法令の情報時期:2024年05月 公布版 | ページ作成時期:2024年11月 |
目的

本規則の目的は、所有済みクリーン車両に対する税額控除の適用基準および手続きについて明確化し、適格な買い手が適格な販売を通じてクリーン車両を取得した場合における税制上の恩恵を適切に提供すること。
概要

本規則は、有済みクリーン車両に対する税額控除の適用基準および手続きについて明確化し、適格な買い手が適格な販売を通じてクリーン車両を取得した場合における税制上の恩恵を適切に提供することを目的とする。
規則では、クレジットの適用に必要な定義や条件を規定しており、対象となる車両や買主の要件、販売価格の計算方法、収入制限、クレジット申請時の報告義務などを明示している。
注目定義
■ 「販売業者」(Dealer)
「販売業者」とは、合衆国法典30D条(g)(8)を参照して25E条(c)(2)(A)に規定されている内容を意味するが、ただしこの用語には米国の領域のみから免許を受けた者は含まれず、30D条(g)(8)に記載されている法域から免許を受けた販売業者(米国の領域のみから免許を受けた者を除く)で、免許を受けた法域以外の場所で販売を行う者も含まれる。(§1.25E-1(b)) |
■ 「適格事業体」(Eligible entity)
「適格事業体」とは、30D条(g)(2)および(f)(2)項に規定されるものをいう。(§1.30D-2(b)) |
■ 「適格製造者」(Qualified manufacturer)
「適格製造者」とは、30D条(d)(3)に記載された製造者が、30D条(d)(3)に記載された契約書に基づいてIRSに定期的な報告書を提出した時点で、30D条(d)(3)に記載された要件を満たしている製造者をいう。適格製造者とは、IRSによって適格製造者としての資格を取り消された製造者を含まない。(§1.30D-2(b)) |
■ 「登録販売業者」(Registered dealer)
「登録販売業者」とは、(c)項に規定する内国歳入庁への登録を完了した販売業者をいう。(§1.25E-3(b)) |
■ 「製造者」(Manufacturer)
「製造者」とは、大気浄化法Ⅱ章(合衆国法典42 U.S.C. 7521 et seq.)の管理を目的として環境保護局(EPA)長官が定める規程(42 U.S.C. 7550(1)に定義)の意味における製造者をいう。(b)(28)(ii)項に規定される場合を除き、複数の製造者が車両の製造に関与している場合、30D条(d)(3)の要件は、対象車両について大気浄化法(42 U.S.C. 7521 et seq.)に基づきEPAが定めた温室効果ガス排出基準の報告要件を満たす製造者が、満たさなければならない。(§1.30D-2) |
■ 「前払いプログラム」(Advance payment program)
適格事業体は、適格事業体がクレジット移転選択を行った課税年度の連邦所得税申告書または情報申告書(適宜)を提出する前に、IRSから前払いを受けることができる。これを「前払いプログラム」という。(§1.30D-5(f)) |
■ 「クレジット移転選択」(Credit transfer election)
「クレジット移転選択」とは、25E条(f)および30D条(g)、ならびに(d)項に規定されるものをいう。(§1.25E-3(b)) |
■ 「販売業者の納税遵守」(Dealer tax compliance)
「販売業者の納税遵守」とは、販売業者が、連邦所得税および雇用税を含め、必要な連邦情報および納税申告をすべて行っており、販売の時点において納付すべき連邦税、罰則、および利息をすべて支払っていることをいう。IRSと割賦契約を締結している販売業者で、販売業者がその義務(必要な申告を含む)を履行している場合は、販売業者税が遵守されているものとして扱われる。(§1.25E-3(b)) |
■ 「選択納税者」(Electing taxpayer)
「選択納税者」とは、所有済みクリーン車両を購入し、使用する個人であって、25E条(f)および(d)項に従い、当該個人に認められる25E条クレジットを適格事業体に移転することを選択した者をいう。納税者は、納税者が25E条(b)(1)及び§1.25E-1(b)の修正調整後総得の制限を超えないことを含む、内国歳入庁公報(パート601の601.601条参照)で公表されたガイダンスに規定された手続きに従って、一定の宣誓を行った場合にのみ、登録販売業者を対象に選択納税者となる。(§1.25E-3(b)) |
■ 「過度の支払」(Excessive payment)
