| 法令の情報時期:2024年12月 統合版 | ページ作成時期:2025年10月 |
目的
無線機器を市場に提供し、使用することに関するEU各国の法令を整合させ、EU内の規制の枠組みを確立する指令。
無線通信端末機器指令1999/5/ECに代わるものであり、2014年の初版公布以降、改定や要求事項の追加が数回行われている(本解説は2024年12月時点の統合版のもの)。
概要
本指令は、無線機器を市場に提供し、使用することに関するEU各国の法令を整合させ、EU内の規制の枠組みを確立するものである。
無線機器の必須要件として、以下を挙げている。
- 以下を保証するように構築すること:a) 人間および家畜の健康と安全の保護、ならびに財産の保護(指令2014/35/EUに規定された安全要件に関する目的を含むが、電圧制限は適用されない)。b) 指令 2014/30/EU に規定されている適切なレベルの電磁両立性。
- 有害な干渉を回避するため、電波スペクトルを効果的に使用し、かつ効率的な使用をサポートするように構築すること。
- さらに、特定のカテゴリまたはクラスの無線機器については別途必須要件の規定がある。
上記の要件を遵守した製品のみが市場に出回るよう、各事業者の義務のほか、それらの義務に含まれる適合性評価手順やCEマークに関する規定、第三者認証機関の要件、各国市場監視当局の役割、EUによるセーフガード手続き等が定められている。
なお、加盟各国は、本指令に基づいて制定された国内法の規定に対し各事業者が違反した場合に関する罰則を定め、その執行を確保するためにあらゆる措置を講じるものとされている。
注目定義
■ 「無線機器」(radio equipment)
| ・無線通信や無線測位の目的で意図的に電波を放射・受信する電気または電子製品 ・無線通信や無線測位の目的で意図的に電波を放射・受信するためにアンテナなどの付属品を装備しなければならない電気または電子製品。 |
■ 「無線通信」(radio communication)
| 電波による通信。 |
■ 「無線測位」(radiodetermination)
| 電波の伝播特性を利用して、物体の位置、速度その他の特性を測位し、またはそれらのパラメータに関する情報を取得すること。 |
■ 「電波」(radio waves)
| 人工的な誘導なしに空間を伝播する周波数3,000GHz未満の電磁波。 |
■ 「無線インターフェース」(radio interface)
| 電波スペクトルを規制に従って使用するための仕様。 |
■ 「無線機器クラス」(radio equipment class)
| 本指令の下で類似しているとみなされる特定の無線機器カテゴリ、ならびにその無線機器がどの無線インターフェース向けに設計されているかを示すクラス。 |
■ 「有害な干渉」(harmful interference)
| 欧州議会および理事会指令2002/21/EC 第2条 (r)に定義された有害な干渉。 |
■ 「電磁妨害」(electromagnetic disturbance)
| 指令2014/30/EU(EMC指令)第3条第1項第5号に定義される電磁妨害。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
附属書Iに記載されている機器(アマチュア無線用等)には適用されない。
公共の安全、防衛、国家安全保障、および刑法の分野における国家の活動にのみ使用される無線機器には適用されない。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
製造業者の義務(第10条)
- 無線機器を市場に投入する際には、当該無線機器が必ず第3条に定める基本要求事項に従って設計及び製造されているようにすること。
- 無線機器が無線スペクトルの使用に関する適用要件に違反することなく、少なくとも 1 つの加盟国で動作できるように構築すること。
- 第21条に規定する技術文書を作成し、第17条に規定する適合性評価手続きを実施し、適合性が実証されれば実証された場合、 EU 適合宣言書を作成し、製品にCE マークを貼付する。
- 無線機器を市場に投入してから 10 年間、技術文書および EU 適合宣言を保管する。
- 量産にあたっても製品が本指令に適合し続けるための手順を確実に整備し、設計または特性の変更や、整合規格またはその他の技術仕様の変更を適切に考慮する。製品に関連するリスクがあれば、流通している機器のサンプルテストを実施し、調査・記録を行うと共に、このようなモニタリングに関して販売業者に通知する。
