呈する場合、管轄当局に対しその詳細を直ちに通知する。
- 各国当局より正当な要請があれば、製品の適合性を証明する書類を提供する義務がある。
【認定代理人の義務(第8条)】
- 製造業者は、書面による委任によって、認定代理人を任命することがきる。ただし、第7条(1)に規定する義務及び第7条(2)に規定する技術文書を作成する義務は委任できない。
- 認定代理人は製造業者から受領した委任状に指定された業務を遂行するが、製造業者は委任に際して少なくとも以下の業務を遂行する権限を与える。
a) 装置が市場に投入されてから 10 年間、EU 適合宣言書および技術文書を保管する。
b) 各国管轄当局からの正当な要請があれば、装置の適合性を証明するために必要なすべての情報と文書を提供する。
c) 任務の対象となる装置によってもたらされるリスクを排除するために講じられるあらゆる措置について、管轄の国内当局の要請に応じて協力する。
【輸入業者の義務(第9条)】
- 適合した装置のみを市場に投入すること。
- 製品の上市前に、製造業者が第14条に規定する適切な適合性評価手続を実施し、技術文書を作成し、装置にCEマークを付す等の各規定を遵守していること確認する。
- 装置が附属書Ⅰに定める必須要件に適合していないと考えられる場合、当該装置が適合するまでは、当該機器を市場に出してはならない。さらに、当該機器がリスクを呈する場合、その旨を製造業者および市場監視当局に通知しなければならない。
- 装置または包装に輸入業者の名称、登録商号または登録商標および連絡先住所を記載する。
- 装置に、関係加盟国が定める消費者およびその他の最終ユーザーが容易に理解できる言語で書かれた説明書および安全情報が添付されていることを確認する。
- 装置が自らの責任下にある間は、その保管または輸送条件によって附属書Ⅰに定める必須要件への適合が損なわれないようにする。
- 自ら市場に供給した装置がこの指令に適合していないと考えられる場合、直ちに適合のための措置を講じると同時に、必要に応じて製品を回収する。同時に、当該装置がリスクを呈する場合、管轄当局に対しその詳細を直ちに通知する。
- 装置の上市後 10 年間、 EU 適合宣言書のコピーを保管し、市場監視当局の要請に応じて技術文書を提供できるようしておく。
- 各国管轄当局からの正当な要請があれば、装置の適合性を証明するために必要なすべての情報及び文書を提出しなければならない。さらに、当該当局の要請に基づき、自らが市場に供給した装置によってもたらされるリスクを除去するために講じられるあらゆる措置に協力しなければならない。
【流通業者の義務(第10条)】
- 装置を上市する際は、本指令の要件に十分な注意を払う。
- 装置を上市する前に、装置にCEマークが貼付されていること、本指令で要求される文書が添付されていること、消費者が容易に理解できる言語で書かれた取扱説明書や安全情報が添付されていること、製造業者および輸入業者がそれぞれ本指令に定められた要件を遵守していることを確認しなければならない。
- 装置が附属書Ⅰに定める必須要件に適合していないと判断した場合、当該装置が適合するまでは、当該装置を市場に提供してはならない。さらに、当該装置がリスクを呈する場合には、その旨を製造業者または輸入業者、ならびに市場監視当局に通知しなければならない。
- 装置が自らの責任下にある間は、その保管または輸送条件によって附属書Ⅰに定める必須要件への適合が損なわれないようにする。
- 自ら市場に供給した装置がこの指令に適合していないと考えられる場合、直ちに適合のための措置を講じると同時に、必要に応じて製品を回収する。さらに、当該装置がリスクを呈する場合、管轄当局に対しその詳細を直ちに通知する。
- 各国管轄当局からの正当な要請があれば、装置の適合性を証明するために必要なすべての情報及び文書を提出しなければならない。さらに、当該当局の要請に基づき、自らが市場に供給した装置によってもたらされるリスクを除去するために講じられるあらゆる措置に協力しなければならない。
【製造業者の義務が輸入業者や流通業者に適用されるケース(第11条)】
- 輸入業者または流通業者は、自らの名称もしくは商標で機器を市場に投入する場合、または本指令の遵守に影響を及ぼすような方法で既に市場に投入されている機器を改造する場合、本指令の目的上、製造業者とみなされ、第7条に基づく製造業者としての義務を負う。
