解説ドイツ-電気電子機器法(ElektroG)

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法令の情報時期:2022年12月 統合版 ページ作成時期:2025年02~03月

目的

目的

本法律の目的は、電気・電子機器廃棄物の発生防止、およびそれらの廃棄物の再利用に向けた整備、リサイクルおよびその他の形態の再利用促進、ならびに義務を負う者の市場における行動の規制である。最終的に廃棄物の量を削減し、資源利用効率を向上させることを目指している。

概要

概要

本法は、EUのWEEE指令(電気電子廃棄物指令)を国内法として実施するために、電気・電子機器の廃棄物の発生を防止し、再利用・リサイクル・その他の資源回収を促進することによる、廃棄物量の削減と資源利用の効率向上を目的として制定された。これにより、環境負荷を低減し、持続可能な資源循環を実現することを目指している。

特に製造者・販売者に対して、上市前の登録、回収・処理計画の策定、適切な処理・リサイクル、情報提供義務を課しており、違反した場合は罰則が科される。

注目定義

<対象物>

■ 「電気・電子機器」(Elektro- und Elektronikgeräte)

「電気・電子機器」とは、1,000ボルトを超えない交流電圧または1,500ボルトを超えない直流電圧で動作するように設計された機器であって、以下のいずれかの条件を満たすものをいう。 a)適切な動作のために電流または電磁界に依存するもの b)電流および電磁界の発生、伝送、測定に使用されるもの (第3条)

■ 「使用済み機器」(Altgeräte)

「使用済み機器」とは、循環経済法 第3条第1項第1文の意味における廃棄物とされる電気・電子機器であり、使用済み機器となった時点でその一部を構成するすべての部品、下位ユニット、および消耗品を含むものをいう。 (第3条)

■ 「回収」(Erfassung)

「回収」とは、使用済み機器の収集と返却をいう。(第3条)

■ 「処理」(Behandlung)

「処理」とは、使用済み機器が施設に引き渡された後に行われる、再利用のための準備、有害物質の除去、有価物の分別、分解、粉砕、資源活用、または廃棄のための準備に関する作業、ならびに使用済み機器の資源活用または廃棄に供するその他の作業をいう。(第3条)

■ 「資源活用」(Verwertung)

「資源活用」とは、単なるリサイクルではなく、再利用(リユース)やエネルギー回収なども含む資源の活用をいう。(第3条)

■ 「共同機関」(Gemeinsame Stelle)

「共同機関」とは、製造者による義務の履行を管理・調整し、登録や報告の受付を行う機関をいう。(第5条)

<対象者>

■ 「製造者」(Hersteller)

「製造者」とは、以下のいずれかに該当する者をいう。 1.自身の名前または商標の下で電気・電子機器を製造し、市場に提供する者、または第三者に製造を委託し、自身の名前または銘柄で提供する者。 2.他の製造者の電気・電子機器を、自身の名前または商標の下で提供または事業目的で転売する者(ただし、機器に元の製造者の名前または商標が表示されている場合は除く)。 3.EUの他の加盟国または第三国から調達した電気・電子機器を、本法の適用範囲内で初めて上市する者。 4.EUの他の加盟国または第三国に拠点を置き、遠隔通信手段を用いて本法の適用範囲内の最終消費者に直接電気・電子機器を提供する者。 5.適切に登録されていない製造者やその代理人の電気・電子機器を、意図的または過失により販売する販売者(この場合、上市とみなされる)。(第3条)

■ 「販売者」(Vertreiber)

「販売者」とは、本法の適用範囲内で電気・電子機器を提供する、または市場に供給する自然人、法人、または権利能力を有する人的組合をいう。(第3条)

■ 「認定代理人」(Bevollmächtigter)

「認定代理人」とは、本法律の適用範囲内における個人、法人、または法人格を持つ事業体であって、適用範囲内に拠点を持たない製造者から委任を受け、その名のもとに本法律に基づく製造者の義務を履行する者をいう。(第3条)

適用除外(対象外・猶予・免除等)

機械安全、設備安全

本法は、以下の電気・電子機器には適用されない。

  1. ドイツ連邦共和国の重要な安全保障利益を維持するための機器(武器、弾薬、および軍事目的にのみ使用される防衛装備を含む)
  2. 以下の条件を満たす機器

    a) 本法の適用範囲外の機器、または適用除外となる機器の一部として組み込まれているもの

    b) その機能が、組み込まれた機器の一部としてのみ発揮されるもの
  3. 白熱電球
  4. 宇宙空間での使用を目的とした装置
  5. 据え置き型の産業用大型工具
  6. 据え置き型の大型設備(ただし、その設備の一部として特別に設計・組み込まれたものではない機器には本法が適用される)
  7. 旅客・貨物輸送用の車両(ただし、型式認証が不要な電動二輪車には本法が適用される)
  8. 移動式機械
  9. 研究・開発目的で特別に設計され、事業者間でのみ提供される機器
  10. 以下の医療機器
    • 使用期間中に感染症が発生する可能性がある医療機器および体外診断用医療機器
    • 能動型埋め込み医療機器(ペースメーカーなど)