- 市場に投入する無線機器または包装に、識別を可能にする型式番号、バッチ番号、シリアル番号等を付記する。
- 無線機器に名称、登録商号または登録商標、および連絡先となる郵便住所を、エンドユーザーならびに市場監視当局が容易に理解できる言語で記載する。
- 無線機器には取扱説明書と安全関連情報を必ず添付する(機器の操作に必要な付属品やソフトウェアに関するものも含む。添付の必要な情報については第8項以降に詳細な規定あり)。
- 無線機器の各品にEU適合宣言書の写しまたは簡易版EU適合宣言書を必ず添付する。
- 無線機器に関して供用に関する制限または使用許可に関する要件がある場合には、対象となる国・地域を包装に明記すること。
- 自ら市場に供給した無線機器がこの指令に適合していないと考えられる場合、直ちに適合のための措置を講じると同時に、必要に応じて製品を回収する。同時に、管轄当局に対しその詳細を直ちに通知する。
- 各国当局より正当な要請があれば、製品の適合性を証明する書類を提供する義務がある。
また、製造業者は上記必須要件への適合レベルが低い無線機器カテゴリ中の無線機器型式を上市前に中央管理システム(欧州委員会が提供)に登録することが義務付けられている(第5条)。
認定代理人の義務(第11条)
- 製造業者は、書面による委任によって、認定代理人を任命することがきる。ただし、第10条(1)に規定する義務及び第10条(3)に規定する技術文書を作成する義務は委任できない。
- 認定代理人は製造業者から受領した委任状に指定された業務を遂行するが、製造業者は委任に際して少なくとも以下の業務を遂行する権限を与える。a) 無線機器が市場に投入されてから 10 年間、EU 適合宣言書および技術文書を保管すること。b) 各国管轄当局からの正当な要請があれば、無線機器の適合性を証明するために必要なすべての情報と文書を提供すること。c) 任務の対象となる無線機器によってもたらされるリスクを排除するために講じられるあらゆる措置について、管轄の国内当局の要請に応じて協力すること。
輸入業者の義務(第12条)
- 適合した無線機器のみを市場に投入すること。
- 製品の上市前に、製造業者が第17条に規定する適切な適合性評価手続を実施する、技術文書を作成する、無線機器にCEマークを付す等の規定を遵守していること、及び当該無線機器が少なくとも1つの加盟国において無線周波数の利用に関する適用要件に違反することなく運用できる構造となっていることを確認する。
- 無線機器または包装に輸入業者の名称、登録商号または登録商標および住所を記載する。
- 無線機器に、関係加盟国が定める消費者およびその他の最終ユーザーが容易に理解できる言語で書かれた説明書および安全情報が添付されていることを確認する。
- 無線機器が自らの責任下にある間は、その保管または輸送条件によって第3条に定める必須要件への適合が損なわれないようにする。
- 製品に関連するリスクがあれば、流通している機器のサンプルテストを実施し、調査・記録を行うと共に、このようなモニタリングに関して販売業者に通知する。
- 自ら市場に供給した無線機器がこの指令に適合していないと考えられる場合、直ちに適合のための措置を講じると同時に、必要に応じて製品を回収する。同時に、管轄当局に対しその詳細を直ちに通知する。
- 無線機器の上市後 10 年間、 EU 適合宣言のコピーを保管し、市場監視当局の要請に応じて技術文書を提供できるようしておく。
- 各国管轄当局からの正当な要請があれば、無線機器の適合性を証明するために必要なすべての情報及び文書を提出しなければならない。さらに、当該当局の要請に基づき、自らが市場に供給した無線機器によってもたらされるリスクを除去するために講じられるあらゆる措置に協力しなければならない。
販売業者の義務(第13条)
- 無線機器を上市する前に、無線機器にCEマークが貼付されていること、本指令で要求される文書が添付されていること、無線機器が上市される国の消費者が容易に理解できる言語で書かれた取扱説明書や安全情報が添付されていること、製造業者と輸入業者がそれぞれ本指令に定められた要件を遵守していることを確認しなければならない。
- 無線機器が第3条に定める必須要件に適合していないと判断した場合、当該無線機器が適合するまでは、当該無線機器を市場に提供してはならない。さらに、当該無線機器がリスクを呈する場合には、その旨を製造業者または輸入業者並びに市場監視当局に通知しなければならない。
