法令の情報時期:2019年06月 公布版 | ページ作成時期:2023年08月 |
目的

本規則の目的は、人類の文化遺産を保護し、文化財の違法取引、とりわけテロ資金供与の一因となる可能性のあるものを防止することである。
概要

本規則は、人類の文化遺産の保護および文化財の違法取引の防止、とりわけテロ資金供与の一因となる可能性のあるものの防止を目的として、文化財の導入条件および輸入条件ならびに手順を定めるものである。
類似の文化財であっても、用途や物品の古さなどにより必要な対応が異なっている。
注目定義
■ 「物品の所有者」(holder of the goods)
「物品の所有者」とは、規則(EU)No 952/2013第5条(34)に定義される物品の所有者をいう。(第2条) 「物品の所有者」とは、物品の所有者であるか、物品を廃棄する権利もしくはそれに類似する権利を有する人、または物品を物理的に管理する人をいう。(規則(EU)No 952/2013 第5条) |
■ 「文化財」(cultural goods)
「文化財」とは、附属書に記載されている考古学、先史学、歴史学、文学、芸術、科学等にとって重要なあらゆる物品をいう。(第2条) |
■ 「文化財の導入」(introduction of cultural goods)
「文化財の導入」とは、EUの関税領域内で、規則(EU)No 952/2013に基づき税関による監督または管理の対象となる文化財のEUの関税領域への進入をいう。(第2条) |
■ 「文化財の輸入」(import of cultural goods)
「文化財の輸入」とは、(a)規則(EU)No 952/2013第201条に規定されている文化財(EUの市場に出すことを意図した非EU諸国の物品、またはEUの関税領域内での個人的使用または消費を意図した非EU諸国の物品)の自由流通への解放、(b)規則(EU)No 952/2013の第210条に規定されている特別手続の以下の分類区分のいずれかに文化財を置くことをいう。 (1) 税関倉庫および保税地域を含む保管場所 (2) 一時的な受入れおよび最終使用を含む特定の用途 (3) 内部処理 (第2条) |
■ 「所管当局」(competent authorities)
「所管当局」とは、輸入許可を発行するよう加盟国によって指定された公的当局をいう。(第2条) |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
本法令は、EUの税関地域で作成または発見された文化財には適用されない。(第1条)
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

第3条に「附属書のA部に記載されている文化財について、当該文化財が国の法令に違反して作成または発見され、当該国の領域から持ち出された場合、当該文化財の導入を禁止する。」とあり、附属書A部に記載の以下の文化財をEU諸国へ輸入しようとする者は、当該文化財の作成または発見がその国の法令に違反して行われた場合には輸入することができない。
(a)動植物、鉱物、解剖学の珍しいコレクションや標本、古生物学的に興味深い物体
(b)科学技術の歴史、軍事と社会の歴史を含む歴史、国家指導者、思想家、科学者、芸術家の生涯、国家的に重要な出来事に関連する財産
(c)考古学的発掘物、陸上または水中での考古学的発見の産物
(d)解体された芸術的または歴史的記念碑または遺跡の構成部分
(e)碑文、コイン、刻印など、100年以上前の古美術品
(f)民族学的関心の高い物品
(g)完全に手作業で作成された写真、絵画、図面(手作業で装飾された工業デザインおよび製品を除く)、あらゆる素材の彫像芸術および彫刻の原作品、原物の彫刻、版画、リトグラフ、あらゆる素材の原物の芸術的な集合体やモンタージュといった、芸術的関心の高い物品
(h)希少な手稿やインキュナブラ
(i)特別に関心の高い古書、文書、出版物(歴史、芸術、科学、文学など)の単一品、または収集されたもの
(j)郵便切手、収入印紙、および同様の切手(単一品または収集物)
(k)音声、写真、映写によるものを含む保存記録
(l)100年以上前の家具や古い楽器など また「税関及び管轄当局は、前記に規定する文化財を導入しようとする場合には、適切な措置を講じる」とされている。(第3条および附属書A部)

第4条に次のようにあるため、該当する文化財(「250年以上前の考古学的発掘物、解体された歴史的または芸術的記念碑の一部分など」)をEU諸国へ輸入しようとする者は、輸入許可を申請しなければならない。
「第3条(4)および(5)に言及されているものを除き、附属書のB部に記載されている文化財の輸入には、輸入許可が必要となる。当該輸入許可は、文化物品が第2条に記載されている税関手続きのいずれか(※訳者注〈対象製品〉の「文化財の輸入」参照)に初めて置かれるEU加盟国の管轄当局によって発行されるものとする。」(第4条および附属書B部)

下記のものは輸入許可が必要なものから除外される。
(a)規則(EU)No 952/2013第203条の意味の範囲内で返品される文化財
(b)公的機関による、または公的機関の監督下での保管を確保することのみを目的とし、状況が許せばそれらの文化財を返還する目的で文化財を輸入すること
(c)規則(EU)No 952/2013の第250条の意味の範囲内で、教育、科学、保存、修復、展示、デジタル化、舞台芸術、研究を目的として、学術機関または博物館や類似の機関間の協力によって実施される、EUの関税地域への文化財の一時的な入国 また、「規則(EU)No 952/2013第250条の意味の範囲内で一時入国手続きの下に置かれている文化財が、商業的展示販売会で展示される場合、輸入許可は必要ない。」
しかし、この場合「本規則第5条に記載の輸入者報告書の提出」をしなければならない。
(第3条(4)および(5))

第5条に「附属書のC部に記載されている文化財の輸入には、第8条で言及されている電子システムを介して、物品の所有者が提出する輸入者報告書が必要となる。」とあるため、附属書C部に記載の物品「それぞれおよそ200年以上前の、動植物、鉱物、解剖学の希少なコレクションや標本、古生物学的に関心の高い物品、国家的に重要な歴史や出来事に関連する財産、民族学的に関心の高い物品、絵画・彫刻等の芸術作品、希少な手稿やインキュナブラ、特別に関心の高い、歴史、芸術、科学、文学に関する古書、文書、出版物等」をEU諸国へ輸入する事業者は、専用の電子システムを通じて輸入者報告書を提出しなければならない。(第5条および附属書C部)
目次
前文
第1条 目的および適用範囲
第2条 定義
第3条 文化財の導入および輸入
第4条 輸入許可証
第5条 輸入者報告書
第6条 管轄税関
第7条 行政協力
第8条 電子システムの利用
第9条 電子システムの確立
第10条 個人データ保護およびデータ保持期間
第11条 罰則
第12条 第三国との協力
第13条 委員会による手続
第14条 報告および評価
第15条 本規則の発効日
第16条 本規則の条項別適用日および適用地域
附属書
A部 第3条(1)に該当する文化財
B部 第4条に該当する文化財
C部 第5条に該当する文化財
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | 文化財の導入および輸入に関する2019年4月17日付け欧州議会および理事会規則(EU)No 2019/880 |
公布日 | 2019年06月07日 |
所管当局 |
作成者

株式会社先読+英語翻訳者(齋藤 由貴子)
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