【装置の使用に関する情報(第18条)】
- 装置が使用開始時に附属書Ⅰの1項に定められた基本要件に必ず適合しているよう、当該装置の組み立て、設置、保守または使用時に講じなければならない特定の予防措置に関する情報が添付されなければならない。
- 住宅地において附属書Ⅰの1項に定められた基本要件への適合が確保されない機器については、そのような使用制限を(適切な場合には包装にも)明確に表示しなければならない。
- 装置をその本来の目的に従って使用するために必要な情報は、装置に添付する取扱説明書に記載されなければならない。
【固定設備について(第19条)】
- 市場で入手可能であり、固定設備に組み込むことができる装置は、この指令に規定されている装置に関する全規定の対象である。
- ただし、特定の固定設備に組み込むことを意図しており、それ以外の場合には市場で入手可能ではない装置の場合には、第6条~第12条および第14条~第18条までの要件は強制力を持たない。この場合、添付文書に当該固定設備及びその電磁両立性特性を明記し、当該設備の適合性を損なわないために当該装置を組み込む際に講じるべき予防措置を記載しなければならない。
- 固定設備の不適合の兆候がある場合、特に、当該設備によって発生する妨害についての苦情がある場合、関係加盟国の管轄当局は、当該固定設備の適合性の証拠を要求し、適切な場合には評価を開始することができる。
目次
第1章 総則
第1条 主題
第2条 適用範囲
第3条 定義
第4条 上市する/供用を開始する
第5条 機器の移動の自由
第6条 必須要件
第2章 各事業者の義務
第7条 製造業者の義務
第8条 認定代理人の義務
第9条 輸入業者の義務
第10条 流通業者の義務
第11条 製造業者の義務が輸入業者や流通業者に適用される場合
第12条 各事業者の取引先に関する情報提供義務
第3章 機器の適合性
第13条 機器の適合性の推定
第14条 装置の適合性評価手順
第15条 EU適合宣言書
第16条 CEマーキングの一般原則
第17条 CEマーク貼付の規則と条件
第18条 機器の使用に関する情報提供
第19条 固定設備
第4章 適合性評価機関の通知
第20条 通知
第21条 認定機関
第22条 認定機関に関する要件
第23条 認定機関に関する情報の提供義務
第24条 第三者認証機関に関する要件
第25条 第三者認証機関の適合性の推定
第26条 第三者認証機関の補助機関および業務委託
第27条 認定の申請
第28条 認定プロセス
第29条 第三者認証機関のID番号とリスト
第30条 認定の制限、停止や取消
第31条 第三者認証機関の能力に対する異議申立て
第32章 第三者認証機関の業務上の義務
第33条 第三者認証機関による決定への異議申立て
第34条 第三者認証機関の情報提供義務
第35条 加盟各国管轄当局間の情報交換
第36条 第三者認証機関間の相互調整と協力
第5章 EU市場監視、EU市場への装置の流入規制、EUセーフガード手続き
第37条 EU市場監視およびEU市場に流入する装置の規制
第38条 リスクを呈する装置に対する各国レベルの対処プロセス
第39条 EUセーフガード手続き
第40条 形式上の不適合
第6章 専門委員会、経過規定および最終条項
第41条 専門委員会プロセス
第42条 罰則
第43条 経過規定
第44条 国内法化
第45条 廃止
第46条 発効と適用
第47条 本指令の宛先
附属書Ⅰ 必須要件
附属書Ⅱ モジュール A 内部生産管理
附属書Ⅲ
パートA モジュール B:EU型式審査
パートB モジュール C:内部生産管理に基づく型式適合
附属書Ⅳ EU適合宣言書
附属書Ⅴ 国内法化のタイムリミットと適用開始日
附属書Ⅵ 相関表
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 電磁両立性に関する加盟国の法律の調和化に関する2014年2月26日付欧州議会および理事会の指令2014/30/EU |
| 公布日 | 2014年3月29日 |
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