| 法令の情報時期:2014年3月 | ページ作成時期:2025年10月 |
目的
この指令の目的は、EU域内市場の機能を確保しながら、市場に流通する電気機器が、人、家畜、財産の健康と安全を高いレベルで保護するための要件を満たすようにすることである。
概要
この指令は先行する2006/95/ECをアップデートしたものであり、交流の場合は50~1,000V、直流の場合は75~1,500Vの定格電圧で使用するように設計された電気機器に適用される。概要は以下の通り。
- 電気機器は、EU で施行されている安全事項に関する優れたエンジニアリング慣行に従って製造され、適切に設置および保守され、本来の目的で使用された時に人や家畜の健康や安全、または財産を危険にさらさない場合にのみ、EU 市場で販売することができる。
- 主な安全目標が附属書Ⅰに定められている(一般条件、電気機器自体から生じる危険からの保護、外部からの影響による危険からの保護)。
- 電力事業者に対しては、送電網への接続または電気機器の利用者への電力供給に関して、本指令に定める安全目標よりも厳しい安全要件を課さないよう加盟各国に求めている。
注目定義
■ 「製造業者」(manufacturer)
| 電気機器を製造し、または電気機器の設計もしくは製造を依頼し、その名称または商標でその機器を販売する自然人または法人をいう。 |
■ 「認定代理人」(authorised representative)
| EU域内に設立された自然人または法人で、製造業者から特定の業務に関し、その代理として行動する旨、書面による委任を受けた者をいう。 |
■ 「輸入業者」(importer)
| EU域内に設立された自然人または法人で、第三国からの電気機器をEU市場に投入するものをいう。 |
■ 「流通業者」(distributor)
| サプライチェーン内の自然人または法人で、製造業者または輸入業者以外の、電気機器を市場に提供するものをいう。 |
■ 「整合規格」(harmonised standard)
| 欧州標準化規則 第1025/2012号 第2条第1項(c)に定義される整合規格。 |
■ 「リコール」(recall)
| エンドユーザーに既に提供されている電気機器の返却を目的としたあらゆる措置。 |
■ 「撤退」(withdrawal)
| サプライチェーン上の電気機器が市場で入手可能になるのを阻止することを目的としたあらゆる措置。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
この指令の適用範囲外の機器および現象は以下の通り(附属書Ⅱ)。
- 爆発性雰囲気で使用する電気機器
- 放射線および医療用電気機器
- 貨物・乗客用エレベーターの電気部品
- 電気メーター
- 家庭用プラグとコンセント
- 電気柵コントローラー
- 無線電気干渉
- 加盟国が参加する国際機関が策定した安全規定に準拠した、船舶、航空機、鉄道で使用するための特殊な電気機器
- 専門家向けにカスタム構築された評価キットで、研究開発施設でのみ、研究開発目的のみに使用されるもの
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
【製造業者の義務(第6条)】
- 電気機器を市場に投入する際には、当該電気機器が必ず第3条に規定し附属書Ⅰに定める安全目標に従って設計及び製造されているようにすること。
- 附属書Ⅲの規定に従って技術文書を作成し、適合性評価手続きを実施するか、または実施させなければならない。安全目標への適合が実証されれば、EU 適合宣言書を作成し、製品にCE マークを貼付する。
- 電気機器を市場に投入してから 10 年間、技術文書および EU 適合宣言書を保管する。
- 量産にあたっても製品が本指令に適合し続けるための手順を確実に整備し、設計または特性の変更や、整合規格、国際規格や国内規格、またはその他の技術仕様の変更を適切に考慮する。製品に関連するリスクがあれば、流通している機器のサンプルテストを実施し、調査・記録を行うと共に、このようなモニタリングに関して販売業者に通知する。
- 市場に投入する電気機器または包装に、識別を可能にする型式番号、バッチ番号、シリアル番号等を付記する。
- 電気機器には名称、登録商号または登録商標、および連絡先となる郵便住所を、エンドユーザーならびに市場監視当局が容易に理解できる言語で記載する。
- 電気機器には取扱説明書と安全関連情報を必ず添付する
- 自ら市場に供給した電気機器がこの指令に適合していないと考えられる場合、直ちに適合のための措置を講じると同時に、必要に応じて製品を回収する。さらに、当該電気機器がリスクを呈する場合は、管轄当局に対しその詳細を直ちに通知する。
- 各国当局より正当な要請があれば、製品の適合性を証明する書類を提供する義務がある。また当局の要請に応じて、自らが上市した電気機器によってもたらされるリスクを除去するための措置に協力しなければならない。
【認定代理人の義務(第7条)】
製造業者は、書面による委任によって、認定代理人を任命することがきる。ただし、第6条(1)に規定する義務及び第6条(2)に規定する技術文書を作成する義務は委任できない。
認定代理人は製造業者から受領した委任状に指定された業務を遂行するが、製造業者は委任に際して少なくとも以下の業務を遂行する権限を与える。
- 電気機器が市場に投入されてから 10 年間、EU 適合宣言書および技術文書を保管する。
- 各国管轄当局からの正当な要請があれば、電気機器の適合性を証明するために必要なすべての情報と文書を提供する。
- 任務の対象となる電気機器によってもたらされるリスクを排除するために講じられるあらゆる措置について、管轄の国内当局の要請に応じて協力する。
【輸入業者の義務(第8条)】