「過度の支払」とは、§1.25E-3(g)(2)(iii)に定義されている過度の支払をいう。(§1.25E-1(b)) |
■ 「インセンティブ」(Incentive)
「インセンティブ」とは、以下をいう。 (i) 販売価格に関するもの:§1.25E-1(b)(16)における販売価格の定義において、インセンティブとは、25E条(f)及び§1.25E-3に従い、所有済みクリーン車両を購入するための一部支払や頭金という形での減額を除き、販売業者や製造者から納税者に提示され、納税者が受け入れた価格の減額をいう。 (ii) 適格事業体要件に関するもの:25E条(f)及び30D条(g)(2)(B)及び(D)に従ったクレジット移転選択に関する適格事業体要件において、インセンティブとは、25E条(f)及び§1.25E-3に従った所有済みクリーン車両購入のための一部支払や頭金という形での減額を除き、他のインセンティブとの組み合わせを含む、所有済みクリーン車両の販売業者又は製造者が納税者に提供する価格の減額をいう。 (§1.25E-1(b)) |
■ 「修正調整後総所得」(Modified adjusted gross income)
「修正調整後総所得」とは、修正総所得金額(内国歳入法62条に定義)に、内国歳入法911条、931条、または933条に基づき総所得金額から除外される金額を加算したものをいう。(§1.25E-1(b)) |
■ 「使用開始」(Placed in service)
納税者がその車両を所有した日に「使用開始」されたとみなされる。(§1.25E-1(b)) |
■ 「所有済みクリーン車」(Previously-owned clean vehicle)
「所有済みクリーン車」とは、25E条(c)(1)に規定されるものをいう。所有済みクリーン車両に該当する可能性のある車両には、電池電気車両、プラグインハイブリッド電気車両、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド燃料電池自動車が含まれる。(§1.25E-1(b)) |
■ 「適格買主」(Qualified buyer)
「適格買主」とは、適格買主とは、自動車の販売に関して、以下の納税者をいう。 (i) 個人 (ii) 転売目的ではなく、使用目的で当該車両を購入する者 (iii) 他の納税者が内国歳入法151条に基づきクレジットを認められない場合 (iv) 当該車両の販売日の3年前から当該車両の販売日までの3年間に、25E条および本条に基づくクレジットを認められていない者 (§1.25E-1(b)) |
■ 「販売価格」(Sale price)
「販売価格」とは、販売の時点に納税者と販売業者が契約書にて合意した合計価格(配送料を含み、インセンティブ適用後の価格)をいう。所有済みクリーン車両の販売価格には、州法または地方法により別途明記する必要のある税金および手数料は含まれない。所有済みクリーン車両の販売価格は、下取り価格を適用する前に判定される。(§1.25E-1(b)) |
■ 「売主報告書」(Seller report)
「売主報告書」とは、30D条(d)(1)(H)項を参照し、25E条(c)(1)(D)(i)に記載されている、所有済みクリーン車両の売主が、内国歳入庁公報(本巻(訳者注:26 CFR)の601.601(訳者注:パート601の601条の意味)参照)に掲載されたガイダンスに記載される情報を含む方法で、納税者及びIRS(訳者注:Internal Revenue Service、内国歳入庁)に提出する報告書をいう。売主報告書は電子的にIRSに送信されなければならない。売主報告書には、含まれる情報がIRSの記録と一致しないためにIRSによって却下された報告書は含まれない。(§1.25E-1(b)) |
■ 「車両履歴報告書」(Vehicle history report)
「車両履歴報告書」とは、自動車の所有履歴を提供する報告書をいう。車両履歴報告書には、全国自動車標題情報システム(National Motor Vehicle Title Information System)によって承認された情報の提供者によって発行された車両履歴報告書が含まれる。(§1.25E-1(b)) |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
本規則には、規則全体からの適用除外や免除を規定する内容はない。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