- 無線機器が自らの責任下にある間は、その保管または輸送条件によって第3条に定める必須要件への適合が損なわれないようにする。
- 自ら市場に供給した無線機器がこの指令に適合していないと考えられる場合、直ちに適合のための措置を講じると同時に、必要に応じて製品を回収する。同時に、管轄当局に対しその詳細を直ちに通知する。
- 各国管轄当局からの正当な要請があれば、無線機器の適合性を証明するために必要なすべての情報及び文書を提出しなければならない。さらに、当該当局の要請に基づき、自らが市場に供給した無線機器によってもたらされるリスクを除去するために講じられるあらゆる措置に協力しなければならない。
製造業者の義務が輸入業者や流通業者に適用されるケース(第14条)
- 輸入業者または販売業者は、自らの名称または商標で無線機器を市場に投入する場合、または本指令の遵守に影響を及ぼすような方法で既に市場に投入されている無線機器を改造する場合、本指令の目的上、製造業者とみなされ、第 10 条に規定された製造業者としての義務を負う。
目次
第1章 総則
第1条 主題および適用範囲
第2条 定義
第3条 必須要件
第4条 無線機器とソフトウェアの組み合わせの適合性に関する情報の提供
第5条 一部のカテゴリーにおける無線機器の型式の登録
第6条 上市の際の要件
第7条 供用と使用
第8条 無線インターフェース仕様の通知および無線機器クラスの割り当て
第9条 無線機器の自由な移動
第2章 各事業者の義務
第10条 製造業者の義務
第11条 認定代理人
第12条 輸入業者の義務
第13条 流通業者の義務
第14条 製造業者の義務が輸入業者や販売業者に適用される場合
第15条 各事業者の取引先に関する情報提供義務
第3章 無線機器の適合性
第16条 無線機器の適合性の推定
第17条 適合性評価手順
第18条 EU適合宣言書
第19条 CEマークの一般的原則
第20条 CEマーク貼付の規則と条件および第三者認証機関の識別番号
第21条 技術文書
第4章 適合性評価機関の通知
第22条 通知
第23条 認定機関
第24条 認定機関に関連する要件
第25条 認定機関に関する情報提供義務
第26条 第三者認証機関に関する要件
第27条 第三者認証機関の適合性の推定
第28条 第三者認証機関の補助機関および業務委託
第29条 認定の申請
第30条 認定プロセス
第31条 第三者認証機関のID番号とリスト
第32章 認定の制限や取消
第33条 第三者認証機関の能力に対する異議申立て
第34条 第三者認証機関の業務上の義務
第35条 第三者認証機関による決定への異議申立て
第36条 第三者認証機関の情報提供義務
第37条 加盟各国管轄当局間の情報交換
第38条 第三者認証機関間の相互調整と協力
第5章 EU市場監視、EU市場への無線機器の流入規制、EUセーフガード手続き
第39条 EU市場に流入する無線機器のEU市場監視および管理
第40条 リスクを呈する、または必須要件に適合していない無線機器に対する各国レベルの対処
第41条 EUセーフガード手続き
第42条 本指令に適合していると評価されたがリスクを呈する無線機器
第43条 形式上の不適合
第6章 委任規則、実施規則と専門委員会
第44条 委任の実施
第45条 専門委員会の手続き
第7章 最終条項および経過規定
第46条 罰則
第47条 レビューと報告
第48条 経過規定
第49条 国内法化
第50条 廃止
第51条 発効
第52条 本指令の対象
附属書Ⅰ 本指令の対象外である機器
附属書Ⅰa 特定のカテゴリまたはクラスの無線機器に適用される充電に関する仕様並びに情報
附属書Ⅱ 適合性評価モジュール A
附属書Ⅲ 適合性評価モジュール BおよびC
EU型式審査と、内部製造検査に基づく型式適合
附属書Ⅳ 適合性評価モジュール H
全面品質保証に基づく適合性
附属書Ⅴ 技術文書の内容
附属書Ⅵ EU適合宣言書
附属書Ⅶ EU適合宣言書簡易版
附属書Ⅷ 相関表
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 指令1999/5/ECの廃止を廃止し、無線機器の市場への提供に関する加盟国の法律の整合に関する2014年4月16日付欧州議会及び理事会指令2014/53/EU(EEA関連テキスト) |
| 公布日 | 2014年4月16日 |
| 所管当局 | – |
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