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
目的

ドイツ市場で電気・電子機器を販売するすべての製造者、または第8条に基づく承認の場合にはその認定代理人は、電気・電子機器の上市前に、管轄当局に機器の型式および商標を登録しなければならない。(詳しくは第6~7条、附属書2参照)

製造者または認定代理人は、家庭以外の用途(事業用)の電気・電子機器の回収および処分に関して、主管当局に回収計画を提出しなければならない。また、回収計画に変更が生じた場合、製造者または認定代理人は、速やかに所管当局に報告しなければならない。(詳しくは第7a条参照)

資格、認定

EU域外の製造者がドイツで製品を販売する場合、ドイツ国内に認定代理人を指定しなければならない。(第8条)

製造者は、すべての機器に製造者名または商標を明記し、使用済み機器の識別用マークを貼付しなければならない。(詳しくは第9条および附属書3参照)

流通・供給の禁止

製造者は、使用済み機器の適切な回収・リサイクル計画を確保しなければならない。(詳しくは第16条参照)

製造者または認定代理人は、回収した使用済み電気・電子機器、またはその部品を再利用のために整備するか、 第20条第2~4項および第22条第1項に基づき処理および再資源化しなければならない。(第16条)

製造者または認定代理人は、使用済み機器の回収、処理、および空の回収容器の設置にかかる費用を負担しなければならない。(第16条)

電気・電子機器の販売面積が少なくとも400平方メートルの販売者、および販売面積の合計が少なくとも800平方メートルの食品雑貨販売者は、新しい電気・電子機器を最終消費者に供給する場合、供給場所またはその近辺で、新しい機器と基本的に同じ機能を果たす同じタイプの最終消費者の使用済み機器を無料で回収しなければならない。(第17条)

情報伝達、連絡

製造者および認定代理人および販売者は、定期的に上市量・回収量・リサイクル量・処分量等を定期的に共同機関へ報告しなければならない。(詳しくは第27条および第29条参照)

製造者は、上市する新製品の電気・電子機器の種類ごとに、機器に含まれる部品や材料、ならびに危険物質や混合物の位置等を含む、再使用、再使用の準備および処理に関する情報をリサイクル処理施設等に無料で提供しなければならない。(詳しくは第28条参照)

目次

第一章 一般規定
第1条 廃棄物管理の目標
第2条 適用範囲
第3条 定義

第二章 電気・電子機器の上市に関する義務
第4条 製品設計
第5条 共同機関の設立
第6条 登録
第7条 財務保証
第7a条 回収計画
第8条 拠点設置義務および代理人の任命および委託
第9条 表示義務

第三章 収集および回収
第10条 分別収集
第11条 規則制定権限

第1節 一般家庭からの使用済み機器の収集および回収
第12条 家庭からの使用済み機器収集の権利者
第13条 公共廃棄物処理機関による収集
第14条 公共廃棄物処理機関による回収機器の準備
第15条 製造者またはその代理人による回収容器の設置
第16条 製造者の回収義務
第17条 販売者の回収義務
第17a条 認定初期処理施設による回収
第17b条 公共廃棄物処理機関および認定初期処理施設間の協力
第18条 一般家庭向け情報提供義務

第2節 一般家庭を除く使用者からの使用済み機器の回収
第19条 製造者による回収
第19a条 製造者の情報提供義務

第四章 処理および再利用義務ならびに輸送
第20条 処理および廃棄
第21条 認証
第22条 再利用
第23条 輸送要件
第24条 規則制定権

第五章 届出・報告・情報提供の義務
第25条 公共廃棄物処理機関および初期処理施設の運営者の届出義務
第26条 公共廃棄物処理機関の報告義務
第27条 製造者の報告義務
第28条 製造者の再利用施設および処理施設への情報提供義務
第29条 販売者の報告義務
第30条 初期処理施設の運営者の報告義務

第六章 共同機関
第31条 共同機関の業務
第32条 共同機関による環境庁および州当局ならびに他の公的機関への報告
第33条 共同機関の権限
第34条 共同機関の求償権
第35条 共同機関の組織

第七章 所管当局
第36条 所管当局
第37条 登録に関する所管当局の業務
第38条 所管当局のその他の業務
第38a条 行政行為の完全自動化
第39条 他の当局との協力

第八章 委任
第40条 委任の許可
第41条 監督
第42条 委任の終了

第九章 最終規定
第43条 第三者への委託
第44条 異議申立ておよび訴訟
第45条 罰則規定
第46条 経過措置

附属書
附属書1 第2条第1項の機器分類に該当する電気・電子機器の非包括的一覧表
附属書2 登録時の情報要件
附属書3 電気・電子機器の表示マーク
附属書4 使用済み機器の保管および処理施設の技術要件
附属書5 処理計画
附属書5a 運用日誌
附属書6 廃棄物となる可能性のあるものを含む使用済み電気・電子機器の輸送に関する最低要件

基礎情報

法令(現地語)

Gesetz über das Inverkehrbringen, die Rücknahme und die umweltverträgliche Entsorgung von Elektro- und Elektronikgeräten (Elektro- und Elektronikgerätegesetz – ElektroG)

法令(日本語)

電気・電子機器の上市および返品および環境に配慮した廃棄に関する法律

公布日

2015年10月20日

所管当局

ドイツ連邦環境庁

作成者

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株式会社先読

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