所有済みクリーン車両を適格買主が適格販売で購入した場合、最大4,000ドルまたは販売価格の30%に相当する税額控除が認められる。(§1.25E-1)

二重の利益を防ぐため、25E条クレジットが認められる車両に対して他の税額控除が認められている場合、それらは25E条クレジットの額に応じて減額される。
ただし、30D条クレジットが以前の課税年度に適用されていた場合、それは25E条クレジットの額に影響しない。(§1.25E-2)

販売取消の場合、購入者はその車両に関する25E条クレジットを請求できず、販売は行われなかったものとみなされる。
また、売主は取消を報告し、クレジット移転は無効とされる。
車両返却の場合、返却が使用開始から30日以内であれば、25E条クレジットは認められず、販売は行われたとみなされるものの、再販売時には25E条クレジットの対象外となる。
転売の場合も、転売目的で購入したものとみなされ、転売された車両は25E条クレジットの対象外となる。
ただし、クレジット移転が行われていた場合、その移転は有効であり、移転されたクレジットは納税者から回収される。(§1.25E-2)

販売業者はIRSに登録し、税務遵守を満たした場合のみ適格事業体と認定され、クレジット移転および前払いプログラムに参加できる。
登録はIRSが定める手続きに従い実施され、不遵守がある場合は登録が停止されるか、取り消される可能性がある。選択納税者(クリーン車両を購入した個人)は、購入時点までにクレジット移転選択を行い、適格事業体に税額控除全額を移転しなければならない。
移転されたクレジットの金額と同額を適格事業体が選択納税者に支払う必要がある。この移転は取消不可であり、取引に関連する税務上の取り扱いも規定されている。
適格事業体に対しては、受け取った前払金が所得とみなされない一方で、選択納税者に支払った額は損金不算入とされる。さらに、パートナーシップやS法人が適格事業体である場合、クレジットは事業体単位で認定され、構成員には配分されない。
クレジット移転を行った場合でも、選択納税者は車両の基礎減額や二重給付禁止の規定が適用される。
また、車両識別番号(VIN)などの情報が正確にIRSに報告される必要がある。(§1.25E-3)

納税者は、購入した新規クリーン車両について、クレジット額の合計を課税年度の税額から控除することが認められる。
クレジット額を判定するために、一般的な規程や特別規定、重要鉱物や電池コンポーネントの要件、クレジット移転、再取得などに関する詳細なガイダンスが提供されている。
また、30D条クレジットは一般事業クレジットとして扱われる場合があり、償却可能車両の事業用使用割合に応じて、クレジットが配分される。
納税者の納税義務に基づくクレジットの総額は、他のクレジットと合わせて制限される。
さらに、本規定は互いに分離可能で、いずれかの条項が無効になった場合でも他の条項は効力を持ち続ける。(§1.30D-1)

重要鉱物の含有率について、2023年4月18日から12月31日までに使用開始される車両は40%、2024年は50%、2025年は60%、2026年は70%、2027年以降は80%を満たさなければならない。
適格重要鉱物の含有量は、トレース適格価値や重要鉱物の総価値を基に判定され、各調達チェーンごとに個別に計算される。特定の車両については、実際に含まれる重要鉱物の値を基に判定が行われ、複数の車両に対しては、一定期間にわたって平均的な値を使用することができる。
また、2024年5月6日から2027年1月1日までに定期報告書を提出した製造者には、一時的なセーフハーバーが適用され、重要鉱物の算出方法が簡素化される。
電池コンポーネントに関しては、適用電池コンポーネントの含有率は、2023年4月18日から12月31日までに使用開始される車両で50%、2024年および2025年で60%、2026年で70%、2027年で80%、2028年で90%、2029年以降は100%となる。
適格電池コンポーネントの含有量は、増分価値を基に算出され、製造者は一定期間の平均値を使用することができる。
重要鉱物が米国または自由貿易協定を結んでいる国で抽出・加工されること、または北米でリサイクルされることが求められる。(§1.30D-3)

