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ARTICLE 2026.09.07

EU|欧州委員会、鉄鋼輸入の溶解・鋳造国を証明する証拠の種類を規定

公開日
2026.09.07

2026年08月31日、鉄鋼製品の輸入者が「溶解・鋳造(melt and pour)」の行われた国を証明するために提出すべき証拠の種類を定める欧州委員会実施規則(EU)2026/1963が、EU官報に掲載されました。同規則は2026年08月28日に採択され、官報掲載の翌日に発効し、2026年10月01日から適用されます。根拠となるのは、世界的な鉄鋼の過剰生産能力がEU市場に及ぼす悪影響に対処するための規則(EU)2026/1384(2026年06月17日)です。輸入者は、税関申告に際して当該製品の溶解・鋳造国を申告したうえで、その申告を裏付ける証拠を提出しなければなりません。適切かつ検証可能な証拠が示されない場合、当該輸入は認められません。EEA諸国を除くすべての原産地からの対象鋼材の輸入が対象となるため、EU向けに鉄鋼製品を供給する事業者は、取引先から取得する証明書類の記載内容を早急に点検する必要があります。

「溶解・鋳造」の定義

実施規則は「溶解・鋳造」を、原料となる鋼または鉄が製鋼炉において最初に液体の状態で生産され、溶解(スクラップの再溶解を含む)を経て最初に固体の状態へ鋳造された場所と定義しています。原産地規則上の原産国とは別に、この溶解・鋳造国を申告することが求められる点が特徴です。

提出が求められる証拠

2026年10月01日から2027年09月30日まで

  • 原則:溶解・鋳造国およびヒート番号(heat number)が記載されたミルテスト証明書(MTC)
  • 補完する証拠:MTCにこれらの記載を欠く場合は、請求書、納品書、品質証明書および購買契約の条項、供給者による長期宣言、原価計算・生産関係の文書、輸出国の税関書類、商業上の通信、製造工程の説明書によって補うことができます
  • MTCを提出しない場合:上記の書類自体に、溶解・鋳造国とヒート番号の双方が含まれている必要があります

2027年10月01日以降

受け入れられる証拠の範囲は狭まり、上記の書類はミルテスト証明書を補足するものとしてのみ認められます。実質的にミルテスト証明書の提出が前提となる運用へ移行します。

規則の構成

  • 第1条:証拠の種類と要件(3項構成)
  • 第2条:税関当局による検証の手続と申告の方法
  • 第3条:発効および適用

背景となる鉄鋼規則

欧州委員会によれば、鉄鋼規則は2026年07月01日に発効しており、無税枠は1,830万トン、これを超える輸入には50%の関税が課されます。今回の実施規則は、加盟国により2026年08月19日に全会一致で支持されました。策定に先立ち、2026年06月02日から07月04日まで利害関係者への意見聴取が行われ、鉄鋼生産者、需要家、商社、輸入業者など約170の関係者から意見が寄せられています。制度の狙いは、透明性と追跡可能性を高め、迂回輸入を防ぐことにあるとされています。

事業者に必要な対応

  • EU向けに輸出する鋼材について、ミルテスト証明書に溶解・鋳造国とヒート番号が記載されているかを確認し、記載がない場合は発行元に記載を求める
  • 2027年09月30日までに補完書類で対応する場合に備え、請求書、納品書、供給者の長期宣言などの書類を、ヒート番号と紐付けて保管できる体制を整える
  • 複数の製鋼所から調達している場合は、ロットごとに溶解・鋳造国を特定できるよう、社内の在庫管理と出荷書類の運用を見直す

参考情報

EUR-Lex「Commission Implementing Regulation (EU) 2026/1963」

https://eur-lex.europa.eu/eli/reg_impl/2026/1963/oj/eng

欧州委員会 通商総局(DG TRADE)「Commission sets the type of evidence to be provided by importers to prove the country of melt and pour of steel products」(2026年08月31日)

https://policy.trade.ec.europa.eu/news/commission-sets-type-evidence-be-provided-importers-prove-country-melt-and-pour-steel-products-2026-08-31_en

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