- 適合した電気機器のみを市場に投入する。
- 製品の上市前に、製造業者が適切な適合性評価手続を実施していることを確認する。また、製造業者が技術文書を作成し、電気機器にCEマークを付し、必要な文書を添付していること、第6条5項および6項に定める要件を遵守していることを確認する。電気機器が本指令に定める安全目標に適合していないと考える場合は、当該電気機器が適合するまでは、これを市場に投入してはならない。
- 電気機器または包装に、輸入業者の名称、登録商号または登録商標および住所を記載する。
- 電気機器に、関係加盟国が定める消費者およびその他の最終ユーザーが容易に理解できる言語で書かれた説明書および安全情報が添付されていることを確認する。
- 電気機器が自らの責任下にある間は、その保管または輸送条件によって安全目標への適合が損なわれないようにする。
- 製品に関連するリスクがあれば、流通している機器のサンプルテストを実施し、調査・記録を行うと共に、このようなモニタリングに関して販売業者に通知する。
- 自ら市場に供給した電気機器がこの指令に適合していないと考えられる場合、直ちに適合のための措置を講じると同時に、必要に応じて製品をリコールする。さらに、当該電気製品がリスクを呈する場合は、管轄当局に対しその詳細を直ちに報告する。
- 電気機器の上市後 10 年間、 EU 適合宣言書のコピーを保管し、市場監視当局の要請に応じて技術文書を提供できるようしておく。
- 各国管轄当局からの正当な要請があれば、電気機器の適合性を証明するために必要なすべての情報及び文書を提出しなければならない。さらに、当該当局の要請に基づき、自らが市場に供給した電気機器によってもたらされるリスクを除去するために講じられるあらゆる措置に協力しなければならない。
【流通業者の義務(第9条)】
- 電気機器を上市する際は、本指令の要件に十分な注意を払う。
- 上市前に、電気機器にCEマークが貼付されていること、必要な文書が添付されていること、電気機器が市場に出される加盟国の消費者が容易に理解できる言語で書かれた取扱説明書や安全情報が添付されていること、製造業者と輸入業者がそれぞれ本指令に定められた要件を遵守していることを確認しなければならない。
- 電気機器が本指令の安全目標に適合していないと判断した場合、当該電気機器が適合するまでは、当該電気機器を市場に提供してはならない。さらに、当該電気機器がリスクを呈する場合には、その旨を製造業者または輸入業者ならびに市場監視当局に通知しなければならない。
- 電気機器が自らの責任下にある間は、その保管または輸送条件によって本指令の安全目標への適合が損なわれないようにする。
- 自ら市場に供給した電気機器がこの指令に適合していないと考えられる場合、直ちに適合のための措置を講じると同時に、必要に応じて製品をリコールする。さらに、当該製品がリスクを呈する場合は、管轄当局に対しその詳細を直ちに報告する。
- 各国管轄当局からの正当な要請があれば、電気機器の適合性を証明するために必要なすべての情報及び文書を提出しなければならない。さらに、当該当局の要請に基づき、自らが市場に供給した電気機器によってもたらされるリスクを除去するために講じられるあらゆる措置に協力しなければならない。
【製造業者の義務が輸入業者や流通業者に適用されるケース(第10条)】
輸入業者または流通業者は、自らの名称または商標で電気機器を市場に投入する場合、または本指令の遵守に影響を及ぼすような方法で既に市場に投入されている電気機器を改造する場合、本指令の目的において製造業者とみなされ、第 6 条に基づく製造業者としての義務を負う。
目次
第1章 総則
第1条 主題と適用範囲
第2条 定義
第3条 上市および安全目標
第4条 移動の自由
第5条 電力の供給
第2章 各事業者の義務
第6条 製造業者の義務
第7条 認定代理人
第8条 輸入業者の義務
第9条 流通業者の義務
第10条 製造業者の義務が輸入業者や流通業者に適用される場合
第11条 各事業者の取引先に関する情報提供義務
第3章 電気機器の適合性
第12条 整合規格に基づく適合性の推定
第13条 国際規格に基づく適合性の推定
第14条 各国規格に基づく適合性の推定
第15条 EU適合宣言書
第16条 CEマーキングの一般原則
第17条 CEマーク貼付の規則と条件
第4章 EU市場監視、EU市場への電気機器の流入規制、EUセーフガード手続き
第18条 EU市場監視およびEU市場に流入する電気機器の規制
第19条 リスクを呈する電気機器に対する各国レベルの対処プロセス
第20条 EUセーフガード手続き
第21条 適合しているがリスクを呈する電気機器
第22条 形式上の不適合
第5章 専門委員会、経過規定および最終条項
第23条 専門委員会プロセス
第24条 罰則
第25条 経過規定
第26条 国内法化
第27条 廃止
第28条 発効
第29条 本指令の宛先
附属書Ⅰ 特定の電圧制限内で使用するように設計された電気機器の安全目標の主要要素
附属書Ⅱ この指令の適用範囲外の機器および現象
附属書Ⅲ モジュールA 内部生産管理
附属書Ⅳ EU適合宣言書
附属書Ⅴ 指令2006/95/ECの付属書VのパートBに規定されている指令の国内法への移行期限および適用日
附属書Ⅵ 相関表
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 特定の制限電圧内での使用のために設計された電気機器の市場への供給に関する加盟国の法律の整合に関する2014年2月26日付欧州議会及び理事会指令 2014/35/EU(改定)(EEA関連テキスト) |
| 公布日 | 2014年3月29日 |
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