30D条に基づくクレジットを受けた車両に対しては、他のクレジット額(例えば、30D条(c)のクレジット額)が減額されることが求められる。
また納税者の所得が一定額を超える場合、30D条クレジットが適用されない。これらの制限は、納税者の申告資格(共同申告、世帯主など)に基づいて異なる基準額を適用する。
信託が使用開始した車両については、信託の所有者の所得に基づいて制限が適用される。
基本的には新規クリーン車両に関する30D条クレジットは一つの申告書にのみ申請でき、複数の納税者による配分は認められない。
納税者は新規クリーン車両を取得し使用した際に、適切な申告書類(Form 8936など)を提出する必要があり、製造者の証明書に基づいて申告が可能である。(§1.30D-4)

納税者は、一定の要件を満たすと、30D条クレジットを適格事業体に移転でき、事業体はその前払いを受けられる。
販売業者は、クレジット移転および前払いの目的で、IRSに登録し、一定の要件を満たす必要がある。
選択納税者は、新規クリーン車両に関するクレジットを移転し、移転後、適格事業体が指定した金額を選択納税者に支払わなければならない。
この移転は、販売の時点までに行われ、移転選択は一度行うと取り消しできない。
移転されたクレジット額は、選択納税者の所得に含まれず、適格事業体の納税義務に影響しない。
クレジット移転後の課税影響についても規定があり、適格事業体が受け取った前払金は所得に含まれないが、選択納税者が支払った金額は新規車両の販売価格に関連して取り扱われる。(§1.30D-5)

2023年12月31日以降に使用開始された車両の電池コンポーネントや重要鉱物が懸念外国事業体(FEOC)によって関与している場合、その車両は新規クリーン車両として認められない。
製造者は、電池コンポーネントや重要鉱物の出所を追跡するためのデューディリジェンスを行い、業界基準に従った証明を求められる。
特定の電池材料については、2027年1月1日以前に追跡不可能な材料を除外して報告を提出することで、デューディリジェンス要件を満たすことができる。
新規クリーン車両に使用される電池は、FEOC準拠でなければならず、電池の適合性はシリアル番号や識別システムを使って物理的に追跡される。
製造者は、電池セルがFEOC準拠かどうかを判断するために、追跡システムを使用し、追跡不可能な材料がある場合には移行規程を適用できる。
電池セルに含まれる鉱物の配分に関する基準もあり、これに基づいてFEOC準拠の判定が行われる。配分は、構成材料の種類ごとに行われ、各材料の割合に応じてFEOC準拠が決まる。
さらに、製造者は第三者製造者や供給者と契約し、デューディリジェンスの実施と情報提供を義務づけ、供給網に変更があった場合は適切に通知しなければならない。(§1.30D-6)
目次
25E条と30D条に基づくクリーン車両クレジット、クレジットの移転、 重要鉱物と電池コンポーネント、懸念外国事業体
26 CFR Part1の対象リスト
26 CFR Part 302の対象リスト
規則の改正
パート1 所得税
パート2
§1.25E-0:目次
§1.25E-1:所有済みクリーン車両に対するクレジット
§1.25E-2:特別規程
§1.25E-3:クレジット移転
パート3
§1.30D-0:目次
§1.30D-1:新規クリーン車両に対するクレジット
§1.30D-2:30D条における定義
§1.30D-3:重要鉱物と電池コンポーネントの要件
§1.30D-4:特別規程
§1.30D-5:クレジット移転
§1.30D-6:懸念外国事業体の制限
パート301-手続きおよび管理
Par 4
Par 5
§301.6213-2:正しい車両識別番号の記載漏れ
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | クリーン車両クレジット規則 |
公布日 | 2024年05月06日 |
所管当局 | 財務省、 |
作成者

株式会社先読
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